2018年12月20日木曜日

島弁護士提訴案件の実質勝訴の意味ー横浜地裁の画期的な判決全文掲載

原発メーカー訴訟の混乱の結末ー判決文の内容とこれまでの経過
http://oklos-che.blogspot.com/2018/12/blog-post_24.html

判決の意義の要約
1)原発メーカー訴訟の経過と判決の意義(訴訟で問うた点、裁判の結果)
 平成30年1129日、横浜地裁は島昭宏、原発メーカー訴訟主任弁護士が元原発メーカー訴訟団の事務局長であった崔勝久と朴鐘碩を名誉毀損で訴えた訴訟の判決で、340万円の損害賠償金の請求に対して12万円弱の支払いを命じ、43項目のうち41項目に及ぶ島弁護士の要求を認定しませんでした。島弁護士の実質的な敗訴です。
 この判決をどのように捉えればいいのか、原発メーカー訴訟そのものはまだ最高裁の結果が残っていますが(原発メーカー訴訟団及び本人訴訟団は高裁で敗訴)、メーカー訴訟の意義とあわせて、みなさんと考えていきたいと思っています。島弁護士の個人的な性格や資質の問題にとどまらず、日本社会が戦後、植民地支配の清算をしてこなかったという脈略の中で、この判決を検証したいと考えています。

 長く続いた原発メーカー訴訟の内部の混乱は、崔と朴という訴訟の会の元事務局長と一緒に弁護士をたてずに闘ってきた、島弁護士を解任した40名の本人訴訟団の歩みが起こしたものではありません。その混乱はあくまでも原発メーカー訴訟団の運動方針と人事に介入してきた原告弁護団の責任によるものです。弁護団が原告を解任するというのは本末転倒というしかありません。彼らは裁判の主体は弁護士だと考えています。
 弁護団長の島弁護士は自分の弁護士としてのあり方を批判する原告訴訟の会の事務局長であった、在日の崔と朴を最終的に名誉毀損で訴えました。私たちはその訴訟をスラップ訴訟とみなしました。その裁判の判決が以下に全文掲げたものです。88ページに及ぶ詳細な判決文は、形式上は島弁護士の勝利で被告に12万円の損害賠償金を命じましたが、98%、崔と朴の主張する事実を重く見て、島弁護士の主張を名誉毀損と認定しなかったのです。島弁護士は控訴せず、判決は確定しました。私は右傾化する日本の政界、司法界にあって、この判決は司法界の良心を示した判決だと思います。
・原発メーカー訴訟は世界で初めて原発メーカーの責任を問う訴訟
  ・世界40カ国、4000名の原告(うち海外の原告は2500名)
       ・原告訴訟団のあり方の認識(国際連帯運動を展開するのに、訴訟団は訴訟運動に限定するのでなく、NPT体制や原発体制の社会的・構造的問題にまで言及)
2)本人訴訟団形成の意義
  ・弁護団との委任契約を解約した40名の本人訴訟団
・選定当事者制度の活用、初の外国人の参加
・裁判の主体は原告であり、原発の存在自体の違憲性を主張
・原発事故の社会的背景に言及(NPT体制、植民地主義)
3)島弁護士の崔批判NPT体制、植民地主義という「左翼用語」使用を批判し、訴訟の弁護団主導を求め、原告団の人事に介入―事務局長の解任要求、委任契約の解約)
4)島弁護士個人の問題点
・個人の特性(強い訴訟参加意識、訴訟は弁護士が主導すべきという認識)
・訴状は弁護団だけで作成、原告と原告間の委任状はなし
・裁判所に提出した委任状に原告の捺印はなくともよいと指導
 ・島弁護士主導のもとで新たな原告団の形成(原告団との対話拒否、原告団の分裂)
 ・弁護団は島弁護士の独裁(島弁護士に依存しきった弁護団の特性)
5)島弁護士の実質敗訴の意味
  ・判決は裁判の主体は弁護士ではなく、あくまで原告であるという主張の認定
  ・訴訟の会内の混乱の原因は島弁護士の原告団人事への介入
  ・原告団の原発事故の社会的背景(NPT体制、植民地主義)言及の意義

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             以下、判決文

 平成30年11月 2 9日判決言渡  同日原本領  裁判所書記官 

平成29年(ヮ)第180号損害賠償請求事件
口頭弁論終結曰 平成30年5月 24日

             判 決

東京都中央区築地XX Yビル3階
 原 告  島 昭宏
同訴訟伏理人弁護士  池 田 京 子
同          田 中 信 一 郎
川崎市幸区XXX
被 告  崔 勝 久
横浜市戸塚区戸塚町XXX 
被 告  朴 鐘 碩

             主 文
1 被告らは,、原告に対し、連帯して、5万5000円及びこれに対する被告朴鐘碩につき平成2 9年2月 15 日から、被告崔勝久にっき同月 19 日から各支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。
2 被告崔勝久は、原告に対し、5万5 000円及びこれに対する平成30年1月 1 9 日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は、これを6 0分し、そのーを被告らの連帯負担と し、 その1を被告崔勝久の負担とし、 その余を原告の負担とする。
5  この判決は、第ー項及ぴ第2項に限り、仮に執行することができる。

            事 実 及 び理 由
第ー 請求の趣旨
1 被告らは、原告に対し、連帯して、3 3 0万円及びこれに対する被告朴鐘碩につき平成29年2月15 日から、 被告崔勝久につき同月 1 9 日から各支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは、原告に対し、連帯して、9万9 000 円及びこれに対する平成3 0年1月 1 9 日から支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。
3  仮執行宣言

第2 事案の概要 
本件は, 弁護士である原告が、被告らのSNS、ブログ等への掲載ないし投稿 〈以下これらを併せて 「投積等」 という ことがある。 〉 及び原告に対する懲戒請求によって原告の社会的信用ゃ名誉等が損なわれ、弁護士としての業務に支障が生じたなどと主張して、被告らに対し、不法行為に基づき、慰謝料及び弁護士費用の合計3 3 9万9 000 円の損害賠償並びにうち3 3 0万円に対する訴状送達の日の翌日から、うち9万9 000円に対する請求の拡張申立書送達の日の翌日から各支払済みまでいずれも民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。

1 前提事実 (争いがなぃか、後掲証拠等によ り容易に認定できる事実)
〈1〉 原告は、東京弁護士会に所属する弁護士であり (弁論の全趣旨) 、 福島第一原子力発電所の原子炉を製造した企業を被告と して原発事故の責任を問うために提起された訴訟 (原発メ一カ一訴訟) の訴訟代理人で、 弁護団(本件弁護団) の共同代表であり、かっ、原発メーカー訴訟の原告 (メ一カ一原告) のー部及び支援者により結成された原発メーカー訴訟の会 (訴訟の会) の副会長であった者である。
被告らは、メーカー原告であり、 被告崔勝久 (被告崔) は訴訟の会の前事務局長であり、被告朴鐘碩 〈被告朴) は訴訟の会の現事務局長である。
なお、 被告らは、いずれも韓国籍を有する在日韓国人である (乙3 1、 32、弁論の全趣旨) 。

(2) 被告崔、ときに被告朴は、メーカー原告 1000人以上が登録するメーリ ングリス ト (本件ML)、訴訟の会のフェィスプックアカゥン ト (本件フェイスブック) 、オクロスという被告崔のブログ (オクロス) 等において、原告ないし本件弁護団に関する投稿等を行った。
 当該投稿等のうち、原告が本件訴訟において原告の名誉を毀損するものと指摘する投稿等の内容は別紙1ないし4 3のとおりであり、その投稿等がなされた年月 日及び態様は、別紙主張整理一覧表の 「日時」 及び 「態様」 欄記載のとおりである (ただし、甲4 0、 4 3及び49によれば、 同表において、別紙31及び同3 7の 「態様」 欄に「本件フェィスブック」 とあるのは、いずれも 「オクロス」 の誤りであり、 別紙3 5の 「日時」 欄に「平成2 8年3月 2日」 とあるのは 「平成27年10月 20日」 の誤りであると認められる。)。

(3) 平成2 6年1 2月 1 9 日、被告朴は、 訴訟の会の会員である阪口XX(阪ロ) と共に、原告を刑事告訴すると ともに、束京弁護士会に対し、原告の懲戒を請求 した (一次懲戒鵬求) が、これらにっいては、 即座に取り下げがなされた (甲2 1の1、乙3 4、被告朴本人 〔6, 7頁〕 、 弁論の全趣旨)。
 一次懲戒請求の取下げ後の同月 2 5 日、阪口は、自身の名義で東京弁護士会に対し、原告の懲戒を請求した (阪ロ懲戒躊求) が、 平成2 7年10月 22 日、 同弁護士会は原告を懲戒しない旨の決定を行った 〈甲2 2の1・ 2、 24の1) 。
被告らは、平成2 8年2月 2 2 日付けで、東京弁護士会に対し、 原告の懲戒を請求した 〈二次懲戒請求。 甲4 5) 。


(被告らの主張) 
ア  特定の記事が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方とを基準と して解釈した意味に従って判断すべきである。
 そして、特定の記事を読むー般の読者は、通常、 当該薨事のうち名誉毀損の成否が問題となっている記載部分のみを取り出して読むものではなく、記事の全体及び記事の前後の文脈から当該記事の意味内容を認識し、又は理解し、 これに評価を加えたり、 感想を抱いたりするものであると考えられることから、 特定の記事がどのような意味内容の事実を摘示し、又は意見若しくは論評を表明するものか、及びそれが他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかの判断に当たっては、名誉ないし信用毀損の成否が問題とされている記載の内容のみから判断するのではなく、当該記事の記載全体における位置付けや表現方法ないし態様、前後の文脈等を総合して判断しなければならない。

 このような観点から、本件における、被告らの表現行為がどのような意味内容の事実を摘示し、又は意見若しくは論評を表明するものか、 及びそれらが原告の社会的評価を低下させるものかどうか検討すると、別紙主張整理表の 「被告らの主張」 記載のとおり、 いずれも、原告の社会的評価を低下させるものではなく、名誉毀損には当たらない。

イ  事実を摘示することによる名誉毀損にっいては、当該事実を摘示する行為が公共の利害に関する事実であり、 かっ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合において、摘示された事実の重要な部秀が真実であることが証明されたときは、当該行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、また、真実であることが証明されなかったときであっても、その行為者が真実と信ずるについて相当の理由があるときには、当該行為には故意又は過失がなく、不法行為は成立しないもの と解される。 
  さらに、特定の事実を基礎としての意見又は論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見又は論評と しての域を逸脱したものでない限り、当該行為は違法性を欠くというべきであり、仮に証明がないときにも、行為者において当該事実を真実と信ずるについて相当な理由があれば、 その故意又は過失は否定されると解されている。
 これらに基づき、被告らの表現行為について検討すると、いずれの表現行為もその違法性又は故意若しくは過失を欠くというべきである。

(2)阪ロ懲戒請求及ぴ二次懲戒請求の違法性 
(原告の主張)
 ァ  弁護士法5 8条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、 請求者が、 そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし論評と しての相当性を欠く と認められるときには、違法な懲戒行為と して不法行為を構成すると解するのが相当である。

イ  阪口懲戒請求は、形式的には阪口がなしているが、被告らの指示により行われたものであって、 被告らも共同で行ったものといえる。
阪口懲戒請求の理由は、① 「原告・ ・- ・ に相談無く、一切見せることなく訴状を勝手に提出した。 (弁護士職務規程違犯 〈ママ) ) 」 こと、②「原発メーカー訴訟 (ママ) の会事務局長崔氏を追坂した」 こと、③「在日朝鮮韓国人である崔氏に対し、レィ シズム発言 〈差別発言) を公用の場 (パプリ ック) で大々的に行った」 である。
 しかし、懲戒にかかる決定において、①~⑧にっいては懲戒事由に該当しないとされており、また、 別訴判決 (平成28年(ヮ)第3 ー 2 3号損害賠償請求事件) においては、①②につき、被告らの権利利益を侵害するものではなしいと認定されているのであって、 原告の行為には問題がない。
 そうだとすれば、 阪口懲戒請求は事実上・法律上の根拠を欠くことは明らかであるし、被告らと しても、一旦一吹懲戒請求を取り下げ て、その直後に自身らでは直接行わずに阪口に指示して行わせてい蓼ことに鑑みると、阪口懲戒請求には理由がないことを認識していたからこそ、第三者に行わせたと考えるのが合理的である。
 したがって、阪口懲戒請求は違法な懲戒請求であって、阪口 と共に懲戒請求に荷担した被告らは不法行為責任を負う。

ウ  二次懲戒請求について、被告らは、二次懲戒請求の理由と して、 ①「崔勝久・ ・ ・の代理人辞任」、 ② 「訴状を原告に未確認のまま提出した」、 ③ 「3名の原告代理人を辞任」 を挙げているが、上述のとおり、この部分は阪口懲戒請求と同じ内容であり、上記のとおり請求に理由がないとの判断がなされているところであるため、 被告らは、 二吹懲戒請求に理由がないことを認識していた。 
 また、 被告らは、二吹懲戒請求の理由と して、 ④ 「訴訟委任状の押印について誤った指示をした」、 ⑤ 「 「訴訟の会」 への内部介入」 、 ⑥ 「崔勝久・ ・ ・主張費用負担にっいての桐喝」 、 ⑦ 「弁護団の問題を指摘した原告ヘの桐喝」 、⑧ 「原告に 「弁護団解任」 を奨める」 、⑨ 「進行協議ヘの原告出席を虚偽の理由で拒杏」 、 ⑩ 「 「訴訟の会」への不当な要求」を挙げている。

 しかし、被告らが原告を相手方と して、主位的に民法651条2項に、予備的に不法行為に基づき損害賠償を求めた別訴 (横浜地方裁判所平成28年〈ヮ)第3 12 3号損害賠償請求事件) の判決において、④⑨については不法行為には該当しないこと及び、⑤⑥⑩にっいても、本件弁護団が被告らに資金を弁護団に渡すよ うに要求したのはメーカー原告らのために利用する目的でした行為に過ぎず、不法行為に該当 しないことと認定されている。 ⑦については、胴喝したというのは事実無根である し、⑧についても、弁護団の解任は、もはやメーカー原告の一部と弁護団との信頼関係が破壊されていたために、その意向を問うたのであって、それ自体で懲戒理由に当たらないのは当然である。 
 したがって、 上記懲戒理由は事実上 ・ 法律上の根拠を欠く上、被告らはそのことを十分認識していたのであるから、二次懲戒請求が原告に対する嫌がらせ目的であることは明らかである。
 よって、 二次懲戒請求も違法な請求であって、被告らは、 これに対する不法行為責任を免れない。 

(被告らの主張) 
 阪口懲戒請求は、阪口個人が単独で行ったものであって、被告らは、これに関与しておらず、阪口懲戒請求について懲戒に至らなかった経緯も認識していない。
 二次懲戒請求は、田上XXが、 阪口がどのよぅな内容の懲戒請求を したのかを全く知ることなく、これとは別個に、原告のメール、投稿、文害など膨大な具体的証拠を集めて書類を作成し、懲戒請求代表と して東京弁護士会に原告の懲戒請求を申請したものであり、これに対し、被告らは、その内容が事実上又は法律上の根拠があるものと信じ、その賛同者1 7名の一部と して名を連ねたものである。
 加えて、 二次懲戒請求は原告に対する嫌がらせで行ったものでもない。
 したがって, 二次懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く ものであり、被告らがそのことを知りながらあえて行ったものであって、 当該懲戒請求は弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし論評と しての相当性を欠く不法な請求であるとの原告の主張には理由がない。

<3>損害
(原告の主張) 
 原告は、上記(1)の被告らの投稿等によって、不特定多数であるフェイスブックやブ口グ及びメ ール閲覧者から、脅迫を行ったり、懲戒処分に相当するかのような弁護士職務倫理規程に抵触する違法・不当な行為を行ったり しているかのよ うな印象を持たれ、これまで築いてきた弁護筆と しての社会的信用や個人と しての名誉と信用が著しく損なわれた。
 また、原告は、上記〈2)の阪口懲戒請求及び二次懲戒請求によ り、通常業務外の対応に忙殺され、通常業務遂行が著しく 困難となった。
 これらの被告らの不法行為のうち、別紙1ないし4 0の投稿等、阪口懲戒請求及び二次懲戒請求に係る慰謝料は3 00万円が相当であり、弁護士費用と して3 0万円が被告らの不法行為と相当因果関係にあるというべきであり(これらの訴状をもって請求した被告らの不法行為による合計3 3 0万円の損害賠償については、訴状送達の日の翌日以降の遅延損害金の支払を求める。 ) 、また 別紙4 1ないし4 3の投稿等に係る慰謝料は9万円が相当であり、弁護士費用として9 000円が被告らの不法行為と相当因果関係にあるというべきである (これらの請求の拡張申立書をもって請求した被告らの不法行為による合計9万9 000円の損害賠償については、請求の拡張申立書送達の日の翌日以降の遅延損害金の支払を求める。 ) 。

