2014年6月6日金曜日

「福井地方裁判所判決文」を読んでー朴鐘碩

日立就職差別裁判の当事者として勝利し、入社後は働く者の自由な発言を許さない、閉ざされた体質を批判してきた朴鐘碩は、円満退社後も日立の嘱託社員として現在も働き、経営陣に原発に関する質問を続けてきたが、いよいよ日立社内での会議で福島事故を起こしながら原発輸出をすることに関する発言し始めたことが、本人の報告でわかりました。彼の勇気ある発言に敬意を払い、支持し、東芝などの職場でもそのような社員の発言がでることを期待します。 崔

「福井地方裁判所判決文」を読んでー朴鐘碩

日立製作所は、東芝、三菱と並ぶ「より安全な原子力を世界に」輸出するメ-カです。「全世界の地震の1割が狭い、地震大国といわれている」日本の海沿いに60基近い原発の半数近くを造っています。

事故を起こしても原発メ-カの責任を免責する責任集中制度、原子力損害賠償法(原賠法)の成立の背景には、米国と英国からの圧力がありました(1957年)。

日立(メ-カ)は、事故を起こしても収益を計上できますが、メ-カの事故が免責されているということは、海沿いに設置された「原子炉の安全性確保(止める、冷やす、閉じ込める)」、原子炉の品質、予防保守に対する設計者・エンジニアの士気が低下し、検査工程が杜撰にならないかと疑問が残ります。

2014年5月21日、福井地方裁判所は「大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」と原告側請求である再稼働中止を認める、画期的な判決を下しました。

原発メ-カ(である日立)の経営陣、エンジニア、労働者は、この判決文を読み、自分たちが製造している原発(核)がどれだけ恐ろしい製品であるかを理解する必要があります。原子炉を作らない、原発事業から撤退する英断が求められています。

「放射性物質が発電所敷地外部に漏れ出すことのないようにしなければならず、この止める、冷やす、閉じ込めるという要請はこの3つがそろって初めて原子力発電所の安全性が保たれ」ます。

「福井県は、停止中「もんじゅ」及び恒久停止した「ふげん」を含め15機もの原発をかかえる原発密集地」です。

「地震対策、津波対策については、少なくとも、「既往最大」すなわち、人類が認識できる過去において生じた最大の地震、最大の津波を前提とした対策がとられなければ、伊方最高裁判決が述べる「災害が万が一にも起こらない」の要件を満たさない」のです。

原発「事故の進展は、はじめは比較的ゆっくり進むが、途中で事態の把握ができなかったり、判断ミスが続いたりすると加速度的に事態は悪化」します。

「原子炉格納容器のような丈夫な内圧容器がないため、建家内に放出された放射性物質は、大量に外部に出て行くことになる。いったんこうした事態になると、強い放射線で人が近づけなくなるため、隣のプラントも同様の経過をたどって破滅的な事態に至」ります。

「福島原発事故で大気中に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ事故の約6分の1である」

「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であって(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない」

「福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは難くない」

「大量の放射性物質が施設外に拡散し、周辺住民が被ばくし、又は被ばくを避けるために長期間の避難を要することは確実である」

「いったんことが起きれば、事態が深刻であればあるほど、それがもたらす混乱と焦燥の中での適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原子力発電所の従業員に求めることはできない」

「事故が起これば、その事故現場に立ち入ることができないため事故原因を確定できないままになってしまう可能性が極めて高く、福島原発事故においてもその原因を将来確定できるという保証はない」

「被告は福島原発事故を踏まえて使用済み核燃料の冷却機能の維持について様々な施策をとり、注水等の訓練も重ねたと主張するが、・・福島原発事故の全容が解明されているわけでもない」

「弥縫策にとどまらない根本的施策をとらない限り「福島原発事故を踏まえて」という言葉を安易に用いるべきではない」と関西電力経営陣を厳しく戒めています。

「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らか」になりましたが、自然、住民の土地、財産を奪い、家族の絆を引き裂き、数十万人に及ぶ被曝避難者に対して原発メ-カ(日立)の経営陣から謝罪はなく、事故の原因追求、企業としての倫理、社会的責任は社内で問われていません。組合(幹部)も沈黙しています。

