2012年3月14日水曜日

毎日新聞のモンゴルについての報道姿勢に疑問(3月13日)

モンゴルの元「緑の党」党首のセレンゲさんから昨日、メールと3・11ウランバートルの国会前でのデモの写真が送られてきました。そこで本日(13日)、毎日新聞の取材を受けた記事が載るということを知りました。

昨年の5月、日米蒙の秘密契約を暴露した毎日の会川記者が、国際報道で優れた成果を上げた記者に贈られる今年度の「ボーン・上田記念国際記者賞」に選ばれたという記事の中に、セレンゲ氏のコメントも載っていました。

会川氏の業績は高く評価されるということにはいささかの異議もありません。それはまことに優れた報道でした。それによって世界の人がモンゴルに注目したのですから。またその報道の結果、モンゴルの大統領が国連で
「処分所建設は絶対に受け入れられない」と言わざるをえなくなったのですから。

しかし今日の毎日の記事内容に私はいささか疑問があります。それは過去の報道内容にとどまり、現在のモンゴルの情況に一切、触れていないからです。少なくとも昨年10月にモンゴルを訪問し、その後セレンゲさんを横浜の世界会議にお招きし、韓国にも同行した私自身の経験から、モンゴルの人たちは同国大統領の国連演説の内容を全く信頼しておらず、現在も韓国企業が、あたらに原発基地の最適地を探しており、2020年にモンゴルの地において原発が建設されるということの真偽について全く触れていません。

この毎日新聞の内容では、会川記者のスクープによって、すべてが解決されたと読者は理解するでしょう。それはモンゴルの原発に反対する人たちの気持ちとは全く相反しています。また、世界のウランの埋蔵量の15%あるといわれているモンゴルの地に、外資が20社あり、そこでのウラン発掘の過程で被曝者が出て健康を害していると私がその現場の労働者から聞いた話などはまったく不問に付されています。

会川記者はどうしてセレンゲさんと改めて会いながら、彼女たちはウランの発掘そのものに反対をしているということを日本の読者に伝えなかったのでしょうか。少なくともモンゴルの実態に関心をもつのであれば、カナダやオーストラリアの少数民族がウラン発掘に関わり、被曝に病んでいるという事実は知っていたはずです。モンゴルにおいてもウランの埋蔵量が多いところは、モンゴルの少数民族が住む地域と一致するということを、日本のモンゴル研究第一人者の芝山豊さんから聞きました。
「モンゴルを世界の核のゴミ捨て場にしていいのでしょうか? セレンゲ氏の日本最終講演」(2012年1月17日)http://www.oklos-che.com/2012/01/blog-post_17.html


世界にモンゴルの実態を報道した毎日新聞の会川さんの更なる、モンゴルの実情に即した報道を期待してやみません。

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