2011年8月24日水曜日

なんと、沖縄(八重山)で育鵬社の公民教科書が採択されるとはー「平和と人権」「八重山」情報 より

「平和と人権」「八重山」情報 をご紹介します。
http://teyata.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/08/post_8c88.html

横浜市、東大阪市に続いて沖縄まで「つくる会」系の教科書が採用されたとは、この間の「尖閣問題を利用した彼らの仕掛けが功を奏した」というHP主宰者の指摘を認めざるをえません。東日本大震災の「がんばれ日本」の大声援もこの流れに利用されていると見るべきなのでしょう。
北海道では原発の稼働を知事が認めました。一見ばらばらに見えるこのような事態はひとつの流れとして捉えるとよくわかってくるように思います。

崔 勝久

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八重山地区中学校教科書公民で育鵬社の教科書採択
なんと、沖縄(八重山)で育鵬社の公民教科書が採択されるとは

八重山地区(石垣、与那国、竹富町)中学校教科書は公民で育鵬社の教科書が採択されました。 歴史は帝国書院でした、おそらく沖縄全土の反対の声に抗し切れなかったのでしょうが、沖縄の地で風穴を開けることの出来た彼らにとっては充分目的を達したのでしょう。

尖閣問題を利用した彼らの仕掛けが功を奏した今、

次は与那国、石垣、下地島などへのヤマトの軍隊(自衛隊)の配備だ

8月23日 琉球新報
八重山採択地区協 中学公民で「育鵬社」選定 
 
教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)は23日、石垣市教育委員会で2012年度以降の4年間、中学校で使用する教科書の選定作業を行い、社会科公民で育鵬社の教科書を選定した。選定は非公開、無記名投票で行われた。歴史教科書は帝国書院が選ばれた。

市教育委員会前では自由社、育鵬社の不採択を求める抗議活動が行われ、9・29県民大会の意見を尊重するよう呼びかけた。

8月23日 沖縄タイムス
八重山教科書 公民は「つくる会」系を選定

教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)は23日、石垣市内で2012年度から4年間、中学校で使う教科書について協議を行い、「公民」で育鵬社、「歴史」で帝国書院を選定した。作業は委員8人による非公開・無記名投票で行われた。

協議会は今後、選定結果を石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会に答申、26日に石垣市と与那国町、竹富町は29日に委員会を開き、採択審議する。会場前には教育関係者らが育鵬社、自由社の教科書を採択しないよう求めて抗議行動を行った。

8月23日 沖縄タイムス
★教科書選定前日、異例の「反旗」

八重山採択地区協議会が中学校社会科教科書を選定する前日の22日、協議会委員で竹富町の慶田盛安三教育長が「つくる会」系教科書に対し、不採択の意思を明らかにした。選定前に協議会委員が町レベルの採択意向を表明するのは異例で、協議会の選定作業を懐疑的に見ているようだ。一方で、協議会長の玉津博克石垣市教育長は、協議会の運営制度の変更の正当性をあらためてアピール。市民団体は23日の協議会会場で座り込み行動に出る構えで、同日の協議会は協議会委員の対立も含め、波乱含みだ。

慶田盛教育長によると、今月に入り、町教委には県内外から、毎日のように「つくる会」系教科書を批判するファクスが届いていたという。「突き詰めると歴史観、史実認識の問題だ。県外ならまだいいかもしれない。でもここは沖縄だ」と慶田盛教育長。「つくる会」系教科書の不採択に向けて意を決するように話した。

石垣市、竹富町の元教育長らでつくる「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」(仲山忠亨氏ら共同代表10人)や沖教組メンバーは23日の座り込み行動に向けて22日までに市民の参加を呼び掛けるチラシ300枚を配布した。住民の会の大浜敏夫事務局長は「4年間、子どもたちが使う教科書。政治的事情にとらわれず、過去の歴史をしっかり見詰める真実が書かれた教科書を選んでほしい」と行動で示す考えだ。

一方、玉津会長は22日、昨年の調査員報告で、採択教科書を1社に絞って答申していたとして、県教育委員会が2005年に是正を求めた「一種絞り込み」だと批判。「採択は教育委員会の業務。教員3人で決めた教科書が採択される従来の拘束性を持たせたやり方を、本来の形に戻したかった」と強調した。玉津会長は、調査員の推薦の有無にかかわらず、協議会では全教科書を選定対象にするとも述べた。

こうした玉津会長の主張については、沖教組八重山支部(上原邦夫委員長)が同日、昨年の選定時の「順位表」を入手し、「複数を順位付けしていた」と反論した。沖教組は、玉津会長が全教科書を選定対象としている点についても、「調査員の1カ月間にわたる調査研究の意義は何なのか。調査員の形骸化だ」と批判している。

「戦時回帰防げ」反対声明続く

おきなわ教育支援ネットワークと沖縄・女性9条の会は22日、県庁でそれぞれ会見し、「つくる会」系の育鵬社、自由社の歴史・公民の教科書を採択しないよう求める声明を発表した。

支援ネットの佐久川政一共同代表は「私たちが受けた戦時教育への回帰に思える。何としても八重山の動きを阻止していきたい」。9条の会の真境名光共同代表は「憲法はGHQによる押しつけではない。歴史をわい曲する教科書ではいけない」とアピールした。支援ネットのメンバーで元中学校の歴史教師、古堅宗孝さん(70)は「これまで戦争はいけないと教えてきたのに、2社の教科書は、戦争を美化し、必要悪で仕方ないとも捉えられてしまう」と危惧した。

同日、大学人の有志の会が2社の教科書について「子どもたちにふさわしくありません」と緊急アピールを発表。436人の賛同者の名簿を八重山採択地区協議会などに同日送付し、新日本婦人の会も不採択を求める声明を送付した。

★竹富町教育長、つくる会系不採択提案へ

八重山地区の中学校教科書をめぐる選定問題で、竹富町の慶田盛安三教育長は22日、八重山採択地区協議会が「新しい歴史教科書をつくる会」系社会科教科書を選定した場合でも、町教育委員会で不採択を提案する考えを明らかにした。協議会メンバーの教育長が「つくる会」系教科書の不採択方針を明言したのは初めて。一方、協議会の玉津博克会長・石垣市教育長は市教育委員会で急きょ会見し、推薦教科書の「順位付け」廃止など自身が主導した制度変更の正当性をあらためて主張した。同会系教科書の不採択を求める市民団体は同日までに協議会に合わせ、座り込み行動を決め、準備に入った。

慶田盛教育長は本紙の取材に対し、「教科書の採択権は教育委員会にある」と指摘。教育関係者が問題視する「つくる会」系の自由社、育鵬社の各社会科教科書について、「(協議会の選定結果が)どう出てくるかは分からないが、歴史観などに問題がある。採択しないよう諮りたい」と述べ、自身を含め委員5人でつくる町教委に両社教科書の不採択を提案するとした。

県教委によると、法律では教科書を採択する権限は各市町村教委にある一方、採択地区内の市町村は同一の教科書を採択することも規定している。3市町の採択教科書が異なった場合は、協議会規約に基づき、県は再協議を促すという。県義務教育課の狩俣智課長は「再協議とならないよう協議会でしっかり議論してほしい」と要望した。