(被告らの主張) 
原告の主張は争う。

第3 当裁判所の判断
1  認定事実
甲7 7、乙3 1及ぴ弁論の全趣旨並びに後掲証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1) 原告と被告らとは、 平成2 4年頃から交流を持ち始め、 被告らを原告、原告をその訴訟代理人と して、 原発メーカー訴訟を提起することにした。
 原発メーカー訴訟の提起に際しては、原告以外の訴訟代理人も募り、本件弁護団を結成するとともに、メーカー原告の規模も千人単位を目標としたため、原告及び被告らは、広くメーカー原告を集めるための活動を継続して行い、平成2 6年1月 3 0 日及ぴ同年3月10日の2回にわたり、 総数約4 200人(海外から約2 700人) のメーカー原告による原桑メーカー訴訟が提起された。

(2) 原告及び被告らは、当初は共同して原発メーカー訴訟の遂行に取り組んでいたものの、被告崔は、ある時期から、本件MLや本件フェィスブックにおいて,、民族差別、植民地主義やNPT体制との闘い等についての投稿等を行うよぅになるなどし、これに反対する原告ないし本件弁護団と被告らとの間で、原発メーカー訴訟の遂行方針を巡って意見の対立が生じるようになった
 原告は、平成2 6年頃、上記の意見の対立が存在する中で、被告崔の民族差別、 植民地主義やNPT体制との闘い等を主張する活動を評して、「原発体制の根幹は差別だと内外に訴え、自身のライフワークである民族差別闘争を成し遂げるための手段と して原発メーカー訴訟を利用するなどとは言語道断です。 」 といった内容の発言をした (甲4、乙10の3、11) 。

(3) 原告は、平成2 6年7月頃、 被告崔を始めとするメーカー原告の一部に対し、 民族差別、植民地主義やNPT体制との闘い等を前面に押し出 した活動を被告崔が続けるのであれば、訴訟の会の事務局長を交代することが必要であり、それがなされなければ、原告が原発メーカー訴訟の訴訟代理人を辞任するという考えを明らかにした (乙4) 。

(4)原告ら本件弁護団の弁護士は、平成2 6年10月 4日、訴訟の会と本件弁護団との合同会議 (本件合同会簾) の場において、訴訟の会の会計が適切に行われていないと して、訴訟の会の事務局に対し、 会計監査のため、事務局が保管する預金通帳、領収喜等の資料を本件弁護団に預けるよう要求 (本件会計要求) するとともに、 被告崔に事務局長を辞任することを要求 (本件辞任要求) し、 これらの要求を事務局が受け入れない場合、メーカー原告が確定した段階で、原告ら本件弁護団の弁護士が被告崔の代理人を辞任する旨述べた (甲 5、6。 以下、本件会計要求及び本件辞任要求ないしこれらと同様の要求について、 被告崔が受け入れない場合に、本件弁護団の弁護士が被告崔の代理人を辞任する方針を 「本件代理人辞任方針」ということがある。 ) 。

 (5) その後、訴訟の会において、 被告崔の事務局長の辞任の是非について議論が行われる中で、原告ら本件弁護団は、平成2 6年11月 28日付けで,、被告崔に対し、本件辞任要求及び本件会計要求と同内容の要求に加え、メーカー原告による新たな事務局 (新寡務局) を設立し、被告崔ら訴訟の会の現事務局の構成員は、新事務局の構成員に加わらないことを求め、かっ、同年12月 3日までに、これらの要求が全て受け入れられた揚合には、被告崔の代理人を続行するが、受け入れられない場合には、上記期限以降速やかに、訴訟手続上も被告崔の代理人を辞任するとする通知書(本件遭知賽) を交付した (甲11)。

 (6) 本件弁護団は、平成2 6年12月 4 日、本件フェィスブック上に、「崔勝久氏に関する弁護団声明」 (本件弁護団声明) と して、本件弁護団 が被告崔の代理人を辞任する理由及び同人の代理人を辞任した旨を記載して、これを公表し、 また、原告は、 「通信2号」 という本件弁護団の発行する媒体において、「原告団新体制の発足に向けて」 と題する記事 <通信2号記事> を書いた (甲ー4、ー 5) 。

(7)被告崔は, 平成2 6年12月頃, 原告ないし本件弁護団からの上記一連の辞任要求を巡って, 訴訟の会において混乱が生じたことの責任をとるとして, 事務局長を辞任する意思を明らかにしたが, その際, 辞任の時期について, 何ら留保することをしなかったため, 辞任の時期を吹の総会とする被舎告崔と, 既に辞任の法的効力が生じているとする本件弁護団との間で見解の対立が竿じた 〈甲 2 0, 弁論の全趣旨。 本件辞任時期問題) 。

 (8) 原告ら本件弁護団は、被告崔に対し、 平成2 6年10月頃口頭で、同年12月頃には書面で、同人の訴訟代理人を辞任する旨の意思表示をし、平成2 7 年7月頃、原発メーカー訴訟の受訴裁判所に被告崔ゐ訴訟代理人を辞任する旨の届出を提出した 〈原告本人〔8、17頁〕〉 。

 (9) 被告ら訴訟の会の事務局の者は、国内でメーカー原告となる者を募るに当たり、 原告の提案により街頭等において、その意向を示した者に対して委任状に押印なしで署名のみをしてもらうという方法をとったが、その後,受訴裁判所から委任状には押印が必要である旨の指摘を受け、多数の国内のメ ーカー原告に委任状に改めて押印をしてもらうための作業を行った (原告本人[19~2 1頁]。 本件委任状問題) 。

争点〈1〉 (被告らの投稿等による名誉毀損) について
(1) 名誉毀損の不法行為は、問題と される表現が人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値にっぃて社会から受ける客的評価を低下させるものであれば、これが事実を摘示するものであるか、又は意見ないし論評 (以下併せて 「意見等」 という。 ) を表明するものであるかを問わず、成立し得るものである。
 そして、事実を摘示しての名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、 その目的が専ら公益を図ることにあった揚合に、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、 当該行為には違法性がなく、 仮に当該事実が真実縄あることの証明がないときにも、行為者において当該事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定される。 また、ある事実を基礎と しての意見等の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かっ、 その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、 当該意見等の前提と している事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻臺に及ぶなど意見等と しての域を逸脱したものでない限り、当該行為は違法性を欠き、仮に当該意見等の前提と している事実が真実であることの証明がないときにも、 行為者において当該事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定されると解するのが相当である。 
 さらに、当該文章の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、一般の閲覧者の普通の注意と読み方とを基準と して判断すべきものであり、そのことは、問題とされている表現が、事実を摘示するものであるか、 意見等の表明であるかの区別に当たっても妥当するものというべきである。
 以下、上記の観点から、別紙1ないし4 3の被告らの投稿等のうち原告が問題とする別紙主張整理表の 「表現」 記載の各表現 (以下、同表の 「番号」 欄により、 同欄に 「1」 とある表現のことを 「1番」 のようにいう。 )について、原告に対する名誉毀損が成立するかどうか、 また、 成立する場合の違法性ないし故意又は過失の有無について検討する。

(2) 別紙1について
 甲 1及び弁論の全趣旨によれば、別紙1は、被告崔が原告及び「C c」 として訴訟の会の事務局員や本件弁護団の者ら 1 0名余に宛てた 「原発メーカー訴訟の会についてのご提案」 との件名のメールであり、原告の事務所での話合いを提案するとと もに、訴訟の会の人事は内部的な問題と して決めることで、「島さんが干渉」 (1番) すべきでなく、事務局長の 「交代」 ないし 「解任」 の提案は原告個入の立場からのもので、弁護団と して言うべきでなく、「島さんは言葉つきを間違っておられます」 (2番) ということのほか、本件MLの在り方に関し、裁判以外の情報は要らないという人には別途MLを作るということで皆賛成していること、本件MLは様々な立場の人が色んな情報 ・ 意見を提供し共有化されてきているが、 弁護団の中でそのような情報が来ることが好ま しく ないと思う人は申し入れてくれれば本件MLから外し、別のMLに組み入れること、本件MLは裁判のことに限定したものにすべきだという原告の意見は意見と して伺うが、それでは運動の発展は望めないこと、 原告は 「植民地主義」 とは使わないでほしいと発言していたが、原発メーカー訴訟は原発体制に対する闘いであり、相手がどのようなものであるか議論を尽くすのは訴訟の会のMLと して当然のことであること、多様な意見があってよく、これは駄目だと制限をかけること 自体、「民主的ではありません」 く3番>などと記載されたものであることが認められる。
 上記のメールは、 訴訟の会の連営に関する事項について、 特定の訴訟の会の関係者に送付したものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 その点を措く と して、上記のメールは、1番及び2番の表現に関して、原告が本件弁護団と して訴訟の会の事務局長の交代ないし解任を提案したとの事実を摘示した上、これが原告による訴訟の会の人事ヘの干渉であり、原告の言葉の使い方が間違っているとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させると しても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる (乙4、弁論の全趣旨) 。
 上記のメールは、3番の表現に関して、意見に制限をかけることは民主的でないとの一般論を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記のメールが人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙1のメールにっいて、と名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

(3) 別紙2について
 甲2によれば、別紙2は、被告崔が本件MLに「 「原発メーヵー訴訟の会」のあり方に関する問題提起を公表します。」 との件名で投稿したメールであり、 本件MLやホームぺージ、 本件フェィスブックに原発メーカー訴訟に直接的に関係する情報のみを載せるべきであるか、植民地主義に関する問題等についても載せるべきかという問題について、 右翼がいちゃもんをつけてきたときに備えて裁判以外の情報をあげないようにすべきだという意見があり、これが 「言論の自由を自主規制する」 (4番) ものでないかと して、その是非について意見が分かれている記載されたものであると認められる。
 上記のメールは右翼からの攻撃に備えて本件ML等には裁判以外の情報をあげないようにすべきだというのが言論の自由を自主規制するものであるとの批判的な意見等を表明するものであるが、裁判以外の情報をあげないようにすべきであると述べているのが原告であることを窺わせるような記載はなく、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、仮に他のメールの記載等と併せればそのような考えを述べているのが原告であると特定され得ると しても、そのような考えが言論の自由を自主規制するものであるということが意見等としての域を逸脱しているとは認め難い。
 したがって、別紙2のメールについて、名誉毀損が成立するとは認め られない。

(4) 別紙3について
  甲3によれば、別紙3は、 被告崔がオクロスに掲載した記事であり、 訴訟の会の在り方についての混乱が生じ、メーカー原告を始めとする読者に心配をかけた旨謝罪するとともに、その混乱の内容、問題の所在及ぴ今後の方針を説明する中で、混乱が生じたきっかけと して、「島弁護士から崔勝久 「訴訟の会」 事務局長の「解任」の話しがだされま した。それをめぐっての混乱が「訴訟の会」内部でありました。 」(5番) と記載されたものであることが認め られる。
 上記の記事は、原告から被告崔を訴訟の会の事務局長から解任すべきという話があり、それを巡って訴訟の会内部で混乱が生じたとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 したがって、別紙3の記事について, 名誉毀損が成立するとは認められな

(5) 別紙4のうち6番ないし11番を含む記事について
 甲4によれば、 別紙4のうち6番ないし11番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「原発メーカ〕訴訟の始まりの事実経過と現在の問題」と題する記事であり、原発メーヵー訴訟の提起に至るまでのいきさつを説明した上で、被告崔が訴訟の会で行う講演会の度に、NPT体制や植民地主義、在日問題に言及することについて、原告から 「何度もク レームを付け」(6番) られたこと、原告が被告崔の事務局長としての活動に関して「原発体制の根幹は差別だと内外に訴え、自身のライフワークである民族差別闘争を成し遂げるための手段として原発メーカー訴訟を利用するなどということは言語道断です。」と述べたことについて、「謝罪を求め」 (7番) ること、 原告が被告崔に対し、訴訟の会の事務局長の辞任を求め、それが受け入れられない場合には、原告ら本件弁護団が被告崔の代理人を辞任する素振り を見せていることについて、なぜ、そんなに急いで被告崔を 「排除したい」 (8番) のか、訴訟の会の他の事務局員が訴訟の会に生じた混乱の原因が自分達にもあり、被告崔だけを 「即時辞任に追い込む」 (9番)ことはできないと述べていること、外国から続々と 「島さんの強権的な、自分の過ちを一切認めないやり方」 (10番) を批判するメールが寄せられていること、被告崔が弁護団の要求に沿う形で訴訟の会の事務局長を辞任すること と した理由について、 被告崔を下ろすという 「脅迫」 (11番) に屈 したのではないことなどが記載されたものであると認められる。 

 上記の記事は、 原告が被告崔の言動に何度もク レームを付け、 難が被告崔の事務局長と しての活動を言語道断などと原告が述べたとの事実を摘示した上、これが謝罪に値する、原告ら本件弁護団が本件代理人辞任方針を明らかにしたのは被告崔を排除しようとするものであり、被告崔を即時辞任に追ぃ込むものであり、強権的な、 自分の過ちを一切認めないやり方であり、 脅迫である旨の批判的な意見等を一部他の者の意見を紹介する形式をと りつつ表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が被告崔に対してその講演の崔の言動についての要望を何度もしたこと (甲7 7) 、 原告が本件代理人辞任方針を明らかにしたこと (認定事実(4))に照ら し、重要な部分について真実であると認められる。

 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く) 、 また,、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、別紙4のうち6番ないし11番を含む記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(6) 別紙4のうち12番ないし15番を含む記事について
 甲4によれば、別紙4のうち1 2番ないし15番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「原発メーカ「訴訟弁護団長、島昭宏弁護士ヘの反論です一公開討論をしませんか」 と題する記事であり、訴訟の会の運営の在り方に関し、原告が訴訟の会の事務局に声をかけず、直接会買に呼びかけて集会を行おぅと したり、直接会員に声をかけて新たな事務局を作ろう と したことについて、「クーデターでもなさる気」 〈1 2番〉 かと思われること、原告が被告崔の民族差別に関する運動について 「むき出しのアィデンティティ」という表現を したことが 「在日の民族意識に対する差別表現で」 (1 3番) あるこ と、被告崔の事務局長辞任の表明は、訴訟の会の混乱に対する責任を表明したものであって、 原告にも半分以上の責任があるのであるから、その旨会員に対し 「謝罪すべき」 (14番) であること、 原告がメーカー原告による原告団を主導しようと し、原発メーカー訴訟の追行方針について、メーカー原告が多様な運動を行おう とすることを制限してしいることについて、「干渉しないで」 (15番) ほしいことなどが記載されたものであると認められる。

 上記の記事は、 12番の表現に関して、原告が訴訟の会の会員に呼びかけて集会を行おうとしたり、新たな事務局を作ろうとしたり したこと、 クーデ夕ーでもするかのようであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、その後に原告ら本件弁護団が新事務局を設立しようとしていること (認定事実(5)) に照ら し、重要な部分について真実であると認められる。
 上記の記事は、 1 3番の表現に関して、 原告が 「むき出しのアィデンティティ」 という表現を したとの事実を摘示した上、 これが在日の民族意識に対する差別表現である旨の批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わないことから、 真実であると認められる。

 上記の記事は、 1 4番の表現に関して、 訴訟の会の混乱に原告が関係しているとの事実を摘示した上、 原告に半分以上の責任があり、謝罪すべきであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、本件会計要求や本件辞任要求に照らし、真実であると認められる。
 上記の記事は、15番の表現に関して、 原告がメーカー原告による原告団を主導しようとし、原発メーカー訴訟の追行方針にっいて、メーカー原告が多様な運動を行おう とすることを制限しているとの事実を摘示した上、干渉しないでほしいとの批判的な意見等を表明するものであり, 原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、本件会計要求、本件辞任要求さらには新事務局の設立に照らし、重要な部分について真実であると認められる。 
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙4のうち12番ないし15番を含む記事にっいて、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

