7月31日、日本外国人特派員との記者会見、国会での学習会を終えて、クマールさんは疲れた様子も見せず、京橋区民会館の会場に少し遅れて姿を見せませした。私が前前から聞いていて想像した、優秀な活動家のイメージより、さらに若く、また精細な印象を受けました。しかし話がはじまると、やはり彼の話しは具体的で、精悍な印象を受けるようになりました。
クマールさんはスライドを見せながら、盛んに、グラースルートという言葉を発していました。インドの原発は福島よりさらに古く、60年経っているということを映画監督のプラディ―プさんから伺っていたのですが、そのHigh Powerという素晴らし短編映画の中で出てくる地域の人たちのような漁民とか農民をさしているのだということが理解できました。
最初は、インドの反原発の抵抗運動が全国的で、多くの人たちから支持されているということでしたので、たんぽぽ舎で聞いた監督の話しと違うなと思っていたのですが、質問への答えの中では、明確に、大都市の中間層はヒンドゥナショナリズムに影響され、原発を支持する人が多く、一部のリベラルな層を除いてはグラースルートの人たちの運動に関心を持つ人が多いわけでもないと現状を話されていました。インドの運動が過激に見えるのは、警察が過激な取り締まりで住民に露骨に暴力行為をしたり、逮捕をするから、それへの抵抗として過激に見えるだけだということでした。納得。
そうでないと、人民党のヒンドゥ原理主義者のModiが首相に選ばれるはずもないからです。クマールさんの説明では、彼が州知事のころ、2002年にイスラム教徒が多数虐殺され、それに警官も加わっていたらしいのですが、その時、彼を支えたのが、ホンダ、スズキという日本企業で、その対価として、労働争議などを禁じるという労働者の徹底した管理を約束・実現したそうです。その州知事時代のときから、安倍とは同じ保守派ということもあってか、仲がよかったそうです。ツイターフレンドだとか。
今月末にModi首相は来日しますが、その目的は日印の原子力協定の締結です。これまではインドがNPTに入っていないので原子力協定はできないと言っていたのに、アメリカと同じくダブルスタンダードで、今回、協定の締結をするつもりのようです。
クマールさんによると、インドは露仏米カナダ、オーストラリア、ナイジェリア等、原子力関係の技術を導入できる可能性があるところとは片っ端から協定をむすび、民生用ということで核技術を入れ、インド政府はそれらを全て軍事用に転用しようとしているということでした。実はインドは再処理、核燃料サイクルの技術を保有しているそうです。
日本との協定によって、7月30日の朝日新聞で報道されていたように、原子炉の部品などはフランスが原子炉を建設するのにどうしてもそれらが必要だそうで、それには日印の協定が不可避であるということは、昨年、フランスのオランド大統領が来日したときに出た話です。
インドの原賠法はどうなっているのか?
日本ではインドのメーカー責任を問う原賠法の評価が高いので、その点を私は質問しました。実はクマールさんは私たちのメーカー訴訟の原告でもありました。化学工場の爆発で多数の人が亡くなり、アメリカ企業の責任を問う法律がインドで存在するということが日本ではあまりに過大に評価されたという印象を私はもっていました。クマールさんの説明はまさに私の印象通りで、原発事故があった場合、責任をとるのは、運営者、即ち政府であって、メーカーには微々たるお金しか請求しないという説明だったのですが、さらに質問を続けると、文字通り、メーカーが故意に事故に関係するような場合しか請求できないということでした。それでも現政府は、現法を完全にメーカーの責任を問わない、免責する法律に変えようとしているそうです。日本と同じ、世界標準にしようということなのでしょう。
インド政府は海外と一体になって核技術を導入し、世界に核大国としての存在を誇示したいらしいのですが、核に反対する外国の市民の「干渉」は徹底的に嫌がり、反国家的だという取り締まりを行っているそうです。
会場で披露された横断幕には、このようなことが書かれていました。
Mr. Modi Mr.Abe、核?もっといいものをシェアーしましょうよ!御意
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