昨年は原発メーカー訴訟の会の「混乱」に多くの人は驚き、あきれ、これからどうなることか心配されたと思います。しかし昨年12月にだした訴訟の会の会報で、大阪のあいりん地区に住まわれる本田哲郎神父はこのようなメッセージを書かれています。私はこのメッセージにどれほど勇気づけられたかわかりません。
原発メーカー訴訟の会MLでのこの間の議論が、どれほど真摯で啓発的であるか、うれしく読んでいます。やり取りが激しいからといって、わたしは「混乱」とは思いません。それぞれ立ち位置のちがい、価値観の違いを鮮明にする作業工程だと思っています。真実が少しずつ明らかにされてきています。 本田哲郎
私は全ての役員、事務局長を降りることにしました。誰かが何かを言ったからではありません。私は組織をどうするということから身を引き、そもそも何をやるべきなのかに徹すべきだと考えたのです。私には時間とエネルギーに限界があります。私でなくとも組織の中で苦労しながらやっていける能力のある人はいっぱいいます。それらの人に全て委ねます。そう決めたら、本当に心が軽くなりました(笑)。
みなさん、目の前の「混乱」だけに目を留めず、私たちがそもそも何を始めたのか、もう一度確認しましょう。まず、世界で初めての原発メーカー訴訟をはじめたこと、それがこれまでの日本の原発裁判にはない、三分の二が海外の原告であるような訴訟が実現したこと、これってすごいことじゃありませんか?そしてその裁判をはじめたことで、今後、市民の国際連帯運動と連動させ、国境を超えた具体的な原発をなくす運動を展開できることになるのです。私は「混乱」にもかかわらず、私たちの運動の潜在的な大きさに夢を抱き、その可能性に期待するのです。私は今年は、その飛躍の年だと考えています。
昨年の7月9日、参議院会館でたれた、脱核とアジア平和のための韓国原発地域韓日市民ツアーの記者会見の席で河合弁護士はこのように話されました。
「この裁判は国際的な連帯が可能です。福島の住民だけが原告になるような訴訟ではどうしても国内的な運動にならざるをえない。東京電力だけの責任を問う闘いはどうしても、世界的な反原発運動として展開するのに限界があります。この裁判闘争を続けながら、メーカーの免責をなしにしていく有力な手段になりえます。原発輸出を止めさせるには、大変、有効な方法だと思います。」(河合弁護士の記者会見での挨拶より)
総会で決定される新役員の選出のために、私はそれまでの事務局長として全力をあげてその構想を練り、今年の飛躍に寄与したいと願っています。大晦日、元旦から総会の準備に大童です(妻の理解ある冷たい視線がぐさっと刺ります)。 多言語対応するHPを基盤にして、全世界4000人の原告一人ひとりに直接、役員選挙に参加してもらえるシステムが可能になりました。これは韓国の岡田さんに全面的に負っています。今後、このやり方で様々なイッシュで世界と直接つながり、意見交換が可能になります。
国際連帯とは単なる言葉ではありません、交流という形式でもありません。それは闘いそのものなのです。メーカー訴訟の内外での100万人署名を展開します。そして具体的には、一つは、韓国釜山の地裁で甲状腺ガンが古里原発の所為で発症したという、原発と甲状腺ガンの因果関係を認めた判決を勝ち取ったイ・ジンソプさんの闘いの支援であり、その世界的な展開です。イ・ジンソプさんの闘いは、原発は存在そのものが地域住民に疾患をもたらすものだということを示しています。世界の原発立地地域での住民の闘いにつながるでしょう。韓国では判決後、280名を超える女性が集団訴訟の準備に入りました。
2014年10月31日金曜日
判決文全文:韓国古里原発、甲状腺がん認定資料、李さんを日本に招聘しよう!
http://oklos-che.blogspot.jp/2014/10/blog-post_31.html
二つ目は原爆の後遺症、遺伝の問題です。韓国在住の岡田さんの投稿をご紹介します。
2014年7月25日金曜日
「世界で唯一、原子力爆弾による想像を絶する甚大な被害を受けた国」なのかー岡田卓己さんの投稿
http://oklos-che.blogspot.jp/2014/07/blog-post_25.html
広島・長崎の被爆者2世の問題は福島の原発事故の問題と直結します。
2014年8月17日日曜日
朝日新聞の広告に疑問、朝日を批判します。
http://oklos-che.blogspot.jp/2014/08/blog-post_0.html
全国紙に全面広告を出した政府広報では、福島の中学の女子学生の56%が将来生まれてくるこどもに影響があると思っていたことに対して、「メディアの報道の仕方に問題はなかあったのでしょうか」とメディア批判し、その根拠に、「広島や長崎さでさえ遺伝的影響はなかったと考えられています」と記しています。東大の放射線科准教授と放射線科准教授がそのお墨付きをしています。この問題もまた、No Nukes 権(原子力の恐怖から免れて生きる権利)を提示した、私たちの訴状の中で記された概念からしても私たちが取り組まなければならない問題です。
私たちのメーカー訴訟は、事故の責任だけにとどまらず、その原爆と原発を一体化して「原子力の平和利用」という建前でNPT体制の強化を図る核を持つ国が、原発の世界的な広がりを画策した社会的・歴史的背景、を明きらかにすべきです。そして3.11事故以後可視化された具体的な問題は、たとえ国策であろうとも、それを作ったメーカーにも責任があるということを追求しなければならないでしょう。福島事故を起こしたのはマークワン型であったという追及は、論理必然的に、それ以外の改良型、新型原発はいいという為政者の論理に使われるのは必定です。私たちは原発は存在そのものが悪であり、核兵器と共になくしていかなければならないという立場に立つのです。
世界初のメーカー責任を追求する私たちのメーカー訴訟は、日本一国だけでなく、世界中の原発・核兵器をなくす運動と連動するのです。今年こそ、その運動の飛躍の年になることを願ってやみません。
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