来年度以降の教科書を実質的に決める協議会は23日午後から非公開で開かれる。調査員による推薦教科書の報告などを基に委員8人が審議し、無記名投票で決定する。協議会の答申を受け、石垣市と与那国町は26日、竹富町は29日に教科書を採択する。

★戦争マラリア掲載は帝国書院だけ

八重山の教科書選定をめぐり、選定、採択の可能性も出ている「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社、自由社の歴史教科書には、八重山で多くの被害を生んだ戦争マラリアに関する記述が入っていない。一方、現在、八重山地区で使われている帝国書院の教科書にはその事実が掲載されており、八重山戦争マラリア遺族会の篠原武夫会長は「強制避難で亡くなった犠牲者も多く、第二の沖縄戦ともいわれる。史実をしっかり伝えていかなければ」と教育の“後退”を危惧している。

現在、八重山地区の中学校で使われている帝国書院の歴史教科書では、「沖縄戦」を紹介するページの中で『…また、八重山列島などではマラリア発生地にも移動させられたため、多くの病死者が出ました』と戦争マラリアによる被害状況が盛り込まれている。
前回の文科省検定を通り現在、中学校で使用されている9社の歴史教科書のうち、戦争マラリアに関する記述があるのは帝国書院のみ。12年度から使われる7社の教科書でも、帝国書院だけがマラリアの記述を掲載している。

現在、八重山の中学生が学んでいる教科書が来春から使われず、他の教科書になれば、地元で起きた戦争マラリアの史実が八重山地区で使う教科書から“消える”可能性がある。篠原会長は「子どもたちが学ぶ上で教科書は基本であり大切なもの。地元で起きた史実をきちんと記述した教科書を使うのが望ましい」と語った。

8月23日 琉球新報
★自由、育鵬社 推薦せず 八重山調査員 中学歴史・公民

2012年度以降の4年間、石垣市、竹富町、与那国町の中学校で使用する教科書を選ぶ教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の調査員が社会科歴史・公民の調査で「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版と「教科書改善の会」の育鵬社版を推薦していないことが複数の関係者の話で分かった。協議会は推薦がない教科書も対象とし、委員8人による無記名投票で選定教科書を決める方針。選定作業は23日、石垣市教育委員会で行われる。
 
玉津会長が導入した複数推薦制は、現場教員が務める調査員が出版各社の教科書を調べた上で「推薦したい教科書」「特徴・特色のある教科書」などを報告する。調査員が1日に提出した報告書には、いずれの項目にも自由社、育鵬社の教科書を挙げていなかった。
 
玉津会長は「複数推薦で教員の専門性を反映する」と述べる一方、「推薦しない教科書も選定の対象」と明言している。同協議会は教職員を排した委員の入れ替え、順位付けの廃止、無記名投票の導入など、今回から選定手法を大幅に変更。一連の変更が自由社、育鵬社を推す団体が推奨する教科書選定方法と似ているため、両社の教科書を選定する可能性が指摘されている。
 
両社の教科書が沖縄戦における集団自決で日本軍の関与や八重山の戦争マラリアを記述せず、日本の植民地支配を正当化して近隣諸国との関係を悪化させる可能性があるとして、八重山地区住民は17日には市民集会を開催。両社の教科書不採択を求める決議を行った。
 
同協議会は23日の選定結果を3市町教育委に答申する。石垣市教育委、与那国町教育委は26日、竹富町教育委は29日に採択教科書を決める予定だ。3市町教育委の判断が答申と異なった場合は、協議会役員会で再協議することになる。

★「歪曲」ない教科書を 八重山教科書きょう選定

教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の採択を翌日に控えた22日、おきなわ教育支援ネットワークなど2団体が、県庁で自由社・育鵬社の教科書の不採択を求める声明を発表した。採択に反対する大学人は436人に上り、その声は韓国や台湾からも寄せられている。県教育庁も23日の採択には委員各自の価値観よりも県民の意思を尊重するよう求めた。一方、玉津会長は石垣市内で会見し、2005年、10年の協議会資料を公開。採択方法変更の正しさを主張した。
 
おきなわ教育支援ネットワークと沖縄・女性9条の会は22日、それぞれ県庁で会見し、自由社・育鵬社の教科書を採択しないよう求める声明を発表した。元教員を中心に構成するおきなわ教育支援ネットワークは、声明文で「沖縄戦という悲惨な体験をした沖縄県において、また戦争マラリアの犠牲を強いられた八重山において『戦争を美化する』教科書を採択することは、県民に対する冒涜(ぼうとく)」と批判。
 
戦時中、国民学校6年生だったという佐久川政一共同代表は「私たちが受けた教育への回帰が始まろうとしている」と危機感を募らせた。元社会科教諭の古堅宗孝さん(70)は「(両社の教科書は)子どもたちに『戦争は必要悪』と思わせるような内容だ。戦争は必要悪でなく、いくらでも努力で防げる。私たちはそういう子どもを育てなくてはならない」と語気を強めた。
 
沖縄・女性9条の会は要望書で、日本国憲法誕生の経緯でGHQの押し付けをことさら強調している点や、男女平等について現存する不合理な差別にほとんど言及していないことを指摘。真境名光共同代表は「憲法9条は決してGHQの押し付けではない。戦争は嫌だ、『命どぅ宝』という私たちの言葉を守るのが憲法9条。ぜひ歪曲(わいきょく)されない教科書を選んでほしい」と要望した。

8月22日 琉球新報
★2社採択は「言語道断」 八重山教科書採択問題

八重山地区で沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)に日本軍の関与を明記せず、愛国心を強調する自由社、育鵬社の教科書の採択が取り沙汰されている問題について、2007年の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長を務めた仲里利信・前県議会議長は「言語同断」と語気を強めた。座間味島の集団自決を体験した退職教師も「地域に即した教科書を採択すべきだ」と断じ、ジェンダー教育に取り組んできた教師は「個の尊厳は人権教育の基本」と指摘した。
 
八重山地区の教科書採択をめぐる問題について、2007年9月「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長を務めた仲里利信・前県議会議長が21日までに琉球新報のインタビューに答えた。
 
同地区で沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)に日本軍の強制・関与を明記しない歴史・公民教科書が採択された場合、仲里氏は「言語道断だ。07年の県民大会は何だったのかということになり、県民が全国に恥をさらすことになる。これだけは避けてほしい」と訴えた。
 
07年県民大会は、文科省が同年の高校教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」の記述から「日本軍の強制」を削除・修正するよう求める検定意見を出したことに反発した超党派の大会で、11万人(主催者発表)が集まった。検定意見はいまだに撤回されていないが、大会をきっかけに日本軍の強制・関与の記述を元に戻す教科書出版社が相次いだ。
 
仲里氏は、最高裁が今年4月、集団自決が日本軍指揮官命令との記述は誤りなどとして元軍人らが提訴した岩波・大江訴訟の上告を棄却したことを挙げて、「文科省が検定意見を撤回しない論拠が岩波・大江訴訟だった。この論拠は上告棄却でなくなったのだから早く撤回すべき。そうすれば今の八重山問題の懸念の原因も絶たれる」と強調した。