〈7) 別紙4のうち1 6番ないし1 8番を含む記事について
 甲4によれば、別紙4のうち16番ないし18番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「 「原発メーヵー訴訟の会」 事務局の見解」 と題する記事であり、 訴訟の会と弁護団との合同会議に向けて訴訟の会の事務局からの見解を知らせするとして、別途被告崔が作成した文章を引用 し、その中で、「島弁護士からは一方的に、合同会議の主体者として8月 2 7 日の島弁護士の呼びかけた集会参加者のことが当初主張」(1 6番) されていたが、今回はそれが弁護団になっており、そのいずれもが、正式に事務局に提案されていないこと、訴訟の会の定例事務局会議を弁護団との合同会議とするには、弁護団から事務局への正式の申し入れが必要であるが、 弁護団のうち、 原告及び他の少数の弁護士以外の意見が聞かされていないところ、「自分の意見が弁護団の意見だと豪語する島弁護士の発言」(17番) があることから、弁護団の各弁護士の意見を聞かせて欲しいこと、「島弁護士が原告からの批判を文句として受け止め、原告団 〈訴訟の会) のあり方に対する弁護団からの提案に賛成できない原告を名指しで原告を降りてもらう とした真意、その反省、今後二度とそのよ うな逸脱した行為」(18番) をしないという明言がなされるのか、 各弁護士および弁護団の責任ある発言を求めることなどが記載されたものであると認められる。 

 上記の記事は、1 6番の表現に関して、 原告が事務局に提案のないまま、合同会譲の主体者を原告の呼びかけた集会参加者としていたとの事実を摘示した上、それが一方的な主張であるとの意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。 
 上記の記事は、17番の表現に関して、 原告が自分の意見が弁護団の意見であると豪語しているとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。 
 上記の記事は、18番の表現に関して、原告が訴訟の会の在り方に関する弁護団からの提案に賛成できないメーカー原告を名指しで原告から下りてもらう旨を述べたとの事実を摘示した上、それがメーカー原告からの批判を文句として受け止めるものであり、 逸脱した行為であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、本件辞任要求に照らし、 真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、 その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 したがって、 別紙4のうち16番ないし18番を含む記事について、 名誉毀損が成立すると しても違法性を欠く ものと認められる。

(8) 別紙5について
 甲6によれば、 別紙5は、被告崔がオクロスに掲載した 「10・ 4合同会議における問題発言に対する原発メーカー訴訟の会の事務局見解」 と題する記事であり、本件合同会議における出来事についての訴訟の会の事務局の見解を公表するとして、本件会計要求及ぴ本件辞任要求があり、「崔氏の原告の地位を脅かす発言を弁護団長がした」 (1 9番) ことに当惑を禁 じ得ず、弁護団の要求に応じないと代理人を辞任するな どという 「弁護団長の脅迫的な言辞」 (20番) に対して強く抗議することなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、 本件会計要求、本件辞任要求があったとの事実を摘示 した上、これが原告の地位を脅かすものであり、脅迫的な言辞である旨の批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 真実であると認め られる (認定事実(4)) 。 
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙5の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。 

(9) 別紙6にっいて
 甲7によれば、別紙6は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した「原発メーカー訴訟に関わるすべてのみなさんヘ」と題する記事であり、本件合同会議を経た後の原発メーカー訴訟の追行方針等についての見解を述べる中で、本件会計要求及ぴ本件辞任要求があり, 原告が 「崔の代理人を辞任すると「脅迫」 して」 (2 0番) きたこと、自分の意見と合わない原告には辞めてもらうという 「発想, その振る舞いが誤りだった」 (2 1番) と本件の原告が認める必要であることなどが記載されたものであると認められる。


 上記の記事は、本件会計要求、 本件辞任要求があったと愚事実を摘示 した上、これが脅迫であり、 原告の発想や振舞いが誤りである旨を原告が認める必要があるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(4)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く 、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、 別紙6の記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。 

(10) 別紙7について
 甲8によれば、別紙7は、被告崔が本件フェイスブックに投稿した 「事務局長としての見解」 と題する記事であり、弁護団長である原告が事務局長である被告崔の原発体制は差別の上に成り立っているという考え方から幅広い運動との連携を行おうとしている点について 「民族差別の闘いに裁判を利用している、メーカー訴訟に徹するべきだという批判を始め、それが事務局長の辞任問題にまで発展 し、「全ての会員を巻き込んだ大きな論争にな」(22番) ったこと, 今後は 「弁護団との関係修復に全力をあげ」 (2 3番) 、弁護団との協力体制を構築することとし、 当該協力体制構築のための具体案の一つと して、意見の違いを理由にした原告の代理人辞任発言撤回を求め、「原告を脅すよ うな島弁護士の振る舞い」 (2 4番) について、 他の弁護団とともに再考を求めることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、2 2番及び2 3番の表現に関して、 原告の被告崔に対する批判が訴訟の会に大きな論争を巻き起こしたとの事実を摘示した上、弁護団との関係修復に全力を上げたいという意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事は、2 4番の表現に関して、 原告が意見の違いを理由に代理人 を辞任する旨を発言したとの事実を摘示しだ上、これがメーカー原告を脅すような振舞いであるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価をさせる しても、当該意見等の前提となった上言己の摘示事実は,真実であると認め られる (認定事実(3)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、 その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙7の記事について、名誉毀損が成立するとは認められず、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(11) 別紙8について
 甲9によれば、別紙8は、被告崔がオクロスに掲載した記事であり、 別紙7と同一内容の記事であるから、 別紙7について説示したとおり、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

 (12) 別紙9について
 甲10によれば、別紙9は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した 「原発メーカー謂公の会のメンバー (原告、サポーター) のみなさんヘ」と題する記事であり、被告崔が事務局長として弁護団に対して出した「原発メーカー訴訟弁護団への申し入れ」 に対する弁護団からの回答書 (本件回答書) 及び本件通知書が送付されてきたことを明らかにした上で、本件回答書の内容について、被告崔の出した復代理人制ヘの移行についての 「原告の不安を全く無視」 (2 6番) したものであり、「原告は訴状提出までその内容をしらされていなかった」 (2 7番) のであり、 原告以外の弁護団員が原告の復代理人となった場合の 「問題点についてまともに答えようとせず」(28番) 形式的な問題と して強行突破しようとしていること、 本件通知書の内容について、被告崔及ぴ事務局の者以外ヘの公開を禁止する 「卑怯な内容」(2 9番) であり、弁護団の要望事項 (本件会計要求及び奉件辞任要求と概ね同一の内容) に被告崔が応じない場合、 被告崔の代理人を 「弁護団は辞任すると、「脅迫」 」 (3 0番) していること、読者に呼びかける形で, 何のために被告崔を孤立させ、新たな弁護団の組織をつくろう と「島弁護団長は画策」 (3 1番) しているのか、原告の被告崔が原発メーカー訴訟を利用して民族闘争をやろうとしている旨の発言は、「完全なデマ」 (32番) であり、「島弁護士はシングルイ ッシュであるべきだと私を攻撃」 (3 3番) としてきており、「島弁護士に何か、私を排除したい動機がある」 のかなどと記載されたものであると認められる。 
 上記の記事は、 2 6番及び2 8番の表現に関して、被告璽が原告ら弁護団に対して出した二っの要望書のうち一方のみにしか回答がなされなかったとの事実を摘示した上、それがメーカー原告の不安を無視したもの (2 6番)であり、 問題点についてまともに答えようとしていないもの (2 8番) である旨の批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 原告が積極的に争わないことから、 真実であると認められる。
上記の記事は、2 7番の表現に関して、被告崔らメーカー原告が訴状の提出までその内容を知らされていなかったとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させると しても、 上記の摘示事実は、 被告崔には最終的に提出された訴状にその提出前に目を通す機会がなかったこと (乙3 4, 弁論の全趣旨) に照ら し、真実であると認められる。
 上記の記事は、2 9番の表現に関して、本件通知書に公開を禁止する旨の記載があったとの事実を摘示した上、それが卑怯であるとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は真実であると認められる (甲 11) 。
 上記の記事のうち、3 0番の表現は、19番の表現と同様のものであり、これについて述べたとおりである。
 上記の記事は、3 1番ないし3 4番の表現に関して、原告が新たな弁護団の組織を作ろうとし、また、 被告崔の言動を原発メーカー訴訟を利用して民族闘争を行おうとするものであると評したとの事実を摘示した上、これらを「画策」 、 「デマ」 、「攻撃」 、 「私を排除したい」 などとする批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させると しても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(2), (5))。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸瞳しているとは認め難く、 また、その内容に照らし、 公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙9の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(13) 別紙10について
 甲 12によれば、別紙1 0は、被告崔が本件フェィスプックに投稿した「原発メーカー訴訟の会メ ンバーの原告、サポーターのみなさんへ」 と題する記事であり、本件通知書の画像を添付した上で、本件弁護団が被告崔の事務局長辞任を求めつつ、 訴訟の会の会員に関係する文書を被告崔個人宛に送り、公開禁止を求めるということを認めることはできず, 「 「脅迫」 」 (35番) を受けた者が萎縮してしまったら、内部告発者は出なくなるが、内部告発なくして組織の刷新はできないこと、本件辞任要求、本件会計要求等をみるに、何のために被告崔一人を 「追放し孤立させ」 (3 6番) 、新たな弁護団の組織を作ろう と 「島弁護団長は画策」 (3 7番) するのかという疑問があること、原告のメールに被告崔が原発メーカー訴訟を利用 して民族闘争をやろうとしているとあるのは 「でっち上げ」 〈38番) であること、 弁護団の弁護士が 「 島弁護士の弁護士職務基本規程に反する逸脱した行為」(3 9番) を黙認していることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、3 5番の表現に関して、 原告ら本件弁護団が本件通知書を被告崔に送り、公開禁止を求めたとの事実を摘示した上、これが 「脅迫」 に当たるという意見等を表明 したものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても,、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (甲1 2〉 。
 上記の記事のうち、3 6及び3 7番の表現は、 3 1番及びその直前の記載と同様の表現であり、これについて述べたとおりである。 
 上記の記事のうち、3 8番の表現は、3 2番と同様の表呈であり、 これについて述べたとおりである。
 上記の記事は、3 9番の表現に関して、 本件辞任要求や本件会計要求があり、さらには原告が被告崔の言動を原発メーヵー訴訟を利用して民族闘争を行おう とするものであると評したとの事実を摘示した上、これが弁護士職務基本規程に反しているとの批判的な意見等を表明 したものであり、原告の社会的評価を低下させるものであるが、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(3), (4)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図る二とにあると認められる。
 したがって、別紙1 0の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(14) 別紙11のうち40番ないし4 6番を含む記事について
 甲11によれば、別紙11のうち40番ないし46番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「原発メーカー訴訟弁護団から送られた 「公開禁止」 の通知書を公開します」 と題する記事であり、冒頭部分において、 本件通知書の送付の事実及ぴその公開に関して、 被告崔を 「原告から追放する」(4 0番) 内容の本件通知書が送付されたこと、原発メーカー訴訟のために国際連帯運動は不可避であるのに、その運動の提唱者である被告崔を 「原告から追放」 (4 1番) してよいのかなどと記載されたほかは、別紙10 と概ね同一内容の記事 (4 2番ないし4 6番を含む) であると認められる。
 上記の記事は、 4 0及び4 1番の表現に関して、 本件通知書が送付されたとの事案を摘示した上、これが被告崔を 「追放」 する ものであるという批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても,当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる 〈認 定事実(5〉) 。 
 上記の記事のうち、 4 2番ないし4 6番の表現は、別紙1 0にあるのと同様の表現であり、これにっいて述べたとおりである。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙11のうち40番ないし4 6番を含む記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(15) 別紙12について
 甲13によれば、 別紙12は、被告崔が本件フェイスブックに投稿した「寺田弁護団事務局長ヘ」 と題する記事であり、本件通知害には、被告崔が「弁護団の理不尽な要求」 (4 7番) を承諾しなければ、今後の話合いには応じないと明記されていたこ と、 被告崔を始めとするメーカー原告との話合いをせず、第ー回目の期 日さえ設定できない場合、「弁護団に裁判を続ける意思がない」 (4 8番) と判断せざるを得ず、この場合には、原告の願いを具現化する 「責任を放棄」 (4 9番) したものと して、メーカー原告に対する 「脅迫的な文書」 (5 0番〉 を出している原告及び河合弁護士に対して所属弁護士会に懲戒処分を求めること、話合ぃの議題の一っとして 被告崔の「原告からの追放を謀る」 本件代理人辞任方針の撤回を求めることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、本件通知書には、被告崔が本件弁護団の要求を承諾しなければ今後の話合いに応じないと記載されているとの事実を摘示 した上、その要求が理不尽であり、このような脅迫的な文書を発した本件弁護団がメーカー原告との話合いを拒むなどした場合には、本件弁護団には裁判を続ける意思がなく、責任を放棄したものと して、懲戒処分を求めざるを得ないとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、本件逼知書の記載内容(認定事実く5)) に照ら し、 重要な部分について真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱してぃるとは認め難く、 また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙1 2の記事にっいて、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。 

(16) 別紙1 3について 
 甲 14によれば、別紙13は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、本件弁護団が被告崔を 「原告から追放」 (5 2番) すべく、被告崔の代理人を辞任する旨の本件弁護団声明を発表しているが、代理人辞任の理由が 「虚偽に基づいて 」 〈5 3番) いること、訴訟の会名義で 「弁護団による崔勝久事務局長の訴訟代理人辞任に対する抗議と撤回の申 し入れ」 をし、当該申入れにおいて、本件弁護団と訴訟の会の関係の混乱が、弁護士法、弁護士職務基本規程等に基づく 「代理人と依頼者の本来の関係を逸脱した、島弁護士の訴訟の会ヘの不当な介入」 〈5 4番) に大きな原因があるにもかかわらず、本件弁護団声明をもって、被告崔に対し、「一方的かっ事実経過を歪曲 した辞任理由を列挙」 (5 5番) し、「一特定原告を原告団から追放す る代理人全員の辞任という恥ずべき行動」 (5 6番) をとった旨を指摘したこと、本件代理人辞任方針の撤回を求めること、訴訟の会と本件弁護団との混乱の収束に向け, 訴訟の会が協議を申し入れたにもかかわらず、本件弁護団が 「話し合いに応じることなく」 (5 7番) '本件通知害に対する質問と申入れにも回答することなく、被告崔の事務局長の辞任を発表したことが極めて遺憾であり、 訴訟の会において、弁護団, 訴訟の会の双方の問題を出し合い、率直に意見交換し、 この 「混舌Lした関係」 (5 8番) を正常化し、弁護団と訴訟の会の協力体制を強固なものにすることを申し入れていることなどが記載されたものであると認められる。 
 上記の記事は、 5 2番ないし5 6番の表現に関して、 本件弁護団が被告崔の代理人を辞任する旨の本件弁護団声明を発表したが、辞任の理由に関係する訴訟の会に生じた混乱の原困にっいて、本件弁護団声明と被告崔の認識するところとの間に齟齬があるとの事実を摘示した上、本件弁護団声明が被告崔をメーカー原告から追放するもので、 訴訟の会の混乱は原告の訴訟の会への不当というべき介入に原因があるのに、 本件弁護団声明中の辞任の理由は虚偽であり、一方的かつ事実経過を歪曲したというべきものであり、代理人の辞任は恥ずべきものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させると しても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(6)、 弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は、 5 7番及び5 8番の表現に関して、 本件弁護団が被告ら訴訟の会からの協議申 し入れに応じず、 本件弁護団と訴訟の会との関係が混乱した状態にあるとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、 また、その内容に照ら し、 公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙ー 3の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(17) 別紙11のうち5 9番ないし6 2番を含む記事について
 甲11によれば, 別紙11のうち5 9番ないし62番を含む記事は、 被告崔がオク ロスに掲載した 「 「原告弁護団にょる崔勝久事務局長の訴訟代理人辞任に対する抗議と撤回の申し入れ」 の公開」 原発メーヵー訴訟弁護団から送られた 「公開禁止」 の通知書を公開します」 と題する記事であり、 題名があることを除いて、 別紙ー 3の記事と同一内容のものと認墨られる。
 したがって、 別紙13について述べたとおり、 別紙11のうち5 9番ないし6 2番を含む記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(18) 別紙1 4のうち6 3番を含む記事について
 甲16によれば、 別紙1 4のうち6 3番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「弁護団がメーカー訴訟の提起者を原告から 「追放」 する真の理由は何か (その1) 」 と題する記事であり、 どう して本件弁護団が事務局長の被告崔を 「原告から 「追放」 しよう と必死になっている」 (6 3番) のか、 聡明なはずの弁護士が挙げる代理人の辞任理由が一貫せず、 まと もな説明が ないなどと した上、,原告から被告崔に送られたメールの内容を紹介するものであるど認められる。
 上記の記事は、 6 3番の表現に関して、 必ずしも具体的な事実を摘示するものではなく、 仮に、 原告が被告崔をメーカー原告から追放しよう と必死になっているとの事実を摘示するものであると しても、 原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 したがって、別紙14のうち6 3番を含む記事について、 名誉毀損が成立するとは認められない。

