東京新聞 12年4月4日 試される私たち
国籍超え 脱原発の輪 在日韓国人クリスチャン
崔勝久 さん(66)
東日本大震災の時、東京・丸の内の喫茶店にいて、川崎市まで徒歩で帰る人々の列に加わりました。黙々と歩くのに国籍は関係がない。途中、品川で出会ったトラック運転手は「チェ」と名乗った私を助手席に乗せてくれました。
未明に帰宅すると、テレビに津波の映像が。「みんなが等しく死ぬ可能性がある。外国人だって日本人だって同じ」と、はっきりとわかりました。
クリスチャンのネットワークなどを頼りに、日本と同じく原発を推進する韓国や、核燃料の採掘や使用済み核燃料の埋没計画が進むモンゴルを回り、昨年十一月、原発のない安全な暮らしを求める「脱原発アジア」共同宣言を表明しました。
韓国籍の在日は、韓国の大統領、国会議員選挙に投票できるようになりました。韓国でも日本と同じく原発の電源喪失、情報隠しが起きており、選挙に向けて韓国の人たちと連携します。日本の事故や運動を韓国をはじめ各国の言葉に翻訳し、共有し、脱原発の輪を広げていくつもりです。
クリスチャンとして、在日として、差別と闘ってきましたが、災害対策や原発問題は民族を超えて関与すべき問題だと思います。でないと、われわれも子供も生きていけない。
東京電力福島事故第一原発事故後に、原発輸出を決めた政府。日本人にとっても、一国主義の運動では脱原発は実現しないのではないでしょうか。民族や国家への帰属で心の安定を得られない在日の私は、多くの人と一緒に歩み続けたい。(山本哲正)
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