2010年11月16日火曜日

ソウルのタクシー運転手の話し

先週、私は大阪の高校の同級生家族と3泊4日の韓国旅行を楽しんできました。今回は、韓国で一番食べ物がおいしいといわれている全羅道、全州と木浦を回りました。マッコリ(どぶろく)を頼むとヤカンででてきて、そこに10種類以上のおかずがつきます。そしてそのおかずはお代り自由なのです。それでも1000円くらいでした。

木浦は人口30万人ほどの港町で、海辺のすぐ傍に山があり、そこからは植民地時代に開港された街並みが一望できます。海に面した一等地は大きな道路が交差する日本人街で、山の後ろには朝鮮人の居住地が見えます。そこは人が二人並んで歩くのさえ困難な狭い道が曲がりくねっています。悪名高い東洋拓殖の建物が歴史館になっており、植民地時代の写真が多く見られます。歴史に関心がある人、韓国料理が好きな人には是非、訪問されることをお勧めいたします。

韓国併合によって韓国の近代化に寄与したという話しの嘘は、その山の上から見回せばすぐにわかります。日本が、全部、自分たちにいいように搾取するためにしたこと、鉄道もその為のものであることは一目瞭然でした。その木浦でタクシーの運転手が、ここは大韓民国で一番過ごしやすいところだと自慢げに言っていました。海と山があり、食べ物がおいしいのですから、その気持ちもわかるような気がしました。

私は同級生一行とは別にソウルにもう1泊したのですが、そのときに乗ったタクシー運転手は74,5歳で、梨泰院を通りかかったときに、ここは若い人がお酒をよく呑みに来るという話になり、最近の男は、草食系で頼りないと言い出しました。ある日、若い男がべろんべろんに酔った女の娘を介抱しながら、自分にタバコの火をくれと言ったので、お前の親父はわしより年下で、そんな年長者にタバコの火をくれとは何事か、すぐにその女と一緒にタクシーから降りろとどなった、という話でした。

御存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、韓国は儒教社会で、年長者への敬語は絶対的で、年長者の前ではタバコは吸ってはいけないということが常識化されているのです。ですから、タバコの火をせがんだその男の子は、ハラボジ(お爺さん)タクシー運転手に怒鳴られ、急いでタクシーを降りたのでしょう。まだそのような価値観が生きているということですね。

翌日の最終便で成田に着いた私は、G20の厳しい警備で1時間くらい遅れてソウルを出発し、東京への列車は最終便になっていました。へとへとに疲れ、腰も痛く、荷物も多かったので乗換えた列車の中で座りたかったのですが、あの「優先席」に若い女の子が3人座って話しこみ、化粧をしながら笑いこけていました。ちょっと、あんたら、ここは「優先席」でこの私に席を譲ろうとは思わないのか(都合のいいときに、老人になるのですが・・・)と言いかけましたが、やめました。

私がそのとき思い出したのが、ソウルでの年配のタクシー運転手の自慢話でした。そうか、あそこではお爺さんに怒鳴られて若い人は黙って降りても、ここでは、私が怒鳴ったらなんでそんなことで言われるのかと却って反発をうけるだろうなと思いながら・・・

権威主義、年長者への敬意、疲れた私はいろんなことを考えながら多くの荷物を抱えて新川崎駅を降りました。いかが思われますか、みなさんは。

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