2020年9月14日月曜日

テニス選手、大坂ナオミのコメント

かつて日本のスポーツ界で大坂ナオミのように差別問題を正面から訴える人はいませんでした。彼女を全面的に支持します。BLMはアメリカのこと、日本ではZLM(Zainichi Lives Matter-在日朝鮮人の命が大切だ)と言いたいところですね。

 

大坂ナオミのコメント 大坂なおみが特別寄稿。ジョージ・フロイド事件の数日後に、私がミネアポリスでデモに参加した理由 Black Lives Matter について積極的に発信を続ける大坂なおみ。なぜ「人種差別主義者ではない」だけではダメなのか? 2年前にはこんなことを書くなんで想像もできなかったという、彼女の現在の思いを公開! By Naomi Osaka 2020/07/13 a sketch of naomi osakaNaomi and Mari Osaka

 

 私の名前は大坂なおみです。物心がついたころから、人は私を「何者か」と判断するのに困っていました。実際の私は、1つの説明で当てはまる存在ではありませんが、人はすぐに私をラベルを付けたがります。  日本人? アメリカ人? ハイチ人? 黒人? アジア人? 言ってみれば、私はこれらすべてです。私は日本の大阪で、ハイチ人の父と日本人の母の間に生まれました。私は娘であり、妹であり、誰かの友だちであり、誰かのガールフレンドなのです。アジア人であり黒人であり、女性なのです。たまたまテニスが得意だったということを除けば、他の人と変わらぬ22歳です。私は自分自身をただ、「私=大坂なおみ」として受けとめています。  正直に言うと、私には今まで立ち止まってゆっくり考える時間がありませんでした。しかし、パンデミック(新型コロナウイルス感染症の世界的大流行)が私たちの生活を一変させた今だからこそ、「私たちは当事者として、物事を考えるべき」と思うにいたったのです。

 

 過去数カ月間、私は「自分の人生にとって、本当に重要なことは何か?」を改めて考えてみました。これはもしかしたら、私がとても必要としていた「リセット」だったのかもしれません。私は、「もしテニスができないなら、どんなことで自分の力を発揮するのか?」と自問自答し、今こそ自分自身の意見を語るときだと思ったのです。  では、ここで何を語るのか?  2年前、私が全米オープンで優勝して一夜で私の人生が変わったとき、自分がこのような文章を書くことなど想像もできませんでした。私が将来この文章を読み返したとき、私の人間としての成長はまだ続いているでしょう。しかし今この時点では、これがあるがままの私の姿であり、私の思いなのです。 ジョージ・フロイドは、市民を守るために雇用されている人間の手で殺された。この悲しい事件の犠牲者は、彼ひとりでは終わらない。

 

 ジョージ・フロイドが警察によって拷問、殺害される恐ろしい動画を観たとき、心が張り裂ける思いでした。そして、行動する必要性を感じました。「行動を起こさずにいることは、もう終わりにしよう」と考え、事件の数日後、私はボーイフレンドとミネアポリスへと飛びました。自分たちの関心を示し、自分たちの声を聞いてもらうために。  私たちはセントポールの人々とともに悲しみ、平和的に抗議活動をしました。ジョージ・フロイドを追悼する場所を訪ね、そこに来た他の人々とつながり、またも起きてしまった不条理な行為とそれによって失われた命を悼みました。そのときに感じたのは、「自分はまさにミネアポリスの地にいるのだ」という実感でした。

 

 ロサンゼルスに戻り、私は多くの人と同様に請願書に署名をし、抗議をし、寄付をしました。私はそれでもまだ、自分の子どもたちの世代のためにこの世界をより良い場所にするために何ができるのか? 自身に問い続けていました。そして今こそ、「構造的人種差別と警察の暴力に関して声を上げるときなのだ」と決心したのです。  ジョージ・フロイドは、市民を守るために雇用されている人間の手で殺されたのです。さらに彼だけではなく、ブリアナ・テイラー、マイケル・ブラウン、レイシャード・ブルックスという犠牲者が他にもいます。この悲しい犠牲者リストには、名前が連なり続けているのです。

 

 カメラが捉えた映像は、悲劇と言うほかありません。私は2014年に起きたマイケル・ブラウン事件で、その非道な行為を観たときのことを覚えています。そして、そのときから何も変わっていないことを強く確認しました。  黒人はただただ、この抑圧と何年もの間闘い続けていますが、進展があったとしてもほんの束の間のこと。「人種差別主義者ではない」ことだけでは、十分ではないのです。私たちは「反人種差別主義者」でなくてはならないのです。  私は、警察に対する予算削減運動を支援しています。その運動によって、警察自体を解体したいというわけではありません。有罪となった警察官へ支払われるための予算など、資金の一部をコミュニティー内の社会的対策、つまり教育や住宅、若者のためのプログラムなど無視されることの多い活動に再分配するべきだと考えているのです。私たちは、それぞれの安全を守るために、コミュニティーに対してホリスティックなアプローチをとることが必要だと思うのです。

 

日本のバイレイシャルの女の子が、私がグランドスラムを制覇したときのような誇らしさで輝いてほしい。  今、世界で起こっている活動は一体となりつつあります。今日行われている抗議活動には、モメンタム(勢い)と希望があります。今回はこれまでとは違うエネルギーがあり、違う人々が参加していることも確認できました。この動きはオスロから大阪へ、タラハシー(フロリダ州)から東京へと世界的に広がって、あらゆる人種や民族を巻き込んでいるのです。

 

 日本でも、「Black Lives Matter」の抗議活動がありました。日本でのこのような動きは多くの人が予想もしておらず、可能だとも思っていなかったことでした。日本はとても均質的な国なので、人種差別に立ち向かうことは、私にとってはとても大変なことでした。私はネット上で、そしてテレビでさえも、人種差別的なコメントを受けたことがあります。ですが、それは少数です。  実際、バイレイシャル(両親の人種がそれぞれ異なること)の人々、特にバイレイシャルのアスリートというのは日本の未来を担う存在であり、私たち(私自身や八村 塁さんなど)は、日本の多くの人々、ファン、スポンサー、そしてメディアからも真っすぐに受け入れられていると思います。

 

 少数の無知が、多くの人の前進を妨げてはいけません。私があらゆる年代、特に若いファンから感じる愛は、いつも心温まるものばかりです。私は日本を代表する選手であることをとても誇りに思っていますし、これからもずっと変わりません。  社会が変わっていくこと、構造的な人種差別に正面から挑戦すること、そして警察は私たちを守る存在であり、命を奪うものではない……このことは私にとって、大きな意味を持つことなのです。

 

 同時に人々の認識や世論の変化に、自分が少しでも役に立てることを誇りに思っています。日本の教室にいるバイレイシャルの女の子が、私がグランドスラムを制覇したときのような誇らしさで輝いてほしい。彼女にとって校庭がフレンドリーな場所であり、誇りをもってロールモデルを目指してほしいと心から願っています。そして、大きな夢を持ってほしいのです。 Translation / Keiko Tanaka ※この翻訳は抄訳です。

0 件のコメント:

コメントを投稿