2012年9月6日木曜日

再稼働反対運動は、過去・現在の植民地主義を批判する視点を獲得するのかー「慰安婦」問題を論じながら


従軍「慰安婦」であったことを勇気をもってカミングアウトされ、そのことで日本を始め世界のフェミニズムの運動に衝撃を与えたご本人のハルモニ(あばあちゃん)が来日され、川崎で講演会があります(上野千鶴子『ナショナリズムとジェンダ―』(青土社)。戦争時の従軍慰安のことを知らなかったわけではないが、いわば当然のこと、あまり触れたくない過去の出来事にして放置されてきた問題が一挙に、戦争時の性奴隷問題として、また日韓の関係の質そのものを問い糾す問題として浮上してきたのです。

と き : 9月12日(水)  午後6時30分(6時開場)~8時30分
ところ : エポックなかはら・第3会議室(JR南武線「武蔵中原駅」徒歩1分)
資料代: 500円
主 催 : 川崎から日本軍「慰安婦」問題 の解決を求める市民の会(略称 求める
会・川崎)
連絡先: 070-6641-7850(佐藤)

従軍「慰安婦」を「商売」のために行ってきた行為とする石原東京都知事や、アメリカで従軍「慰安婦」問題を解決済みとして世界から袋だ叩きに遇い首相を辞めた安倍前首相が今、また性懲りもなく総裁選強に出ようとしています。野田首相に従軍「慰安婦」問題の人道的、倫理的な面からの解決を迫りまったく相手にされなかった李明博大統領は、そのことを念頭に置いて独島(竹島)に上陸したと言われています。しかし日本のマスコミは竹島は日本の「固有の領土」と排外主義を煽るだけで、植民地支配の歴史から派生する問題としては捉えず、従軍「慰安婦」問題に関しても完全に沈黙を守っています。

従軍「慰安婦」問題を過去の植民地支配の清算の問題として捉え、今日本が直面している原発問題とは直接関係がないとするのは問題があるのではないかと考えました。以下は、「脱原かわさき市民」のMLに投稿した文書を手直ししたものです。

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そうですか、ご本人は川崎でのお話を希望されたのでしょうか、光栄ですね。
私は、脱原発、反原発と「慰安婦」問題がいかに関係するか、説明します。

日本の二大都市、東京、大阪の首長も従軍慰安婦は国が関与した「証拠がない」と、植民地支配の実態を直視する姿勢を見せず、開き直っている状態です。それに名古屋の首長は、南京事件もなかったと放言していますね。困ったものです。日本の三大都市の首長は世界の笑いものです。軍の関与なくして朝鮮から海外に行けるわけがありませんし、また、本人の証言をどうして無視するのでしょうか?

原発体制は、国内の貧しくさせられてきた地方への差別を前提にした、国内植民地支配によるものです(開沼博『「フクシマ論』青土社)。

戦後の日本はアメリカの庇護の下、経済発展を遂げました。広島・長崎の被爆経験をもつ日本が原子力の平和利用を歓迎したのは、それが豊かさと便利さをもたらすと信じ込まされたからにほかなりません。しかし3・11で明らかになったことは原発は核兵器と一体化されており、アメリカの核の世界戦略の下で、アジアで経済大国になった日本・韓国・台湾はいずれも原発大国にならされました。それを国民は疑うことなく、安全神話を信じて、受け入れてきたのです(ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』岩波書店)。

しかしいずれの国も使用済み核燃料をどうするのかの解決策はもちえませんでした。日本は愚かにも使用済み核燃料の再処理によって無限に増えるエネルギー政策を謳ってきましたが、それも破綻していたことは明らかです。3つの経済大国、原発大国はいずれも国内での核廃棄物の最終処理はできず、それをモンゴルに持ち込む計画を秘密裏に進めていました。(添付資料参照)

ヴェトナムへの原発輸出を決定した日本、韓国はいずれも核廃棄物を引き取ることを前提にしています。それをどこにもちこむのでしょうか?日本人も韓国人も自国に持ち込むことは絶対に許さないでしょう。福島事故の原因もあきらかにされていないのに、輸出をして万が一にも事故がおこればその責任はどうとるのでしょうか。日本と韓国はアメリカが自分たちに押し付けたそのままをアジア諸国にやろうとしているのです。それはまさに植民地主義そのものです。

どうしてそのようなことになったのか。それは戦前の植民地支配の根本的な反省をせず、その清算をしてこなかったからです。原発体制は植民地主義だとしっかりと理解する必要があります(西川長夫『国民国家論の射程ーあるいは”国民”という怪物について』(増補版、柏書房 2012)。

そのことを一番明らかにしているのが、従軍「慰安婦」問題なのです。勿論、そのほかにも、在韓被曝者問題、強制労働させた問題があり、いずれも韓国の憲法裁判所から、韓国政府の「不作為」は違憲とされました。それは日本政府への働きかけをしなかったという意味です。稚拙なやり方であっても、単に大統領辞任後を考えたものと捉えるのは単純すぎます。私は李明博の行動の背景に憲法裁判所の判決のことを思い浮かべました。

昨今の竹島(独島)問題で、李明博大統領の発言(天皇の謝罪)と島上陸が取りざたされ大いに排外主義を煽っていますが、マスコミは竹島を島根県に編入した1905年は、どういう年であったのか伝えません。それは韓国の外交権を奪い、日本の保護国にした年なのです。日本は「固有の領土」と領土問題にしていますが、韓国は歴史問題、即ち、植民地支配の問題ととらえています。(「 竹島(独島)の領土問題についてーこの問題の本質を考える 」http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_28.html

みなさん、3・11で明らかにされた原発問題は、日本はこのままでいいのかを根底から捉えなおさないとどうしようもないということを私たち一人ひとりにつきつけています。福島の人たちの補償はどうするのでしょうか。瓦礫問題は?原発問題は災害対策と表裏一体で、川崎では毎日出るゴミ、下水道の汚泥の焼却灰は高い放射線量のため処理できず、臨海部に放置されています。地震、津波が起こればどうなるのでしょうか。川崎駅、幸区まで臨海部から流れ出る油によって大火災が発生し、多くの死者がでます。(NHKで放送されたのを御覧になりましたか?) そしてそれらの灰も市街地に流れこむでしょう。東京湾は船の運行が禁止され、莫大な経済的損失を負うでしょう。
国際連帯と地域の民主化は同じ根ー川崎の実例は全国の先駆け
http://www.oklos-che.com/2012/08/blog-post_21.html


9月8日(土)の市民フォーラムではその川崎の災害対策の問題が論議されます。各政党と行政が参加しますので、みなさんもどうぞ、御参加ください。6時、ミューザ川崎です。

というわけで、従軍「慰安婦」問題は、まさに反原発の問題として、そして川崎の災害対策の問題として捉える必要があると考えます。12日の集会には是非、みんなで結集し、まさに「今の問題」として受け入れましょう。
自分の住む川崎の地から日本全体を、アジアを、そして世界全体を捉え直すのです。
Act and Think, Locally and Globally!

地域は全体の一部であって、全体が変わらないと地域はかわらないと言われますが、勿論そういう面もあります。しかし全体はその構成要素である地域の変革なくしては変りえないという面もあるのです。

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