(19) 別紙1 5について
 甲15によれば、別紙15は、 本件被告崔が本件フェイスブックに投稿した記事であり、 訴訟の会の会員には、 「弁護団の嘘とでっち上げでぬりかためた文書」 〈6 4番) に騙されないでほしいこと、被告崔の 「人格を貶め,墟で固めた理由で私を原告から追放しよ う と」 (6 5番) 謀る本件弁護団声明ど通信2号記事は 「名誉毀損で」 (6 6番) あり、 強く 抗議すること、 被告崔の事務局長からの 「辞任を迫り」 (6 7番) 、辞めないと 自分がこの裁判から手を引く、 本件弁護団の主導に 「従わない原告達は 「追放」 すると「脅迫」 し続けてきたのは島弁護士で」 (6 8番) あること、 本件弁護団声明及ぴ通信2号記事には、ほかにも 「事実を歪曲」 〈6 9番) し、 事務局で決定したことさえ、 全て被告崔の指示・責任であるかのように 「多くの人を惑わして」 〈7 0番) いる記載があること、「弁護団が原告団にそこまで干渉」 (7 1番) し、自分達の主導に従うメーカー原告を相手に新たに原告団事務局を立ち上げようとするのはなぜか、 通信2号記事は話合いを求める「事務局に対する挑戦」 (7 2番) であり、本件弁護団は 「訴訟の会の分断を謀ってい」 (7 3番) るなどと記載されたほか、 別紙11の記事ヘのリンクが貼られたものであると認められる。
 上記の記事は、6 4番ないし6 6番の表現に関して、 本件弁護団声明及び通信2号記事があるとの事実を摘示した上、 これらが嘘とでっち上げで塗り固めた文書であり、被告崔の人格をおと しめ、嘘で固めた理由で被告崔を原告から追放しようと図るものであり、 被告崔に対する名誉毀損に当たるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる (認定事実(6)) 。
 上記の記事は、 6 7番及ぴ6 8番の表現に関して、 原告が被告崔に対し訴訟の会の事務局長を辞任するように迫ったとの事実を摘示した上、それが本件弁護団の主導に従わないメーカー原告を追放し、脅迫するものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 真実であると認められる (認定事実(4)) 。
 上記の記事は、 6 9番ないし7 3番の表現に関して、 本件弁護団声明及び通信2号があるとの事実を摘示した上、 それが事実を歪曲し、,多く の人を惑わすもので、 本件弁護団の原告団に対する干渉であり、 事務局に対する挑戦であって、 訴訟の会の分断を図るようなものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる (認定事実(6)) 。
 上記の記事が人身攻臺に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、 また、 その内容に照ら し、 公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙ー 5の記事について、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠く ものと認められる。

(20) 別紙14のうち74番ないし8 9番を含む記事について
 甲1 6によれば、別紙1 4のうち74番ないし8 9番を含む記事は、被告崔がオク口スに掲截した 「みなさんに訴えます。 弁護団の嘘とでっち上げでぬり かためた文書に騙されないでく ださい。 」 〈7 4番) と題する記事であり、 被告崔の 「人格を貶め、 嘘で固めた理由で私を原告から追放しよう と」(7 5番) 謀る本件弁護団声明と通信2号記事にっいて強く抗議すること,、本件弁護団の主張する代理人辞任理由に対する反論と して、 本件会計要求及び本件辞任要求を被告崔が拒否したことについて、 それが被告崔の独断ではなく、 事務局全体の意見であったのに、 「島弁護団長はそれを敢えて崔個人責任というイメージをつくるための文書にしたてあげて」 (7 6番) いること、 被告崔が世界的な正義と平和を求める運動に参加するための海外渡航費を訴訟の会から支出する旨の事務局決定について、 「島弁護団長から, 以下 (赤字) の驚くべき脅迫メール」 (7 7番) が届き、 また、訴訟の会の会計担当であった大久保徹夫が海外渡航費を支出しないと言い始めたため、 事務局メンバーの発案で海外渡航費のカンパを募ることとなり、多く の賛同を得たが, この点について、原告が 「他の事務局員を通して・ ・ ・カンパを求める投稿をし、その振込先と して訴訟の会の銀行口座を利用 しました」 と「悪意のある表現をしてい」 (7 8番) ること、原告から被告崔の海外渡航の費用を訴訟の会が負担することはできず、 そのようなことがあれば刑事告訴を含む法的措置を採る旨のメールが届いたことについて、「島弁護士は、訴訟の会が内外で100万人署名運動を展開するという方針を外国人特派員協会での記者会見で公開したことを忘れているのでしよ うか」 (7 9番) と思われること、 福井、大阪及ぴ福岡で行われた訴訟の会集会ヘの参加費に関し、 事務局として負担すべきであると事務局で決定されたことにっいて、 原告が被告崔が 「再び会計担当者に強い要求を繰り返した」 と表現していることに対して、そのようなことは一切なく、これも 「島弁護士の私を落とし込もうとする悪意の表現」(8 0番) であること、事務局長の辞任を迫り辞めないと 自分がこの裁判から手を引く と して 「弁護団の主導に従ゎない原告達は 「追放」 すると 「脅迫」 し続けてきたのは島弁護士」 (8 1番) であり、「自分が脅迫した事実が明らかになりそうになると声高に 「嘘つき」 呼ばりを繰り返してきたのも島弁護士」 (8 2番) であること、 原告の 「弁護士の職務を逸脱した行為, 原告団ヘの不当な介入、 それが大きな混乱を生んだ」(8 3番) のにどうして弁護団はそのことを問題にしないのかとの疑問があること、その他の本件弁護団声明及び通信2号記事に記されたことも 「事実を歪曲し, 事務局で決定したことさえ、すべて私の指示 ・ 責任であるかのように書いて、多〈の人を惑わして」 (8 4番) おり、 被告崔を 「 「原告団から切り離そう」 」 〈8 5番) とする理由は何か、通信2号記事は話合いを求める 「事務局に対する挑戦」 〈8 6番〉 であり、本件弁護団は 「訴訟の会の分断を謀って」 (8 7番) いること 「嘘とデマゴギーで固めた弁護団声明」 (8 8番) に名を連ねて弁護士たちはどのように弁明 し謝罪するのか、これは 「私個人に対する名誉棄損であるばかりでなく、 弁護士職務規定に違反する懲戒に該当ずる行為」 〈8 9番) であることなどが記載されたものとあると認められる。
 上記の記事のうち、 74番及ぴ7 5番の表現は、64番及び6 5番と同様の表現であり、これにっいて述べたとおりである。
 上記の記事は、 7 6番の表現に関して原告の文害 〈文脈上通信2号記事のことのようである) に本件会計要求及び本件辞任要求を被告崔が拒否したのは被告崔個人の責任である旨の記載があるとの事実を摘示した上、それが被告崔個人の責任というイメージを作るために仕立て上げられたものであるとの意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。 
 上記の記事は、7 7番ないし8 0番の表現に関して、原告から、 被告崔の海外渡航費を訴訟の会が負担することができないとするメールが届き、 国内での集会の参加費についても、被告崔が会計担当者に強い要求を繰り返したとの指摘がなされているとの事実を摘示した上、それが被告崔を脅迫するものであり、内外で運動を展開するという訴訟の会の方針を忘れたものであり、被告崔に対して悪意のある表現であるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させると しても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる (乙14, 弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は、 8 1番ないし8 3番の表現に関して、 原告が被告崔に対し訴訟の会の事務局長を辞任するよ うに迫り、その後被告崔を嘘つき呼ばわりしたとの事実を摘示した上、それが本件弁護団の主導に従わないメーカー原告を追放するものであり、脅迫するものであり、 弁護士の職務を逸脱した行為で、 原告団ヘの不当な介入に当たり、 訴訟の会に混乱を生んだとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 認定事実(4)のほか、 原告が,本件MLや訴訟の会の事務局 ・ 弁護団合同会議において、 被告崔が虚偽を述べていると指摘していること 〈乙6, 10一3 〔7 4頁〕 〉 に照らし、 重要な部分について真実であると認められる。 
 上記の記事は、 8 4番ないし8 9番の表現に関して、 本件弁護団声明及び通信2号記事があるとの事実を摘示しだ上、 それが事実を歪曲 し、 多くの人を惑わすもので、被告崔を原告団から切り離そうとしており、事務局に対する挑戦であり、訴訟の会の分断を図るようなものであり、嘘とデマゴギーで固め られたもので、 被告崔に対する名誉毀損に当たり、懲戒事由に該当する行為であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる 〈認定事実(6)) 。  
上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙ー 4のうち74番ないし8 9番を含む記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(21) 別紙1 6について
 甲20及び弁論の全趣旨によれば、別紙16は、 訴訟の会の会報であり、
(ア) 「事務局長と しての見解」 と題す る被告崔名義の記事において、弁護団通
信による一方的な情報操作が行われ、訴訟の会の現事務局が不正な会計処理をしたと 「デマを流して、原発体制の構造的な問題を指摘してきた事務局長を原告から 「追放」 しよう」 (9 0番) としていること、「弁護団の嘘とでっち上げでぬりかためた文害」 (9 ー番) に騙されないでほしいこ と、被告崔の辞任宣言の 「言葉尻を捉え」 〈9 2番) 、 即時退任を迫ってきた弁護団 が、被告崔の代理人を辞任するという宣言文を公表して被告崔を 「原告から追放しよ う と」(9 3番) し、 通信2号記事では新事務局の立ち上げを宣言したこと、弁護団の主導の下で新たな活動を始める少数のメーカー原告が弁護団と一緒になって、訴訟の会の規約の不備を 「あげつらい」 〈94番〉 新たな原告団を作ろう と しているが、「規約を無視した 「クーデ夕ー」 」 〈9 5番) は許されず、そのような 「分断工作」 (9 6番) をせず, 堂々と 総会で互いのマニフェス トを発表し、選挙によって世界中のメーカー原告の判断を仰ぐことを提案すること、現在の訴状が 「原告との麗議なく地裁に提 出された」 (9 7番)ものであり、「原告の思いが反映され」 〈9 8番) ておらず、原告側の 「主張が必ずしも明確でなく」 (9 9番) 、 NPT体制の問題とその責任には言及されておらず、原発そのものが悪であるという主張も脆弱であるところ、裁判は原告が求めたものであり、弁護士はその訴訟代 理人であるから、原告の思いを反映させる裁判にしていこうとの提案などが 記載され、 (イ) 「Q&A原発メーカー訴訟の会と弁護団の混舌い と題する 「事 務局八木沼豊」 名義の記事において、現在、「訴訟の会と弁護団の間で、深 刻な 「混乱」 と 「対立」 」 (100番) が起こっていること、原告と被告崔の対立という形で論争が起き、さらに、弁護団からの事務局長辞任要求と事 務局長の辞任表明、弁護団の特定の弁護士の辞任問題、弁護団から被告崔に対する委任契約解除通告など論争を超えて、深刻な事態になっていること、事務局から再三にわたり話し合いの提案をしているが、「弁護団が応じない」 (101番) こと、このような混乱が生じた原因として、原告が訴訟の会で議論する対象を 「原発ないし原子力に直接関連するテーマのみ」 とするのに対し、被告崔が 「訴訟を展開する上で原発の差別的側面や原発体制の議論は避けて通れない」 主張したこと等に加え、原告の指示により本人の署名のみの訴訟委任状を集めて東京地裁に提出した結果、 日本人については、認印が必須であるとの判断が示されたことから、訴訟委任状再提出のため、事務局及びメ ーヵー原告に 「多大な迷惑をかけたにも関わらず、謝罪するどころか次回もあれば同じようにするなどと発言し、島弁護士ヘの信頼をますます失墜させた」 (102番) こと、原発メーカー訴訟において、原告以外 の弁護士を復代理人とすることについてメーカー原告から、このような体制にすると弁護団の中でますます 「島弁護士の主張が強引に通されることになる(103番) のではないかという懸念の声が上がってぃることなどが記載されたものであると認められる。
 上記例の記事は、9 0番及ぴ9 1番の表現に関して、通信2号記事等の弁護団通信があるとの事実を摘示した上、それがデマを流して被告崔をメーカー原告から追放しよう とするものであり、嘘とでっち上げで塗り固めた文害であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 真実であると認められる (認定事実(6))。
 上記(ア)の記事は、9 2番ないし9 6番の表現に関して、本件辞任時期問題のあること及び新事務局立ち上げの話があるとの事実を摘示した上、本件辞任時機問題についての本件弁護団の態度が被告崔の辞任宣言の言葉尻を捉えたものであり、被告崔をメーカー原告から追放しよう とするものであり、新事務局の立ち上げは、規約の不備をあげつらったもので、規約を無視したクーデターであり、分断工作であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(5)、(7)) 。
 上記(ア)の記事は、9 7番なぃし9 9番の表現に関して、原発メーカー訴訟の訴状がメーカー原告との協議なしに地裁に提出されたとの事実を摘示した上、訴状にメーカー原告の思いが反映されておらず, 主張も必ずしも明確でないとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 被告崔には最終的に提出された訴状にその提出前に目を通す機会がなかったこと(乙3 4、弁論の全趣旨) に照らし、重要な部分について真実であると認められる。
 上記(ア)の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱してぃるとは
認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙1 6のうち上記(ア)の記事について、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。 
 上記(イ)の記事は、100番の表現に関して、原告ら本件弁護団が被告崔に対し訴訟の会の事務局長の辞任を求め、被告崔が辞任を表明 したこと、弁護団の特定の弁護士について、メーカー原告の一部が弁護団に相応しくないとして辞任を求めていること及び本件弁護団が被告崔の代理人を辞任すること等の混乱や対立が生じているとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記(イ)の記事は、101番の表現に関して、本件弁護団が事務局からの話合いの求めに応じていないとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い上、原告が、その時点で、被告崔ら事務局との話合いの機会を持たなかったことは、原告が積極的に争わないことから、真実であると認められる。
 上記(イ)の記事 は、102番の表現に関して、原告の指示により本人の署名のみの訴状委任状を集めて提出するという本件委任状問題が発生したことにより、事務局やメーカー原告に迷惑がかかり、被告崔らが原告ヘの信頼を失ったとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(9)、 乙3 4、弁論の全趣旨) 。
 上記(イ)の記事は、10 3番の表現に関して、復代理人を選任するという話があるとの事実を摘示した上、その場合に原告の主張が強引に通されることにならないかとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記(イ)の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは
認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙1 6のうち上記(イ)の記事について,、仮にこれが被告らの表現行為であり、かっ、名誉毀損が成立すると しても、違窪性を欠く ものと認められる。

(22) 別紙17について
  甲17によれば、別紙17は、被告崔が本件フェイスブックに投稿した記事であり、「みなさんに訴えます。 「弁護団の嘘とでっち上げでぬりかためた文書」 (10 4番) に騙されないでください。 」 との文言の下に、オクロスの記事 (別紙14のうち74番ないし8 9番を含む記事) へのリンクが貼され、原告団の会報発行に際して、上記記事の内容を全面的に書き換えて、本件弁護団声明に記載された、「敢て崔氏についてのみ辞任しなければならないならないと判断した理由」 全てについて反論しており、 誰もが 「弁護団声明の嘘」 (10 5番) の実態を知るであろうことが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、本件弁護団声明があるとの事実を摘示した上、これが嘘とでっち上げで塗り固めた文書であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 真実であると認められる (認定事実(6)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙ー 7の記事にっいて、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠く ものと認められる。

