2012年2月22日水曜日

東日本震災を「在日」としてどのように捉えるのか ―地域変革の当事者としてー

明石書店から3月11日に『東日本大震災と外国人移住者たち<移民・ディアスポラ研究2>』(駒井洋監修  鈴木江里子編著)が発売されます。その中で私が書いた拙論が、「東日本震災を「在日」としてどのように捉えるのか―地域変革の当事者としてー」です。

私の視点はブログで徐京植がNHK番組で取り上げられたときに書いたものと同じですです。「在日」作家、徐京植のNHK番組を観てー『フクシマを歩いて・・・私にとっての「3・11」』 http://www.oklos-che.com/2011/08/blog-post_31.html

新刊書を宣伝するチラシでは、「東日本大震災が浮き彫りにした「多文化社会」の課題」とまとめられており、そこでは「多文化共生」をさらに進めるための課題というように書かれており、私の考えとは異なっています。私は「多文化共生」批判論者です。「多文化共生」という概念の中に、国民国家を前提にして、「異分子」である外国人をどのように受け入れるのかということが既に織り込まれているように感じるからです。「共生」は「統合」と同じものとは、近藤敦がいみじくも私たちが主催した学習会で説明してくれました(『外国人参政権 外国人の地方参政権についてーこれは外国人への権利の付与の問題なのかー』(崔勝久 靖国・天皇制問題情報センター))。

発行される前に拙論を公開するのは礼儀に反しますので、結論部分だけを紹介させていただきます。宣伝になればいいのですが(笑)。

(3)最後に
民族・国籍を超え<協働>して地域社会を変革していくことを唱え始めた私に、ツィター上で、「クソ朝鮮人!日本から出ていけ!!」という「つぶやき」が来るようになりました。金明秀、関西学院大教授にはさらにひどいHate Speechが投げかけられているようです。私は匿名をいいことにHate Crimeを今の時期にまき散らす者を侮辱罪で刑事告訴することを検討しています。そういうことを許さない社会にしなければ、私たちは、日本人も外国人も、住民として生き延びることができないのです。

私のような立場の「在日」を日本社会は受け入れ、地域社会変革のパートナーとして一緒に汗を流すのか、私たちが一生懸命になればなるだけ、日本社会は反発しさらに閉鎖的になるのではないか、今私にはそうでないと言い切る自信はありません。

しかし、災害はいつ来るかわかりません。原発は世界を滅ぼします。日本のみならず韓国もまた国策で原発を輸出し世界の新規建設の20%を目標にしています。韓国もヴェトナム戦争以後、また改めて加害者の立場に身を置くのでしょうか。私は、アジアに集中する原発建設を民衆の連帯によって阻止する運動が必要だと強く感じています。まさに、民族・国籍を越えて<協働>して反原発の連帯運動を作り、いかなる災害に遭っても、高齢者、障碍者、外国人すべての住民が共に助け合うネットワークを通して生き延びることができるような、開かれた地域社会をつくりあげていかなければならないと思います。

東日本の大震災はあらためて植民地主義の実態を可視化させてくれました。それとどのように対峙するのか、それは私たちの生き方の問題であり、自分の住む地域社会をどうするのかという問題になります。多くの人との協働が実現されることを祈るばかりです。

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