2012年3月27日火曜日

逃げ回る原子力安全・保安院!ー3・27政府交渉に参加して


3月27日参議院会館にて、「大飯原発3・4号の再稼働を止めよう!3.27政府交渉」がありました。毎回主催者の人たちは、周到な準備をして公開質問をし原子力安全委員会と保安院から言質を取ろうとし、また毎回、それなりの成果はあるのですが、原子力安全委・保安院のフクシマ事故以降のこれまでの対応を見てきたところから、彼らは政府・企業を独立した機関として批判できる組織ではないとはっきりと見えているので、実はなんとなく私としては空しい感じがするのです。

しかしこの交渉には毎回全国から100名ほど集まり、原子力委員会、保安院、自然エネルギー庁の各課長クラスと丁々発止する、ある意味、国民と政府が「対話」する「唯一」のパイプだと私は見ています。ですからここで勝ち取った「言質」は各地方での地方政府と交渉する際の最大の「武器」になりうるのです。この交渉には毎回、福島みずほ議員が出席し厳しく原子力官僚を問い詰めます。そして彼女は国会で「福島原発事故調査委員会」で福島事故原因を「客観的・徹底的に究明」しようとしており、市民と政治家の協働の場でもあります。このことを前提にして以下の報告をお読みください。

13時から始まった交渉では冒頭、「原発運転再開の判断の前に、私たちの声をきいてください」という要請書が(賛同団体186、個人署名9379名)が渡されました。宛先は、野田総理大臣、枝野経済産業省大臣、細野原発担当相、藤村官房長官の4人です。その後ドイツからの要望書と折鶴も手渡されました。

会場でいただいた資料の中には、55名の国会議員の連名で同じく4人に出した意見書がありました。「原発運転の再開判断に当たっては、・・・国会の福島原発事故調査委員会の調査・結論を待つべきです」という内容です。その中心は福島みずほ議員と思われます。

今日の議題は以下の4点で、事前に渡した質問に関する回答をもらうことになっています。答えられない点があれば後で回答をもらうということになっています。
1 制御棒の挿入時間について
2 大飯原発周辺の活断層評価について
3 再稼働に際して、地元了解の範囲について
4 ストレステスト評価について

1は保安院が安全委員会に提出した資料の中で関西電力が、保安院がこれまで確認したことのない、原子炉の働きを止めるための制御棒の挿入時間を1.88秒と記した資料をそのまま載せたことに対して、それは震度余裕があるということを強調するための関西電力側の「策略」であり、関西電力と保安院の「癒着」を示すものという批判がなされました。文書の削除については検討するということでした。

しかし私は、彼らは検討しないだろうと思います。あれは関西電力が出した資料を紹介しただけで、保安院の意見ではないとはっきりと書いてあると言い張っていましたから。安全委員会も数字に関しては「こだわらない」と言ってましたので、検討する余地はないと見えました。「検討する」は集会に集まった人へのリップサービス、その場を治めるための単なる言葉と思えます。

2は1と関係すると主催者は見ています。今回の東北大地震は三つの活断層が連動したことが明らかにされており、大飯原発がある若狭湾においても複数の断層が連動するという見解つい最近、専門家から出されました。もしそうなると制御棒の挿入時間は短ければ短いほど余裕があるということになるので、関西電力側は挿入時間を短くしたデータをだしてきたというのが、主催者側の見解です。その点は明日の会議で保安院は見解を出すと言うことです。

3は、これまでの交渉の中で原子力委員会・保安院は防災計画を重視し、「起こりえないと思われる事故に対しても対策を取る」と宣言し、30-50キロの範囲の市町村の「説明と理解」が必要、そのうえこの間の交渉の席で「同意」が必要という言質を与えたのですが、そこの住民の参加がどのように保障されるのかはまだ曖昧なままです。

確かに「同意」が必要という言質を取ったのは「成果」ですが、しかし再稼働に際しては、周辺の県や府、市町村が意見書を出してもどの範囲までを交渉の対象にするのかは明らかにせず、政府(の4人)が決定すると逃げるばかりでした。

大飯原発からわずか60キロしか離れていない京都市も、事故がおこれば災害を受けることは明らかなのに、京都市(と住民)とに説明をし理解を求め「同意」が必要となるのかどうかは、政府が京都市を交渉すべき相手と認めるかどうか、彼らの政治的判断だと逃げるばかりなのです。これでは「同意」の意味がなくなります。

この点を主催者に質したところ、これは交渉では詰められず、政治的な問題ということでした。しかし55名の衆参国会議員の意見書に政府は耳を傾けるでしょうか。55名の中には民主党議員もいますが、恐らくは無視して強行突破するでしょう、残念ながら。またその話をしてくれた人は、大間原発周辺の地方自治体の意思が重要としていました。ここはなんとしても地方の力で抑えたいところです。

会場からの意見として、保安院も一次ストレステストで安全性はいえないと言っているのに、素人の政治家が「政治判断」で再稼働を決定するのはおかしい、やめてほしいと発言がありましたが、その通りです。これは政治判断で決めるべき問題ではありません。

ところが日本は沖縄の基地問題をとっても、あれだけ住民の反対があり首長さえ現状の基地のあり方には反対と言っているのに、それを中央政府は聴こうとしません。考えてみると、「戦後」ずっとこのようなことが続いてきました。自分たちの声が通らないと既成の政治家に物足りなさを感じる市民が増え、内容はともかく、はっきりとものを言い実行力がある新しい政治家に期待を寄せるようになります。橋下大阪市長、河村名古屋市長、石原都知事です。

この流れはみんなの党と協力し合いながら、さらに大きな力をもつことが予想されます。来年の川崎の市長選には彼らが推す候補者が出てくるものと思われます。そして国政選挙へとなだれ込むのでしょう。そのとき原発問題はどのように処理されるでしょうか。より安全な原発の開発、海外への原発輸出が当然視され、これまでの大量生産、大量消費のスキームは全く同じで、自然エネルギーに徐々に代替するというようになるのでしょうか。これでいいのでしょうか?

いずれにしてもこの5月に全ての原子炉は止まります。ここが正念場です。なんとか、再稼働を止めたい、止めたい・・・・・

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