2019年1月28日月曜日

日本企業に植民地時代の賃金未払いの支払いを命じた韓国最高裁判決の意味ー崔鳳泰弁護士

韓国で植民地時代の問題をとりあげ、韓国政府の「不作為」を最高裁で勝ち取ってきた崔鳳泰弁護士が、韓国最高裁が日本企業に植民地時代の賃金未払いに関する判決を出したことに関する見解を出しています。韓国の「良心」の内容をお知らせします。   崔勝久


韓国最高裁が三菱重工に賠償命令 元徴用工と挺身隊員訴訟 10月に続く日本企業の敗訴確定 

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29日、ソウルの韓国最高裁に向かう原告ら(共同)
29日、ソウルの韓国最高裁に向かう原告ら(共同)
  【ソウル=桜井紀雄】韓国最高裁は29日、戦時中に三菱重工業に動員され、労働を強制されたと主張する韓国人元徴用工や遺族、元朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊員の女性らが同社に損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審で、いずれも賠償を命じた2審判決を支持し、三菱重工の上告を棄却、同社の敗訴が確定した。
 日本政府は1965年の日韓請求権協定で個人請求権問題が解決済みとの立場だが、最高裁は10月30日の別の訴訟で新日鉄住金に賠償を命じる確定判決を出していた。今回の2件でも最高裁は「日本の不法な植民地支配と直結した日本企業による強制動員被害者の請求権は協定の対象に含まれない」との判断を示し、10月の判決を踏襲した

