2019年9月5日木曜日

既成の癌治療を批判してきた近藤誠さんとの対面

今日、「がんもどき」という概念を提示して、これまでの日本のがん手術の主流であった早期発見、早期治療ということで特に、乳がんの場合、女性の乳房を全摘に削除してきたことに対して否を言い乳房保全を主張し続けてきた近藤誠さんのクリニックを訪問しました。

近藤さんは癌を全摘削除しても統計的に延命されるという証拠が提示されない以上、むしろ癌を放置するという治療方法を提示してがん研究者の間で大きな問題提起をされた方です。

しかし近藤さんの主張は既存の医師会や大学病院、開業医の間で主流である早期発見のがん治療や健康検診を正面から批判、否定するものと受け止められ、孤立を余儀なくされていました。しかし彼の主張は雑誌や書籍を通して一般の主婦たちに全面的に受け入れられました。かく言う私自身ももうかれこれ30年近く近藤誠の著書を愛読しています。

私の場合は30年近くなりますが、妻の癌でそれが標準治療だという医師の説明を信じ、藁をもつかむ思いで乳房の全的な削除で命が救われるのであればと医師のいう治療(手術)を受け入れました。しかしそのとき、西欧社会においてはすでにそのような乳房の全的な削除から乳房を残す治療方法が主流になりつつあるということを知る由もありませんでした。しかしそれは医師を責めるより、私自身の無知の所為であり、妻には本当に済まないことをしたと長年、悔いてきました。ですから私は妻の手術後、近藤誠の著書を必死になって読みました。かれこれ10冊くらいは読んでいると思います。

それがこの度、夜中、頻尿気味になったのでホームドクターに話をしたところ、彼は前立腺がんを想起し、すぐに国立がん研究所に予約をいれてくれました。それは前立腺がんの可能性を探るPSAで通常数値の4ng/mlを大きく超える、1000の数値が出たからです。
1000ng/mlという数値では医師が前立腺がんと判断するのは当然なのです。

そのとき私はすぐに近藤誠さんを思い出し、診察の予約をいれ、本日の診断になりました。彼の判断はPSAがその数値であればがん細胞が存在すると判断するのは当然だが、だからといって手術(前立腺の除去)や放射線治療をするよりも様子を見るという治療法を提案してくれました。そしてそれはまた、私が願う、治療法でもありました。

おそらく国立がんセンターであれば、PSAの再検査、そして実際の癌の所在を探そうとするでしょう。「生研」は必至だと思われます。しかし私はそれを望んでおらず、当分は何かあれば近藤医師に相談するというかたちで静観するのがベストだと考えました。

近藤誠がんクリニックをでるとき玄関先で私は近藤さんに、これで夫婦がお世話になることになりますという挨拶をしました。私の場合、前立腺がんの治療をするというより、静観するのですから、何か症状がおこり、排尿ができなくなるとか、転移して他の器官での異常を感じない限り病院を訪ねることはないと思います。
これは近藤さんが30分の問診の間にメモされたものですが、彼は三つの注意事項を記し説明してくれました。(1)(数値や前立腺がんのことは)忘れる、(2)検診はうけない、(3)医者に近づかない、ということです。

このアドバイスを受けて私は自分の前立腺がんのことは忘れます。検診も受けません。もちろん、明日の国立癌研究所の診断も受けません(キャンセルしました)。そして静観するつもりです。

私のライフワークである自叙伝もしばらく手づかずにしていたので、来年の出版に向けて書き始めます。横浜国大の加藤教授とは、来年、「日立就職差別闘争」に関する資料集を出す約束をしています。できましたら、来年、在日としての生き方を模索してきた私の自叙伝もぜひ、出版にこぎつけたいものです。乞うご期待!

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