8月23日 沖縄タイムス [教科書比較]原子力発電についての記述
★2012年度中学校公民教科書の各社比較

原子力発電について、推進の立場を明確に打ち出しているのが育鵬社だ。『安全性や放射性廃棄物の処理・処分に配慮しながら、増大するエネルギー需要をまかなうものとして期待』などの表現で、その重要性を強調。自由社も太陽光など自然エネルギーの普及の必要性を説きつつ、原発は『安全性の高い技術を確立』したとの立場だ。

一方、育鵬、自由両社のほか、教育出版を除く他4社も『原発は二酸化炭素の排出がない』または『(排出が)少ない』と記しており、原発の危険性を訴えてきた京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「核のごみの後始末にかかるコストや二酸化炭素の排出まで考えれば、原発は最悪の選択」と指摘する。

神奈川県立高校教諭で、教科書・市民フォーラム(横浜市)の柴田健共同代表は「領土問題などもそうだが、原発の説明では政府の見解を盛り込まないと教科書検定に通らない。各社の記述が弱腰に見えるのはそのためだろうが、執筆者が努力した教科書は課題や問題点にもしっかり触れている」とみている。

ただし、これらは3月発表の検定を通った見本本の段階での記述。東日本大震災や福島第1原発事故の発生を受けて、各社は来春から実際に生徒が使う供給本の印刷を前に内容を修正する見通しだ。
本島南部の元社会科教員の60代女性は「原発事故によって、教科書は多様な視点を加え、負の側面からも目を背けてはならないことをさらに実感する」と話した。

8月22日 沖縄タイムス [教科書比較]在沖米軍についての記述
★2012年度中学校公民教科書の各社比較
7社の文章やデータ、写真などに目を通した軍事評論家の前田哲男さんは、各社が基地問題を日米安保条約や歴史的な時系列の中で表記していることについて「歴史の流れの一つとして位置づけると、沖縄問題の意義や意味は浮かび上がらない。本来なら個別にきちんと取り上げるべき大きな問題」と物足りなさを指摘する。

中でも育鵬社や自由社は記述を最小限にとどめており「問題にすらならない」と議論の余地も見つけにくいとする。自由社の『全国のアメリカ軍の専用施設面積および自衛隊との共用施設面積の23%(専用施設面積のみで計算すると74%)が…沖縄県に集中しており…』との記述について「23%は間違いではないが、住む人もいない北海道の原野にある演習場まで含めた数字。たいしたことないですよ、という意識を誘導しようとする意図が感じられる」とみる。

米軍普天間飛行場の移設問題では、東京書籍が『別の場所につくるかどうかが問題となり、計画が大きくおくれています』と記述した。前田さんは「別の場所というよりは、県内か県外か、が最大の問題。とても重要なことだ」と指摘する。

帝国書院は日米安保の記述の中で嘉手納基地の写真を掲載し『基地の周辺では、戦闘機による騒音やアメリカ兵の犯罪などの問題が発生』と触れた。米兵犯罪や騒音に言及したのは同社だけとし「本文で直接、在沖米軍基地の問題は書いていないけれど、写真や地図などでバランスが取れている」と分析した。

本島南部の元女性教員(67)は、普天間飛行場の県外移設は県民の総意と強調した上で「基地を沖縄に押し付ける表現を使ったり、ましてや基地にほとんど触れていなかったりする教科書で、どう自分たちの足元の問題を教えるのか」と育鵬社、自由社版に疑問を呈する。

40代の現職男性教員は『沖縄のこれからを、国民全員で考えていくことがなにより大切』とした教育出版の記述に賛同。「受験対策などで時間がないと、教科書に書かれていないことは飛ばしてしまう恐れがある。教員が問題意識を持ち続けることが重要になる」と述べた。

★戦争マラリア遺族が「つくる会」系批判

「軍命がなければ波照間の人は死ななかった」 「教科書は沖縄戦の真実を子どもたちに伝えるべき
と強調する銘苅進さん(左)と好子さん夫妻 だ」と話す田底さん

「軍強制」は八重山にもあったんだ―。八重山地区の教科書選定問題で、戦争マラリア遺族が、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」で軍関与を記述しない「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書に対し、反発を強めている。遺族らは戦時教育の異常さを指摘し、「戦争の真実を子どもたちに伝える教科書を使ってほしい」と叫ぶように訴えている。

沖縄戦時の八重山では、日本軍が住民をマラリア有病地帯の山間部や西表島へ強制疎開させた。住民は疎開先で次々にマラリアにかかり、地区全体で約3700人の死亡者を出した。

波照間島出身で石垣市在住の銘苅進さん(81)、好子さん(75)夫妻は、日本軍の軍曹に自決を促されたり、疎開先の西表島で家族を亡くした体験を語り、同会系教科書が「軍国主義へ導く可能性がある」と危機感を募らせる。マラリアで家族を亡くした石垣市の田底重雄さん(89)も自身の経験を踏まえ、「軍強制や戦争マラリアの恐ろしさを記述した教科書が望ましい」とした。

★「自決せよ」軍曹は命じた

強制疎開がなければ・銘苅さん 戦争の怖さ教科書で・田底さん

八重山地区の教科書選定問題で、戦争マラリアの遺族ら3人は「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書に対し、批判の声を上げた。

鮮やかな夕暮れだった。1945年7月末、西表島南風見。波照間島民を同地へ強制疎開させた山下虎雄(本名・酒井清)軍曹が、青年学校生徒らでつくる挺身(ていしん)隊を浜辺に集めた。山下軍曹は「米軍が上陸してきたら、若者は捕まってスパイをする可能性が高いので、自決しなさい」と促した。「ナイフでのどを切ってもいいし、手りゅう弾もあげる」自決方法の説明を受けても、14歳だった銘苅進さん(81)=同市=は怖くなかった。「教育は軍国主義一色。子どもでも天皇や国のために死ぬのが『名誉の戦死』、誇りだと考えていた」と顔をしかめる。

同年3月、波照間島から全住民約1600人が軍命によりマラリア有病地帯の西表島へ強制疎開させられた。帰島が許される8月までの5カ月間に、マラリアで85人が死亡。帰島後も477人が亡くなった。両親に先立たれたことで、餓死した子どもも複数いた。進さんの家族に犠牲はなかったが、同郷の妻好子さん(75)は南風見で父母と妹2人をマラリアで失った。当時9歳。母親の死亡後、乳児だった妹の節子さんをおぶって母乳が出る人を探した。その節子さんもやがて亡くなった。好子さんは「戦争だけは絶対してほしくない」と涙ぐむ。進さんは「軍命で疎開さえしなければ、みんな元気だった。集団自決を含め、戦争の事実を教科書に書かないことで、子どもたちを軍国主義に後戻りさせてしまうような気がする」と危ぶんだ。

