2014年12月24日水曜日

総会開催準備にあたっての事務局長見解

現事務局長として総会開催を前にして、現在の「混乱」をどのようにしようとしているのか、その見解を述べさせていただきます。みなさんのご意見をお願いいたします。

1.原発メーカーの責任を問うたきっかけ
原発メーカーの責任が一切問われない反原発運動はおかしいという声をあげたのは、日立の民族差別を世界的な運動によって糾弾し勝利した経験をもつ私と朴鐘碩です。そしてそのことに賛同する渡辺会長、大久保さんや八木沼さんを初めとしたNNAAの仲間と「原発メーカー訴訟の会」を作り、全世界から原発メーカーの責任を問う訴訟に賛同してくれる内外4000人の原告を集め、島弁護士を中心とする弁護士のご努力によって提訴しました。

2.内外4000人の原告を対象にした総会開催
来年開催する、内外4000人の原告を対象にした総会開催を成功させ、新しく選ばれた役員によって全世界4000人の原告団に相応しい原発メーカー訴訟の会としての活動を展開いたします。

3.新しく選ばれる役員たちによる訴訟の会の新体制で新しい動きを
新体制の訴訟の会がどのような活動をするのかは、総会準備プロジェクトチームが答申してくれた内容に従い事務局が公募する候補者が明らかにすることです。立候補者は、訴訟の会のあるべき活動を明示し、同時にどのような役員を選ぶのかを公約として宣言し、その公約の内容を検証した原告によって新しい役員が選ばれます。多くの方が立候補されることを期待します。マニフェストには役員人事全て(会長、副会長及び、事務局長、会計その他のメンバーまで)と規約改正に関する考え方、また島弁護士を中心とする裁判と、このままいけば具体化される可能性が高い本人訴訟、分離裁判の両方を支援する具体的な案、国際連帯運動に関する公約など、事務局が事前に設問した欄にすべて記入し公開していただきます。

4.訴訟の会の分裂・分断は認められない
現弁護団は弁護団の主導する原告団を新たに立ち上げようとしています。これは現在の訴訟の会の分裂・消滅を謀るものです。弁護団通信第2号ではその事務局を島弁護士事務所に置くと発表されています。私達はそのような弁護団のあり方は、弁護士職務規定に反していると判断し、そのやり方に対する批判は批判としてしかるべき処置を採るべきだと判断します。弁護士としてやるべき職務を逸脱した行為を等閑視するべきではありません。この間の「混乱」の根本原因はそこにあったからです。

5.原告団は弁護団に主導されるのではない
現状では現弁護団の声明によると、現事務局長の崔は、本人訴訟をし分離裁判をすることを余儀なくされます。多くの方はそのことを内部の分裂として心配されましたが、そうではありません。それは訴状が原告団との一切の協議もなく、最終的な訴状が私達に公開されることなく裁判所に提出されたことに象徴的ですが、裁判を起こそうと立ち上がった原告団の思いより、弁護団の意志を重要視しています。その流れの中で、弁護団主導の原告団が提案され、事務局長解任・辞任あるいは弁護団の言うことをきかない原告は辞めてもらうというような暴論が出てきたのだと判断します。そのような弁護団の逸脱した行為を許したのでは弁護団と原告団との協議は困難になります。従って両者の役割を明確にした上での話し合いを進めて来年始まる裁判に臨みます。

6.分離裁判は分裂ではない
現事務局を弁護団が代理人を辞任することで4000人の原告団から「追放」することを声明文で明らかにしています。それは必然的に崔の本人訴訟、分離裁判というかたちになると思われます。現弁護団が上記4.5に記された実態を反省しない限り、多くの原告もまた現弁護団を解任するでしょう。しかしそれは分裂ではありません。島弁護士が中心となって展開しようとする裁判の根本思想は全て訴状に現れています。私たちは、その訴状がはたして原発メーカー訴訟の歴史的な使命を反映したものかに対して疑問に思っています。本来、訴状は原告と弁護士の間で十分に検討、検証されなければならないものです。

7.現訴状を乗り超える視点の提示を
分裂ではないということは、分離裁判によって、訴状の内容を乗り超える訴えを同じ裁判の土俵ですることができるようになるということです。その一番のメリットは、今の訴状がGEの事故を起こしたマークワン型の原発事故の責任に限定しているので、その改良型あるいは新規の原発であれば問題はないという論理を内在的に秘めているということです。私たちは原発の存在そのものが、解決できない核ゴミの問題、自然の破壊、そして何よりも韓国のイ・ジンソプさんの裁判勝利で明らかにされたように、原発立地地域の住民の放射能による被害の問題、子どもたちの健康の問題などを起こしているということを訴える必要があるのです。

8.原賠法を強いる国際的な社会構造
これは現訴状の最大の弱点ですが、原発メーカーの免責を認めた原子力損害賠償法がどのようにして法律になったのかという点に触れていないという点です。これは日本だけでなく、世界の原発の存在するあらゆる国に存在している、いや、させられているのです。これは核兵器を持つ国と持たない国とを峻別し、核兵器が安全保障の役割を果たしているという前提の下でNPT(核不拡散条約)、核兵器を維持するために「原子力の平和利用」として原発を世界中に、核を持つ国の支配下で作らせるという戦略がとられています。
私達はメーカー訴訟で日本の司法界でタブー視されている安全保障に関することも、原発事故との関係において言及すべきだと考えます。

9.訴訟の会の立つべき位置
本来、これらのことは原告団と弁護団の間で話し合われることですが、本人訴訟・分離裁判を前提にする弁護団声明からは「排除」の論理が優先されています。訴訟の会は、仮に同じ土俵での裁判になってもその二つを支援します。また分離裁判にならない場合は、今の弁護団と訴訟の会とで訴状の内容、裁判の進め方についての真摯な話し合いが保証されるべきだと考えます。

10.弁護団との関係
私達はあくまでもこの間の弁護団の逸脱した行為をなかったことにはするべきではないと考えます。訴訟の会としてではなく、私個人の人格を貶めるような発言(崔は、裁判を利用して民族差別闘争をしようとしいてる等)は名誉棄損であり、弁護団の言うことに反対する原告は下りてもらうというような発言は弁護士職務規定に反し、弁護士会への懲戒申請をするべきだと考えています。私個人としてしかるべき処置をとります。

しかし、メーカー責任を問う裁判を続けるということは私達が元来、訴訟を提起した最も重要なことであり、その願いを表明した原告が依頼した弁護士を蔑ろにすることはできません。私たちは現訴状を乗り超えようとしているのです。しかしそのことはなし崩し的な野合をするということではありません。弁護団が訴訟の会の分裂・消滅(止揚)を唱える原告を主導するような活動をしないと宣言しない限り、例えば訴訟の会として彼らの通信の経費を支払うことはありえません。けじめはつけながらやるべきことはやり、支援すべきことは支援するという考えです。



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