(23) 別紙1 8にっいて
 甲 18によれば、別紙18は、被告朴が本件フェイスブックに投稿した記事であり、メーカー原告から訴訟の会の事務局に送られた弁護団に対する抗議を内容とするメールについて、これに賛同すると して、当該メールの文面を掲載したものであって、文面中に、通信2号記事及ぴ本件弁護団声明の「この二っの文書は、まったく恥ずべきもの」 (106番)であり、その理由と して、第一に、4 000名に及ぶメーカー原告から被告崔のみを恣意的に選別して、被告崔の代理人のみを辞任するなど 「弁護団にあるまじき暴挙を敢行して、弁護士の基本職務に完全に背く のみならず、 原告団の中に, 差別と分断を持ち込んだ」 (107番)ものであり「集団訴訟といえども,一人一人の原告との個別委任契約である」 などとは「屁理屈も甚だしい」(108番) 「恥ずべき論理であって、人間と しての誠実さを疑わしめる許されざる行為」 (109番)であること、第二に、本件弁護団が、被告崔の訴訟の会の事務局長の辞任を要求するなど、原告団に関わることに関 し、「許されざる不当な介入を行っている」 (110番)ものであり、原発メーカー訴訟の主役は原告であり, 弁護士の職務は原告の代理を務めて, 訴訟を勝利に持って行くことであるのに、どう してこのような 「甚だしぃ越権行為が弁護士の権限内のことであると錯覚している」 (111番)誰も理解できないものであって、弁護団が訴訟の会の事務局長やその在り方について、重大な疑問を感ずるような事態が生じるならぱ, 原告団に問題提起の上, 対処を要請し, その議論の上の決定に従えばよいのであることの以上2点について、「弁護士職務のイロハのイ を理解していない」 (112番)弁護団を糾弾して、その撤回と謝罪を要求する旨が記載されたものでおると認められる。
 上記の記事は, 通信2号記事及び本件弁護団声明があり、本件弁護団の弁護士が被告崔の代理人を辞任し、被告崔の訴訟の会の事務局長の辞任を求めているとの事実を摘示した上、これらが恥ずべきものであり、弁護団にあるまじき暴挙であり、弁護士の基本職務に背き、原告団の中に差別と分断を持ち込むものであり、屁理屈も甚だしく、恥ずべき論理であって、人間としての誠実さを疑わしめる許されざる行為であり、原告団に対する許されざる不当な介入であり、弁護士の権限内のこと と錯覚した甚だしい越権行為であり、弁護士の職務の基礎を理解していないものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(4)、(6)、8)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く 、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙18の記事について、 名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

(24) 別紙14のうち113番ないし115番を含む記事について
  甲16によれば、別紙14のうち113番ないし115番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載 した 「弁護団声明の撤回と謝罪を要求するー吾郷健二」 と題する記事であり、メーカ千原告の一人の意見を紹介するという形でが、植民地主義とNPT体制を 「サヨク用語」 と し、使うべきではないとする 「島弁護士の、あまりに世界の常識に反した発言」 (113番) を批判し、事務局長一人を狙い打ちし、 原告からの 「追放」 を正当化する, 「嘘とデマゴギーで固めた」 (114番) 「崔勝久氏に関する弁護団声明」 に根本的な過ちがあり、なぜ、河合弁護士と海渡弁護士のような日本の原発裁判の中心にいる弁護士がこのような 「幼稚で、悪意に満ちた文喜」 (115番) に同意し、名前を載せているのか理解に苦しむことな どが記載されたものであると認められる。 
  上記の記事は、 原告が植民地主義とNPT体制を 「サヨク用語」 として使うべきではないと述べていること及び本件弁護団声明があるとの事実を摘示した上、原告の発言が世界の常識に反するものであり、本件弁護団声明が被告崔を追放すような嘘とデマゴギーで固めた幼稚で悪意に満ちた文害であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 稟実であると認められる (認定事(6))、弁論の全趣旨) 。 
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図る二とにあると認められる。
したがって、別紙14のうち113番ないし115番を含む記事にっいて、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(25) 別紙19にっいて 
 甲 19によれば、別紙19は、被告崔が本件フェイスブックに投稿した記事であり、平成2 6年12月 18 日付けの本件弁護団の本件回答書に対しての反論と して、同月 3 日、束京地裁の裁判長から、 復代理人問題と弁護団の代理人辞任問題について原告団と本件弁護団で協議するよう要請があったのに、その翌日に発表した本件弁護団声明において、被告崔の回答は原告ゃ本件弁護団に対する非難を煽るようなものではないのに、そのような 「偽りの事実を列挙し」 (116番) 、「事実に基づかない不当な決めっけ」 (117番) をしたものであり、理由にならない理由を根拠に 「事務局長を原告から追放しよう とする極めて悪質な声明(118番)に対して、正当な反論をしただけであり、事実関係は読者が二つの見解を読み比べてどちらが誤っているか判断するであろうとして, 参考資料と して、〔makersosh:4079〕 「弁護団回答のうそと二枚舌」 、〔makersosho:4066〕 「みなさんに訴えます。 弁護団の嘘とでっち上げでぬりかためた文書に騙されないでください。」 (いずれも本件MLに投稿されたメールであると窺われ、後者については、別紙14のうち74番ないし8 9番を含む記事と同様の内容であると窺われる。 ) を挙げ、また、同月 2 2 日からの週に本件弁護団 (の会議) が開かれるとのことであるが、「弁護団長の脅迫的な、 弁護士の職務を逸脱した行為」 (119番) について、 事実関係を確保する, まともな話合いをするよう希望すること、さらに、本件弁護団が一部の、それも日本に限定した新たな原告団の立ち上げを 「画策するよ うな、 訴訟の会の分断工作」 (120番) は止めるべきであることなどが記載されたものであると認められる。

 上記の記事は、116番ないし118番の表現に関して、本件弁護団声明があるとの事実を摘示した上、これが偽りの事実を列挙し、事実に基づかない不当な決め付けをするものであり、被告崔をメーカー原告から追放しようとする極めて悪質なものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(6)) 。
 記の記事は、119番の表現に関して、 原告の行為が脅迫的であり、弁護土の職務を逸脱しているとの意見等を表明するものであり、事実を摘示するものではなく、名誉毀損は成立しない。
 上記の記事は、120番の表現に関して、本件弁護団が一部の日本に限定したメーカー原告による新たな原告団を立ち上げよう と しているとの事実を摘示した上、それが画策であり、訴訟の会の分断工作に当たるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わないとから、真実であると認められる。

 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸瞬しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係りかっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙19の記事について、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

(26)別紙14のうち121番ないし125番を含む記事について 
 甲16によれば、別紙14のうち121番ないし125番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「弁護団がメーヵー訴訟の提起者を原告団から「追放」 する真の理由は何か (その2) 」 と題する記事であり、冒頭部分を除いて、別紙19と同一内容のもので、121番ないし125番の表現は、116番ないし120番との同様の表現であると認められる。
 したがって、別紙19について述べたとおり、別紙14のうち121番ないし12 5番を含む記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(27) 別紙2 0について
 甲21の1及び弁論の全趣旨によれば、別紙20 被告朴が本件ML上に投稿 し, かつ、「CC」 と して原告に送付した 「 〔makersosh:4115〕 告訴状及ぴ懲戒請求」 という件名のメールであり, 原告に対する告訴状及び原告への一次懲戒請求の申立書が添付され、本文中に、これまでの 「島昭宏弁護団長の事務局長はじめ原告 ・ サポー夕ーへの侮辱発言に、告訴状と懲戒請求を提出しま した」 (12 6番) と記載されたものであると認められる。
 上記のメールは、原告のメーヵー原告及びその支持者に対する発言に関して、告訴と懲戒請求をしたとの事実を摘示した上、その発言が侮辱であるとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (前提事実(3)) 。 

 上記のメールが人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙2 0のメールについて、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

 (28)別紙2 1について
 甲25によれば、別紙21は、 被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、訴訟の会の事務局は、弁護団との無条件の話合いを求めており、弁護団から被告崔への 「ご通知」 に対して、被告崔が原告及び本件弁護団の共同代表である河合弁護士に宛てたメールを公開するとした上、同メールの引用文中で、東京地裁の裁判長からメーカー原告と弁護団がよく話し合うようにと助言されたにもかかわらず、弁護団がその日に被告崔の代理人辞任の声明を公表し、その後も条件を付け 「事務局との話し合いを拒んでい」 (12 7番) ること、上記 「 ご通知」 で、被告崔が本件弁護団の弁護士ヘの懲戒請求に積極的な役割を果たしている旨の記載があり、それは、誤りであるから訂正を求めるが、被告崔が 「島弁護士の言動は懲戒請求に値する」 (128番) と考えてぃるのは事実であること、「弁護士を信頼できないのであれば、解任すればいい, 原告を信頼できないので弁護士は代理人を辞任するのは当たり前」 というのは人権弁護士を自認し、社会正義のために原発裁判を遂行しようという弁護士の台詞とは思えず、100人以上のメーカー原告が代理人辞任をすべきでないという要望書を出したのに対し、弁護士を信頼できないのであればいつまでに解任届けを出せなどと公言するのは、「弁護士の傲慢であり、盗人猛々 しい」 (12 9番) とはまさにこのことであること、国際連帯運動を広げていく ことなくして原発メーヵー訴訟の勝利はあり えないと話していた原告や河合弁護士が、国際連帯運動のために訴訟の会の会費を使えば 「告訴すると島弁護士は私たちを脅かしま した。 それはまさに懲戒請求に値」 (13 0番) すること、本件弁護団と被告崔が口頭で締結したと被告崔が考えている 「契約を一方的に破棄」 (130番) し、代理人を辞任するというのであれば、その理由を一人一人明らかにすることを求めるものであり、そのような真摯な姿勢がないのであれば、原発メーカー訴訟の訴訟代理人にはふさわしくないと自ら身を引くべきであり, 「名前だけの弁護士は不要」 (13 2番) であって, 被告崔らメーカー原告は、思いを共有でき、一緒に考え、一緒に戦おう とする弁護士を求めていることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、12 7番の表現に関して、訴訟の会の事務局が無条件の話合いを本件弁護団に対し求めているのに、 本件弁護団がそ魏に応じていないとの事実を摘示するものであるが、 原告の社会的評価を低下させるとはいい難しい。
 上記の記事は、12 8番の表現に関して、 原告の言動が懲戒請求に値するとの意見等を表明するものであり、 事実を摘示するものではなく、 それだけでは名誉毀損は成立しない (類似する 130番の表現にっいては後述する。)。
 上記の記事は、129番の表現に関して、原告がメーヵー原告に対し弁護士が信頼できないのであれば解任届を出せと述べたとの事実を摘示した上、それが弁護士の傲慢であり盗人猛々 しいものであるとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 原告が積極的に争わないことから、真実であると認められる。
 上記の記事は、 130番の表現に関して、原告が被告崔に対し国際連帯運動のために訴訟の会の会費を使えば告訴すると告げたとの事実を摘示した上、それが被告崔に対する脅かしであり、懲戒請求に値するとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が被告崔に対し、 被告崔が韓国等に行くのは原発メーカー訴訟とは無関係であり、その賽用を訴訟の会から負担することはできず、そのようなことがあれば刑事告訴を含む法的措置を採る旨のメールを送付していること (甲16) に照ら し、 重要な部分について事実であると認められる。
上記の記事は、131番及び1 3 2番の表現に関して、 代理人を辞任するというので
あれば、それは契約の一方的な破棄であり、明確な理由を述べるような真摯な姿勢がないのであれば、 原発メーカー訴訟の代理人として相応しくなく、また、 名前だけの弁護士として不要である旨の意見等を表明するものであり、事実を摘示するものではなく、名誉毀損は成立しない。
 上記の記事が意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙21の記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(29) 別紙2 2にっいて
  甲2 6によれば、 別紙2 2は、被告崔オクロスに掲載した 「原発メーカー訴訟弁護団の主張の根本的な誤り」 (13 3番) と題する記事であり、原告から送付されてきた通知を巡ってやり取りされたメールの中で弁護団の代理人辞任の主張に根本的な問題があることを明らかにしていること,、原発メーカー訴訟において、メーカー原告と弁護団の間で書類による委任契約が締結されておらず、メーカー原告が訴訟代理人として弁護士を選任することが裁判所に提出された訴訟委任状に明記されているのであるがら、メーカー原告を信頼できないのならば、 弁護士が原発メーカー訴訟の代理人を降り るべきであること、「島弁護士のこの間の言動は, 原告団 (= 「訴訟の会」 )に対する不当な介入であり懲戒請求に値する」 (13 4番) ことは明らかだが、メーカー訴訟に全力を尽くすのであれば,新事務局と蕪条件での話合いに応じ、これからの裁判の進め方について真摯に議論すべきであること, 弁護団が被告崔の代理人辞任を強行すれば、弁護団を解任するメーカー原告が多く存在し、裁判の遅延にっながるのであり、弁護団はそのような行為をすべきでないことなどが記載された上、別紙2 1に引用されたのと同一のメールを引用し(135番なぃし14 0番) 、原告は、 被告崔が本件弁護団の共同代表宛のメールで原告から配達証明で通知が届いたと指摘したのに対し、返信のメールで,、弁護団から内容証明郵便が送られたのではないかと指摘するなど 「些細な形式にこだわり」 (141番)「大衆に便乗ずるポーズをとり続けて」 (1 4 2番) おり, 被告崔が植民地主義やNPT体制にっいて主張することに耳を貸さず、裁判を利用 して民族運動を行おうとしているという理由で事務局長の辞任を求めたことに、すべての混乱の発端があるのに、それが分からない 「懲りない人」 (143番) であること、原告が 「歪んだ、事実を歪曲した理由」 (14 4番) で弁護団名義で代理人辞任の声明を公表し、 「若手弁護士を引きずり込みま した」 (1 4 5番) が、その責任をとれるのか、「弁護団のマイナスの面に我慢ができず、名前を出した弁護団全貫を懲戒請求する人たちを自分たちは止めることができ」 ず、 若手弁護士にも問題があるが、「一番問題は島弁護士」 (14 6番) であり、「原告の気持ちを聞き、 話しあおう ともせず自分の思うような裁判をしたいとする弁護士」 (14 7番) は原発メーカー訴訟に相応しく ないことなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、13 3番の表現に関して、本件弁護団が被告崔の代理人辞任に関する主張をしているという事実を摘示した上、その主張が根本的に誤っているとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、 当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事(6)) 。

 上記の記事は、13 4番の表現に関して、原告の言動が訴訟の会に対する不当な介入であり懲戒請求に値するとの意見等を表明するものであり、事実を摘示するものではなく、名誉毀損は成立しない。
 上記の記事のうち、1 3 5番ないし140番の表現は、いずれも、別紙21のうちの127番ないし132番の表現と同一内容の表現であると認められ、別紙2 1にっいて述べたとおりである。 
 上記記事は141番の表現に関して、原告が被告崔の原告から配達証明で通知が届いたとの指摘に対して弁護団から内容証明郵便が送られたのではないかと指摘したとの事実を摘示した上、些細な形式にこだゎるものであるとの意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を祇下させるとはいい難い。

