2013年4月11日木曜日

英国の大臣「日本の原発に不安ない」発言から、これからの市民運動の使命を考える


(産経新聞の報道:「日本の原発に不安ない」 英ウェールズ担当相)
2013.4.10 09:44   産経
【ロンドン=内藤泰朗】
<日本の最新型原発を3月に視察した英国のジョーンズ・ウェールズ地方担当相(61)は、産経新聞との電話インタビューで、「日本の原発には大変感銘を受けた」と述べ、東京電力福島第1原発の事故後、その失敗に学んで安全性を高めた日本の新型原発が英国に建設されることに期待を寄せた。

 英西部のウェールズ地方では昨年11月、日立製作所が英国の原発事業会社を買収し、原発の事故後初となる新規の原発建設に向けて動き出している。

 3月14日から2日間、日本を訪問したジョーンズ担当相は、茨城県日立市にある日立製作所臨海工場と、日立が青森県大間町で建設中の大間原発を視察した。

 視察では「妥協を許さない技術者たちの姿勢とともに、長い年月をかけて建設地の地元の事業参画を促してきたことが事業の成功には何よりも重要だとする説明が印象に残った」と語り、「実に有意義な視察だった」と強調した。

担当相は大間原発に向かう途中、福島原発を上空から視察。「息をのむ光景だった。それでも、英国政府は事故後、福島に専門家を派遣して独自の調査を実施した結果、原発を推進していくことを決めた」と指摘した。

 安全性については、「大間でもすでに事故後、さらなる安全対策が講じられていた。日立、そして日本政府が今回の失敗に学んでさらに安全な原発をつくることに疑いはなく、心配はしていない」と語った。

 日立製作所はすでに、英当局にウェールズ地方北部で新規に建設する原発事業計画を提出。数年間に及ぶ設計・技術面などの安全審査を受けたうえで、最大で3基の原発建設に着手し、2020年初めに発電を開始する計画を立てている。>

(反核、反原発運動は市民の国際連帯に拠るしかない)
結局イギリスも、核不拡散体制によって核を独占し、並行して「核の平和利用」としての原発を促進する国であるということがよくわかりました。日本の反原発運動はどちらかというと、エネルギー問題に集中するきらいがあります。それはそれで重要な問題です。

しかし原発は国家の安全保障、世界の核戦略と強く結びついていることは、2012年6月20日に、原子力行政の憲法とも言うべき原子力基本法が改正され、「我が国の安全保障に質する」と記されたことからも明らかです。日本の反原発運動はどちらかと言うと一国平和主義的で、原発体制を問う中で、日本の歴史的な課題を追及するという視点は脆弱です。

先の産経新聞の報道でわかったことは、私たちは日本にいてドイツやイタリヤ、スイスのように脱原発を明確にした国々に関心がいくのですが、EUとして見た場合、英国をはじめフランスなどEUの主要国家は原発への依存を止める方向には向かっておらず、脱原発宣言した国もそのことをEUとして議論する気はないのだと気づきます。即ち、彼れはグルなのです。フランスで事故が起こればドイツで大きな影響があることは自明です。どうしてそれをドイツは黙認しているのか?

私は反原発問題、反核問題は国家レベルでは彼らのイニシアチブでは解決できないとい理解します。米国大統領オバマがいかに反核を唱えようが、NPT(核拡散防止条約)体制
は彼らの国益上、最大のプライオリティを持つものであり、核を手放すことはありえないと判断せざるをえません。

そうすると反原発、反核運動を進めるのは市民の手によるしかないのではないかというのが、私の結論です。それも市民による国際連帯運動です。私はそこに未来の希望を見い出します。

2月13日の朝日新聞で黒崎輝という若手の国際政治学者が、「脱原発で市民連帯、核軍縮へ」というタイトルで興味深い意見を提示しています。

黒崎輝さんの論旨は明確です。
NPTには限界:1970年に発効した核不拡散条約(NPT)は、核保有を放棄する代わりに原発などの平和利用を受けられるというものです。しかし北朝鮮を見てもNPTには限界があります。NPTにはジレンマがあり、「原子力の平和利用」としての原発は「核燃料の為のウラン濃縮やプルトニウム抽出の施設は軍事利用に転用」できるのです。まさに潜在的核保有国というものです。