左手の小指の先に、削られたような痕。「米軍の機銃掃射でやられた。醜い戦争の傷痕だ」。石垣市の田底重雄さん(89)は淡々と語る。13人きょうだいの長男。39年、17歳で台湾へ渡った。台湾総督府の鉄道で働き、実家に送金して家計を支えた。42年末、台湾で徴兵検査に合格。一時帰郷すると公民館主催で祝宴が開かれ、送り出された。終戦まで台湾で従軍し、石垣島に戻ると、母親ときょうだい4人が病死していた。マラリアだった。父親と2人で、きょうだいが埋められた疎開先を訪れて掘り起こし、まとめて焼いた。その時、父親が、熱病に苦しむわが子を見ながら「この子は明日死ぬ、あの子はあと何日だ」と寿命を数えていたと話した。

田底さんは「地元の人は当時からマラリアの怖さを知っていた。軍の命令じゃなければ進んで行くものか」と憤る。徴兵され、誇らしかった自分。「教育は恐ろしい。子どもは本気になって信じてしまう。体験者は年を取っていく。戦争の恐ろしさを『後輩』に知らしめないといけない」と力を込めた。

育鵬社と自由社の教科書に断固反対の意志を表明する参加者

8月21日  八重山毎日

★「どれが正しいか言えない」軍関与記述で玉津会長

教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)は20日、教科書で扱う沖縄戦の「集団自決」をめぐる日本軍関与の記述について、県教育委員会勤務時代に「沖縄の歴史」を編集・執筆した経験から「どういう編集方法が正しいか言えないところがある。どう扱うかは編集者泣かせ」との見解を示した。

八重山青年会議所(黒島栄作理事長)企画の座談会で黒島理事長が「例えば集団自決については軍命があったかどうか両方の議論があることを知ってもらう必要があるのではないか」との質問に答えた。その上で玉津会長は「今回の教科書も取り扱いはさまざま。協議会の委員は、いろんなものの中から子どもたちにとってどの教科書がよいか考えてやっている」と話した。

8月21日 沖縄タイムス

★教科書選定方法 八重山3首長に聞く

八重山地区の中学校教科書の選定問題をめぐり、石垣市の中山義隆市長、竹富町の川満栄長町長、与那国町の外間守吉町長の3氏が20日、沖縄タイムスのインタビューに答えた。教科書を選定する教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克市教育長)の運営について、3首長とも具体的な言及は避けたが、「新しい歴史教科書をつくる会」系社会科教科書や沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」については、3者が異なる認識をうかがわせた。

中山市長は玉津会長主導による協議会の権限を強める制度変更について「問題ない」との認識を示したほか、協議会を取り巻く議論が「集団自決」に集中していると指摘、教科書全体についての議論を求めた。

川満町長は、「集団自決」について「軍関与はあったと思う」とし、教科書の編さんも、全市町村議会が「軍強制」記述削除に抗議し、文科省に検定意見の撤回を求めた「県民の総意」を踏まえた教科書を要望。「つくる会」系教科書を評価しない姿勢をみせた。

外間町長は、教科書採択問題に関連し、国境地域として領土に関する教育について「賛同する部分もある」と述べ、「つくる会」系教科書の考えに一部共感する考えをうかがわせた。

八重山地区の中学校教科書の選定は今後、23日に協議会を開き、選定作業を実施。その後、各市町教育委員会で今月末までに採択する必要がある。

8月20日 八重山毎日

★住民の会反対決議を提出 教科書選定問題 603人の署名携え
玉津会長、従来の説明に終始

八重山地区で来年度から使用される中学校歴史教科書の選定をめぐり、子どもと教育を考える八重山地区住民の会(共同代表・仲山忠亨ら)が18日午後、石垣市教育委員会を訪ね、教科用図書八重山採択地区協議会会長の玉津博克市教育長に自由社と育鵬社の教科書(歴史・公民)の選定・採択に断固反対する決議文と603人の署名を提出した。決議文は17日に大川公民館で開いた「子どもと教科書を考える市民集会」で採択されたもの。

市教委では、住民の会事務局長の大浜敏夫氏が決議文を読み上げ、仲山氏が「教科書問題は八重山だけでなく、全県に広がっている。切実な要求を真剣に受け止めてほしい」と改めて要望した。市教委では、前花雄二部長と崎山晃指導課長で決議文を受け取る予定だったが、住民の会がこれを認めず、玉津教育長に直接、決議文を手渡した。
 
この後、住民の会の代表らが「市民の声を聞いてほしい」と話し合いを求めたのに対し、玉津教育長は「同じことの繰り返し」と反発したものの、これまでの選定作業をめぐり、約50分間にわたって質疑応答を交わした。この中で、住民の会は23日の教科書選定を非公開とする協議会への不満をあらわにした。これに対し、玉津教育長は「中立公正のための非公開。当日の協議会の委員で決めること」と、これまでの説明に終始した。
 
また、これまで調査員が行ってきた図書の順位付けの廃止について玉津教育長は「少なくとも昨年のやり方は間違っている」と指摘。図書の複数推薦と調査員の役割について述べたが、住民の会は「現場の声を反映してほしい」と反論した。これまでの選定作業に関し、玉津教育長は、他地区での異なる選定方法を挙げながら理解を求め、来年度以降の協議会については「市町それぞれ単独の形をとっていく選択肢もある」との考えを示した。

8月20日 琉球新報

★自由、育鵬社不採択を 八重山教科書問題

教科書選定における無記名投票の導入や順位付けの廃止を決めた教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の問題で、17日に石垣市内で開催された「子どもと教科書を考える市民集会」の実行委員会が19日、決議文と603人分の署名を玉津会長に提出。教科書選定方法の変更を批判するとともに、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)での日本軍の強制・関与を明記しない自由社、育鵬社の歴史・公民教科書を採択しないよう求めた。
 
要請に対し、玉津会長は選定方法の変更について「何も法律に違反していない」と正当性を主張した。2社の教科書の採択に関しては「何かを言ったことはない」と述べるにとどめた。実行委員会は石垣市、竹富町の歴代教育長が共同代表に名を連ねる「子どもと教育を考える八重山地区住民の会」や沖教組、高教組、平和団体、女性団体などで構成。署名の大半は八重山地区住民から集めた。
 
玉津会長に決議文を手渡した「住民の会」の仲山忠亨共同代表は「全県、全国的な問題になり、隣国からも自由社、育鵬社の教科書を採択してほしくないという声が寄せられている」と強調。教員の声が反映されてきた従来の採択手法に戻し、2社の教科書を採択しないよう要求した。

8月20日 沖縄タイムス

★教科書採択で2団体が緊急声明

八重山地区の中学校教科書選定問題で、県内外の大学教授らのグループと、あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク(反基地ネット)が19日、県庁で相次いで記者会見し、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社と自由社の教科書採択に反対する緊急声明をそれぞれ発表した。

「自由社・育鵬社の中学社会科教科書は、子どもたちにふさわしくありません」と題したアピールには、琉球大や沖縄国際大など県内関係者に加え、県外や韓国の研究者ら計379人が賛同。「集団自決(強制集団死)」記述の問題点のほか、沖縄の米軍基地や過去の日本の植民地支配に関する記述が「ほとんどない」として「沖縄でのさまざまな研究成果を全く踏まえていない」「生徒の歴史認識や国際認識の形勢が阻害されることを憂慮する」などと訴えている。

