2012年6月25日月曜日

投稿:自民党改憲草案の問題点―池谷彰

自民党が改憲案をだしましたが、読売新聞は然り、民主党をはじめ、みんなの党など改憲を主張する党の方が多くなり、改憲に反対する党の方が少ないようです。石原東京都知事、河村、橋下両知事も同じです。維新の会は次回選挙で石原と手を組むかどうかは未定にしても大きな勢力になることは間違いないでしょう。

原発がエネルギー問題として論議されていましたが、政府は「「原子力の憲法」こっそり変更」(東京新聞)とあるように、「わが国の安全保障に資する」と原子力基本法に明記しました。時代は確実に悪い方向に進んでいます。戦争放棄と国民主権を言いながら天皇を象徴として祭り上げた憲法に問題がないとは思えませんが、しかし改憲論はそのようなレベルの話ではありません。中国・北朝鮮を敵対視する、新たな冷戦時代に備え軍事の強化を正当化するものだと思われます。


池谷さんには他にも以下の投稿があります。

投稿:一枚のハガキー池谷彰
http://www.oklos-che.com/2012/02/blog-post_27.html

投稿:空の空なるかなー、池谷彰
http://www.oklos-che.com/2011/06/blog-post_24.html



                         崔 勝久


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1『押し付け憲法論』のあやまり
「現行憲法は日本人自身の手ではなく、占領下でつくられたことは厳然たる事実だ」(谷垣総裁)というが、これは明らかな間違い。小林直樹「平和憲法と共生60年」によると、松本丞次案があまりにも古色蒼然としていたために占領軍からつき返されて(1946年)、幣原首相が戦争放棄の条項を含む提案をし、マッカーサーも驚いたと言われている。したがって、谷垣のいうことは俗説を受け売りに過ぎない。お粗末の一言に尽きる。

2.『いわゆる自衛権の危険性』
29条。 『自衛権の発動を妨げるものではない』とあるが、いわゆる「満州事変」をはじめとする日本軍部が行ってきた戦争は全て自衛権の発動の名のもとに行われたことを忘れるべきでない。そのような最小の歴史認識がないのであろうか?

3.基本的人権を制約する欺瞞的理屈としての「責任論」
3章第12条。 「国民は、自由、権利には責任が伴う事を自覚し、常に公益、公の秩序に反してはならない」とあるが、ここで言う「公益」とはなにか?「公の秩序」とはなにか? 広義に解釈すると、デモに参加することも公に秩序に反することになる。実に危険な考えである。ここでの、責任とはなにか? 国のために尽くす事か? もっとradical な疑問を発すると、ここで言う国とはなにか ? 簡単にいうと、自民党の言う事に従えということに過ぎないのではないか? ここで、改めて寺山修司の詩を思い出さざるをえない。 彼はつぎのように歌っている。『マッチ擦るつかの間の海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや』。
一般的に言うと、『国』と言う言葉がじつに簡単に、不明瞭な意味で、用いられている。例えば「国益」「国賊」「国体」など。用いる人間も、これを聞く人間もこれらの言葉を聴くと、思考停止状態になる。安保締結の際にも昭和の妖怪・岸信介はこの言葉を用いたし、原発を作る際にも「国策」なる言葉が用いられた。葵の紋のごとく力をこの言葉はもっている。
あの、クエーカー教徒の新渡戸稲造の言葉をもう一度思い浮かべたい。「愛国心とは悪者が頼る最後のとりでである。」この言葉が正しいとすると、ヒットラーの再来を思い出させる、石原慎太郎、大阪の橋下も勿論、悪者ということになる。
26条. ILOからの長年にわたる勧告のもかかわらず、公務員にはスト権が奪われている。自民党案も依然として変わらない。基本的人権の剥奪ではないか。

4.『.緊急事態宣言』条項を設ける事の危険性
998条。 『わが国に対する外部からの武力攻撃、内乱などの社会秩序の混乱』には緊急事態宣言を発することができる。』とあるが、なにをもって、内乱などの社会の混乱と定義するのか、実にあいまいである。安保の際に自衛隊の出動命令を下す一歩前までいったことは良く知られているが、大規模なデモを内乱などの社会の混乱と名づけて、市民権を奪うことも可能である。ちなみに岸信介は60年安保の際に右翼・児玉誉士夫やヤクザの親分・尾津喜之助の子分一万8000人に動員をかけ、暴力団を動員し、デモ隊を蹴散らしたという事は良く知られている。以来自民党と暴力団との縁ができたことは忘れてはならない。

  以上。 2012年6月22日。
           9条の会運営委員 池谷彰
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