2014年6月5日木曜日

韓国のフェリー沈没事件後の一断面を見てきました

昨日、韓国から帰ってきました。1週間で5都市を回る強行軍でしたが、セマウル号の沈没により
300名を超す高校生が亡くなった事故がどれほど韓国に一般の人たちにとって大きな事件であるのか、改めておもい知らされました。「安全管理」への関心が原発廃炉、延命反対の運動につながっていけばいいと思っています。

この下の写 にあるように、ソウルでの「核のない世の為のキリスト者連帯」(核キ連)総会で20分に渡り発言をする機会を与えられました。民主化闘争を担った伝統をもつ教会が、脱核で一つになり全国的な組織をつくったのですが、私の目には、闘う核がない、意欲に乏しいと映りました。しかし帰国直前にお会いした前代表のヤン・ゼソン牧師は「イエスを生きる」集団の事務局長になり、韓国社会を根底から捉えなおそう、教会内の不毛な論争から離れ、イエスに従い生きるということを具体的に実践していこうとする全国280もの教会でその運動のあり方を熟考されている様子でした。

韓国キリスト協議会(NCCK)や、YMCA, YWCAなどの組織も加入しているので、動きがよくないのかもしれませんが、それにしても社会悪と闘う教会の歴史があるので、もっと密接な関係をもって具体的な行動を共にしていけるようにしたいと願っています。

以下の写真は私自身の撮ったものと一部、高野さんFBから使わせてもらったものがあります。


 光州事件のあった光州市に住み、完全に地元のアジュモ二(おばさん)として活躍している小原さんが座談会準備してくれました。彼女は脱核問題に集中して行動していく強い意欲をもっていました。地元の大学などでの講演で福島の実情や韓国の問題点などを話しするようです。


 これは韓国第四の都市、大邱KYC(韓国での青年組織で在日とも交流があり、被爆者2世問題に取り組もうとしている。韓国在住7年になる川崎出身の岡田さんが活動の仲間になっている)での話し合いの写真。ここで毎年、台湾に行くという脱核活動にも参加する青年に会い、二次会での話しが進む中、彼の家に泊まることになり、夜中の2時まで話し合いをしました。深く物事を考えて行動しようとする姿勢なので、これからが楽しみです。

立ち上がって話をしている女性は、被爆者2世の患友会の会長の韓正淳さんです。私の方から、No Nukes Rights(ノー・ニュークス権:原子力の恐怖から免れて生きる権利)は原発だけでなく、長崎・広島で被爆した朝鮮人7万人の一世、及びその子孫たちが遺伝で苦しんでいることと同じではないかという質問に対して、自分もそう思うということでこれまでご自分の経験とこれからの抱負を語っているところです。

日本での彼女の講演記録を是非、皆さん、お読みください。

2013年7月21日日曜日


原発を問う民衆法廷ー第10回東京最終法廷

http://oklos-che.blogspot.jp/2013/07/10.html


 この写真は昨年、韓国の全原発立地地域を回ったとき、サムチョクという原発建設計画に反対する街でお会いした市会議員が、今回の選挙で当選したというういれしい知らせが届きました。市長も原発建設に反対する人なので、これからの闘いが楽しみです。すぐに住民投票が実施されるでしょう。しかし住民投票はひとつの意見としてしか位置づけされていないため、どうしても原発をサムチョクで建設したい現政権とは厳しい闘いになるでしょう。私たちも彼らの闘争を現地に行き支援しましょう!
  



ソウル、釜山、大邱、光州、江原道の華春(戦前の日本の植民地主義に時代のダム建設地でありながら、朝鮮戦争での多くの国の多くの犠牲者があったところ)を訪れながら、朝鮮の歴史の底を流れる歴史を改めて思い起こし、今の自分たちでできることは何かを考え続けました。
38度線を超えたところにある華春の地図は、未だ「戦争状態」であることを知らせてくれます。







私は事故後、経済優先で「大国」になった韓国のあり方を根底的に問おうとする姿勢、「安全管理」の重要性を改めて認識し、そのことが本当に原発をなくす運動にまでなっていくのか、活動家たちの着かれた様子、一般市民に働きかけに全力を注ごうとする動きの見えないところに、心配をしました。韓国の脱核運動はこのままでいいのか、と。

