2021年11月10日水曜日

「多文化共生より 多民族共生への祈りを込めて」


11月7日、私は愛知県の碧南地方の明通寺に呼ばれお寺の中での集会に参加しました。 集会は「風媒社二冊出版記念の集い」と銘打ち、「多文化共生より 多民族共生への祈りを込めて」とその思いを記していました。

風媒社から出版された、拙著『個からの出発 地域社会の当事者として ある在日の歩み』と『ウイシュマさんを知っていますか?』の二冊の本がお寺の中に置かれていました。ウイッシュマさんは、名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性です。眞野明美さん著書『ウイシュマさんを知っていますか?名古屋入管収容所から届いた手紙』を是非、お読みください。これは50年前に入管幹部が「外国人は煮て食おうが焼いて食おうが自由」と放言していた日本の入管の体質が現れたものです。

集いのパンフレットには、「出版にご縁により関わりました明通寺坊守が、その二冊との出会いを通して今、深く感じている『多文化共生より多民族共生』への願いを皆さまと共有させていたきたく、その祈りを込めた集いです。著者、そして有縁の方々のお話しの間には、音楽を挟みながら、鄭香均、ウィシュマ・サンダマリさんを偲ぶひと時を。」とあります。この二人のことを主催者は「お一人は生きて裁判で問い続けられた方、もうお一人は無念の入管死を以って、象徴されるように日本の多文化共生のまやかしを問うておられます。」と紹介しています。今ひろく日本社会でもてはやされている「多文化共生」の欺瞞性を問うたものだと私は理解しました。

私はこの間、一貫して「多文化共生」は戦前の「五族協和」につながると批判してきました。「多文化共生」は決して、外国人の地方公務員を承認しても外国人には管理職にならせないと明言した「当然の法理」という日本政府見解(方針)を問題にしてこなかったのです。そのことを明らかにしたのは、外国人で初めて東京都の職員になった故鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんです。行政と一体化して地域の子供を見守るNPO法人もありますが、しかしどういうわけか、彼らもまた、「当然の法理」を問題にすることはありません。

社員になっても管理職にはならせないと明言している会社に子供を送りたがる親がいますか。これは私が直接、川崎で地域活動をしているときに地域のお母さんから聞いた言葉です。この地域のお母さんの言葉を私たちはしっかりと受けとめなければなりません。

0 件のコメント:

コメントを投稿