最高裁判決の意味 
                  崔 鳳泰弁護士
1)韓国メディアに寄稿した内容
私は、上記最高裁判決について、韓国メディアには、次のように投稿をした。
「法治主義を一段階成熟させた私たちの最高裁判決」
去る10.30 私たちの最高裁判所は、日本強制動員被害者の損害賠償請求事件で被害者の「手を聞いてくれる」(心からの思いを聞いてくれる)勝訴判決をした。常識の勝利である。人を集めて仕事をさせたら賃金を払い損害を賠償することは文明国の常識である。
まず、最高裁判決を聞いたときの思いとして、私は判決を聞きながら、日本では勝訴の種をまいた良心的市民と弁護人にお祝いをしなければならという考えた。その方々の努力が無駄ではなく、やりがいであり、価値のあるものだった、正当なものであったことが判明した。このような日本人の努力がなければ、韓国で今回の判決は、することができなかったであろう。また、2010.12。両国の弁護士会が共同宣言を通じて明らかにした解決策は、私たち最高裁判所によって受け入れたので、日韓両国の法律の勝利だと思った。
今回の最高裁判決は、東アジアにある日本の被害者たちに希望を抱かせたものであり、東アジア法治主義を一段階高揚させたものだ。なぜなら日本の被害者の問題が解決されていない根本的な原因は日本政府と企業が日本司法判断を軽視するものであり、韓国の裁判所によってその態度を是正するきっかけになったため、日韓法治主義が一段階昇格すると見られる。
日本軍慰安婦問題について、日本司法は、いわゆる河野談話が出てきて、私は後3年以内に立法を通じて謝罪と賠償をするようにしたが、強制動員被害者の問題は2007.4 最高裁判決により、たとえ裁判上訴求する権能は消滅したとしても、被害者の請求権が実体的に生きていることを前提にし、自発的救済を求めたことがある。日本政府と企業が自国司法の判断を尊重したならば、韓国で今回の判決をする必要もなかったであろう。
今回の訴訟は、被害者四人が訴訟したもので、今では一人だけ生きておられ切ない心もあるがそれさえも一人でも生きていた時、判決が出て幸いだ。遅延された正義は正義でないということわざ通り、正義の判決が遅れたことは残念だが、それでも一人でも生きている間に「恨み」が解けるようになって幸いだ。
もう一つ残念なことは、本件裁判の被告会社は、日本でも裁判の間に韓国の被害者との和解をしたことがあるが、被害国の法廷で和解を誘導せず、判決まで行くようになったのは問題だと考えている。今でも被告会社は、日本で名誉あるかたちで被害者との和解をしたように韓国、今回の最高裁判決により和解をすることを願う。幸いなことに2012.6 株主総会でも韓国の裁判所の確定判決に従うと約束をしたので、その約束を守ってくれることを願う。そうすれば日韓平和企業第1号の選定がなされるだろう。それは株主の意思と利益に合致するものである。問題は、日本外務省の不当な介入であるが、会社の利益は会社が自ら守らなければならない。不当な政治権力を排除する努力は世界的な企業になるための必須要件であり、善良な株主の利益を守る道でもある。
今回の判決で類似の訴訟が続くだろうという主張もあるが、これは望ましくない。なぜなら、日韓両国司法の判断を尊重した解法が既に出ているので、不要な裁判を更新する必要はないのであり、現在係属中の裁判も和解を通じて円満に解決されて訴訟が取り下げされるようにすべきである。新しい訴訟を通じて長期間法廷闘争を続けるのではなく、日韓両国の弁護士会の共同の努力で作られ、現在、国会に係留中の日帝強占下強制動員被害者の人権財団設立に関する法律案を通過させて一括救済の解決策をとるべきである。
このような傷を癒す過程で日韓平和インフラを構築し、日韓企業は全世界に向けて共同発展の道を一緒に歩くことを祈る。
2)上記判決が日本軍慰安婦被害事件に及ぼす影響について
現在、日本軍慰安婦被害の問題を解決できずにいる理由は、法的に言えば、個人被害者の賠償請求権を消滅させる協議をせず、被害者の意思を無視したまま、両国政府間の政治的外交的解決を無理にしようとしすることにある。その結果、日本軍慰安婦被害者の賠償請求権は、法的に消滅していない状況が続いている。
2015.12末、韓日両国政府間の政治的野合と、それに基づくいわゆる「和解治癒財団」方式による外交的解決は法的に解決すべき賠償請求権を消滅どころか後遺症だけ残したまま、被害者らの反発によって和解治癒財団は解散になってしまったし、韓国政府は、日本政府から出された10億円を国庫に置き換えたが、上記の10億円を日本に返還もせずに、新しい交渉もしていない一時的な状況が続いている。これは法的にしなければならない協議、すなわち被害者の賠償請求権を認めた上、これを消滅させることを協議をしていないことが原因である。
そのような状況で出てきた強制動員被害者に対する最高裁判決は、日本軍慰安婦被害者の賠償請求権が韓国の法廷で存在するのと同じ結論を意味するとともに、その解決のために何をすべきかを明確に示してくれたことは大きな意味がある。
3)日本政府の協議の要請をどのように活用するか
最高裁の強制動員被害者勝訴確定判決を契機に、日本政府がついに2019.1.9 韓国政府に対して請求権協定第3条の期限協議を要請し、さらに30日以内に回答をしてほしいと要請した。韓国政府としては千載一遇の機会を逃してはならない。日本の被害者の問題が解決されていない理由は、日本が被害者問題を人権問題、法的問題に解決せず、政治的、外交問題に解決しようとするからである。請求権協定第3条の規定により問題の解決をしようとすると、日本は最終的に規範のリングに上がってくるようになる。韓国政府は、まず協議の対象と韓日請求権協定によって被害者の賠償請求権が現在存在しているか否かだけを協議対象として他の問題に無駄な政治的、外交的宣伝の場を作らないようにする必要がある。
周知のように、被害者の賠償請求権は、現在存在するということは、両国司法の共通判断なので、この点から解決の道を作って行かなければならない。
もし日本政府が他のものを協議の対象にしようとすれば、韓国政府は2011.8.30 違憲決定が出された原爆被害者問題と日本軍慰安婦問題を一緒に協議しようと提案をすればよい。
この時、必ず米国政府の支援が必要な韓国被爆者被害規模について共同調査を提案し、日本軍慰安婦問題の場合は、アジア連帯会議の決議を韓国側交渉案に提出すればよい。
4)結論に代えて
韓国最高裁判決は、韓国社会のキャンドル革命の結果である。しかし、その種は、日本の市民社会が植えたもので、その花が韓国でキャンドル革命を通じて咲いたのである。しかし、果実は、中国から開かれるものと思われる。実際、日本企業は中国人被害者とは集団和解の動きに積極的に乗り出している。このように、最終的に東アジアの戦争被害者の人権が救済され、長期的に、このような救済の動きを介して信頼が形成されるだろう。また、中国の被害者たちの努力によって、中国社会の民主化と法治主義の元になることを示し、東アジアの平和共同体の基盤がしっかりされるものと思われる。
韓国大法院の判決を契機に、アジア日本の被害者に対する法的定義の回復が地域の懸案になると見られ、これに連帯活動が活発になるものと思われる。
参考までに2019.2.2 からマニラで日本の戦後清算を求める国際連帯協議会会議が開かれる。この席には北朝鮮も参加すると見られ、特に日本軍慰安婦問題の解決に集中的な会議が開かれるものと予想される。この席でアジア連帯会議で決議された解決策を今後の日本政府と開かれる協議に韓国側交渉案に位置付けするのに、アジアの市民社会が力を集中して日本軍慰安婦問題の解決の糸口を突破しなければならない。
最後に、北朝鮮の核問題は、現在の東アジアの重要な懸案となっているが、北朝鮮の核は、東アジア冷戦と不信の副産物である。このように、被害者の救済をする過程で、信頼が積もった場合、北朝鮮の核問題が災い転じて福となることがあると思われる。
特に日本の原爆被害者は加害者から一言の謝罪と賠償を受けられずにいる。日本の法廷で40年に渡って行われた戦争被害者の闘争は、日本の原爆被害者たちにはかけがえのない援軍だ。これらの闘争の成果を生かして、原爆被害者に正義を回復する運動に拡散されれば、東アジア非核地帯化の夢も遠くないと思う。

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