2011年2月21日月曜日

川崎の港湾・臨海部を考えるー(2)人工島・東扇島への橋の建設

先の(1)「基本的な視点の提示」(http://t.co/mmgLAI2)で記したように、川崎・横浜・東京は連合で京浜港として日本のハブ港になるべく申請し、今回民主党政権から選ばれました。「国際コンテナ戦略港政策」というものです。阪神と合わせ、これで日本の2大ハブ(拠点)港になります。

川崎が「国際コンテナ港」に相応しくなるため、港湾の拡大や整備に1000億円の予算が使われる(川崎は三分の一の負担)と誰もが思うでしょうが、しかしその半分以上は、実は人工島の東扇島と水江町をつなぐ橋建設に使われます。三カ年事業費として市長から提案されている130億円の予算のうち、100億円がこの橋の建設のため(設計を含めて)だそうです。

水江町には川崎駅からバスが通っていますが、そこから人口島・東扇島に渡るには海底トンネルしかなく、万が一のことを考えて市は、随分と前から国に東扇島と水江町をつなぐ橋を国の方で作るように申請していたとのことです。現在は、既存の海底トンネルの他はJFEのプラベート海底トンネルしかなく、東扇島に着く荷物は有料の高速道路(湾岸線)か、市の海底トンネルを通って産業道路に出るしかありません。産業道路がこれ以上混まないようにするという和解が公害闘争のときになされていて、水江町と東扇島間の橋ができれば問題になるはずです。或いはそれを避けるには、高速道路を無料化するしかありません。羽田空港の拡大を考えると、空港からわずか10分足らずで東扇島に着くルートはトラック業社としては無料で使いたいところでしょう。

しかし何故、その橋を車用のみに限定して、鉄道使用を考慮しなかったのでしょうか。かつてそのような計画があったとも聞き及びますので、ひょっとしたら費用の節約のために川崎・横浜・東京の連合体は車用の橋建設を申請したのかもしれません。もともと国に橋建設を申請して内諾を得ていた川崎市は、今回の「国際コンテナ戦略港政策」にハブ港となるべく申請する際に、スムーズな輸送を目的に橋建設を掲げ承諾されていたので、今度は堂々と国のお金で(市の負担は三分の一)、工事を進めることになるのです。念願成就というやつですね。

しかし何故、国や市は、輸送は鉄道をメインにするという決定をしなかったのでしょうか。鉄道にすれば車の数が激減し、排気ガスの問題もいい方向にいくのは確実であったのに、環境都市や炭酸ガスの削減を掲げながらどうして鉄道にシフトする決定をしなかったでしょうか、これは明らかに失政です。首長は勿論、各党派の責任は大きいと思います。

貨物用の東海道線は既にあり、水江町には貨物の取扱をする線路が既に設置されているので、やろうと思えば、高速道路(川崎では1メートル作るのに1億円と言われている)よりはるかに安い費用でできたはずです。3カ年事業で100億円の支出が予想されているので、恐らく完成までには橋の建設に川崎市は300億円以上の負担を強いられると思います。しかしながら、川崎市には地下鉄建設のための基金が200億円あります。これをぶちこみ、環境都市・川崎の一大方針と言い放ち、東京・横浜の承諾を得て改めて国に建設は鉄道輸送用と方針変更(ただし追加金額はすべて市が負担)の提案をしてほしいものです。

これだと、臨海部に関する事業はすべて反対、そのおかねを福祉に回せと言い続けてきた共産党も賛成に回るんではないでしょうか。また、環境都市・川崎の建設に反対する党は、自公民ともないものと思われます。要は、各党派とも、市のかなり前からの橋建設の動きを察知していながら、単純に賛成や反対の立場でいただけで、50年後の川崎のことや車公害の削減を本気で考えてこなかったものと思われます。もし研究してきたというのならば、各党派ともその報告書を発表ください。

過日、(財)東京経済研究所の報告書の発表会がありましたが、その際も、水江町と東扇島間の橋建設が港湾拡大の目玉であるとの説明は一切、なされませんでした。川崎北部の小児喘息は全国平均よりはるかに高く、ある地区は17%にも及んでいます。これらは車の排気ガスが主な原因と言われており(私は、臨海部の煙突からでる物質の影響はゼロとは言えないと思っている)、臨海部から東京・横浜、全国から東京・横浜を経由して川崎に来る荷物は100%トラックを利用しているので、その何割かでも鉄道にシフトする政策を断行すべきでした。まさに失政としか言いようがありません。

しかし川崎市の予算は全て単年度制なので、各党派が本気で環境都市・川崎を思うのであれば、今からでも鉄道へのシフトを対案として提出すべきだと思います。或いはかつて東京都青島知事が万博中止を唱えて当選したように、3年後の川崎市長選で鉄道へのシフトを唱える候補者を出すしかないのでしょうか。

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