2012年12月13日木曜日

北朝鮮けしからん論を検証する


昨日から今朝にかけて北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せることに成功したとのニュースに、してやられただの、1万キロの距離を飛ばせるようでアメリカが脅威に感じはじめている、貧しい国がまたあんな武器を手にして今後もっと危険な国になりそうだ、もう日本政府としては対話をやめる、国連を通しての制裁などは生ぬるい、日本独自の制裁をせよ(阿部)などという勇ましい話が伝えられています。困ったものです。

私は北朝鮮は大変問題多い国だと考えています。決して北を無条件に正しいとか擁護しようとは思いません。その前提の上で、国連における北朝鮮制裁論が当然のごとく連日マスコミで流されるなかで私はふと立ち止まり考えました。国連機関のIAEAへの抗議文をだすことに決めたことがきっかけです。みなさんのご意見をお聞かせください。
福島でのIAEA会議開催に抗議する声明
「http://www.oklos-che.com/2012/12/iaea.html」

IAEAの本質が原子力の平和利用、即ち、原発促進にあるということは、それをかたちづくっている核保有国は国連で採択された核拡散防止条約(NPT)によって、自分たちの既得権を護りながら、他の国が核兵器をもてないようにしているのではないか。なぜ? 核兵器のよる世界覇権を貫徹するためです。沖縄に米軍基地が集中しているのも日本が米国の核の傘で生き延びるための方策だと思われます。日本本土における米軍基地に対する反発をゆるめそれらを沖縄に持っていき、引き続きアメリカの核の傘で生き延び偽りの平和を享受するためでした。
日本はアメリカの従属の下で原発体制を作りはじめたー武藤一羊さんの著書を読んで
http://www.oklos-che.com/2012/12/blog-post_11.html

米国は戦後のソ連との冷戦を勝ち抜くため日韓台を核の傘の下に入れながら世界覇権戦略を立ててきました。彼らは日韓台に絶対に核保有を許すことはないでしょう。そしてソ連崩壊後は、新たな冷戦として、中国・北朝鮮をターゲットにしようとしています。北朝鮮は、米国の核の脅威に曝されながら朝鮮戦争以後ずっと休戦状態のままで現在に至っているのです。そうだとしたら、制裁だとかでなく、自分たちも核放棄をするから核保有をやめろ、朝鮮半島の分断をなくすため一日もはやく米朝の平和条約を結ぼうというのが筋です(韓国は休戦条約の当事者国になっていない)。自分は変ろうとせず既得権を持ち続け、相手側に武力と経済力で言うことを聞かせようとするのはまさに、植民地主義ではないですか。国連はそのようなアメリカの隠れ蓑としかいいようがありません。

日本の責任はもっと大きいですね。自分は米国の核の傘の下にいながら戦後の偽りの平和を享受し、その核体制そのものが北朝鮮を威圧してきたという事実から敢えて目をそらせてきました。北朝鮮こそ、日本の植民地支配の清算ができていない唯一の国です。このような歴史的な背景を抜きにして国連決議に反するからけしからんという論調はあまりに一方的です。

この一方的な言い分は、竹島問題の時もそうでした。島根県の編入を根拠に竹島は日本固有のものと宣伝していましたが、それは韓国の外交権を完全に剥奪し併合する直前のできごとではなかったでしょうか。この日本の植民地主義にたいする問題意識の欠如は日本の知識人を含めて決定的な弱点です。
竹島(独島)の領土問題についてーこの問題の本質を考える
http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_28.html

私は北朝鮮が、米国が一時約束した軽水炉の原発建設をまもなく完成させるのではないかと心配です。原発体制の問題は決してエネルギー問題に矮小化させてはならず、戦後のアメリカの核兵器の世界戦略とアジアの動向を抜きにしては考えられないのです。米国は核技術のライセンスを持ち、実際の原発製造とお金の問題は日本と韓国にやらせるという戦略です。原発メーカーが全世界的に法的に免罪にされている背景が見えてきます。原子力産業は世界的には完全に斜陽産業であり、福島事故がなくともその傾向はあまりに明白でした。福島事故はそのことを可視化させただけです(マイケル・シュナイダー氏との講演と対話から、彼は It's already dead と表現していました)。

にも拘らず日韓が必死になって原発輸出に血祭をあげているのはなぜでしょうか。日立が先月も英国の原発会社を500億円で買収したと報道されました。まったく馬鹿げたことです。どうして将来性のまったくない、誰もが斜陽産業だとわかっている分野に必死になって進むのでしょうか。それはアメリカの核戦力と、たとえアメリカの許可がなくとも、「潜在的核保有」を宣言していつでも核兵器は作れるという体制を維持したいからにほかなりません。

アメリカは原子力の平和利用という名目を掲げ、イランや北朝鮮に核開発をするなと言い、他国に核開発を許さないと言い続ける限り(インドに関してはもう言えなくなりましたし、イスラエルが核保有国だということは公然の秘密です)、原発体制を止めるわけにはいきません。それは核開発と表裏一体だからです。原発体制を止めると、原子力の平和利用という名目は通用しなくなります。それを軍産複合体が許さないでしょう。彼らは人殺しが「商売」です。環境破壊や道徳は問わないのです。そのDNAが原発にもあるからこそ、福島事故が生じ、事故による徹底した責任をとろうとしないのです。

日本政府は国内においては脱原発に進み、海外に原発輸出を進めると公言しています。民主党から自民・維新の会に権力が変わってもその政策は変更されないでしょう。国民はそのことに反対しないからです。再稼働反対の運動を大々的に進めて市民運動がこのことに気付かなかったことを私は大変いぶかしく思います。この核兵器を盾にして世界覇権を続けようとする限り、北朝鮮のようにそれに対抗(抵抗)するために核兵器の開発をする国は必ず出てくるものと思われます。表面に出てきた問題だけを見るのではなく、その背後にある問題を見ようとしないと、結局、世界の原発体制を維持しようとする構造がそのまま維持されるということになるです。原発問題をエネルギー問題としてだけ捉えるのはこのような欠点をもつことを自覚すべきでしょう。

ということで、今年の終わりにあたって、私たちNNAA( No Nukes Asia Actions)は世界どこにおいても(インドを除き)一切法的責任を問われないことになっている原発メーカーそのものの法的、社会的、倫理的責任を問うことをここに宣言します。そして来年からその準備に入ります。日本の大企業である日立、東芝、三菱重工の責任を追及し、彼らの原発輸出を止めなければなりません。

みなさんのご理解とご支援を乞います。一緒にやりましょう!

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