呼び掛けた琉球大の山口剛史准教授(社会科教育)は「これだけ多くの賛同者が集まったのも、それぞれが2社の教科書に何らかのひっかかりを持っている表れだ」と強調。同大の西里喜行名誉教授(中琉日関係史)は教科書を選定する八重山採択地区協議会が非公開、無記名投票となったことに「歴史に対して責任を負えるのか」と疑問を投げ掛けた。

一方、反基地ネットも「日本軍による『集団自決』の強制を否定しアジア侵略戦争を賛美している」などと批判。共同代表で、石垣市出身の渡久山勇さん(73)は「(高校歴史教科書の『集団自決』記述への軍強制復活を求める)県民大会の成功をあざけ笑うかのような教科書。古里の中学校で使われようとしているのに黙ってはいられない」と語気を強めた。声明はそれぞれ、同協議会や石垣、竹富、与那国の3市町教育委員会などに送付した。

★八重山校長会が教科書採択協に要望書

八重山地区の中学校教科書の選定をめぐって、学校現場を預かる校長が動きだした。同地区中学、小学各校長会は19日までに、教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)に対し、選定や採択の際の説明責任の徹底、現場教員の意見尊重を求めて、異例の「お願い」文書を提出。一方、市民集会で「新しい歴史教科書をつくる会」系社会科教科書の採択反対を決議した教育関係者らは同日、市教委を訪れ、決議文や署名603人分を玉津会長に手渡した。

同地区中学校長会(会長・新田健夫大浜中学校長)と小学校長会(会長・石垣安志新川小学校長)は16日、問題の広がりを受け、拡大理事会を開催。両会として初となる協議会へのアピールを決め、17日に「採択に関するお願い」文を提出した。

新田会長によると、理事会では各校長から、県民感情に極力配慮した採択の必要性が指摘されたほか、現場の混乱を招くような教科書が採択されないか不安視する意見もあったという。新田会長は「本年度から取り組む市の学力向上計画が軌道に乗りつつある矢先の教科書問題で、校長会としても憂慮している」とため息。「協議会は各教科に精通しているベテラン現場教員の意見を尊重してほしい」「子どもや地域住民が『どうしてこの教科書で学ぶのか』ということが分かるような、説明責任を果たしてほしい」と要望した。

一方、「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」や沖教組メンバーは玉津会長に対し、協議会の公開などをあらためて要望。仲山忠亨共同代表は「八重山の教科書問題が全国に広がっている。住民の切実な要求を真剣に聞き入れて」と訴えた。

玉津会長は各団体の要望に対し、「非公開は委員多数の意見。結論が出ていない段階で心配するべきではない」と強調。協議会の非公開や無記名投票による選定など従来の決定を崩さず、要請メンバーと激しい応酬があった。

★「史実歪曲、我慢ならん」元教員が危機感

「我慢ならない」―。八重山地区の中学校教科書の選定をめぐる問題で、「集団自決(強制集団死)」体験者の元教員、吉川嘉勝さん(72)=渡嘉敷村=は、教科書で史実が歪曲(わいきょく)されることに危機感を募らせている。「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書採択に反対する市民集会で講演した17日には、玉津博克石垣市教育長とも面談し、自身の体験を語った。「『集団自決』についてあまり理解していないと感じる質問が多かった」と印象を語り、「『つくる会』系の教科書が採択されれば、混乱はさらに広がる。自覚すべきだ」と訴える。

吉川さんは「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」が17日に開いた市民集会前に、同会の大浜敏夫事務局長とともに、八重山採択地区協議会会長の玉津教育長と面談。66年前の3月、生まれ育った渡嘉敷島で起こった惨劇を約1時間にわたり説明した。

当時6歳。米軍の空爆や艦砲射撃が激しさを増す中、島内に駐屯する日本軍により、数百人の住民は軍の陣地のあった北山に集められた。吉川さん一家は親戚らと30人で輪になり、手渡された手りゅう弾で自決を試みたが、不発。母ウシさんの「死ぬのはいつでもできる」という言葉で自決場を後にした。

玉津教育長は、吉川さんの体験談に表情を変えず耳を傾けていたという。「渡嘉敷における『集団自決』について情報を収集したいと思っている様子だった。しかし、『集団自決』の認識や概要については、あまり理解していない印象を受けた」と振り返った。

吉川さんは、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」記述から、軍強制を削除するよう求めた文部科学省の検定意見に端を発し、2007年に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で初めて体験を口にした。

「11万人の県民が集まっただけでなく、会場に足を運べない県民も関心をもち、島ぐるみの動きになった」と意義を強調する。「八重山で『つくる会』系の教科書が選ばれれば、県民に対する大きな裏切り。その後、子どもたちが使うことで混乱もさらに大きくなる」と懸念した。

8月19日 八重山毎日

★2011来年度の中学校社会科教科書の選定をめぐって  八重洋一郎

来年度の中学校社会科教科書の選定をめぐって、玉津博克石垣市教育長(教科用図書八重山採択地区協議会長)の独断専行に、父母や教育現場から批判の声が高まっている▼問題となっているのは、沖縄戦の集団自決について軍関与に一切触れていない自由社と育鵬社の教科書が採択される可能性が濃厚なことや、学校現場の声を最大限に反映してきた従来の採択協議会から教師を外して、教育委員を追加し、無記名投票によって教科書を決めようとしていることにある▼玉津会長は今回の手法について教科書採択の改革を強調しているが、その手法が「新しい歴史教科書をつくる会」や「教科書改善の会」の教科書を推す団体の採択手続きと酷似しているという▼この2社の歴史教科書は、沖縄戦の集団自決について軍の強制・関与を意図的に覆い隠している。「米軍が上陸する中、追い詰められた住民が家族ぐるみで集団自決する悲劇が起こりました」(自由社)などと、体験者の証言からかけ離れた内容だ▼採択協の役員会からマスコミを締め出し、終了後に玉津会長が会見に応じるという不透明感がなおさら、疑心暗鬼を広げる▼学校の主人公は子どもたちで、教科書は沖縄の未来を担う子どもたちに正しい歴史観を教えるためにあることを忘れてはなるまい。

8月19日 琉球新報

★八重山へ声明続々 沖縄戦実相伝える教科書を

教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)をめぐる問題について、県退職教職員会など4団体が18日、沖縄戦の実相を記述している教科書を採択することなどを求める声明を相次いで発表した。19日も2団体が発表する。4団体は「自由社・育鵬社」の教科書採択に反対の意を表明。採択に当たって委員の「賢明な判断」を求めた。
 
八重山出身の元教員を中心に構成する「自由社・育鵬社の中学社会科教科書の採択に反対する在沖八重山出身者有志の会」(宮城信勇代表呼び掛け人)は、両社の教科書採択に反対する緊急声明を発表した。
 
弁護士の仲山忠克さん(62)は、報道で中山義隆石垣市長が沖縄戦の問題だけに言及するのはいかがかなどと言及したことに関し、「沖縄戦の実相は平和な未来をつくるための教訓であり礎。それをないがしろにするような市長の発言に、この問題の本質がある」と批判。鉄血勤皇隊の生き残りの宮城政三郎さん(83)は「(玉津)教育長が集団自決の軍関与について県民感情は分かるが歴史的事実は別問題だと言っており、大変ショック。体験していない人が(軍関与は)なかったと言うのか」と憤った。
 
