2012年8月10日金曜日

原発立地自治体にふるさと寄付をしようー川口洋一

「脱原発かわさき市民」で一緒に活動をしている川口洋一さんの原稿をご紹介します。川口さんは大学を定年退職された後でも、デモは勿論、瓦礫からリニアカー、節電、災害など多岐にわたる運動に関わるようになってきた「脱原発かわさき市民」の運動、その会議にもまめに顔をだされ、いつも温厚でありながら絶えず具体的な行動を考え、提案されている方です。

「原発立地自治体にふるさと寄付をしようと」いう呼びかけには、或いは反対される方もいらっしゃるかもしれませんが、私のブログで紹介させていただきます。川口さんは、石原東京都知事の尖閣諸島の島の買い取りに14億円という寄付金があったと憤慨されながら、都心のデモで終わらせず、原発立地の地方への金銭的な支援を続けようという呼びかけを先日の事務局会議でされました。

原発が作られた地方は、3・11以降すべての選挙で反対派は負けています。地域で原発反対を唱えることは村八分に遇うことを覚悟しなければならないというのが日本社会の実情です。地方の村は疲弊し、高齢化し、内在的な地場産業が育ってこなかったことで
(これも明治以降の国造りの中で都会中心の政策によるものです、開沼博はそれを「国内植民地主義」としています)、結局は中央と「抱き合う」かたちで原発体制をつくりあげたという、開沼博の指摘は正しいでしょう。

しかしそのような学問的な分析に終わらせず、何か自分でできる具体的なことをしたいという気持ちから「ふるさと基金」を呼びかけられた川口さんのお気持ちを斟酌し、その提案に強く賛同します。具体的な問題にも遭遇するでしょうが、それはその時また話し合えばいいのです。みなさんのご意見、ご協力をお待ちしております。  崔 勝久

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<原発再稼働計画を阻止するために>
電力会社の原発再稼働計画を阻止するために、原発立地自治体にふるさと寄付をしよう。東電は電気料金値上げ案の中で、来年4月に柏崎刈羽の原発4基をさらに2013年には2基を再稼働させることを盛り込んでいる。6月30日の中日新聞によると、新潟県刈羽村の品田村長は、大飯原発再稼働に対する政府の対応を評価し、「国民の生活を守るには電力が必要。安全な原発なら使ってもいいというのは当たり前」と強調。定検などで全7基が止まっている柏崎刈羽原発についても「政府が安全だと判断すれば再稼働させるべきだ」と力を込めたということだ。原発の地元の人たちに「原発は危険な施設だからいらない」とはっきり言ってもらわないと、「再稼働反対」とデモで叫んでも、なし崩しに再稼働が実現していく危険性が高い。

なぜ3・11以後の福島原発の過酷事故を目の当たりにしながらも多くの原発立地自治体の首長や議会ではこれからも原発依存で暮らしていこうとするのだろうか。原発がある地域は貧しかった。どこも道路の行き止まりのようなところが多い。「原発を建てさせれば広い道路も造るし、迷惑料である原発交付金もたっぷり出します」という話を聞いて住民の心は揺れ動いた。

「放射能は危ない」という話をする人はいるけれど、頭の良い学者や政府の偉いさんが「絶対安全だ」と言っているのだから大丈夫だろうと、原発を受け入れた。その結果、地域の経済、財政、そして精神的にも原発に頼りきることになり、「放射能はもちろん怖い。ただこの村はもう原発を受け入れるしか選択肢はないんです」と刈羽村の72歳の女性はつぶやいている(3月26日東京新聞)。

<地元の人たちと連帯するために>
再稼働をする、しない、については地元の意向がかなり重視されている。脱原発・再稼働阻止のためには地元の人たちとの連帯が重要となってくる。放射能の怖さで説得するだけではなく、地域経済の活性化や財政支援も必要になる。そのために使える制度を私たちは持っている。ふるさと寄付金制度だ。

この制度を使えば地方自治体へ寄付した金額のうち2000円を引いた額が住民税の10%以内ならほぼそのまま控除される。そこで勝手連的に原発立地自治体へふるさと寄付をする。それだけではどんなふうに使われるのか心配ならば、地元の反原発活動をしている団体に脱原発を趣旨としてふるさと寄付をしたことを知らせよう。せっかく寄付をした「ふるさと」なのだから、春夏秋冬折に触れて訪れてみてはいかがであろう。地元の人たちとの交流の中で原発のない世界で暮らす知恵やうでを伝え合っていかれたらと思う。そうした連帯もこれからは必要であると思う。

私は東海第2原発のある茨城県東海村に「村上達也村長が、東海第2原子力発電所の廃炉を選択していることに賛同して少額ですが寄付いたします。」と送った。村長からの葉書には「何の定見もなくあわよくば原発事故がなかったことにし元に戻そうとするがごときこの国に原発を持つ資格はありません。身を挺してこの東海村を手始めに脱原発を勝ち取る覚悟です」とあった。思いは私も同じだ。

東海村への寄付でははじめ「ふるさと寄付」をするつもりで申込用紙をダウンロードした。寄付の指定項目がいくつもならんでいた。しかし「脱原発のための施策に使う」という項目はなかった。担当者とのメールのやり取りで一般寄付という形で落ち着いた。一般寄付としても税金の控除に関してはまったく同じということであったので、ここでは「ふるさと寄付」ということで話をしてきた。

ちなみに東京都は尖閣諸島を購入するために寄付を募っている。7月30日現在94,971件の応募があり、13億9496万円余の寄付金になっている。1件当たりの平均金額は、およそ15,000円である。この寄付についても「ふるさと寄付」と同様の税額控除が受けられるようだ。

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