2013年12月13日金曜日

福島事故の責任を問い原発輸出を止めるために


      
    原発メーカー訴訟の意義と原発輸出

                                          崔 勝久
   NNAA(No Nukes Asia Actions)/「原発メーカー訴訟の会」/ 事務局長

 消費者リポート担当の方からメールをいただきました。内容は、「原発の輸出をストップさせるためにわたしたちができることをご提案」願いたいというものでした。その中で、「原発メーカー訴訟は、直接的には福島第一原発事故の原子炉メーカー3社への製造者責任を問うものですが、原子炉メーカーが賠償責任を負うということになれば原発を輸出することがむずかしくなると考えられます」と触れておられます。

 まさにその通りです。私たちは9月に韓国から10名、台湾から2名が参加して「脱核、アジアの平和を求める日韓市民ツアー」第二段を計画し、九州(福岡、玄海)、四国(松山、伊方)、祝島、広島、福井、神戸、仙台、福島と回り現地の方と交流会を持ちました。その中で私たちは、原発体制を変えていくには、世界の市民と国際連帯運動を拡げ、自分たちの地域のあり方を根底的に変えることから出発しなければならないということを痛感しました。

 最後の福島では、住民と沈黙とあきらめがどれほどのものか、現場に身を置き、言葉を失いました。福島は15万人が避難し、汚染水が垂れ流しにされ、仮設住宅で住む者も、そのまま福島に残る者も、何の罪もないのに「人災」(国会原発事故調査委員会の報告書)によってこのような目に遭わされているのです。
 「人災」であればその責任を追求し、だれかが責任を取り、被害者への徹底した保障をさせるのが当たり前です。しかし残念ながらこの国は誰も責任を取らず、十分な補償もしないまま、事故の原因を明確にせず、そのような危険なものを再稼働し、新たな建設まで画策し、そして日本の経済の成長の為に原発をどんどん輸出をするというのです。

 一体これはどういうことでしょうか。どうして地震の多いトルコに、そして国民投票によって原発は要らないと意思表示したリトアニアに原発を輸出しようとするのでしょうか。ヴェトナムをはじめ開発途上国に原発を輸出するために日本政府はその調査を税金使いながら進めています。一体これは多くの日本の市民が望んだことなのでしょうか。
 そして何よりも、日本はアメリカからの要請で原発事故が起こってもメーカーには責任はないとする法律、原子力損害賠償法(原賠法)を作ることを余儀なくされたのですが、今度は、日本が輸出する段になって、日本のメーカーは原発事故に対して一切責任はないという原賠法をその輸出相手国に作らせているのです。

私たちは来年1月に福島事故を起こした原発メーカーの日立、東芝、GE(ゼネラル・エレクトリック)の責任を問う裁判をはじめ、全世界から1万人の原告を募ります。
原賠法によって免責されていた原発メーカーは3・11以降も輸出を続けています。
私たちは「原子力事業の発達」を目的とする原賠法そのものが憲法の精神に反すると主張します。原発は使用した核燃料の処理もできず、事故が発生した時には想像を絶する被害を発生させ、根本的に市民の人権を侵害するものです。この裁判がきっかけになり世界中で原賠法の問題が提起され、メーカー責任を明確化することで原発輸出をさせないようにすることが私たちの目的です。
原告団に参加して、原発をなくす世界の市民の国際連帯運動に連なりませんか。

 「原発メーカー訴訟」の会HP:http://ermite.just-size.net/makersosho/

(注:これは原文です。編集者が読みやすいように多少修正してくださいました)

2 件のコメント:

  1. 白楽正志
    @unseen_wall

    @che_kawasaki 原発メーカーの告発に当たっては個々の契約が国法ならびに国際慣例(衡平法)に優先するか否か、契約内容の守秘義務が後者での基本的人権尊重に優先するか否かが問われると思う。

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  2. 白楽正志
    @unseen_wall

    @che_kawasaki (承前)特に技術情報を扱う職種では守秘義務が厳しく課せられ、違反すれば直ちに職を失うリスクがある。従って、上述のような内部告発に期待するためには、告発者を保護する何らかの「駆け込み寺」が必要になると思う。

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