県退職教職員会(仲村勝彦会長)と県高校障害児学校退職教職員会(喜友名稔会長)は、声明文で「沖縄戦をねじ曲げ、戦争を美化するような教科書を県民が選択することは犠牲になられた御(み)霊への冒涜(ぼうとく)」と糾弾した。連合沖縄(仲村信正会長)も「後世に悔いを残さないよう、歴史の事実を正しく教える観点で教科書採択を行うよう、委員の賢明な判断を期待する」との声明文を発表。現場教員の意見や要望が反映される採択制度への復帰、同地区の教科書採択の経過を明らかにすることなどを求めた。
 
19日は、あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク(反基地ネット)、大学人有志の会が会見を予定している。

★公平性欠く手順変更 教科書八重山採択協「改革」 熊谷樹

2012年度からの4年間、石垣市、竹富町、与那国町の中学校で使用する教科書を決める教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)の一連の「改革」をめぐり、関係者らは「つくる会」系教科書の採択につながるのではないかと危機感を強めている。玉津会長の「改革」は、規約の全面改正、協議会委員の入れ替え、現場教員による教科書の順位付けの廃止など多岐にわたる。同地区の教科書採択の流れと問題点を検証する。
 
全国的に教科書採択の際には現場教員の意見を反映させる流れがある。それが調査員による「順位付け」だ。これは数人の現場教員が教科書を研究し、出版各社の順位付けをして協議会に報告するもの。基本的に2、3社まで絞り込まれて協議会に提案されるため、上位数社に入らないと選択される可能性はない。協議会委員は調査員の報告書を基に教科書を採択する。
 だが今回、玉津会長は同地区での順位付けを廃止し、「複数推薦」を導入。調査員に「推薦したい教科書」「特徴・特色がある教科書」「現在の教科書の感想」を報告させ、協議会で全ての出版社から無記名投票で教科書を採択する方式に改めた。採択する協議会を非公開とし、無記名投票で採択するため、公平性が確保できるか疑問の声がある。また、協議会委員を現場教員から教育委員へ入れ替えており、現場の意見を反映した採択がなされるのかも不透明だ。
 沖教組の山本隆司委員長は、「現場教員が上位に順位付けしない教科書を採択するつもりなのではないか」と懸念する。専門家ではない協議会委員が各学年の全教科の教科書を研究、分析して採択できるのか疑問視している。
 
また、教材研究のノウハウや副教材、プリント、テストなどの蓄積などがある現行の教科書から新しい教科書に変わることは現場教員にとって大きな負担となることを指摘。「もし教科書を変更するなら新しい教科書が現行教科書よりも素晴らしいと現場が納得できる説明をしなくてはならない」と強調する。現場の声を反映しない教科書採択につながるのではないかと危惧される今回の「改革」。玉津会長は学校現場や地域住民、何より実際教科書を使用する子どもたちに対する説明責任が問われている。

8月19日 沖縄タイムス

★つくる会」系不採択訴え 4団体声明

八重山地区の中学校教科書の選定問題で18日、県退職教職員会や連合沖縄などの4団体が県庁で相次いで会見し、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社、自由社の教科書採択に反対する声明を発表した。各団体とも「戦争を美化し、侵略の歴史を偽る」「沖縄戦の犠牲者への冒とく」などと「つくる会」系教科書を厳しく批判、八重山地区での不採択を訴えた。同問題が県全体の教育界、八重山関係者に広がる中、八重山の市民らで作る「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」は同日、採択阻止に向けた行動を強めることを確認した。

県庁で会見したのはそのほか、県高校障害児学校退職教職員会、在沖八重山出身者有志の会の代表ら。沖退教は「非常に憂慮される事態」と八重山地区の現状をとらえ、在沖八重山出身者や連合も「採択の可能性に大きな危機感を持っている」と危惧した。

戦争経験者が多い沖退教は「教え子を再び戦場に送らないとの誓いのもとに、恒久平和の実現、民主教育確立に向けて長年、教育実践してきた。今回の動きに深く心を痛めている」と表明、戦争を美化する動きが教育現場に影を落とすことを警戒する。

仲村勝彦沖退教会長は「意図的にゆがめられ、誤りの多い教科書を、子どもたちが手にすることを許しては断じてならない」と語気を強めた。八重山有志の会は「歴史の真実を正しく伝えることが教育の使命」とし、「つくる会」系教科書は「集団自決(強制集団死)」「在沖米軍基地」「侵略や加害の事実」の記述に問題があると指摘した。

元中学校教員で沖縄国際大学非常勤講師の津多則光さん(68)は「県民の戦争被害を直視していない。八重山だけでなく沖縄全体の問題だ」と憤った
 
連合沖縄は「沖縄戦の実相を全く反映しない教科書を、八重山地区採択協議会の会長は『問題ない』と発言した」と不信感を表明、「県民の総意が反映された9・29県民大会の意義を裏切ることになる」とし、協議会8委員の賢明な判断を期待した。仲村信正連合沖縄会長は「史実に反することのない教科書であるべきだ。(採択阻止に向け)地元を盛り上げていきたい」と語った。

★「正しい教科書を」切々 元教師ら危機感

「沖縄、八重山を担う子どもたちに正しい教科書を」―。八重山地区の中学校歴史教科書の選定問題は、県退職教職員会や連合沖縄など県内の教育界や市民層に広がっている。18日に相次いで会見した各団体は2007年にも、歴史教科書の検定意見撤回を求めた県民大会を主導しただけに、今回の動きにも強く憤り、危機感を募らせる。「教育は真実を教えるもの」「教壇にいた者として見過ごせない」と沖縄戦を体験した元教師らは声を震わせ、「つくる会」系教科書の不採択を求めた。

県内小中学校の退職教職員で構成する沖退教は、県内約1000人、八重山地区約250人の会員がいる。平安常清事務局長は、07年9月の県民大会を挙げ「八重山を含め11万人が結集し、全市町村議会が検定意見の撤回を求めた。なぜ、県民自らが史実を正しく記述していない教科書を選ぶのか」と語気を強めた。

県中頭退職教職員会の崎浜茂副会長は「沖縄の教育制度は、米支配下でも教育委員が公選され、政治支配から一定、中立だった。今回の露骨な動きに背筋が寒くなる」と表情を硬くした。県高校障害児学校退職教職員会の喜友名稔会長は「授業は教師と生徒の信頼関係で成り立つ。教科書を否定しながら進めるのか」と疑問を投げ掛けた。在沖八重山出身者有志の会は、約1週間で本島内の教育関係者に「つくる会」系教科書の採択反対を呼び掛け149人を集めた。