多くの市民、住民が反原発を訴える中で、企業ぐるみ選挙で政権を支える経団連に加盟する企業は、国民国家を支える国旗・日の丸を正面玄関に掲揚し、原発再稼働で利益と生産力を上げようとしています。2020年オリンピックを後押しし、誰が必要としているのか、原発同様、輸出を狙ったリニア新幹線は、原発の電力供給を前提にしているようです。

しかし、福井地方裁判所民事部第2部樋口英明裁判長裁判官は、「第4 当裁判所の判断」として「福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課せられた最も重要な責務を放棄するに等しい」と述べ、「原発の運転停止による不都合は電力供給の安定性、コストの問題にとどまっている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」

「原発の運転によって直接的に人格権が侵害される具体的な危険があると認められるから、これらの原告らの請求を認容すべきである」と経済よりも人命と豊かな自然保護を最優先することを判決文で述べています。

樋口裁判長はじめ石田明彦、三宅由子両裁判官に心より拍手したいと思います。

この判決文を「武器」に反原発、輸出阻止運動をさらに盛り上げていきたいと思います。

原発輸出は、相手国住民の生命を奪い、生態系を破壊します。戦前日本がアジアを侵略したように再び日本が加害者になることです。他者及び外国籍住民を抑圧することは、自らものが言えない社会へと繋がります。

日立製作所は、1970年国籍を理由に朝鮮人青年の採用を取り消しましたが、1974年6月19日横浜地方裁判所は原告である青年の請求を認める判決を下しました。(判決から今年で40年になります)


判決文は、「在日朝鮮人に対する就職差別、これに伴う経済的貧困、在日朝鮮人の生活苦を原因とする日本人の蔑視感覚は、在日朝鮮人の多数の者から真面目に生活する希望を奪い去り、時には、人格の破壊まで導いている現状にあって、在日朝鮮人が人間性を回復するためには、朝鮮人の名前を持ち、朝鮮人らしく振舞い、朝鮮の歴史を学び、朝鮮民族の誇りを持って生きて行くほかに道がない」と、差別によって「人格の破壊まで導いている現状」を認めました。
同様に、福井地裁判決文も原発及び再稼働は、「人格権が侵害される具体的な危険がある」と述べています。

企業社会で戦争責任が問われず、戦後の原発体制を確立したのは、国民国家の強化に繋がる国策を受け入れ、経済を優先する傲慢な経営体質に(原発メ-カの)企業内組合、労働者が深く考えることなく黙って(原発を製造し輸出に)従う絶対的価値観を持たされているからではないでしょうか。

http://maker-sosho.main.jp/koe/834/
2014年4月22日(火) 部予算会議説明会
数百名の所員を対象にした部(職場)の予算会議の場において、経営者に原発事故の対応・責任を問いました。

朴鐘碩
日立製作所にとって原発事故は、緊急な課題である。
原発事故から3年経過したが、何故、従業員に事故に関する説明がないのか。
日立は、原発事故にどのように対応をしているのか。
土地を奪い、家族の絆を引き裂いた20万人近い被曝避難者のことを考えないのか。
遺伝子を破壊する放射能、子どもたちへの影響を考えて日立の関係者も避難しているのではないか。
事故を起こして原因も究明せず、何故、原発をリトアニアに輸出しようとするのか。
その神経がわからない。日立の経営陣は、一体何を考えているのか。
人類を破滅に追い込む原発事業から撤退すべきである。
新聞報道されたが、原発メ-カである日立製作所は、世界中の人々から訴えられている。企業としての道義的・社会的責任をどのように考えているのか。

部長
企業としての道義的・社会的責任を問われましたが、パクさんの質問にどう回答していいのか、わかりません。これだけしか応えられません。

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