リスク減の努力:核軍縮と脱原発は無関係ではなく、「NPTが認めている原子利用とは別の道を探るべき」なのですが、福島以降も原子力を利用していこうという考えは、国際的規範としてある」ので、「それに異を唱えることは、政府レベルでは難しい」のです。だから国境を越えた市民レベルのネットワークによって、脱原発の市民連帯をつくり、「核軍縮にも積極的に協力するシナリオ」を描こうというものです。

2013年2月13日水曜日
市民の脱原発のネットワークをー「脱原発で市民連帯、核軍縮へ」
http://www.oklos-che.com/2013/02/blog-post_13.html

(北朝鮮の「挑発」による戦争を防ぐにはどうするのか)
私が北朝鮮との対話の必要性こそが最大の課題であり、国交正常化こそがもっとも必要なことであると思い至ったのは、黒崎輝さんの著作を読んだからです。もちろん、北朝鮮のことに直接触れていませんが、60-70年代の中国と日米の関係を詳細に記した著作を読んだとき、北朝鮮の動向がよくわかるようになりました。

核実験とミサイルを繰り返した中国を日米はあれだけ強硬に批判していたのに、結局は、アメリカは台湾を捨て、日本への連絡も一切なしに中国に走りました。どうしてそうなったのか?それはアメリカの長期的な国益重視による政策決定だとみるしかありません。そして敵対視しないで対話をはじめるという判断が正しかったことは、その直後の日中国交正常化や、経済・文化などの交流が深まり、米中間で政治的にも対話を通して解決するということが実現されてきたことからもわかります。

米中が敵対しているとき、ソ連はアメリカと仲よくしていました。しかし中国は米帝国主義を打倒すると宣言して、ソ連のような「張り子の虎」ではないと核実験、ミサイル実験を繰り返しました。当時の中国は貧しかったのです。文化大革命もあり大混乱のなかでも核開発は止めませんでした。北朝鮮は第二の中国をねらっているのでしょう。

北朝鮮はミサイル、核実験を続けるものと思われます。しかし戦争を起こす体力もその意志もないなかで核による脅しでアメリカとの平和条約締結を狙い、それができれば日本は中国の時のようについてくると見ているのでしょう。しかしその核による脅しこそ、実はまさにアメリカの「原子力の平和利用」、NPT体制の背後に隠されたアメリカの世界支配戦略だったのです。アメリカは自分の戦略を相手側に真似され、脅かされているのです。

アメリカは国益で動く国です。緊張を高めることがまたアメリカの軍事産業の潤いになり失業率を下げるという効果を出すことでしょう。すでにそのことを揶揄する文章がFB上で見られます。アメリカは下りてくる、私の判断です。さて、日本はどうするでしょうか。

2013年3月10日日曜日
二回目の朝鮮戦争はあるのか?外交関係は小説より奇なりー黒崎輝『核兵器と日米関係』を読んで、日朝関係の将来を予測する
http://www.oklos-che.com/2013/03/blog-post_10.html

ここまで書いて、FBで韓国の労働者たちの戦争を避け平和を求めるデモの中で、米朝の直接対話と「天文学的な武器の押し売り」を批判する要求が出されたことを知りました。当然でしょう。
民主労総は米国に対し「最大の責任がある米国は、事態の解決どころか軍事的 な威嚇行動と共に、天文学的な武器押し売りをしている」とし「米朝間の直接 対話と平和交渉で危機を克服し、朝鮮半島平和体制を定着させろ」と要求した。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2013/1365635257199Staffより抜粋

1 件のコメント:

  1. 「反原発、反核運動を進めるのは市民の手によるしかないのではないかというのが、私の結論です。それも市民による国際連帯運動です。私はそこに未来の希望を見い出します。」

    同感です。そのためにも日本国内でクリスチャンが本音の議論を起こさなくてはならないと思います。

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