呼び掛けた弁護士の仲山忠克さん(62)は「石垣市教育長の独断で、民主的な手続きが踏まれていない」と同問題の手続きを批判、「民主的な教育を担う教育長の資質が問われる」と指摘した。鉄血勤皇隊として戦争を体験した元教師の宮城政三郎さん(83)は「(同教育長の)県民感情と歴史的史実は別問題だという発言はショックだった。一番分かっている立場にあるはずなのに…」と声を震わせた。
元中学校社会科教員の比嘉美江さん(63)は「沖縄は広島、長崎と並び、平和の問題をリードしていく立場」と先を見通した教科書選定を願った。自治労県本部の比嘉勝太執行委員長は一連の動きに「市政交代からの政治的な背景があるのでは。恣意(しい)的なものを感じる。出るべくして出た問題ではないか」と政治的な関与を疑った。

8月18日 八重山毎日

★教科書採択協議会々長、石垣市教育長は  八重洋一郎

教科書採択協議会会長、石垣市教育長はおかしなことをしているが、今はそれを問わず、まず自分でそれらの教科書を見るのが先決だと思い、過日展示会場の市立図書館へ出かけた

▼歴史の教科書は5、6冊展示されていたが、そのカラフルな図表や写真、さまざまな資料を使っての編集に感心した。記述はほとんど総ルビ付きと言ってもよいような親切さである

▼私は一市民として自分の子どもや孫の世代にこの教科書で学んでもらいたいという基準で展示された教科書を丹念に比較しながら熟読した。それぞれ特徴があって面白かったが、採択される教科書は一冊ということなので私も感銘を受けた教科書を一冊だけあげる

▼それは帝国書院版「歴史」である。この教科書には例えばアイヌや琉球についての記述や写真が豊富で、日本の歴史が縄文人や弥生人、北方人や南方人たちのゆるやかな混合によって成り立っていることが分かり、歴史の複雑さをよく示している

▼また沖縄戦については囲み記事で詳述されていて、4年前教科書問題について我々沖縄住民が文科省に抗議した意味が十分に反映された内容となっている

▼子どもたちは八重山のこの地において歴史を学ぶのだから自分たちの歴史が正当に取り扱われている教科書を選ぶのは当然である。

★2社の教科書採択に反対決議
市民集会に約350人参加、「集団自決」体験者も証言

来年度から中学校で使用する教科書の選定作業をめぐる教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)の一連の手法に「調査員の形骸(けいがい)化と協議会の権限強化だ」と反対している子どもと教育を考える八重山地区住民の会(共同代表・仲山忠亨ら)は17日夜、大川公民館で「子どもと教科書を考える市民集会」を開いた。約350人が参加し、育鵬社と自由社の社会科教科書(歴史・公民)の選定・採択に断固反対する決議を採択した。

住民の会は19日までに決議文を提出するなど行動する予定だ。集会では、体験者が日本軍による「集団自決」の強制性を証言し、大学の研究者から玉津会長の手法と新しい教科書をつくる会系の教科書採択の手続きが酷似している実態も報告された。

渡嘉敷島の集団自決の体験者で2007年の9・29県民大会で初めて証言した吉川嘉勝さん(72)は当時6歳。軍事の「命令」で北山(にしやま)に住民が集められ、吉川さんの家族は手りゅう弾が不発し、母親の「捨てなさい」との一言で難を逃れることができたという。
吉川さんは「日本軍のいない島では集団自決は起こっていない」「赤松嘉次隊長が北山に住民を集めなければあのような惨事はなかった」「手りゅう弾を住民に配らなければ集団自決は決行されなかった」などとして軍命による強制があったと訴え、今回の問題に「集団自決は一例にすぎない。当時の教育を復活させる動き。国家主義への不安がある」と懸念を表明した。

琉球大学の山口剛史准教授は「今回の規約改正の疑念の根拠となる資料」として、つくる会系の教科書を採択した手続きを紹介。「教育は子どもたちのためにある。現場の先生の研究や努力が保証されることが大切だが、教育委員という行政の権威で採択しようとしている。教育行政のあり方を変えるものだ」と指摘した。これについて玉津会長は「自分なりに考えてやった」と否定している。

フロアからは「子どもに正しい歴史を」「協議会委員を明らかにすべきだ」などと活発な意見が相次いだ。北谷町など島外からの参加もあった。決議は、両社の教科書について沖縄戦の集団自決に関する記述に関して「日本軍の命令・強制・誘導等の記述はまったく見られず、県民にとって到底容認できるものではない」「採択されれば、県民共通の歴史認識を根底から揺さぶることになる」と危機感をあらわにしている。

8月18日  琉球新報

★八重山教科書 2社の採択反対決議決

子どもと教科書を考える市民集会(同実行委員会主催)が17日、石垣市の大川公民館で開かれ、八重山内外から350人(主催者発表)が参加した。参加者は石垣市、竹富町、与那国町の中学校教科書を決める教科用図書八重山採択地区協議会が沖縄戦における集団自決(強制集団死)で軍命を明記しない自由社、育鵬社の教科書を採択するのではないかと懸念し、両社の歴史・教科書の採択に反対する大会決議を採択した。
 
講演した山口剛史琉球大学准教授は、横浜市の自由社版教科書採択に中心的な役割を果たした「教科書を良くする神奈川県民の会」の木上和高運営委員長が、両社の教科書を採択するため、調査員による教科書の序列化禁止、無記名投票の導入などを推奨していることを指摘。教科用図書八重山採択地区協議会の改革がこれに沿う形であることを説明した。山口氏は「1982年に日本軍の『侵略』を『進出』に書き換えさせたころから続く教科書攻撃が八重山に向かった。政治が教育行政に介入する問題は横浜市をはじめ全国で起こっている」と指摘した。
 
中学校で社会を教える上原邦夫さんは「子どもにとって教科書は絶対的な存在。本当でないことが書いてある教科書は使ってはいけない。自由社、育鵬社の教科書は危ない」と話した。会場からの発言も相次ぎ、北谷町から来た退職教員の男性は「戦争のできる国づくりのため戦争に反対しない子どもを育てようとしている教科書だ」と両社の教科書を批判。石垣市内の中学校に勤務する男性教師は「どんな教科書が採択されようとも、子どもたちの主権者としての能力を育てないといけないと決意した」と話した。

★「賢明な判断期待」 八重山教科書採択問題で連合沖縄

教科用図書八重山採択地区協議会(会長・玉津博克石垣市教育長)をめぐる問題について、連合沖縄(仲村信正会長)は18日、県庁で記者会見し、「後世に悔いを残さないよう、歴史の事実を正しく教える観点で教科書採択を行うよう、委員の懸命な判断を期待する」との声明文を発表した。
 
声明文では、同地区協議会がこれまでの採択方法を変更したこと、玉津会長が旧日本軍の関与による集団自決(強制集団死)などの沖縄戦の実相を反映しない教科書を「問題ない」と発言していることなどを指摘。沖縄戦の実相を記述している教科書の採択、現場教員の意見や要望が反映される採択制度への復帰、同地区の教科書採択の経過を明らかにすることを求めた。
 
