2012年5月23日水曜日

小倉で瓦礫受け入れの実力阻止行動がありましたー具体的な行動、実践が問われます


九州の小倉で子連れのお母さんたちが中心となった大規模な瓦礫受け入れ反対の実力行使が行われ、動画で現地の動きを御覧になった方も多いと思います。既に3月の時点で細野大臣が瓦礫受け入れキャンペーンに来た時に地元の反対があったわけですから、地元議員、行政が市民と徹底的に話し合う姿勢をもたなかったことがこのような事態を招いたのでしょう。おそらく、川崎市が小倉と同じような瓦礫受け入れの強硬姿勢を示したならば、川崎でも同じような実力抗議行動が行われていたと思います。

この間はドイツで核燃料運搬阻止運動で列車を止める運動がありました。これは世界的な動向です。ヨーロッパにおいて実力行使の歴史を持つ「緑の党」であるから市民に信頼されるのです。議会制民主主義の一角を占めることを目標にした運動は運動ではありえません。もしこのまま政府が住民の瓦礫受け入れの不安に対して地方自治体の首長や議会との協議で話を済ませ、住民の意向を無視して強行突破をしようとするならば、全国で小倉と同じ事態がおこることが予想されます。先日も千葉県の知事と環境省の副大臣が瓦礫の処置を巡って話し合いをしていましたが、北海道でも多くの自治体が受け入れを検討しており、ここは住民との話し合いの場をもつことが絶対的な条件になるでしょう。それがなければ実力行使です。

参考までに:川崎市、神奈川県でがれき受け入れは、中止に。まずはよかったですね
http://www.oklos-che.com/2012/05/20120517214805172201-n-httpwww.html



アメリカの萩谷梅さん(No Nukes Action Committee オーガナイザー)のFBでの報告からです。
【全世界反原子力トラックとめる系連帯としてのハンフォード・サイト】
北九州も燃えているけれど、17日はオレゴン州はポートランドでも、放射性物質をハンフォードに向けて運ぶトラックを阻止すべく、公聴会に人々が押し寄せました。4月15日にハンフォード・サイト近くのワシントン州はリッチランドでラリーをした人々が組織をしました。その模様がハンフォード・ラリーのウェブサイトにアップされています。御覧ください。日本のフクシマ事故に影響を受けている人々全てに捧げるという意味で「カブキ」の服装で公聴会に乗り込む直前に、「間違った表現方法で人種差別にならないか心配しているが、海はどう思う?」と聞かれ、連帯だしカブキは民衆のものだから心配ないよと言ったけれど、これはカブキうんぬんじゃなくて、なんだか素晴らしい扮装ですよ! http://hanfordrally.wordpress.com/take-action/

阿部市長は5月17日に急遽、17日の記者会見で「国が調整した分は現地で処分できそうになった。今までのスキームでは進まない」と述べ、受け入れの対応を見直していることを明らかにしました。しかし「筋の通らない反対意見は無視する」と述べてきた阿部市長が、国が調整した分は陸前高田市などでは職員を派遣して調べたさせたら、現地で処分できそうだからという理由で計画を中止(保留?)したのであれば、いくつか問題は残ります。川崎で瓦礫を受け入れをしないと市長が表明したことで問題は終わりません。

1.全国的に瓦礫を受け入れようとする地方自治体が国の調整によらず、独自で動き始めている(東北地方で瓦礫が処理されたわけではないことの証拠)。
復興庁のHP参照:http://www.reconstruction.go.jp/

2.東北地方の自治体も瓦礫の処理の必要性を強調して、大企業と組んで瓦礫の処理を議会で決定する動きを見せている(「東日本大震災:がれき処理、気仙沼ブロックをJVに 484億円で業務委託、県議会提案へ /宮城」(毎日新聞 2012年05月19日 地方版))。

