2012年4月23日月曜日

「ストップがれき川崎の会」に参加してー瓦礫引き受けの根拠について


4月22日(日)、川崎で「ストップがれき川崎の会」主催の講演会に参加しました。会場は100名を超える人が集まり、熱気さえ感じました。参加者は川崎だけではなく、横浜、東京からも来られていたようです。会場は女性が6割という感じで、女性の関心の高さが伺われました。

講師は3人で、池田こみちさん(環境総合研究所)、奈須りえさん(大田区・区議会議員)、山本節子さん(環境問題ジャーナリスト)、3人とも女性でした。「川崎の会」もHPやTwitterでの情報提供・管理はすべて女性がされているとか。会場と二次会の席にでも横浜の女性の勇気ある行動、発言があり、驚かされました。

池田さんのレジュメは、「災害廃棄物広域処理の環境面からの妥当性についてー必要性・妥当性・正当性からの政策評価ー」というタイトルの下、「がれき広域処理の本質的課題」が話されました。以下、レジュメに示された内容を記します。
がれき広域処理の本質的課題-1
●汚染の全国化(放射性物質の全国拡延)
●ごみ焼却・埋立主義(何でも燃やして埋める日本の環境行政の強化)
●地方自治の破壊(国による自治体への施策の強制による自治破壊)
●民主主義の破壊(中央集権機構の秘密主義による官僚独裁国家の強化)
●既得権益強化と利権化(「政」「官」「業」「学」「報」ペンタゴンによる既得権益の拡大)

がれき広域処理の本質的課題-2
●被災地の実情を踏まえた必要性の議論の欠如(地域ごとの瓦礫の処理、量、処理能力、復興計画との関係を無視し広域処理が目的化している
●被災地と全国の亀裂(住民関与のない押しつけで被災地と他の地域の間に無用な亀裂を広げている)
●瓦礫処理を遅らせる混乱を発生(強引な手法が地方の協力を躊躇させ、結果として瓦礫の処理を遅らせている)
●非科学的な誇大宣伝(CM・広告を使った誇大宣伝により国民に誤った印象を与え、報道に影響を及ぼしている)

大田区市議の奈須りえさんは、日本の地方自治のあり方、民主主義の実態が問われるという観点からご自分の経験から見えてきたことを話されました。タイトルは、「災害廃棄物広域処理の課題 政策評価の視点から」です。私にとって特に印象的であったのは次の点です。

1.瓦礫の処理期限が26年3月になっている、これは政府が3年間は瓦礫の処理に対してお金をだすと言った(3・26環境省との院内集会で判明)からだそうです。
2.奈須さんは岩手町長の「もともと使っていない土地がたくさんあるのに、どうして急いで瓦礫を全国に拡散させるのか? 10年、20年と時間をかけて処理した方が雇用確保し、地元に金も落ちる」という言葉を引用しながら、処理期限を数年延ばせば、十分に今の地元の瓦礫処理キャパでいけると考えているようです。
3.広域処理は全額国負担で、その37%が輸送代という問題点を指摘しています。

環境問題ジャーナリストの山本節子さんは、神奈川県知事との対話集会で官僚から、神奈川で瓦礫を受け入れる根拠法はないという発言を引き出された方です。彼女は普通の主婦だったがある日目覚めたので、人間は変るものなんですと笑わせながら、「がれき広域処理の法律的な問題」を以下の4点の角度から話されました。
1.最初に知っておくべきこと、「根拠法」とは何か?
2.今の法制度でがれき広域処理は許されるのか?
3.原発の放射線廃棄物に関する法令
4.2011年のがれき処理に関する法令

山本さんは市民運動の立場で瓦礫問題を取り上げる場合、もっとも必要なことは関連法律をしっかりと読むということと強調されました。なるほど、その通りです。山本さんの、関連する各法律の条項を挙げながらの説明によると、政府は、原発事故を一切想定していなかったということが明白です。

また環境基本法という重要法案においても、<第13条 放射線物質による大気の汚染等の防止 放射線物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止にための措置については、原子力基本法(昭和30年法律第186号)その他の関係法律で定めるところによる>とあっても、原発事故はないものと想定されているので、実際の放射線物質に汚染された物質の処理に関する「根拠法」はないのです。

国の原発事故と放射線物質の処理について山本さんは、私の質問に答える形で、国の「不作為」を指摘され弁護団を構成して取り組めば国を訴えることことは可能ではないかと発言されました。韓国政府が従軍「慰安婦」、在韓被爆者に対して何の適切な行動をとってこなかったと憲法裁判所は政府への違憲判決をだしたのですが、同じような趣旨で日本政府の「不作為」を訴えれば面白いですね。

山本さんは実際は環境問題に関する地域の市民運動のあり方に関心があるようで、映像として流される講演の場ではなく、個別の運動について会って話し合いたいと言う話をされていたんで、今度お会いしてお話を伺えることを楽しみにしています。

もうすでに横浜、神奈川、川崎、東京と運動しているグループの連携はできつつあるようですが、そこでの成果から学びながら、川崎でどのようながれきに対する運動を展開するのか、ここはしっかりと戦略を練る必要があるように思われます。ただがれき反対の声だけでは二項対立に終わり、それを口実に強行突破される可能性があります。ここは行政、議員、市民が話し合い、問題点を明らかにしつつ、対案を考える方向に進むべきだと考えます。

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