仲村会長は同採択協議会の動きについて「9・29県民大会の意思を採択委員にくみとってもらい、史実に反することのない教科書選定を強く求めたい」と力を込めた。

★八重山教科書 2社の採択反対決議

子どもと教科書を考える市民集会(同実行委員会主催)が17日、石垣市の大川公民館で開かれ、八重山内外から350人(主催者発表)が参加した。参加者は石垣市、竹富町、与那国町の中学校教科書を決める教科用図書八重山採択地区協議会が沖縄戦における集団自決(強制集団死)で軍命を明記しない自由社、育鵬社の教科書を採択するのではないかと懸念し、両社の歴史・教科書の採択に反対する大会決議を採択した。
 
講演した山口剛史琉球大学准教授は、横浜市の自由社版教科書採択に中心的な役割を果たした「教科書を良くする神奈川県民の会」の木上和高運営委員長が、両社の教科書を採択するため、調査員による教科書の序列化禁止、無記名投票の導入などを推奨していることを指摘。教科用図書八重山採択地区協議会の改革がこれに沿う形であることを説明した。
 
山口氏は「1982年に日本軍の『侵略』を『進出』に書き換えさせたころから続く教科書攻撃が八重山に向かった。政治が教育行政に介入する問題は横浜市をはじめ全国で起こっている」と指摘した。
中学校で社会を教える上原邦夫さんは「子どもにとって教科書は絶対的な存在。本当でないことが書いてある教科書は使ってはいけない。自由社、育鵬社の教科書は危ない」と話した。

8月18日 沖縄タイムス

★八重山でつくる会系教科書採択反対集会

八重山地区の中学校教科書の選定問題をめぐり、「子どもと教科書を考える市民集会」(主催・子どもと教科書を考える八重山地区住民の会)が17日、石垣市の大川公民館で開かれた。市民ら約350人(主催者発表)が「子どもたちに誤った歴史観を持たせる育鵬社、自由社版の歴史・公民教科書の選定・採択に断固反対する」決議案を採択した。戦争体験者や教育関係者、保護者らが八重山での採択を危ぶみ、両社教科書の採択阻止に向けた声を続々と上げた。

集会では沖縄戦時、「集団自決(強制集団死)」から生き残った吉川嘉勝さん(72)が自身の体験を報告。集団自決の軍関与を記述していない両社教科書に対し、「日本軍がいない島では自決は起こっていない。皇民化、軍国主義教育などが集団自決を後押し可能にした」と強調。「日本の教育が右傾化しつつある。そのような教育の改悪の流れに、八重山地区が乗ろうとしている」と批判した。

琉球大学教育学部の山口剛史准教授は、教科用図書八重山採択地区協議会長によって現場教員の意向が弱められ、教育委員らでつくる協議会の権限が強められた制度変更と、横浜市などで「つくる会」系教科書が採択された経緯との類似点を紹介。「教育委員という行政の権威で教育の方向性を決めると、政治の不当な介入が教育行政の名のもとに執行されてしまう可能性がある」と危ぶんだ。

保護者代表の仲舛健さん(40)は「私たちの世代は体験者の生の声で戦争の悲惨さや愚かさを学べた。戦後66年たって戦争体験の風化が叫ばれる中、子どもたちには正しい方法で選ばれ、沖縄の歴史を正しく伝える教科書で学び、世界に羽ばたいてほしい」と望んだ。

★八重山教員「戦争に向かわせる教科書」

八重山地区の教科書問題をめぐり、沖教組は16日夜、石垣市内で教職員を対象に緊急学習会を開いた。八重山支部の上原邦夫支部長らが、従来の歴史記述を「自虐史観」とする「新しい歴史教科書をつくる会」系の中学社会科教科書の問題点を指摘。同会系教科書の採択に危機感を抱き、「歴史の真実を伝える教科書を子どもに与えよう」と呼び掛けた。参加した教職員からも「誤った価値観を教える」「戦争に導く教科書だ」と不安の声が相次いだ。

学習会では、上原支部長や山本隆司中央執行委員長が参加者約15人を前に、自由社、育鵬社の各歴史教科書が沖縄戦「集団自決(強制集団死)」を米軍によるものと記述していることなど問題点を指摘。教科用図書八重山採択地区協議会が教科書の選定に際し実施した制度変更の経緯についても報告。「調査員の順位付けを廃止して現場教員の意向を弱めている。両社の教科書を採択させる手法ではないか」と強く批判した。

参加した市内中学校教諭の桃原勝さん(51)は、両社教科書について「戦前回帰、全体主義的な印象がある。教員も教科書で勉強することで自分の価値観を作っていくため、誤った価値観を子どもに教えてしまうのではないか」と教師から子どもへ波及する影響の大きさを不安視した。上原里紀子さん(52)は「いろんな視点はあっても、事実は事実。戦争を美化し、正しい史実を伝えない教科書を子どもはそのまま信じ、大きくなってしまう」と顔を曇らせる。

20代の男性教諭は「戦争に向かわせるような教科書だ。教育は体験することが大事だが、戦争については体験して分かっても遅い。今から正しい歴史、平和について真剣に考えなければならない」と強調した。

8月17日 沖縄タイムス

★沖教組、八重山教科書採択協に要請

八重山地区の中学校教科書選定をめぐる問題で、沖教組の山本隆司中央執行委員長が16日、石垣市教育委員会を訪れ、教科用図書八重山採択地区協議会の玉津博克会長・市教育長に対し、沖縄戦の実相をより正しく記述している社会科教科書を採択するよう要請した。山本委員長は県PTA連合会など7団体による「9・29県民大会決議を実現させる会」の緊急アピールも要望した。玉津会長は「文科省の検定を通った7社の中から真剣に選びたい」と応じた。

山本委員長は、玉津会長が実施した教員ら調査員による推薦図書の「順位付け」廃止などの制度変更について、授業で教科書を使う教員の意見を最大限に反映できる制度に戻すこと、採択の経緯の説明責任を果たすこと―も要望した。一方、山本委員長は同日市内で会見。玉津会長が、調査員の意向が拘束性を持っていたと根拠にする「採択調査員」の表記について、「変更前の協議会規約など県の資料からは事実確認できなかった」と疑問視した。

「新しい歴史教科書をつくる会」系教科書については、「採択されれば、現場の教師は『教科書にうそが書いてある』ということを言わざるをえなくなる。子どもや保護者の学校教育や教科書全般に対する信頼が揺らぐ」と強調。その上で、「八重山地区だけの問題ではない。『9・29』からの県民の大運動が地に落ち、全国に恥をさらす結果になる。協議会には後世に悔いを残さないような、賢明な判断をお願いしたい」と力を込めた。

会場からの発言も相次ぎ、北谷町から来た退職教員の男性は「戦争のできる国づくりのため戦争に反対しない子どもを育てようとしている教科書だ」と両社の教科書を批判。石垣市内の中学校に勤務する男性教師は「どんな教科書が採択されようとも、子どもたちの主権者としての能力を育てないといけないと決意した」と話した。

1 件のコメント:

  1. チーム「LOVE JAPAN」総裁 Mr.クリスチャン2011年8月24日 16:35

    崔君、元気ですか!
    作る会系の公民教科書採択されたそうですね。
    崔君はこれを喜ばしいことと思ってないみたいだけど、チーム「LOVE JAPAN」では、この事実を嬉しく思い、神に感謝します。

    ハレルヤ。

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