3.川崎市の職員の報告の内容はどのようなものであったのか、それは上記1.2の動きと相反しているのではないか、その内容を確認する必要があります。
4.「国の調整」による瓦礫の受け入れは不要だと判断したが、他の東北の自治体が要請してきたらどうするのか、この点も阿部市政に確認する必要があります。
5.同様に自治体と組んだJV(共同企業体)が独自で川崎の工場内で焼却処理をする場合、市はどのように市民の不安を取り除くようにしてくれるのか、問い質すべきでしょう。
6.その他
①政府が出した放射性セシウム濃度が8000ベクレル/kg以下という基準は、原子炉等規制法ではセシウム137が100ベクレル以上であれば、放射性廃棄物として低レベル放射性廃棄物処理施設で長期間、厳重に保管することになっており、川崎市独自の見解をだしてほしい。(これは東北地方の瓦礫持込み問題だけでなく、川崎市内の産廃、一般ごみ、焼却灰の処理とも関係します)

 ②現在積み置きされておる灰の処理をめぐって、業者に託すときの基準の問題(内部被曝と関連させる、300ベクレルの問題等)、海に投棄する時の基準の問題、埋め立てるときの問題等(川崎の猪俣市議の発言)

③そもそも現在の一般ごみ、産廃の焼却処置と、川崎の子供の喘息の罹患率の高さと関係するのではないか。(川崎北部の小学校では平均罹患率が17%bのところもある)
http://www.kkr.mlit.go.jp/road/43-kankyo/pdf/05/007.pdf

私は、がれき問題に誰もが納得する正解はないと思ってる。最大級の難問だと思う」(「拡散するな」から「被曝させるな」へ  ガレキ問題について考えたこと  小倉利丸 http://www.nikkanberita.com/ )。瓦礫の広域受け入れを反対する理由は、まさに放射能に汚染された(可能性のあるものを含め)瓦礫は現地で処理すべきであるという主張に露わされています。それは自分たちへの影響に対する恐怖心であり、自分自身と子供の命を守るという点では基本的に当然なことでありましょう。

しかし上記の小倉利丸が指摘しているように、放射能に汚染されている(可能性のある)瓦礫は現地で処理せよという論理は、現地での焼却処理は同じく現地で問題を起こすのであり、現地の人は被害者であっていいのかという問題が残り、この論理・主張の最大の弱点であることは認めざるをえないでしょう。

瓦礫の広域受け入れの法的根拠の問題、そもそものごみの処理は自治体マタ-であるという地方自治の本質に関わる問題、放射能汚染と認定する根拠が曖昧(政府の都合のよいように認定されている)であり内部被曝に対する認識が政府、自治体の間で明確でないという問題もあります。瓦礫を焼却した場合の放射能拡散の問題、放射能や有毒物質を除去するいわれていたゴミの焼却そのものが持つ問題、またフィルターの問題がこの間、明らかになってきました。これらの点の議論がまったくなされていないことが市民の不安を煽ります。

瓦礫は燃やさないで埋める、という方法が今のところもっとも納得できるものだと私は考えています。まずこの原則を確認したいものです。放射能の汚染された物質は埋めても地下水を汚す危険性があるという意見はあり得ます。東京の環境団体はコンクリートの床、壁を作りそこに瓦礫と土を混ぜその上に防潮堤を作り植林をするという提案をしていましたが、それでは空気が入らず水はけが悪くなり植物の根を腐らせる可能性があるという指摘がありました(がれきの問題を考えましょうー川崎の現場から http://www.oklos-che.com/2012/05/blog-post_21.html) 。同時にこのプロジェクトの持つ危険性は、中央政府と大企業の意向が反映される点です。あくまでも地元の中小企業に参加企業を限定させるべきでしょう。

しかしその議論は協議しあえばいい解決案がでるはずです。一番いけないのは、何でも反対で、自分では対案を一切ださないやり方です。これに陥らないようにしないと本当の運動にならず、独りよがりなものになってしまいます。これは戦後の日本社会の変革を唱えた新左翼運動の最大の欠点です。理論が観念化し、結局は一国主義のナショナリズムを克服できなかったのです。私たちの運動はここを乗り越えなければならないはずです。
参考までに:『反原発の思想史』を読んで
http://www.oklos-che.com/2012/04/blog-post_6012.html

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