2014年6月13日金曜日

集団的自衛権の行使の背後にある問題とは何か

安倍首相のとんでもない屁理屈で、憲法解釈による集団的自衛権が閣議決定され、いよいよ具体化されそうです。

集団的自衛権行使は、安倍首相の戦後レジュームからの脱却を謀る大きな思惑の中から出てきたものでしょう。屁理屈を並べながら、憲法の解釈で集団的自衛権行使を決めるというのはもってのほかですが、権力を持つ者はあらゆる策を使い、それを実現しようとするのでしょう。彼らの屁理屈は理屈としては完全に破たんしています。朝日新聞の(6月13日)で、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏はその屁理屈を簡単に切って捨てます。しかしそれを力をもって、嘘をもっとらしく並び立て強引に進めるのでしょう。


それよりも気になることは、朝鮮半島有事の際、アメリカ軍が日本人を救出するときに(北朝鮮から?)攻撃を受けた場合、これは集団的自衛権行使をするしかないということで、公明党もこれはのむつもりだと今朝の朝日新聞は記しています。

先月、デモクラTVに出演した私はブログでこのように書きました。
「韓国からアメリカ船で邦人が救出されたときに日本の自衛隊が出て行くという設定がそもそも間違い、22万人にのぼる在韓米人、関係国の救出でアメリカは手一杯、そもそも各々の国の責任で救出することが原則。安倍が強調する事態は想定できないし、仮にそのような事態が起こった場合には今のままでもできる、ということでした。田岡さんによると日本邦人の救出は第4番目ということで、まずアメリカの邦人救出そのものがないと断定されていました。」

2014年5月18日日曜日
デモクラTV生中継にゲスト出演した報告と感想
http://oklos-che.blogspot.jp/2014/05/blog-post_18.html

詳しくお知りになりたければ、デモクラTVを検索し、直接ネットTVをご覧ください。田岡さんは著名な軍事評論家で、アメリカでも学んだ元朝日新聞に記者です。こういう発言をするから最近はまったくTVにでなくなりましたね。そもそもありえないことを、さもありうる仮定であるかのように議論を進めること自体が、そもそもおかしいのです。多くの人はこの仮定話にだまされています。

集団的自衛権行使そのものの背景は何か、ということですが、私は数百年単位で考えた場合、現在の状況は国民国家と資本が結託した、資本主義体制の終焉に向かっているのに、あたかもお金を大量に市場にだし、労働者の手当てをなくし、安い労働力として外国人を使おうとする悪あがきと見ます。

「原発体制」はまさにエネルギーと安全保障の問題ですが、もっと深く歴史の問題として捉えた場合はどのようになるのか、このことを考えています。

「原爆/原発体制は、資本と国家の結合が推し進めてしまった末期的な危機であり、植民地主義の末期的な形態であることを詳しく論じる余力は私には残されていないが、私たちはいま、人類が生き延びるための最後のチャンスに懸けているのではないだろうか。」
西川長夫 『植民地主義の時代を生きて』の帯より

この故西川長夫さんから私は多くを学びました。今、彼の教え子や彼に影響を受けた人と出版の準備をしています。今、読んでいるのは、『資本主義の終焉 歴史の危機』(水野和夫集英社出版 2014)です。西川さんに通じるものを感じます。大変やさしく、書かれていて彼の著作を買い求め、すべて読むつもりです。思想家のいう「国民国家」と「植民地主義」の問題を、経済学者の立場から述べているところが私には新鮮に感じました。

西川さんは、「国民国家とは、植民地主義を再生産する装置」と看破されたのですが、水野和夫は、「中央」の「周辺」からの「搾取」が全世界でもう終わりになり、「中央」は国内に「周辺」を求めざるを得なくなっている、そして日本をはじめ全世界の先進国は投資をしてもリターンのない時代に突入している。これは封建制から絶対王朝を経て資本主義社会に変わらざるを得なくなっていた16世紀に酷似している、それは避けることのできないものであり、できうれば犠牲者が少ないようにソフトランディングすべきだと主張するのです。

そしてもっと実物経済から金融経済を経験した日本こそ、その時代の要請に応える政治的、経済的システムの抜本的な変革を、英知を集め模索しなければならないと説きます。一読を薦めます。

0 件のコメント:

コメントを投稿