2011年8月19日金曜日

「慰安婦」問題解決を目指すアジア連帯会議に参加してー木瀬慶子

第10回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議が開催(8月12日~15日・韓国ソウル)され、参加してきましたので、簡単にご報告します。

□テーマは、「日本軍『慰安婦』問題解決のためのアジア連帯20年の活動の成果と課題」。ゲストとして韓国在住のハルモニとともに、遠くタイから故郷を訪問されたノ・スボクさん、日本から宋神道さんが参加されました。

※タイ在住のノ・スボクハルモニは1921年慶尚北道アンドン生まれ。1942年にプサンから連行され、シンガポール、タイなどの地で日本軍「慰安婦」とされた後、日本敗戦とともに国連軍捕虜収容所に収容され、故郷に帰れずにタイに定着して暮らしてきた。ハルモニは1984年にタイ駐在韓国大使館に韓国の家族探しを要請、家族を訪ねてその年タイの家族とともに40余年ぶりに故国を訪問。1991年にも韓国を再度訪問し、それから20年ぶり、3度目の故郷訪問。

※日本在住のソン・シンドハルモニは、日本政府を相手にハルモニと日本の支援団体が繰り広げた10年にわたる法廷闘争を描いた映画『オレの心は負けてない』で知られている。また3月の東日本大震災では、津波によって住んでいた家を失い、現在は東京で暮らしている。1938年から中国の日本軍慰安所に連れて行かれ、その後仙台で生活。「二度と戦争してはなんねぇ」と訴え続けている。

□ハルモニへの記者会見で
 宋神道さん:15歳で「慰安婦」にされ中国に行き、痛い思いをして苦労した。裁判もして様々な証言活動もしてきた。そしていま最後は命だけが残っている。心は負けてないが、いまは涙もかれてしまっている。痛めつけられた本人はつらいものだ。日本政府はあまりにも厚かましく、どうにもならない政治家ばかりだ。早く被害者がいなくなればいいと思っているのか。他人事だと思っているんだろう。私は子どももいなし、金もなく、あるのは命だけ。
89歳になってだんだんぼけてきたが、二度と戦争をしないようにしないと、日本はどうしようもなくなる。謝罪しないその心が憎い。生きているうちに目をさまさせないと。日本政府はまた戦争を始めている。皆同じ人間だから、一日も早く人情を思い起こさせたい。いままでの苦労は決して忘れない。

 ノ・スボクさん:韓国政府から貰っているお金から毎月貯金して、さまざまな寄付活動をしているが、今回は、日本の朝鮮学校に寄付する活動をしている韓国の団体に渡す。

□参加国は、韓国、日本をはじめ、フィリピン、台湾、東ティモール、タイ、ドイツ、カナダ、米国の9カ国から150名。2日間にわたる報告と討論を経て、決議文と行動計画が発表されました。 具体的な行動として
 ①日本司府の公式謝罪と賠償のための立法制定のため、地方議会・国会に働きかける
 ②12月14日の1000回水曜デモをグローバルキャンペーンとして展開する。ソウルの日本大使館前に、1000回の水曜デモを記念して「平和の碑」を建設。
 ③国際世論を形成するために、ILO労働者グループへの働きかけ、国際人権団体との連帯。
 ④アジア各国の被害女性たちへの支援体制を強化する
 ⑤二度と日本軍「慰安婦」問題が繰り返されないよう、その歴史を記憶し、未来の世代に教育する。
○日本の歴史教科書に日本軍「慰安婦」記述が復活するように活動する
○民間レベルで代替教材をつくり普及する
○「戦争と女性の人権博物館」の建設する
 ・建設予定地が変更。西大門公園内から麻浦(地下鉄5号線のヨイドの隣)。
 ・14日に、会議参加者で麻浦の予定地に足を運び、「希望の扉を開く」祭儀式を行いました。
(決議文と行動計画は、討論の結果、さまざまな文章の修正などがあったため、後ほど挺対協より送られてきます)

□アジア連帯会議は1992年8月、ソウルで第1回の会議を開き、2年に一度のペースでアジア各地の被害者と活動家たちが国境を超え共に活動してきたネットワークです。これまで共和国の被害者や支援者も参加してきましたが、今年は、韓国政府の統一部の許可が通らず参加できないという残念な状況となりました。

□20年前の8月14日は、故金学順さんが勇気ある証言をして、日本軍「慰安婦」という犯罪を世界に暴露した日です。20年間をふり返り、成果と課題が明らかになりましたが、成果の点について参考のため以下のことを簡単に記載します。

歴史的には、1991年の金学順さんの証言と同年12月の日本政府への提訴があり、92年1月に吉見義明さんが、防衛庁防衛図書館で「慰安婦」制度への軍関与を示す軍公文書を発掘し公表。そして日本政府は一転して軍関与を認め、訪韓した宮沢喜一首相(当時)が謝罪。その後日本政府は、1992年と1993年の二度にわたる政府調査を行い「河野談話」を発表。

また金学順さんの公開証言によって、アジア各国の被害女性たちがカミングアウトし、その後の真相究明運動が続いています。さらに多くの被害者の証言によって慰安所で行われたことが、「組織的な強かん」に他ならないことが明らかになり、国際法のレベルでも「人道に対する罪」として認められ、それまでの「戦争に強かんはつきもの」という論は一蹴されてきた。

□まだまだ多くの報告と議論、映像上映などがありましたが、詳しく知りたい方は、木瀬までご連絡ください。冊子をコピーしてお渡しします。
 以上、簡単ですが、第10回アジア連帯会議の報告とします。

(木瀬さんの報告冊子を希望される方は、崔にメールをお送りください。木瀬さんにお伝えします。何かコメントをいただけるいいのですが。skchoi777@gmail.com)

1 件のコメント:

  1. 「20年間の水曜日」日本軍「慰安婦」
          -ハルモニが叫ぶゆるぎない希望
      尹美香/箸 梁澄子/訳  東方出版

     を読みました。よくできています。自分たちのあり方をしっかり
    語っています。≪ごめんなさいベトナム≫でしっかり書いています。
        申 英子

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