2019年8月17日土曜日

韓国 慶熙大学教授 金民雄の連続講座「韓日問題、何が問題なのか】⑦

【韓日問題、何が問題なのか】⑦ 日本は植民地支配の不法性を一貫して認めこなかった

(8) 韓日協定の問題を学んでいくと、サンフランシスコ講和条約が非常に重要だということに繰り返し繰り返し気づかされます。ところで植民地だった国の被害は、戦勝国である連合国があれこれいう問題じゃないじゃないですか? 

ーその通りです。 
従って私たちの立場では、日本に対する請求権放棄と韓日協定を通した請求権の解決というサンフランシスコ講和条約が発生させた権利もありますが、明示されていない権利ーすなわち植民地賠償、戦争賠償に対する権利がいまだに存在するということなのです。明示されていないからといって、その権利がないということではないのです。日本社会にもこの問題の真実を知らせる必要があります。そうすることで両国が問題の出発点に立つ事が出来るのです。 

(8-1)しかし1965年韓日協定で請求権問題は全て解決したことになっているのではないでしょうか?  

そのうえ当時日本は、日本が所有していた20%にあたる多額な5億ドルの資金をすでに韓国に渡したのに、なぜ何度も繰り返し請求しようとするのでしょうか?この問題が提起される時に言われることです。 

ーだから何度も同じことを繰り返さないといけませんが、1965年韓日協定で取り扱われた請求権は、債務、弁済の関連事案等です。詳しい内容は、1965年の韓日協定についての項で述べますが、韓日協定において植民地支配の時期の被害全般の賠償問題が抜け落ちた事が問題なのです。 

1次会談の時も私たちが要求したことは、今後の関係を考えて植民地被害賠償全般ではなく、中日戦争、太平洋戦争の時期の被害賠償 として最小化した内容でありました。しかしこの程度であっても日本は結局応じることはありませんでした。

おまけに5億ドル支払いの内訳は、協定文に明記されているように、現金ではなく“3億ドルの価値に該当する日本国の生産物と用役”の無償提供であり、2億ドルは“長期処理借款”でした。つまり利子を出して借りる借金です。この2種類の支払いも実に10年に分割して支払うということです。 

百歩譲って請求権だけに限定したとしても、その金額が3億ドルに過ぎず、その内容もすでに述べたような植民地支配不法性による賠償や中日戦争と太平洋戦争賠償が除外されています。 

再度強調しますが、2012年と2018年の強制徴用関連大法院判決は、このような問題を法的に正確に提起した非常に重要な歴史的判決です。 

(8-2)従って実際は日本は韓国に対して、3億ドルを無償で支払ったということ、2億ドルは借金として貸したということですね。 

無償支払いの3億ドルも現金ではなく、日本の生産物と用役とするならば、結局のところ日本の市場拡大が成されたという訳ですね。 

ー それで、1965年韓日協定に対する反対運動があそこまで熾烈になったのです。
当時韓日協定に反対していた人たちは、植民地支配の不法性を明確にしないことは屈辱的で、日本経済に従属する道を歩むことになると批判しました。本質をしっかり捉えたということです。 

日本は韓国戦争以降、戦争特需で成長した経済の構造再編の過程に突入し、古い経済システムの移転と市場拡大という二つの問題を解決しなければなりませんでした。これを韓国で韓日協定を利用して”経済協力”という名目で処理しようとしたのです。

日本がこの金額を韓国に提示した方法は、韓国が日本に経済開発計画を提示して、協議の上承認を得、その内容で持って生産物と用役で提供を受ける方法であって、“内政干渉と市場掌握”という問題を根幹に秘めていました。韓国と日本の“垂直的な国際分業体制”が形成されるようになったのです。 

今日、韓国に対する日本のいわゆる“ホワイトリスト排除”が経済的打撃を与える可能性が生じる構造的要因がここにあります。日本の立場としては資本の論理による対外進出が可能になったのです。 

(8-3)日本の立場としてかなり有利な協定だったのですね。 

ーその通りです。 
1965年韓日協定体制が、当時政治的正統性のために経済問題解決に急務であった朴正熙政権によって、内部の反対を抑圧して推し進めた1965年から1980年までだけでも計算すると、日本は13億ドルを韓国に投入した反面、205億ドルの貿易黒字を記録しました。日本がまるで韓国に恩恵を与えたかのように膨大なお金を与え、過去の歴史に対する責任が清算されたかのようにいうのは言語道断なのです。 

(8-4) そうは言っても未だに残る疑問があります。 
1965年の韓日協定の「請求権、経済協力に対する協定」第2条1項に「両国国家及びその国民の財産、權利及び利益と両締約国並びにその国民間の請求権に関する問題が、1951年サンフランシスコ条約に規定されたものを含み、完全且つ最終的に解決されたものとすることを確認する」となっているのではないですか? 

ー疑問に思って当然です。 
しかし重要な事として、注目しなければならない点が一つあります。

韓日協定では「基本関係に対する条約」が含まれていますが、韓国と日本がこの協定を締結する時の立場と関係が含まれた文書です。 

この条約には植民地支配の不法性と関連した内容がありません。「両国国民関係の歴史的背景」という言葉で曖昧にしました。 

従って当時としては、一旦日本は植民地支配被害問題を避けながら、条約締結の妥結点を探りましたが、植民地支配の不法性関連問題を提起することのできる余地が残ったということです。 

従ってこの問題を提起することは協定違反ではなく、協定が扱わなかった抜け落ちたものを提起したもので、この条約のどこにも植民地支配被害問題を永遠に提起する事ができないと明示されていません。この問題を提起することはどこまでも、植民地支配の被害を受けた私たちの当然の権利なのです。 

「完全にそして最終的に解決されたもの」は弁済と債務関係事案だけです。それだけでも膨大に不足した金額です。植民地支配の不法性による被害はこの条約の範囲の外にあるのです。

従って韓日協定では強制徴用被害問題を解決しなかったのです。

(8-5)これで2012年と2018年の強制徴用関連大法院判決趣旨を理解できてきたようです。

ーそれでは改めて、判決の趣旨を要約しますね。 

「請求権協定過程で日本政府は植民地の不法性を認めなかった。このような立場でもって強制徴用被害の法的賠償を原則的に否認した。従ってその当時の協定を通じて、韓国と日本政府は韓半島支配の性格に対して合意を得ることはできず、このような状況の下では日本の国家権力が関与した反人道的不法行為や、植民支配と直結した不法行為による損害賠償請求権が、請求権協定の適用対象に含まれていると見るのは難しい」
「従って個人請求権も消滅せず、被害国民に対する大韓民国の外交的保護権も放棄には至らなかった」 
(8-6)内容がはっきりわかってきました。 
植民地支配不法性に対する主権国家の明確な宣言ですね。国際法的に意味のある先例になる根拠になったように思います。  

ー考えがかなり前進しましたね。 
従って日本の安倍が韓国が協定に違反したと言っていることは、本質的には韓国の正当な権利を否認することになり、論理的に違反などといった内容は最初からなく、違反だのどうのと言葉にならない是非を言い放っていたのです。 

刑法を取り扱っているのに、商法を持ってきて条項違反というやり方で。民事と刑法を区別できないレベルです。結局、安倍は歴史と現実の法廷で敗訴してしまうことでしょう。

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