 上記の記事は、14 2番の表現に関して、 原告が植民地主義やNPT体制にっいて主張することに耳を貸さなぃとの事実を摘示した上、 それが大衆に便乗するポーズであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認め られる (認定事実(2)、弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は, 14 3番の表現に関して、混乱の発端が被告崔に対し裁判を利用 して民族運動をやろうとしているとの理由で事務局長の辞任を求めたことにあることを原告が分かっていないとの事実を摘示した上、原告が懲りない人であるとの意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事は、144番ないし147番の表現に関して、若手弁護士も名を連ねた本件弁護団声明があること及び原告が被告崔らと話合いをしないとの事実を摘示した上、弁護団のマイナス面に我慢ができず原告が引きずり込んだ若手弁護士を含む弁護団全員について懲戒請求をするメーカー原告がいても被告崔には止められず、問題なのは被告崔らメーカー原告の気持ちを聞き、話し合おうとせず、自分の思うような裁判をしたいとする原告であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(6))、弁論の全趣旨) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、別紙2 2の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(30) 別紙23について
 甲27及び弁論の全趣旨によれば、別紙23は、被告崔がオク ロスに掲載 した 「原発メーカー訴訟の訴状の問題点」 と題する記事であり、原発メーカー訴訟の国際連帯運動等の方針について、運動の在り方を一っに定め、そ れを絶対化し、批判を許さないというのは、批判者の排除につながるものであり、明確な理由なく 「弁護団の言うことに従わない (「弁護士ヘのリスぺ ク トが足りない」 ー河合弁護士) 原告を 「排除」 」 (149番) することを当然視する現状で、GE等を相手に戦えるのか、「内部批判を 「排除」 す る」 (150番)ような戦いは、運動を空洞化させること、 原発メーカー訴訟の訴状にっいて、「訴状の細かい点と して例えぱ、核反応を 「化学反応」としたり、国内の原爆 (ママ) の数の誤り」 (151番) があり、また、原発メーカー訴訟における精神的損害とは、 原発事故そのものだけでなく、従前知らされていなかったことが事故後明らかになったことに対する怒りを含んだものと考えるが、被告崔には訴状にその怒りが感じられず, 「何かいろんなところから寄せ集めて書いた教科書のような感じ」 (152番) がし、さらに、訴状には原告の怒りがこめられるべきであるのに、特に 「海外の、日本よりはるかに多い原告の気持ち、怒りの描写は平明すぎます。海外の原告から私たちは単なる原告の数集めだったのかと批判される」(153番)所以であるところ、それは、「訴状が原告との打ち合わせもなく、書かれた訴状に関して原告との意見交換もなく」 (15 4番) 提訴されたことと関連するように思われ、原告当事者が怒りを裁判の中で訴えるべきであると考えられるのに対し、その原初的なメーカー原告の怒りを代弁して 「法律語」 で語るのが弁護士の役割であって、「弁護団の言うことに従わない原告は 「排除」するなどということを弁護士が発言ずることは本末転倒」 〈1 5 5番)であり、「原告の思ぃを受け止めない弁護士はそれ自体、 弁護士会の懲戒申請に該当」 (1 5 6番) すること、また, 上記のような訴状批判をし、 弁護団の在り方を問題にしてきた被告崔の代理人を辞任すると弁護団は公言して止まないが、それは、すなわち、共に裁判闘争を進める 「仲問からの 「排除」 」 (15 7番) であり、 弁護団は一部原告の代理人を辞任することを進めよう と しているが、「弁護団が出した理由は極めて一方的で、 事実誤認に基づき、 「排除」 するという感情が先行するもの」 (15 8番〉 であり、 被告崔が事務局長を辞め、役員にも就かなかったのに、新事務局の無条件の 「話し合い要求に弁護団は一切、 応じよ う と し」 〈1 5 9番) ないし、 いよいよ審理が始まるが、弁護団の願うように彼らの 「指導に応じない原告を「排除」 」 (160 番) した場合、メーカー原告は、原告であることをやめるか、本人訴訟をするしかないことなどが記載されたものであると認められる 。 
 上記の記事は、14 9番、1 5 0番、1 5 5番、1 5 7番、15 8番及び160番の表現に関して,訴状の内容を含む原発メーカー訴訟の追行方針について、本件弁護団と異なる意見を持ち、本件弁護団を批判してきた被告崔の代理人を辞任すると本件弁護団が公言しているという事実を摘示した上、それが被告崔を排除するものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(2)(4)、弁論の全趣旨) 。

 上記の記事は、151番の表現に関して,弁護団が作成した原発メーヵー訴訟の訴状には細かい部分に誤りがあるとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事は15 2番ないし154番の表現に関して、当該訴状がメーカー原告との打ち合わせなしに書かれ、当該訴状に関してメーカー原告との打ち合わせもなかったとの事実を摘示した上、寄せ集めで書いた教科書のような訴状であり、海外のメーカー原告から 「私たちは単なる原告の数集めだったのか」 と批判されるものであるとの意見等を表明するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、被告崔には最終的に提出された訴状にその提出前に目を通す機会がなかったこと (乙3 4、弁論の全趣旨) に照らし、重要な部分におぃて真実であると認められる。
 上記の記事は、15 6番の表現に関して、依頼者の思いを受け止めない弁護士は懲戒請求を受けることが相当であるとの一般論を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事は、15 9番の表現に関して、訴訟の会の事務局が無条件の話合いを本件弁護団に対し求めているのに、本件弁護団がそれに応じていないとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、別紙2 3の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。


(31) 別紙24について
 甲2 8によれば、別紙24は、被告崔がオクロスに掲載した 「原発メーカー訴訟の 「混舌L」の解決に向けて」と題する記事であり、本件弁護団が原告を 「排除」しようとした」 (161番) ことによる混乱も最終段階まで来ており, 代理人辞任を裁判所に通知して 「排除」 を貫徹するか、メーカー原告と一つになって原発メーカー訴訟の方針を協議するため、代理人辞任を中止するかを決断しなければならない状況に追い込まれていること、現在本件弁護団が被告崔に対し 「自分たちが理由にならない理由で原告との契約解除した」 (16 2番) ことを認めた上で、再委任契約の締結の要望書を弁護団に提出することを要請してきているが、その問題点を深く考察するために、原告が被告崔に謝罪し原告が被告崔を非難してきた内容を撤回すると言ってきたメールを公開することで、原告らの現在の動向の実態を理解する手助けをするとして、平成2 6年10月に原告から被告崔に送られたメール2通が貼り付けられ、代理人辞任という、弁護団が 「原告を 「排除」 するという、集団訴訟ではおそらく日本の裁判史上例のなぃ事態をめぐって 「混 乱」 」 (16 3番) があったが、「排除」を決行するかどうか本件弁護団が決断する時期が来ていること、原告が要求する 「混乱の解決案」 の問題点として、被告崔が委任再契約締結の要望害を出せば本件弁護団で代理人辞任の中止を検討するという 「弁護団の言い分は甘言であり、島弁護士の 「罠」 」 (16 4番) であり、被告崔の代理人を辞任することを中止するのであれば、元々の委任契約が口頭のものであり、裁判所にも辞任する旨は未だ通知されていないのであるから、中止する旨を被告崔に伝え、裁判所に辞任届を提出しなければ済み、 被告崔の要望書は必要ないはずなのに、これを要求するのは、「分裂」 を恐れる 「気持ちを逆手にとった 「罠」 」 (1 6 5番) であり、別の目的があるとしか考えられず、「目的のひとっに、訴訟の会、事務局の分断がはいっている」 (16 6番) ことは間違いなく「島弁護士たちの提案は、こちらからその要望書をださせるために、 あたかもこちらの「分裂」 を避ける気持ちに手を差し伸べているような体裁をとる 悪質なもの」 (16 7番) であることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、16 1番の表現に関して、本件弁言団が被告崔の代理人を辞任しようと しているとの事実を摘示した上、これが被告崔をメーカー原告から排除するものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は,、真実であると認められる (認定事実(4))。
 上記の記事は、16 2番の表現に関して、本件弁護団が被告崔に対し、自分たちが理由にならない理由で被告崔との契約を解除したことを認め、再委任契約の締結の要望書を本件弁護団に提出することを要請しているとの事実を摘示するものであるが、原告の社会的評価が低下させるとはいい難い。
 上記の記事は,、16 3番の表現に関して、本件弁護団が被告崔の代理人を辞任しようと し、それを巡って混乱が生じたとの事実を摘示した上、それが弁護団による依頼者の排除であり、集団訴訟では日本の裁判史上例のない事態であろう との批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる(認定事実(4)、弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は、164番ないし167番の表現に関して、本件弁護団が被告崔に対し、再委任契約め締結の要望書を本件弁護団に対して提出することを求めているとの事実を摘示した上、その目的のひとつに訴訟の会、事務局の分断があり、分裂を避けたい被告崔らメーヵー原告の気持ちを逆手にとって、手を差し伸べているような体裁をとる罠や甘言であり、悪質なものであるという批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わないことから、真実であると認められる。

 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙2 4の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。 

(32) 別紙25のうち168番ないし172番を含む記事について 
 甲30によれば、別紙25のうち168番ないし172番を含む記事は、被告崔がオク ロスに掲載した 「原発メーカー訴訟の会の朴事務局長からの報告ー原告が参加できなぃ理由は何か」 と題する記事であり、原発メーカー訴訟の第ー回口頭弁論の日程を決める打合せについて、本件弁護団から訴訟の会の事務局に対し、代理人のみが参加するとの通告があり、そこで被告朴が東京地裁に問い合わせたところ、原告本人に参加の権利はあるが、部屋が狭いことなどから参加しないようにお願いをしているという話であったこと、東京地裁の言い分は論弁であり、裁判に立ち上がったメーカー原告には期日設定の打合せにも参加する権利があること、そもそもメーカー原告側の出席枠の6名の中に原告本人を入れないというのは誰の判断であるのか、出席枠の6名を原告、復代理人2人、訴訟の会のメーー原告から2人、本件弁護団傘下のメーカー原告から ー人という構成とすることを要求すれば、裁判所はこれを拒めなかったはずであり、ここに 「弁護団の、原発メーカー訴訟の原告団の意思をないがしろにする姿勢が現れており」 (16 8番〉、 残念であること、「島弁護士は、原発メーカー訴訟は原告側は弁護団にすべて 「丸なげ」 するべきだと勘違いしている」 (1 6 9番) のではないか、「弁護団が、自分たち弁護団の 「主導」 に従わない原告は 「本弁護団から切り離す」(=排除する) と公言していることそのものが、 まさに本末転倒」 (170番)であり、弁護団はあくまでも代理人であるのに、いつの間にか、 裁判は弁護団が 「主導」 していくべきものと 「錯覚している」 (1 7 1番) ように思われ、今回の 「原告を 「排除」して進めようとした」 (17 2番) 打合わせ会議の在り方にその一端が見て取れることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、束京地裁で原発メーカー訴訟の第ー 回口頭弁論の日程を決める打合せ (甲3 0の他の記事によれば、進行協議期日であると認められる ) が行われるに当たり、 本件弁護団から訴訟の会の事務局に対し、 代理人のみが参加するとの通告があり、被告朴が東京地裁に問い合わせたところ、法的根拠はないが、部屋が狭いことなどから原告本人は参加しないようにお願いをしているという話があったとの事実、及び、本件弁護団が本件弁護団の主導に従わないメーヵ一原告は切り離すと公言していとの事実を摘示した上、東京地裁の言い分が論弁であり、また、そもそも, メーカー原告側出席枠の6名を原告を含む代理人3名、メーカー原告3名とすれば、裁判所はこれを拒めなかったはずであるのに、本件弁護団がそれをはしなかったのは、原告団の意思をないがしろにする本件弁護団の姿勢が表れており、原告はメーカー原告側が本件弁護団に全て丸投げすべきだと勘違いしているのではないか、上記の公言は排除であり、本末転倒である、本件弁護団は弁護団が裁判を主導していくべきものと錯覚していると思われ、今回の打合せもメーカー原告を排除して進めよう と したものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 原告が積極的に争わなことから、真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻臺に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、 その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、 かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙25のうち168番ないし172番を含む記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠く ものと認められる。

(33) 別紙2 5のうち17 3番ないし177番を含む記事にっいて 
 甲30によれば、別紙25のうち173番ないし177番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載 した 「東京地裁からの朴事務局長の報告ー 「弁護団の大嘘」 (17 5番) が明らかに」 と題する記事であり、被告朴が、原発メーカー訴訟の進行協議が行われる東京地裁に赴いたところ、書記官が傍聴 を認めたこと、メーカー原告側で発言したのは原告のみで、 被告側代理人から 「問題は賠償法だけですな」 というつぶやきがあるなど、数回の口頭弁論 で結審を迎えるような雰囲気であり、教科書的にさまざまな情報を集めて書 かれた訴状だけでは彼ら原子力ムラの 「大物弁護士の前では歯がたたない」(1 7 6番) のかと思われること、本件弁護団が出したメールに 「今回の進行協議に関しては、原告の出席のご要望をお断り しました。 その理由は、裁判所より、代理人のみ定員6名の出席でお願いしたいと要請があった」 とあったが、被告朴が書記官に確認したところ、原告の枠は6名と言っただけで, 出席者は代理人に限ってほしいといぅ要請は一切していなぃということであり、「弁護団はすぐわかる嘘をっきます」 (17 3番) 、本件弁護団は最後の最後まで、「彼の傍聴を阻止したかった」 (17 7番) のでしょ う、「こういう嘘を弁護団がついて」 (17 4番) はいけませんなどと記載されたものであると認められる。 
 上記の記事は、17 3番ないし17 5番及び17 7番の表現に関して、被告朴が原発メーカー訴訟の進行協議期日当日に束京地裁に赴いたところ、事前に本件弁護団から代理人のみ定員6名の出席でお願いするとの要請があったとのメールがあったのに、害記官から傍聴を認められ、さらに被告朴が書記官に確認したところ、 上記のような要請は一切していないということであ り、この点に関して、本件弁護団が嘘を付ぃていたとの事実を摘示した上、これが大嘘、すぐ分かる嘘であり、本件弁護団は被告朴の傍聴を阻止した かったのであろうが、そのような嘘をついてはならないとの意見等を表明したものであり、原告の社会的評価を低下させるといえる。 ぞして、上記(32)において真実であると認定した別紙25のうち168番ないし172番を含む記事の摘示事実に照ら し、被告朴が事前に東京地裁に問い合わせた際には、部屋が狭いことなどから原告本人は進行協議期日に参加しないようにお願いしているとの回答があったと認められるから、たとえ当該期日当日に対応した書記官が被告朴に対してそのよ うな要請はしていないと述べたと しても(ただし、そのような発言のあったことを認めるに足りる証拠は存在しない。 ) 、それは裁判所の回答が変遷しているというだけのことであり、本件弁護団が嘘を付いたことはならない。 他に、当該意見等の前提となった上記の摘示事実のうち、本件弁護団が嘘を付いていたとの事実是真実であること、又は真実であると真実について相当の理由があることを認めるに足りる証拠は存在しない。
 上記の記事は、176番の表現に関して、進行協議期日において被告側代理人が 「 問題は原賠法だけですな」 とつぶやくなどしたとの事実を摘示した上、 教科書的な訴状だけでは被告側代理人に歯がたたないのかとの意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 したがって、別紙2 5のうち17 3番ないし177番を含む記事は、173番ないし17 5番及び17 7番の表現に関して名誉毀損が成立すると認められ (記事の掲載者及び内容に照らし、被告らの共同不法行為に当たるものと認められる。 ) 、 これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められない。

(34) 別紙2 6について
  甲31によれば、別紙2 6は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、「原発メーカー訴訟弁護団のHPになんとも 「低劣な弁護団の見解」 (17 8番〉 が示されています。 」 と記載され、同ホームぺージへのリンクが貼られたものであると認められる。
 上記の記事は,、原告が問題とする 178番の表現に関する限り、本件弁護団のホームぺージに本件弁護団の見解が示されているとの事実を摘示した上、その内容が低劣であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、原告が積極的に争わないことから、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙26の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(35) 別紙2 7について 
 甲2 9によれば、別紙2 7は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、「 「原発メーカー訴訟の会」 朴事務局長の、驚くべき傍聴記録ーこれは 「弁護団の原子力村の大物弁護士と裁判所への擦り寄りではなぃか、原告ヘの裏切り 」 (17 9番) ではないか?」 と して、東京地裁での進行協議について、本件弁護団は原告側の6名の枠にメーカー原告本人を入れなかったが、被告朴が申 し出た傍聴を裁判所は認め、また、後に裁判所は本件弁護団に進行協議の原告側メンバーは代理人に限るという通知は一切していないことが判明 したのであり、「弁護団は明らかに嘘をっき、原告を排除した」(180番) こと、その理由は、被告朴の 「東京地方裁判所での進行協議を傍聴した報告及び意見書」で明らかにされており、本件弁護団は、 GE等の原子力村の大物弁護士が原発メーカー訴訟について早期終結の提案をしたことに対して何らの異議を唱えることなく、「彼らになびく姿勢を見せた」(181番)が、数回の審議で終わらせることは断じて認めることはできず、本件弁護団がそのような 「原告の意思に反する協議」 (1 8 2番) を相手方弁護士や裁判所と進めることは許されないこと、上記被告朴の報告及ぴ意見書の引用文中で、進行協議で、 被告GEの代理人が原賠法の筆いであり、 3回の口頭弁論で結審 ・ 判決をすることを裁判長に要請したのに対し、島原告理人は、反論しませんでした」 (18 3番)、 原告は、第ー回口頭弁論で、原発メーカー訴訟の概要 ・ 意義と原告当事者ー名の意見陳述を要求したが、「原告弁護団は、訴状作成にあたっても原告の意思を諮ることなく、弁護団だけで作成した経緯があり」 (18 4番) 、本件弁護団が作成した訴状に沿って意義、概要を説明するだけであり、結論及び見解として、①裁判長は、原発メーカー訴訟の被告側の言い分に沿って、短期問で審理を終結する可能性が高い、②海外の精神的損害を被ったメーカー原告の声について言及しなかった、③差別 ・ 抑圧を基盤に構築された 「原発(NPT 体制」 の本質について、本件弁護団は全く触れなかった、④原子炉製造の欠陥についての証人申請に全く触れなかった、⑤ 「島弁護士は、原子力ムラ弁護士と裁判所の進めようとする方向に反論せず、沈黙した」 (1 8 5番) のであり、次回進行協議にメーカー原告も積極的に出席すべきで、裁判の進め方に対する本件弁護団とメーカー原告の話合いが必要であること、本件弁護団は、上記のことを公にしないで原告の意思を反映させず、本件弁護団主導で訴訟を進行せるために、「勝手に原告当事者の出席を断った」 (1 8 6番) と被告朴は判断すること、問題は、メーカー原告の意思を無視し、 裁判所が開く協議進行会議に独断でメーカー原告の出席を拒否し、「意図的に原告を混乱させる弁護団」 (18 7番) に訴訟を任してよいのかなどと記載されたものであると認められる。

