2011年2月17日木曜日

非正規労働者の裁判闘争と、横浜人活事件と国鉄闘​争ー不条理に泣く人に​幸あれ、イエスの「9​9匹と1匹」の羊の譬​えを想う

200名の自殺者を出し、戦後最大の組合つぶしと言われた国鉄闘争。「国鉄」といってももう知らない人が多いかも知れませせんね。国鉄の「分割・民営化」(佐高信は、「分割・会社化にすべきだと言ってますが)を掲げた中曽根によって国鉄は潰され、JRが誕生しました。

国鉄を解雇された国労1047名の最終和解の「終結」がいよいよ目前になっています。15名が「政治和解」のサインを拒み、裁判を継続するとのこと。政治和解と言っても、20年以上の闘争をしてきたのに、たかだか、2200万円(これを高い、もらい過ぎと言う者がいるとのこと、呆れますね)のはした金で、しかも「職場復帰」に関しては政府は一切言質を与えていないとこと。この「職場復帰」の内容が来月一杯で明らかにされるとのことです。

15名の内、国労の2名の当該は、当局の課長へのでっち上げの暴力事件(横浜人活事件)で停職処分であったという理由で、JR採用を拒まれ裁判を続けています。懲戒免職となった5名は職場復帰を果たしたのに、どうして自分たちだけがという不条理に対する怒りは収まらないことでしょう。その当該の一人のアピールを直接聴きました。その集会のチラシを添付資料にしておきます。

「政治和解」を承諾しない人は当局からも、運動側からも見捨てられた人です。私は聖書にあるイエスの「99匹と1匹」の羊の譬を思い出しました。「政治和解」に応じない人たちの中でもいろんな立場、主張があるのでしょう。しかしその中でも上記の、「でっち上げ」ということが明らかになったのに、「停職処分」を受けたということでJRに採用されなかった人の怒りは当然と言えば、当然のことです。組合側の「暴力」を暴くということで当局が裁判所に提出したテープの裏側に、当局が「でっち上げ」を陰謀する内容が録音されていたという、なんともしまらない話も明らかにされました。

その集会では、NPOが経営する外国人に対する日本語講座と日本語教師養成講座を業務とする「教育情報研究所」が偽装倒産をし、東京地裁で「解雇は無効、解雇権の濫用」という判決を勝ち取ったのに、お金をとれないで闘いを続けている丹羽さんのアピールも聴きました(添付資料参照http://wewin.blog47.rc2.com/blog-category-1.html)。その会社は「偽装倒産」を繰り返し、被害者との「和解」に応じて和解金を支払う約束までしながら、お金がないとのことで約束を履行しないそうです。それでも民事ではどうしようもないとのことでした。

彼女は年収200万円にも満たないと言いながら、自分よりはるかに条件のいい日航や大手組合の闘いに健気にも協力しようという姿勢をもっていました。非正規社員の闘いは悲惨です。裁判の傍聴に来てくれる人も段々と少なくなっているとのことです。公務員や大手企業の組合は、今では老若男女を問わず苦境にある非正規労働者を無視してきた過去、現在の責任を感じているのでしょうか?

この問題は急に出てきたものではありません。外国人と女性の非正規労働者が解雇されていたときには問題になっていなかったのに、働き手の男の解雇が表面化してから大きく取り上げられるようになりました。上野千鶴子のこの指摘は正しいと思います。私は日本社会のこの不条理がまかり通るようになったのは、戦争責任、植民地支配の責任を一切取らなかったことが根底にあると見る、野田正彰の慧眼に驚きます(野田正彰『戦争と罪責』(岩波書店))。みなさんはどのように思われますか。

孤独な中で闘いを続ける、いと「弱き人」に幸いあれ。応援します。


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崔 勝久
SK Choi

1 件のコメント:

  1. 少し訂正させてください。

    「教育情報研究所」は株式会社でした。

    「教育情報研究所」などのグループ会社を倒産させ、最後に残ったのが、「教育情報研究所」を母体とするNPOです。

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