2011年4月24日日曜日

脱原発フォーラム「原発事故について、テレビが教えてくれないこと」に参加して

4月25日に、昨日のデモのブログをごらんになって、講師の田中三彦さんからご丁寧なメールのご返信がありました。講演内容の要約の間違いを正されたうえで、「原発は事故を起こすまでは安心」というくだりを「できれば削除」してほしいと記されていました。

「これは、原発推進者たちは事故が起こるまで原発がどれほど危険かが理解できない、事故を起こしてはじめて安全ではなかったことがわかる、ということを、最大の皮肉を込めて言ったものです。なので、あまりまじめなメッセージの中に突然この表現を入れると、意味のわからない人が誤解されたりすると困るので、できれば削除していただければ、と思います。」

私のブログを田中さんのご指摘に沿って訂正して掲示いたします。


4月23日(土)午後から、日本キリスト教会館で行われたフォーラムに参加しました。キリスト教関係団体、仏教の関係団体が共催し、私たちの「新しい川崎をつくる市民の会」も賛同団体になりました。

メインの講演は、福島4号原子炉の設計リーダとして日立で長年勤めておられた原子炉の専門家の田中三彦さんでした。原子炉や格納容器の構造をスライドで見せながらのお話しで、専門的な事柄を大変優しく説明してくださり、何が問題か、何を東電・政府は発表していないのかということがよくわかりました。


まずテレビでよく見た図なのですが、原子炉格納容器の中に原子炉圧力容器があり、その中に核燃料と制御棒が収められておりそれらは水で冷却されています。核燃料の熱で蒸気が発生し別棟にあるタービンを回し発電するという構造です。タービンを回したあと、蒸気は取水口から引かれた海水で温度が下げられ、水となって原子炉圧力容器に戻ります。海水は蒸気とは直接触れることなく蒸気の温度を下げ、4度ほど「温かく」なって再び海に放出されますから、これが自然に与える影響があるとされています。

田中さんが指摘された点は、通常は1気圧よりほんの少し低い格納容器内の圧力が8気圧まで上がり、最終的に水素爆発があったことです。これは推測でしかないのですが(誰も容器内に入れないので実態はわからない)、地震によって原子炉圧力容器に直結するなにがしかの配管が損傷し、そこから猛烈な勢いで蒸気が噴出し、そのため原子炉の水位が下がって燃料棒が水面から顔を出して高熱になって溶け、原子炉内の水蒸気と反応して水素を発生し、その発生した水素がオペレーションフロアに漏れて酸素と融合して爆発を起こしたそうです。

放射線物質の放出流失は津波によって電力供給がストップし、冷却すべき装置が稼働しなかったからとされていますが、実は、地震によって配管が原子炉圧力容器が破損し冷却材喪失事故というのを起こしていた可能性があるのですが、ことの実態が、地震発生後6時間のにわたり一切データがいまでもまったく公表されず、わからないというのです。

2号機は原子力圧力容器とつながる圧力制御室が完全に破壊されており、修復のための工程表が発表されてもそこには2号機は含まれず(全く実態が掴めないから)、1号、3号機は汚染された水がどのようにして外に出たのかもわからず、タービン建屋は放射能の汚染で人は入れず、破損箇所もわからない状態で東電の発表した期間での修復はできないだろうというのが田中さんの見解です。

東電や原子力保安委員会が想定外の津波を強調するのは、地震で原子炉圧力容器につながっている配管や圧力制御室が破損したことが判明すれば、これは他の原子炉との直結する問題になるからだそうです。福島原子炉を設計したGEがこの原子炉はフラスコの容積が足りない欠陥品であると、設計者からの内部告発があった代物らしいのです。

田中さんは今回の事故で、日本側にまったく危機管理能力がないことが判明したと見ています。東電、保安院を含め危機に関する知識がなく、その対応に備えていなかったと言うのです。一定の危機の可能性は切り捨てて設計、製造されているのが原子炉であり、事故は起こり得ないから何もしないというのが日本側のこれまでの態度であり、アメリカは事故に備えて対応策を考えてきた、その差がロボットにも表れているそうです。日本はロボット工学の面では世界トップクラスなのに、原子炉の破損した場合に備えていないので、結局はアメリカのロボットを使い、またNCR(アメリカ原子力委員会)が日本に常駐して、非常時に備える指示をだす立場になっているとのことです。

講演後、田中さんに直接お伺いしたところ、原子力発電は自然に対する挑戦であり、改善では根本的に解決しない、どんなに改善を重ねても一度核爆発が起こればそれまでのことだというのです。

また使用済み核燃料はそれこそ数万年も地下深く埋めるしか方法はなく、子孫に問題解決を委ねるしかないのです。また原子炉で働く労働者は東電の社員でなく、下請けのまた下請けであり(外国人も多いとのこと)、今回の事故では、一本のボルトを締めるにも人海戦術でやるしかないそうです。

使った資源の処置もできず子孫に残し、そのような不条理な仕事を立場の弱い人たちに末端部分で強いることで成り立つ原子力発電はやめるべきです。私は田中さんのお話しをお聞きし、強く確信しました。


明日は芝公園で1万人のデモの予定です。川崎においても多くの市民に働きかけ、原発が抱える問題は何なのか、しっかりと学習をする場をつくる必要があると痛感します。

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