2009年8月3日月曜日

公職選挙法と企業内労働組合ー朴鐘碩

国政・自治体選挙が近づくと企業内組合の活動は、組合員・職場の問題よりも組織推薦政党・候補の応援が主軸になります。

第45回衆議院議員選挙の投票日が8月30日に決まり、日立労組は早々と機関紙(HITACHI UNION NOW)に具体的な特定政党・候補者指名を掲載し、組合員に支援 (投票を求める) を求めています。

朝、出勤すると機関紙は机上に置かれています。「政権交代で日本再生を!」求める機関紙は、組合員が不在時に配布されるのが習慣です (組合員が在席すると、(私のような)組合員から説明を求め、質問や意見が出た場合、困るようです。公示前なので「公職選挙法に違反するのでは?」ないかと思い、有野正治日立労組委員長にmailで問い質したのですが、返事がありません。というより私から組合執行部への質問・意見は、無視されています)

日立労組は、「公職選挙に組合費は使っていない」と公言していますが、有料(組合費)の機関紙を使って特定政党・候補者を支援しています。機関紙に「今回行われる総選挙が日本の未来、すなわち組合員の皆さんの生活や将来そのものを決める選挙」「政治の主役はほかならぬ、皆さん自身です」と書かれていますが、組合幹部が勝手に特定政党・候補者を決定しています。また組合員の「生活・将来」を決め、組合幹部が活動の「主役」になっています。事前に労使双方で組合役員が決まり、役員が全て決めています。物事の全て(結論)は上から下りてきます。組合は、組合員に意見を述べる場を設定しませんから、組合員は話し合うこともできない、ものが言えない状況です。

そもそも、何故、日立労組のような企業内組合は、労働者にものを言わせない職場の問題を無視して、「公職選挙」に躍起になって、組合員の投票に介入するのか?疑問です。日本国憲法は、「思想・信条の自由」を保障しています。組合員一人ひとりがどの政党・個人を投票しようと組合(幹部)からとやかく言われる筋合いはないと思います。

組合員(労働者)の多くは、自分たちの知らないところで物事が決定し、汗水流した(2009春闘で下がった)毎月の給料から(給料は下がっても従来と変わらない同額の)組合費が天引きされ、労働者・市民の声を反映しない特定政党・見知らぬ候補者の選挙に資金の一部が使われることに疑問・怒りを感じても声を出すことすらできません(しません)。

今年の「日立労組定期大会スローガン」は、「豊かな個の実現と働きがいある職場づくりをめざして 夢ある未来への前進」となっていますが、個は完全に潰され、「夢ある未来への前進」も期待できないようです。

このように職場の民衆である組合員・労動者の声を無視して、上からのパターナリズムで物事が決定し、ものを言わせないシステムは、企業社会だけでなく、地域・自治体、あらゆる組織に共通していると思います。これこそ「新植民地主義」といえます。

一人ひとりの人間が、存在意義を見出し、おかしいことはおかしいとものを言う勇気が企業・地域社会を変えることに繋がるのではないかと思います。「共生の街」の川崎市長選は、10月です。外国籍公務員に職務を制限している「当然の法理」は、市長の裁量で撤廃できます。国籍条項完全撤廃を公約する候補者を応援したいのですが、川崎市は、「共生」に相応しく市民・住民・労働者の力で門戸を開放(排外主義を打破)できるでしょうか?

「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」HP 掲示板より
http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html

0 件のコメント:

コメントを投稿