しかし最終日にお会いした韓国の『緑色評論』の主幹で、脱核の論陣をはる第一人者である金哲鐘さんは、心配はいらない、今はまだセウオル号沈没の真相解明も終わらず、そのことを騒ぎたてる心情にならない韓国人の気持ちを察してほしいという言葉にしばし発言をひかえました。そうだ、ここは「解放後」2度にわたる市民革命を起こした土地柄、市民の底力を信じよう。しかし私たちでできることはしっかりとやりはじめようとおもいました。



華春で見た、著名な韓国詩人の展示会場の入り口で見た詩を紹介したいと思います。


そこにはこのように詩が彫られていました。

道がある
私が行くのでなく
私が行くことで
道ができるのだ

詩心のな私ですが、妙に心にかかるものがあり、写真を撮りました。


帰国日にあった地方選挙の結果に対する韓国在住の高野さんの意見を紹介します。韓国の脱核運動をしてきた人たちの意見もおおむね同じようです。私は高野さんの思いや行動に新しい日本人を見ます。これからの日韓関係にとってというよりも、韓国自身の運動にとって必要なことを淡々とやっていくような、そし韓国もそれを喜んで受け入れていくようなところが生まれているように思うのです。

今回の韓国訪問では、韓国に住む3人の日本人の真摯な反核を唱える姿勢と、それを受け入れ学ぼうとする韓国の新しい息吹を感じました。そこにはそのことを願い、そこに参加して一緒にやって行こうとする在日の私の想いがつらなっているのでしょう。


昨日の韓国地方選挙を脱原発の観点から簡単に振り返り、今後の展望について考えてみました。

・ソウル市長にパク・ウォンスン候補が再選。太陽光発電拡大や建物の断熱化やLED普及などによる省エネ推進などを基礎とする「原発一基減らそう」政策も継続。環境団体はソウル市と手を組み、革新的エネルギー政策拡大を目指してゆく。

・教育監(韓国地方政治における教育行政のトップ)選挙では進歩系の候補が全国17ヶ所中13カ所で当選。現在環境団体中心に学校給食で放射線検査体制を充実せよという運動が展開されているが、13ヶ所ではその運動が展開しやすくなる。

・新規原発誘致が争点のひとつとなったサムチョク市長選で、誘致反対の候補が賛成の現職を破る。票の差も63%対37%なので反対派の圧勝。市議員選でも、長年誘致反対運動をしてきた人2人が当選。新市長は就任後まもなく新規原発誘致に関する住民投票を実施すると表明。今後サムチョクの脱原発運動が盛り上がりそう。

・もうひとつの新規原発候補地のヨンドクは与党候補が当選。誘致反対運動の拡大は相変わらず厳しい。

・コリ原発があるプサン市長選は与党候補が当選。寿命が切れたコリ1号機の継続運転に反対していた無所属の候補は健闘するも敗北。次の寿命を迎える2017年までは継続運転を認める新市長のもと、即刻閉鎖を求める脱原発運動をさらにどう盛り上げていけるかが鍵。

・寿命延長の議論が続くウォルソン原発1号機があるキョンジュ市では、与党候補が勝利。地元の反対運動が弱い中、ウォルソン1号機寿命延長反対を求める運動は苦しいまま。

・韓国緑の党の比例区での得票は全体の約0.75%。2012年の総選挙の約0.5%に比べるとやや増加。しかし緑の党候補の当選も有力視されていたクァチョン市長選では2大政党候補に約10%も差をつけられ、政党の知名度のなさを再認識。2大政党候補ばかり報道する主流メディアの中で、どのように知名度を上げられるか、新しい知恵が必要。

・ソウルの市長選と教育監の進歩系の躍進ばかりが注目されるが、全国的に見ると正義党、労働党、緑の党など脱原発を重要なイシューに掲げる政党からは首長が1人も誕生せず。最大野党の民主連合に脱原発政策に関心を持たせるよう運動を展開するか、草の根民主主義的に左翼運動を展開するか、地方政治において脱原発をどう進めていくのかじっくり考える必要あり。

・地方から脱原発を目指すには土建主義、効率主義、経済成長至上主義から脱し、エコロジーの価値を実現しなければならないが、今回首長に当選したのはほぼ男性。新しい価値を政治に反映するため地方政治における女性の進出が求められるが、そのような観点はまだ社会的に共有されず。

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