2012年10月17日水曜日

投稿:日立会長・社長への直訴ー朴鐘碩

(株)日立製作所 会長 川村 隆様 
社長 中西宏明様
2012年10月17日
ITプラットフォーム事業本部    朴鐘碩(パク・チョンソク)
要 望 書
 
 東日本大震災の津波、原発の水素(核)爆発事故から1年8ヶ月が過ぎようとしています。未だに事故の原因、解決の糸口も見えない状況です。
私は、6月19日に提出した抗議文で、「日立製作所は、原発事業から撤退し、代替自然エネルギ-研究・開発に予算をシフトすること」「原発輸出を中止すること」を要求しました。日立製作所と原発プラントの受注が内定しているリトアニアで原発建設の賛否を問う国民投票があり、投票率は50%を越えて半数以上の住民が原発建設に反対しています。

 日本から遠く離れたリトアニアの人たちは、「原発事故は、他国のことではない。自国でも起こる」と深刻に受け止めました。日立製作所は、原発建設に多くの住民が反対しても、プラントを輸出するのでしょうか。
事故が起これば、取り返しのつかない、償いきれない地球規模の被害になることは、3・11事故の教訓からわかったはずです。安全な原発など存在しません。

事故現場は、日立製作所およびその関連会社だけでも千名近い、あるいはそれ以上のエンジニア、労働者が、癌・白血病を起こす放射線を浴びながら収束作業に携わっているようです。過酷な労働の実態は、隠されたままです。会社・組合から現場の状況、労働の実態について全く説明がありません。日立製作所で働くエンジニアたちは、何も語らず、黙って業務を遂行していますが、同じ会社で働き、福島の事故現場で見えない放射能と闘っているエンジニア・労働者を見て見ぬふりをすることは、人間として許されません。

事故は収束するのか、収束するまで何年かかるのか、今後どれだけの労働者が被曝するのか、放射能汚染はどこまで拡大するのか、放射能は遮断できるのか、炉心はどうなっているか、原発を開発・製造した日立製作所に廃炉技術があるのか、など原発メ-カへの不信感と批判は、日本だけでなく海外からも高まっています。
日立製作所は、日本の50基以上ある原発のうち半分近い原発プラントを建設しています。原発を設計・製造し、電力会社に搬入した原発メ-カである日立製作所の社会的責任は必ず問われます。
 
日立製作所は、朝鮮半島が日本の植民地となった1910年に創業しました。植民地から60年後の1970年、戦争責任を追及した日立就職差別裁判闘争が始まりました。この闘争を契機に日立製作所は、「人権、企業の倫理・社会的責任」をより重んじるようになりました。「人権、倫理・社会的責任」を重んじるのであれば、土地を失い、生活を破壊され、避難せざるを得なくなった人たちへの原発メ-カとしての謝罪の言葉が不可欠です。

私は、日立闘争を経て日立製作所に入社し、開かれた会社・組合組織を求め、定年まで働きました。原発事故の実態を知り、私は新たな課題を突き付けられた思いです。昨年、20メ-トルにも及ぶ黒い壁・津波で流されたタンクから漏れた燃料で三日間燃え続け、黒い瓦礫だけが残った気仙沼に行きました。ボランティアに来ていた青年は「パクさん!福島第1原発4号機は日立が造ったんだから、何とかしてください」と原発メ-カの責任を問われました。

国家のエネルギ-政策である「原発体制」は、多くの人間を騙した「植民地主義への道」でした。国策である「平和利用」「安全神話」に便乗した結果、創立100年を祝った翌年、日立の原発技術は人類史上最悪の原発事故を起こしました。原発事業で莫大な利益を上げる原発メ-カの責任は世界中から問われます。 日立製作所の将来と社会的責任を考えるならば、100年の歴史で培った技術を生かし、人類と共生・共存できない原発を廃炉にする技術の開発に舵を取る以外にありません。また人類を破滅に導く原発は、一刻も早く停止し廃炉にしなければなりません。

私は、原発メ-カの経営者である川村会長、中西社長に、被害を蒙った人たちへの謝罪、リトアニアはじめ海外への原発プラント輸出の中止、原発事業から撤退する英断を求めます。経済界を牽引する日立製作所が率先垂範すれば、「原発ゼロ宣言」に反対した経団連の中から日立製作所の経営哲学に賛同する経営者が必ず現れると思います。国境を越え、世界の人々からも賛美されると確信します。

川村会長、中西社長に人間性を求め、人類を救う英断を強く要望します。

No.324 - 2012/10/17(Wed) 19:31:20

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