 上記の記事は、179番、181番ないし183番及び185番の表現に関して、原発メーカー訴訟の進行協議期日において被告側代理人が審理の早期終結を希望したことに対して、原舎が異議を唱えず、 反論もせず、沈黙しなかったとの事実を摘示した上、それが被告側代理人に対する擦り寄りであり、メーカー原告に対する裏切りと思われ、被告側代理人になびく姿勢であり、メーカー原告の意思に反するものであると の批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、原告が積極的に争わないことから、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる。
 上記の記事は、180番の表現に関して、上記の進行協議期日について、裁判所は本件弁護団に進行協議の原告側メ ンバーは代理人に限るという通知を一切していないことが判明し、その通知があるとしていた本件弁護団は嘘を付いていたとの事実を摘示した上、これがメーカー原告を排除したものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるものであるが、当該意見等の前提となった上記の摘示韋実のうち本件弁護団が嘘を付いていたとの事実が真実であること、又は真実であると信じるにっいて相当の理由があることを認めるに足りる証拠が存在しないことは、上記(33)に説示したとおりである。
 上記の記事のうち、184番の表現は、 2 7番と同様の表現であり、これについて述べたとおりである。
 上記の記事は、18 6番及び187番の表現に関して、本件弁護団が進行評議期日への原告本人の出席を勝手に断りないし独断で拒否したとの事実を摘示した上、これが本件弁護団主導で訴訟を進行させるためのもので、 意図的にメーカー原告を混乱させるものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるものであるが、当該意見等の前提 となった上記の摘示事実のうち本件弁護団が原告本人の出席を断りないし独断で拒否したとの事実が真実であること、又は真実であると信じるについて相当の理由があることを認めるに足りる証拠が存在しないことは,上記(33)に説示したところと同様である。
 上記の記事は、179番、181番ないし185番の表現に関して、人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、別紙2 7の記事は、180番、18 6番及ぴ18 7番の表現に関して、名誉毀損が成立すると認め られ (記事の掲載者及ぴ内容に照らし、被告らの共同不法行為に当たるものと認められる。 ) 、これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められない。

(36) 別紙25のうち188番ないし19 6番を含む記事について
 甲30及びによれば、 別紙25のうち188番ないし196番を含む記事は、被告崔がオクロスに掲載した 「東京地方裁判所での進行協議を傍聴した報告及ぴ意見害一 「原発メーカー訴訟の会」 朴鐘碩事務局長」 と題する記事であり、その内容は、別紙2 7 とほぼ同一であると認められる。
 したがって、上記(35)に認定、説示したとおり、 別紙2 5のうち18 8番ないし19 6番を含む記事は、18 9番、19 5番及び19 6番の表現 (別紙2 7の記事のうち180番、18 6番及び18 7番に相当するもの) に関して、 名誉毀損が成立すると認められ (記事の掲載者及び内容に照らし、被告らの共同不法行為に当たるものと認められる。 ) , これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められない。

(37) 別紙2 8について
 甲3 3によれば、 別紙2 8は、被告崔がオクロスに掲載した「原告との話し合いを拒否した原告弁護団に強く抗議をします一朴 「訴訟の会」 事務局長」 と題する被告朴作戌名義の記事であり、原発メーカー訴訟の提起後、平成2 6年6月 3 日に進行協議が行われ、本件弁護団は、原告側6名の出席枠に対し、裁判所の意向という 口実でメーカー原告本人の参加を拒否したこと、被告朴が進行協議に参加したところ、被告側代理人が早期結審を裁判長に要請したのに対し、本件弁護団は沈黙したが、メーカー原告はそのような早期結審を求めていないこと、本件弁護団の対応に疑問を感じた訴訟の会の事務局が今後の裁判の進め方に関する協議を求めて、6月 9 日に事務局長名で本件弁護団に話合いの申入れをしたが、当初の回答締切日には回答がなく、再度の回答を求めたところ、協譲を拒否する回答が来たこと、当該回答の問題点として、被告朴が訴訟の会を代表して事務局長の肩書で上記申入れをしたにもかかわらず、本件弁護団からの回答は被告朴個人宛であり、これは訴訟の会と事務局長の分断、そして訴訟の会及び事務局内部の分断を狙う「陰険 ・悪質な意図をもったやり方」 (19 7番) と判断せざるを得ず、仮に、メーカー原告である被告朴に宛てた話合しヽの拒否であっても、本件弁護団が原告との話合いを拒杏するのは、メーカー原告から選任された代理人と してとるべき態度ではなく、これは明らかに 「弁護士の職務規走に反する行為」(1 9 8番) であり、また、本件弁護団は被告朴やその他のメーカー原告に対し、本件弁護団の意向に沿わない、主導に従わないメーカー原告は外し、あるいはそのメーカー原告の代理人を辞任するという脅迫的なやり方をとったが、それと同じ手法、すなわち、原発メーカー訴訟は、メーカー原告でなく本件弁護団が中心になって進めていくという姿勢を被告朴にとっており、「弁護団の傲慢、 特権意識、 自己顕示欲の表れ」 (19 9番)と しか言いようがないことなどが記載されたものであると認められる。

 上記の記事は、19 7番の表現に関して,、訴訟の会の事務局長の肩害で行われた被告朴の話合いの申入れに対し、本件弁護団が被告朴個人宛に回答を行ったとの事実を摘示した上、それが陰険で悪質な意図をもったやり方であるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させるとしても、 原告が積極的に争わないことから、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は, 真実であると認められる。
 上記の記事は、19 8番の表現に関して、上記の本件弁護団の回答が拒否回答であったとの事実を摘示した上それが代理人と してとるべき態度ではなく、弁護士の職務規定に反する行為であるとの批判的な意見等を表明するものであり,、原告の社会的評価を低下させるとしても、原告が争ゎないことから、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる。
 上記の記事は、19 9番の表現に関して、本件弁護団が意向に沿わないメーカー原告の代理人を辞任するというやり方をとってきたという事実を摘示した上,、それがメーカー原告を外し、原発メーカー訴訟はメーカー原告でなく本件弁護団が中心になって進めていく という姿勢、弁護団の傲慢,、特権意識、 自己顕示欲の現れであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実である と認め られる (認定事実(4)、弁論の全趣旨) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、 その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙2 8の記事について、 名誉毀損が成立するとしても違法性を欠く ものと認められる。


(38) 別紙2 9について
 甲34によれば、 別紙29は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、本件弁護団が被告らの代理人を辞任した旨を裁判所に通知した旨連絡してきたこと, 被告崔が原発メーカー訴訟を利用して民族運動をしようとしているとして被告崔の事務局長辞任を要求するなどして、弁護団の主導に従わないメーカー原告は降りて欲しいと 「名指しで原告を脅かしてきた現弁護団」 (200番) はついにここに来て、実際に二人の事務局長の代理人を辞任したことなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、200番の表現に関して、本件弁護団が被告崔に対し原発メーカー訴訟を利用して民族運動をしようとしているとして被告崔の事務局長辞任を要求するなどしたとの事実を摘示した上、それが本件弁護団の主導に従わないメーカー原告は降りて名指しで脅すものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる(認定事実(3)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係りかつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって、 別紙2 9の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(39) 別紙30について 
 甲3 5によれば、別紙30は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、原発メーカー訴訟の訴状と答弁書を何度も読み検証したが、このままでは完敗であり、具体的な審理に至らず、その入ロで排斥されるとして、被告らとの委任関係を切ってきた本件弁護団が弁護士としてやってきた内容は、かくも 「お粗末なもの」 (203番) であったということのほか、被告朴の本件弁護団への抗議文を紹介するとして、別紙2 8とほぼ同一の記事が記載された (201、202、 204番) ものであると認められる。
 上記の記事は、2 03番の表現に関して、 被告崔が原発メーカー訴訟の訴状と答弁書を読み比べたとの事実を摘示した上、このままでは具体的審理に至らず、その入口で排斥されると予想され、本件弁護団がやってきた内容はそのようなお粗末なものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (乙3 4, 弁論の全趣旨) 。
 上記の記事のうち、201番、202番及び204番の表現は、197番ないし199番と同様の表現であり、これにっいて述べたとおりである。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等と しての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙3 0の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠く ものと認められる。

(40) 別紙31にっいて
 甲4 0によれば、別紙31は、被告崔がオク口スに掲載した 「原発メーカー訴訟の第ー回口頭弁論がはじまります一原発メーカーの責任を審理させるまともな裁判を目指します」 と題する記事 (前記のとおり、別紙主張整理表の「態様」には 「本件フェイスブック」 とあるが、「オクロス」 の誤りである。 ) であり、原発メーカー訴訟の第ー回目の口頭弁論が8月 2 8 日に始まるとの通知が本件MLで公表されており、 その中で本件弁護団が一方的に被告崔との委任契約を解除し、代理人辞任をした経過と被告崔の見解が述べられていること、「弁護団の暴挙」 (206番) によって、本人訴訟に追い込まれたが、被告らは、今後、本件弁護団を解任するメーカー原告と共に審理を続け、原発メーカーの責任を明らかにさせたいと考えていること、上記の通知を引用する中で、 代理人辞任の意味として、代理人に選任された者が正当な理由もなく代理人を辞任することは、弁護士としてとるべき姿勢ではなく、これは 「弁護士の職務規定に反する行為」(2 0 7番) であり、本件弁護団の意向に沿わない、主導に従わない、 批判するメーカー原告は排除する、あるいはその代理人を辞任するという 「脅迫的なやり方」 (2 0 8番) は、被告崔ゃ他のメーカー原告に対してり, 原発メーカー訴訟はメーカー原告でなく本件弁護団が中心になって、思うように進めていくという姿勢であり、これはメーカー原告の立場人権を尊重せず、「弁護団の傲慢、特権意識、自己顕示欲の表れ」 (205番) であることなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、206番の表現に関して、本件弁護団が、一方的に、被告崔との委任契約を解除し、代埋人を辞任したとの事実を摘示した上、それが暴挙であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原吾の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 重要な部分にっいて真実であると認められる (認定事実(8)) 。
 上記の記事は、 207番の表現は、本件弁護団が被告らの代理人を辞任したとの事実を摘示した上、それが正当な理由のないものであり、弁護士と してとるべき姿勢ではなく、弁護士の職務規定に反する行為であるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる。(認定事実(8)、乙3 4) 。 
 上記の記事は、208番の表現に関して、本件弁護団が翼の意向に沿わない、主導に従わない、批判するメーカー原告の代理人を辞任するという姿勢をとっているとの事実を指摘した上、それがメーカー原告を排除する、脅迫的なやり方であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、重要な部分にっいて、 真実であると認められる (認定事実(2)~(8)) 。
 上記の記事のうち、 205番の表現は 199番と同様の表現であり、これにっいて述ベたとおりである。 
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙31の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる。

(41) 別紙 3 2 について
 甲41によれば、別紙32は、訴訟の会の名義で、メーカー原告らに郵送された訴訟の会名義の通知であり、別紙31において引用された部分と同一内容のものであると認められる。上記の通知のうち、209番の表現は、205番の表現と同様の表現であり、これについて述べたとおりである。
 したがって、 別紙32の通知について、仮にこれが被告らの表現行為であり、名誉毀損が成立すると しても、違法性を欠くものと認められる。

〈42) 別紙33にっいて
 甲42 によれば、 別紙33は、被告崔が本件フェイスブックに投稿した記事であり、原発メーカー訴訟について、本人訴訟となったメーカー原告の一部が選定当事者として出廷すること、原発メーカー訴訟の会 ・ 本人訴訟団が結成されたこと、日本人より韓国人、中国人のメーカー原告が多いと代理人を降りると言い出し、原発は差別体制の上に成り立っていることとNPT体制のことに触れることは、日本の右翼マスメディアを刺激し、 何よりも若い人は運動から離れるとして事務局長の辞任を迫った 「島弁護団の行為は、 原告内の差別言質を発し暴力を振るう行為を生み出しました」 (210番) などと記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、原告が、日本人より韓国人、中国人のメーカー原告が多いのであれば代理人を降りると言い出し「原発は差別体制の上に成り立っておりとしてNPT体制にも触れる被告崔に事務局長の辞任を迫った事実、及び、メーカー原告内で何らかの差別的発言や暴力沙汰があったとの事実を摘示した上、前者が後者の原因となったとの意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難い。
 したがって、 別紙33の記事にいて、名誉毀損の不法行為が成立するとは認められなぃ。

