2011年6月10日金曜日

川崎臨海部に地震による異変が起こったのか? ー日経新聞川崎版より


本日6月10日の日経新聞川崎版に、「川崎工場が緊急停止」「東燃化学 樹脂品薄に拍車も」という記事が載りました。

早稲田大学の濱田教授の講演で、地震によって臨海部に一定の被害があったことは知ってましたので、私はすぐに、この記事は地震と関係すると感じました(「東日本大震災をどううけとめるかー日本の地震防災工学の「権威」濱田教授」http://www.oklos-che.com/2011/06/68-20071020093-2003320053-199320091.html)。

しかし本文には、地震との関係を示すことは何も書かれていません。ただ、「原因は不明だがコンプレッサー(圧縮装置)に何らかの不具合が発生したもよう」とのみ書かれています。朝日にも神奈川新聞(ネット版)では何も報道されていないところを見ると、日経は、この停止による経済への影響を報道したかっただけなのでしょうか。「設備の停止が長期化した場合、自動車向け樹脂などの品薄感に拍車がかかる可能性がある」、川崎工場のエチレン生産能力は年間49万1000トンで、日本全体の約7%を占める」そうです。

しかし最後に異常なコメントがあります。東燃は米エクソンモービル傘下の企業で、親会社のエクソンモービルの日本法人、エクソンモービル有限会社(東京・港)は「消防など関係機関に届けるよな状況でない限り、設備が停止しているかどうかを含めてコメントできない」(広報渉外部)と話しています。

これが濱田教授が政府の中央防災会議においてもそこに呼ばれた企業は情報を開示せず、実態はわからないとおっしゃることにつながるのでしょう。これは私たち一般人の言葉で言えば、米企業になめられている、ということです。別にこれがアメリカの企業だけではないので、川崎市は臨海部にある大企業になめられているという言い方が正確でしょう。

私が市の総合企画部の職員に尋ねたところ、企業内の地震による影響はわからない(=調べる気がないし、調べようがないー崔)という話をきいたことと一致します。しかしこれは大変、「遺憾」です。臨海部が今回の地震で(想定の半分、神戸大地震の4分の1以下のゆれ)どのような液状化状態になったのか、あるいは建物や機械類、できれば配管などの施設に影響があったのかということを正確に調査することなく、災害対策を立てることはできません。

ここは市民の不安を取り除くためにも、行政は各企業に立ち入り調査をしなければなりません。濱田教授のような専門家に調査依頼をすべきです、早急に!朝日新聞の一面では、政府の地震調査委員会は「過去の発生例にとらわれず予測」し、「将来起きる地震の規模や確立の予測手法を改める」と9日に発表しています。

市民フォーラムで危機管理室課長が発言した内容では市民はとても満足できないでしょう(川崎市危機管理室との対応ーやはり危機意識に欠けています http://www.oklosche.com/2011/06/blogpost_03.html。川崎直下と言いながら、従来の活断層理論に依拠し、かつ東京の東村山市を震源地とするということは、臨海部の最悪の事態を想定したものではありません。これは川崎市が防災対策については、国や県がやるものと従来市長が主張してきたと関連します。3・11以降事態は大きく変わりました。

市長の過去の発言は問いません。是非、川崎市が率先して臨海部の実態調査を敢行し、専門家に臨海部の最悪の事態とはどのようなものか、それにどのような対策を講じるのか、既に「古い埋立地」になっている臨海部の人工島が今回の地震でどのような影響を受けたのか、この調査は不可避なはずです。そしてその議論の先には、50年後の川崎市の20%を占める広大な臨海部はどうあるべきなのか、という議論に結び付きます。市民の参加は当然ことです。

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