2013年2月1日金曜日

運転停止中の原発は安全なのか?ー住民・行政が避難計画に本気にならないのは不可解



小出裕章さんから「原発は運転停止中においても原発は停止中も使用済み燃料がある限り、危険は存在しています。日本の原子力推進派は、「原発は絶対安全」としてきたため、まっとうな防災計画を作ろうとしませんでした。でも、危険が存在する限り、住民の防災についてももちろん考える必要があります。」 というご返事をいただきました。

それに対して私はこのようなメールをお送りしました。「ありがとうございます。原発体制は民主主義を踏みにじり、形骸化し、住民主権をなきものとしたと理解しました。だからこそ、反原発運動は単なる政府への反対運動にとどまらず、自らを守り自らを取り戻す運動を構築していく運動にしなければならないのです。」


私がおかしいのか、このところ再稼働に向けた動きとそれに反対する運動の両方を見ていて、前者にはこいつらと思い、後者には実際に原発事故が起こることを想定した準備を市民・住民がすべきじゃないのと強く思うのです。

今日の朝日新聞の記事ですが、原子力規制委員会の新安全基準について、規制委は「世界最高水準」と自負するが、たしかに対策がとられれば安全性は向上するが、「基準さえ守っていれば安全が確保されるという発想は間違い」と規制委メンバーの発言を引用しています。さらに「最新の知見と技術をとりいれ、常に安全性を高める継続的な改善が電力会社と規制委には欠かせない」と注意を促します。

社説もほぼ同じトーンで、「「これでよし」ではない」という見出しの下、「いくら安全対策を講じても、原発が抱えるリスクはゼロにはならない。なにより、使用済み核燃料や高レベル廃棄物の処分策が決まっていない。使用済み核燃料をどこに保管し、最終処分場をどう確保するのか。」と問題提起しています。

それは間違っていませんが、何かおかしいと思います。まず、その新基準を満たすのに時間がかかる、そしてなお基準を満たしてもどのような事態がおこるか人間にはわからず絶対に安全を保障するものでないというのであれば、その間の住民の安全の確保の必要性にふれないのはどうしてでしょうか。それって、やっぱり、もう福島のような事故はおこらない、今のままでも大丈夫だという安心感(=危機意識の欠如)に安住しているんではないでしょうか。私は当たり前のことを書いているだけです。

運転中止中の原発周辺の住民は安全なんでしょうかー脱原発運動の取り組む課題について
http://www.oklos-che.com/2013/01/blog-post_29.html

ある専門家から、地方自体レベルで「事故形態ごとに放射性物質の放出のタイミング、場所、放出量等を推定する。これらによって得られる情報は、原子力発電所の緊急時計画を発展させるためのデータとしても使用されることになる」とされるPRA手法使用の可能性につき質問したことに以下のようなご意見を送っていただきました。

米国においては、敷地内外の緊急時計画の策定が原子炉運転許可の条件となっています。
一方、わが国は、原子力災害特別措置法(災対法)に基づき都道府県及び市町村は、当該地域に係る「地域防災計画」を策定していますが、敷地外緊急時計画について具体的に規定をおいていません。また、原子力規制委員会の防災指針(案)は、原子力事故時の避難方法に関するものであり、原子炉建設・運転の許可要件としての緊急時計画ではありません。その上で、自治体は、指針案を地域防災計画に反映させることになっています。計画策定において、自治体自らがPRAを行うことは困難であると思われます。可能性としては、外部研究機関に委託しPRAによる拡散予測や被害規模の予測を行い、防災計画を策定することが考えられます。

一方、地方自治体が、条例において災対法に規定のない、あるいは法律の規制内容を超えた規制を行うことができるかが問題になります。かつて、法律先占論により、条例制定権が制約を受けていましたが、近時公害規制条例等、その制約は緩和されているといえます。

そこで、災対法に規定のない敷地外緊急時計画の策定を原子力事業者に義務付ける条例を制定することは、地方自治体として許容されると考えられます。しかし、このような条例により、原子炉規制法による国の許認可要件に直接制約を加えることは困難と思われます。

つまり、原子力災害特別措置法(災対法)に基づき地方自治体は地域防災計画を策定するが、それは原発の建設・再稼働の許認可とは関係がない、だから避難計画を立てて、子どもや障害ある人、老人の安全が確保されない(避難地の確保、避難ルート、道路の混雑などすべての条件を勘案して上で)とわかっても日本では原発建設は許可され、再稼働も許されるということなのです。

故山本定明さんが指摘されているように、原子力事業者は敷地外緊急時計画について関与せず、地方自治体がリアルタイムで時敷地内緊急事態に実態を把握するようにはなっていません。原発を建設する時も再稼働の時も結局住民は、安全確保について徹底して事業者と自治体とで話し合うことは保障されてこなかったということです。

法律で保障されてなくとも、いや保障されてないからこそ、ここは市民・住民の力で自らの生命・財産を守る為に避難計画を本気で考え、地方自治体と向き合い、その結果を原子力政策に反映させうるべく動くべきではないのでしょうか。私の予感では、ほぼ100%日本の原発立地のある地方では事故の場合の住民の安全確保はできないと思います。しかしだからこそ、それを行政と一緒になって明らかにさせる必要があると考えます。そこからしか具体的なことははじまらないのです。みなさんはいかがお考えでしょうか。

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