2010年3月12日金曜日

要望書、内閣総理大臣 鳩山由紀夫様ー朴鐘碩

皆さんへ

日立闘争当該の朴鐘碩が、「朝鮮学校の高校無償化・外国人地方参政権
法案実現を求める」要望書を鳩山由紀夫・内閣総理大臣に送りました。

朝鮮学校に関しては、高校無償化の対象にしないことを決定したようです
(朝日新聞 3月12日)。北朝鮮のことは分からなくとも、朝鮮学校はいつでも
訪問すればその教育内容はわかることです。よくわからない、というのは
口実以外の何物でもないでしょう。田中真紀子以下の議員も訪問しているの
ですから。

大阪の橋下知事は、北朝鮮に属する学校だから反対と、主張しています。
これは北朝鮮への「制裁」以外の何物でもありません。「制裁」は制裁を
生むのです。日本は結局、このような排外主義を認める政府しか選べない
ということですね。昨日の川市議会の例といい、どうしてこんな議員が
選ばれるのか理解ができません。品性、知性、人格どの面をみても
川崎多摩区の住民の代表に相応しくありません。自民党の議員を含め、
来年の地方選挙では住民の懸命な選択がなされることを祈ります。

私たちも、韓国に見習い、落選運動を本格化すべき時代に突入したようです。

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崔 勝久
SK Choi

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内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
2010年3月11日
朴鐘碩(パクチョンソク)

「朝鮮学校の高校無償化・外国人地方参政権法案実現を求める」
要 望 書

私は、横浜市戸塚区に住む在日朝鮮人2世です。
1970年、私は、国籍を理由に日立製作所から採用を取り消されました。しかし、横浜地方裁判所に提し、’74年、国籍による就職(民族)差別は法違反である、と判断され完全勝利しました。多くの日本人・朝鮮人から支援を受け、現在、日立製作所でソフトウエア開発のエンジニアとして働いています。

勝利判決後、国籍が壁となって閉ざされていた弁護士、地方公務員への門戸も徐々に開かれるようになりました。しかし、地方分権が叫ばれる今日、各自治体は、国の見解にすぎない「当然の法理」を理由に外国籍公務員に許認可の職務・決裁権ある管理職に就くことを拒否しています。国民国家を前提とした「当然の法理」は、戦後から続いている排外主義です。「多文化共生」を謳い、外国人労働者を積極的に受け入れる政策と明らかに矛盾しています。

4月から実施予定の高校無償化に関し、中井拉致問題担当相は「在日朝鮮人の子女が学ぶ朝鮮学校を対象から外すように川端達夫文部科学相に要請」(2/21)し、鳩山首相は、「ひとつの案だ。そういう方向性になりそうだ」(26日)と述べています。

戦後65年経過し、日本政府は犠牲となった韓国・北朝鮮はじめアジア諸国に戦争責任を果たしていません。今年、韓日併合100年になりますが、日本帝国主義の36年に及ぶ植民地支配の影響で、多くの朝鮮人は在日を余儀なくされました。戦後、朝鮮半島は朝鮮戦争でさらに荒廃し、多くの民間人が犠牲となりました。米・ソ連(ロシア)・中国の覇権により分断された国家となっています。日本の経済復興の大きな要因は、この朝鮮とベトナムにおける2つの戦争の影響であると言われています。

戦後、在日朝鮮人は無権利状態でした。就職の門戸は開かれたものの未だに日本社会の根強い差別・抑圧を受けています。北朝鮮の拉致事件と在日朝鮮人、その子弟が通う朝鮮学校は全く無関係です。一部の国家権力者と罪のない弱い民衆を同一視すべきではありません。民族学校を高校無償化の対象から除外することは(民族)差別をさらに助長するだけです。

日立就職差別裁判勝利は、在日の人権意識を高め、その後の人権運動に重要な役割を果たしました。仙谷由人国家戦略担当相は、当時日立の民族差別の不当性を訴えた弁護団のひとりでした。仙谷大臣は、在日朝鮮人の歴史的背景、実態を御承知のことと思います。

私は、日立製作所労働組合に加入しています。日立労組は連合に加盟し、連合は民主党議員の選挙母体であり、その中心的役割を果たしています。鳩山内閣は連合出身の閣僚もいます。約680万人の労働者組織「連合の外国人労働者問題に関する当面の考え方」は、以下のように書かれています。

「合法的に定住する外国人に対しても、差別なく良質な雇用の創出を促進する」「民族学校、民族学級の法的位置づけを明確にし、財政的な支援を行う」「外国籍であっても・・自治体選挙権(投票権)を付与すべきである。同時に、自治体での公務員採用等の「国籍条項」を撤廃し、職種を問わない外国籍住民の採用を確立する必要がある」「教員採用の国籍による制限を撤廃する」「外国人に対する偏見・差別を撤廃する教育を進める」と主張しています。

北朝鮮権力者と罪のない民衆を同一視し、弱者に犠牲を強いるやり方は、民主党政権を全面的に支援する「連合の考え方」に背き、排外主義を煽るだけです。朝鮮学校を高校無償化に含めること、また朝鮮籍住民を含めた(被)選挙権の付与-外国人地方参政権法案の一日も早い実現を、私は強く求めます。

【参考資料】
「永住外国人の地方参政権の確立の早期実現を求める」決議を川崎市議会であげる事に関する陳情
http://homepage3.nifty.com/tajimabc/new_page_196.htm
「「共生」を批判する」http://anti-kyosei.blogspot.com/
「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html
「日本における多文化共生とは何か」崔勝久・加藤千香子編 新曜社2008年
「民族差別-日立就職差別糾弾」朴君を囲む会編 亜紀書房 1974年
「北朝鮮へのエクソダス」テッサ・モーリス-スズキ 朝日新聞社2007年
「現代朝鮮の歴史 世界のなかの朝鮮」ブルース・カミングス 明石書店 2005年
「連合の外国人労働者問題に関する当面の考え方」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/gaikokujin/kangaekata.html

No.263 - 2010/03/11(Thu) 23:52:43

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