(43) 別紙34にっいて
 甲47によれば、別紙34は、 被告崔がオクロスに掲載した 「メーカー訴訟原告弁護団長の島昭宏弁護士の懲戒申請書の公開」 (211番) と題する記事であり、訴訟の会に長く混乱が生じていたが、メーカー原告の一部が、上記混乱の最大の原因が原告の言動にあると断定し、 原告にっいて、 原告の属する弁護士会に懲戒請求を行い、被告崔自身もこれに名を連ねたとして、懲戒申請書を引用する中で、本件フェィスブックの位置付けに対する意見の相違を問題とする原告の文書に 「お願いします!FB, もうとんでもないことになっています」 とあるのは過剰であり、「弁護士と しての視野の狭さを物語っている」 (212番) こと、被告崔の代理人を辞任するという原告の声明は、事務局と原告団の無用な混乱を引き起こ し、訴訟の会から 100名以上の原告、サポー夕ーが連名 で、本件弁護団に代理人辞任声明に対する抗議文を提出 し、また、事務局からも何度も話合いを要請したが、原告は、それに応えず、「代理人たる弁護士の権威と職権を濫用して、依頼者たる「訴訟の会」 に混舌Lと分断を謀った」 (213番) こと、 原告が弁護団長を担当 していた本件弁護団は、メーヵー原告に最終的な訴状の内容の協議を行う ことなく、「訴状を原告に未確認のまま提出し (214番) 」 こと、本件弁護団のメールマガジンにおいて、本件弁護団を解任する意向のメーカー原告に対し、本件弁護団に知らせるように告知し、また、特定のメーカー原告、事務局員に期日を切って本件弁護団との委任契約を解除するよう促したが、これらは、原告が訴訟の会に不当な介入を行い、「原告間の対立を煽り、「訴訟の会」 の分裂・崩壊させ」 (215番) たものであり、事務局が懸命に集めたメーカー原告に対し、本件弁護団が自 らの解任を勧めることは異常な事態であって、本件弁護団 (実質は原告) が 「意に沿わない原告を本訴訟から追放するもの」 (216番) であること 、東京地裁主催の進行協議について、 原告は、「裁判所が代理人のみの出席を要請している」 と説明したが、被告朴が当日裁判所に赴いたところ裁判所は本件弁護団の言い分を認めず、被告朴の参加を認めたのであって、原告が東京地裁主催の 「進行協議ヘの原告出席を虚偽の理由で拒否」 (217番) したこと、原告は、4000名近いメーカー原告の集団訴訟の代理人を原告団の中心である被告崔から依頼され受任しながら、依頼者との間に信頼関係が失われ、その回復が困難になりつつあった時に、辞任その他の事案に応じた適切な措置を璽ることをせず、逆に被告らの代理人を辞任し、「自 らの意に従わない原告を標的にして、その代理人を辞任するという、裁判史上前代未聞の暴挙に出た」 (218番)が、「原告である崔勝久に対して辞任声明で挙げられている理由は、全て事実無根」 (2 19番) であり、また、原告は、このように依頼者との間に重夫な紛争、信頼関係の喪失が生じているにもかかわらず、所属弁護士会の紛議調停で解決するように務めることをせず、逆に 「紛議をさらに拡大し (崔務局長、他への非難、話し合い拒否、虚偽の流布、独断行動な ど) 、「訴訟の会」 を意図的に分断する行動に出た」 (220番) のであるが、 原告がメーカー原告と本件弁護団との信頼関係が著しく毀損され是と考えるのであれば、本件弁護団はメーカー原告からの代理人依頼を引き受けることを辞める しかないのに、辞任することが結果的にできず、 原告団の中に混乱と分断を持ち込み、自分たちの意に沿うメーカー原告のみを集めて、訴訟の会とは別に新たな組織を立ち上げ、「見せしめ的に、前事務局長、現事務局長を「標的」 にして代理人を辞任し、二人を原告及び 「訴訟の会」 から閉め出して、 最終的に 「訴訟の会」 を代理人 (被調査人) の意志の下に支配しようとした」 (221番) こと、弁護士から訴訟の会に送付された内容証明に訴訟の会が原発メーカー訴訟と関係がないと思われる不明瞭な支出をしていると窺われるなどと記載されていたが、これは本件弁護団からの一方的な情報を基に判断し、訴訟の会の実態・目的を明らかに誤認したものであり、原告は、「弁護士としての責務を果たす訴訟よりも 「訴訟の会」 の分断・分裂を謀ることに躍起になっていることは明らか」 〈2 2 2番) であること、 被告崔の事務局長の辞任要求をはじめ本件弁護団による訴訟の会の会計監査の要求、会計資料の引渡し要求、 不正会計、在日である被告崔がこの訴訟を民族運動に利用しようとしているという 「虚偽の流布、会計の凍結など、その言動は、弁護士として信じ難いまでの非道なものであり、弁護士職務基本規程6条、第20条、第21条などに違反する。 また人間として信じがたい言動」 (22 3番) であることなどが記載されたものであると認められる。 
 上記の記事は、211番の表現に関して、被告らが原告の懲戒請求を行ったとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下するとはいい難い。 
 上記の記事は、212番の表現に関して、 原告の文書に 「お願いします! FB、もうとんでもないことになっています」 とあるとの事実を摘示した上、それが原告の弁護士としての視野の狭さを物語っているとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 原告が積極的に争わないことから 、真実であると認められる。
 上記の記事は、213番の表現に関して、 原告が被告崔の代理人を辞任するという声明を出したことにより、事務局と原告団に混乱が起き、訴訟の会から 100名以上の原告、サポーターが連名で、代理人辞任声明に対する抗議文を弁護団に提出する事態となり、また、 事務局からも何度も話合いを要請したが、原告は、それに応じなかったという事実を摘示した上、上記混乱が無用のもので、原告の行動は代理人たる弁護士の権威と職権を濫用して、依頼者に混乱と分断を図るものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(6)、 弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は、 214番の表現に関して、 原告が弁護団長を担当していた本件弁護団はメーカー原告に最終的な訴状の内容の協議、確認を行うことなく、 訴状を提出したとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させるとはいい難く、原告の社会的評価を低下させるとしても、上記の摘示事実は、被告崔には最終的に提出された訴状にその提出前に目を通す機会がなかったこと (乙3 4、 弁論の全趣旨) に照らし、 真実であると認められる。

 上記の記事は、215番及び216番の表現に関して、 本件弁護団の本件弁護団のメールマガジンに本件弁護団を解任する意向のメーカー原告に対しその旨を知らせるようとの告知が掲載されたとの事実を摘示した上、それが訴訟の会への不当な介入であり、メーカー原告間の対立を煽り、訴訟の会を分裂・崩壊させるものであり、異常な事態であって、意に沿わないメーカー原告を追放するものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わない二とから、真実であると認められる。
 上記の記事は、 217番の表現に関して、東京地裁主催の進行協議について、原告が 「裁判所が代理人のみの出席を要請している」と説明 してメーカー原告の出席を拒否したが、それは虚偽のものであるとの事実を摘示するものであり、 原告の社会的評価を低下させるものであるが、上記の摘示事実のうち、原告の説明が虚偽のものであるとの事実が真実であること、又は真実であると信じるについて相当の理由があることを認めるに足りる証拠が存在しないことは、上記(33〉に説示したとおりである。
 上記の記事は、 218番ないし219番の表現に関して、本件弁護団が本件弁護団声明を出すなどして被告らの代理人を辞任したとの事実を摘示した上、それが自 らの意に沿わないメーカー原告を標的にしてその代理人を辞任する裁判史上前代未聞の暴挙であり、事実無根であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、 当該意兒等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (認定事実(6)、乙34) 。
 上記の記事は、220番の表現に関して、 原告が、被告崔その他ヘに対する非難、 話合い拒否、虚偽の流布、 独断行動などの行動に出たとの事実を摘示した上それが紛議をさらに拡大させ、訴訟の会を意図的匯分断するとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、弁論の全趣旨によれば、原告が被告崔及ぴ被告崔に同調するメーカー原告を非難したことがあり、被告らが申し入れた訴訟の会の事務局と本件弁護団との話合いを拒否したものと認め られ、また、原告が被告崔に対し、被告崔が原発メーカー訴訟を民族差別闘争のために利用していると断定したことを撤回し、 謝罪するとしたメールを送付していること (乙11) に照ら し、重要な部分について真実であると認められる。 
 上記の記事は、221番の表現に関して、原告が、 被告翼の代理人を辞任し、また、自分たちの意に沿うメーヵー原告のみを集めて、訴訟の会とは別に新たな組織を立ち上げたという事実を摘示した上、それが、見せしめ的に、被告らを標的にし、二人をメーカー原告及び訴訟の会から閉め出して、最終的に訴訟の会を原告の意思の下に支配しようとしたものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が被告らの代理人を辞任していること (乙3 4) 及び新事務局の設立を求めたこと (認定事実(5)) に照らし、重要な部分について真実であると認められる。
 上記の記事は、222番の表現に関して、弁護士から訴訟の会に不明瞭な支出を指摘する内容証明が送付されたとの事実を摘示し、原告が訴訟で弁護士の責務を果たすよりも訴訟の会の分断・分裂を図ることに躍起になっているとの批判的な意見等を表明するものであり原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わないことから、真実であると認められる。
 上記の記事は、223番の表現に関して、原告が被告崔の辞任要求や本件弁護団による訴訟の会の会計監査, 会計資料の本件弁護団ヘの引渡し要求をし、不正会計が存在し、被告崔がこの訴訟を民族運動に利屠しようとしてい るという虚偽を流布し、会計の凍結を求めるなどしたとの事実を摘示した上、それが弁護士として信じ難いまでの非道なものであり、弁護士職務基本規程に違反し、人間として信じ難いとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の 摘示事実は、本件辞任要求、 本件会計要求 (認定事実(4)) 、本件通知書の送付 (認定事実(5)) 、上記の被告崔が原発メーカー訴訟を民族差別闘争のために利用していると断定したことを撤回、 謝罪するメールの送付 (乙11) に照ら し、重要な部分にっいて、真実であると認められる。
 上記の記事は、211番ないし216番及び218番ないし223番の表現に関して、人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、 かつ、 その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙34の記事は、217番の表現に関して、名誉毀損が成立すると認められ (記事の掲載者及ぴ内容に照らし、 被告らの共同不法行為に当たるものと認められる。 ) 、これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められない。

(44) 別紙35について 
 甲43によれば、別紙35は、被告崔がオクロスに掲載した 「メーカー訴訟の会の混乱を解決することを願う私の提案」と題する記事であり (前記のとおり、 別紙主張整理一覧表の「日時」 柵には 「平成28年3月 2日」 とあるが、「平成27年10月20日」 の誤りである。 ) 、 被告らが本件弁護団 によって本件弁護団の主導に従わないという理由で委任契約を解除され、代 理人を辞任されたことなどを挙げ、弁護士職務基本規程2 1条及ぴ2 2条を引用した上、「島弁護士の行為はこの21条、 22条に反することは明ら か」 (224番) であること、裁判 (原発メーカー訴訟) への影響をいうのであれば,、まず原告の自己批判を求めるべきであって、「島弁護士の行為は、行為そのものによって弁護士会から処罰があるかどうか判断されるのであって、 弁護士の職業人としての倫理が問われている」 (225番) のであり、喧嘩両成敗的な議論は成り立たないこと、「島弁護士の弁護士基本職務規定に反する言動」 (226番) を批判するメーカー原告が本件弁護団を解任したり、選定者の立場に立って本人訴訟団の一員として訴訟を続けようということは、訴訟の会の立場を逸脱するものではないことなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、被告崔らが本件弁護団によって弁護団の主導に従わないという理由で委任契約を解除され,、代理人を辞任されたとの事実を摘示した上、これに係る原告の行為が弁護士職務基本規程21条及び22条に違反し、 その是非は弁護士会から処罰があるかどうかで判断され、 弁護士の職業人としての倫理が問われるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見の前提となった上記の摘示事実は、重要な部分について真実であると認められる (認定事実(4)、 (5)) 。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙35の記事について、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

〈45) 別紙36について
 甲48によれば、別紙36は、 被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、「原発メーカー訴訟の会 ・ 事務局」 声明と して、本件弁護団が一部のメーカー原告に対し 「会計正常化を求める依頼人募集」 との返信用の葉書のあるノーニューク ス通信を送付してきたこ と、本件弁護団からの訴訟の会の会計引渡しの要望を拒杏したこと、ノーニュークス通信に 「訴訟の会」国際連帯活動の一環として平成2 5年10月に被告崔がアジア (フィ リ ピン,韓国) を訪問した際の費用について言及されているが、実は原告が被告崔に原発メーカー訴訟を民族差別闘争に利用しているという挑発メールを送付した際にも、「島弁護士は崔氏の費用を訴訟の会で負担するなら告訴すると私たちを脅迫しま した」 (227番) と記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、原告が被告崔らに対し、被告崔の個人的な費用を訴訟の会で負担するなら告訴すると述べたとの事実を摘示した上、これが脅迫であるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、原告が被告崔に対し、 被告崔が韓国等に行くのは原発メーヵー訴訟とは無関係であり、その費用を訴訟の会から負担することはできず、そのようなことがあれば刑事告訴を含む法的措置を採る旨のメールを送付していること (甲16) に照らし、真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、また、その内容に照ら し、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、 別紙3 6の記事について、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

(46) 別紙37について
 甲49及によれば、 別紙37は、被告崔がオクロスに掲載した 「 「原発メーカー訴訟の会 ・ 事務局」 声明」 と題する記事 (前記のとおり、 別紙主張整理表の 「態様」 には 「本件フェィスブック」 とあるが、 「オクロス 」 の誤りである。 ) であり、別紙36と同一内容の記事であるから、 別紙37について説示したとおり、名誉毀損が成立すると しても違法性を欠くものと認められる。

(47) 別紙38について
 甲50によれば、別紙38は、被告崔が本件フェィスブックに投稿した記事であり、原発メーカー訴訟の第一審判決が言い渡されたことに関して、メーカー原告の原賠法違憲と無資産の東電に代わるメーカー原告の債権者代位権を謳う議論は所詮、法律専門家の屁理屈の応酬であり、 「原告弁護団の主張には敗訴前提でせめて自分達が命名 したノー ・ ニュークス権の幾ばくかの承認があればという、売名行為的な弁護士の隠された動機」 (229番)が見え、また、 もともと東電が一定の基準に該当する者について精神的損害を認め賠償しているのに対し、本件弁護団は、精神的損害を請求するのに、基準外の人もメーカー原告になれるという主張の根拠を示していないという根本的な問題を抱えていたことなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、本件弁護団が原発メーカー訴訟に際してノー ・ ニュークス権という権利を命令したとの事実を摘示した上、 そこに売名行為的な隠された動機が読み取れるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等ゐ前提となった上記の摘示事実は、原告が積極的に争わないことから、真実であると認められる。
 上記の記事が人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、その内容に照らし、公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙38の記事について、名誉毀損が成立するとしても違法性を欠くものと認められる

(48) 別紙39について
 甲52によれば、別紙39は、被告崔がオク口スに被告らの名義で掲載した 「8月 1日、本日、 原発メーカー訴訟の島弁護団長を提訴しま した !」 と題する記事であり、被告らが 「島昭宏弁護士の数々の違法行為」 (230番) について精神的損害賠償金を求める訴状を横浜地裁に提出したこと、 原発メーカー訴訟の提訴から今日に至るまでの訴訟の会の混乱の原因は、原告の弁護士としてあるまじき言動と訴訟の会ヘの不当な介入によるもので、そのために訴訟の会は分裂、消滅の危機に陥ったもので、被告らは「島弁護土の行動は弁護士職務基本規程に反し、弁護士法、民法に背く違法行為であることを明らかにするために、島弁護士を告訴する決心」 (2 3 1番) をしたこと,、上記提訴の最大の理由は原告による恣意的な委任契約の解除であり、「島弁護士は、私たち二人の原告を 「訴訟の会」 から追い出すために委任契約を解除した」 (2 3 2番) が、民法651条2項は当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をした場合の損害賠償義務を定めており、これに基づく請求を主位的にしていること、予備的請求として、原告が、被告らとの委任契約書の作成をしなかったこと、 被告らと十分協議することなくその意思に反して訴訟活動の準備を行ったこと、訴訟の会に集まったお金を凍結し本件弁護団に渡せと桐喝的な要求をしてきたこと、原告が代理人しか参加できないと して 「原告朴の初の口頭弁論に向けた進行協議参加要請を虚偽の理由で拒否」 (2 3 3番) した上、進行協議に関する本件弁護団からの協力要請を無視したという理由で被告朴の代理人を辞任し、 「事務局長朴を 「訴訟の会」 から排除すること を謀った」 (2 3 4番) こと、訴訟の会が一貫して国際連帯運動の構築を模索してきたのに、本件弁護団はそのための支出は訴訟の会には不必要であると して、会報において 「会計不正の虚偽のキャンぺーン」 (2 3 5番) をし、多く のメーカー原告に事務局に対する誤った認識を植え付け、「会計問題をでっちあげ、「訴訟の会」 の解体 ・ 消滅を謀り」 (2 3 6番) 、新たな原告団組織を作ろうとしたこと、メーカー原告が東京地裁に提出した委任状には控訴の手続も委任することが明記されているのに、「 「控訴委任状」が必要と言う弁護士の「嘘」 」 (2 3 7番) 」 があり、「島弁護士及び原告弁護団による、「高裁に控訴するためには、原告委任状を提出する必票があります」 という偽りのキャンぺーンを」(238番) 始めたこと、「島弁護士の根本的な問題点」 (239番) として、原発メーカー訴訟の訴状が日本社会の社会的、歴史的な構造の無理解に基づいており、原告は原発体制が差別の上で成り立っていることを理解しようとせず、 メーカー訴訟を提起した被告崔に対して民族差別闘争を成し遂げるための手段として原発メーカー訴訟を利用しようとしたとして、事務局長辞任を求め、「他の原告に対してはあくまでも弁護団の主導に従うことを求めて、 従わない者には委任契約を解除すると桐喝」 (2 4 0番) してきたことなどが記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、230番及び231番の表現に関し、原告に弁護士職務基本規程に反する数々の違法行為があり、それについて損害賠償請求訴訟を提起したとのいう事実を摘示するものであり、原告の社会的誓平価を低下させると しても、上記の摘示事実は、損害賠償請求訴訟の提起については真実であると認められ (甲6 0),、その余についても、原告が被告崔に対し、 被告崔が原発メーヵー訴訟を民族差別闘争のために利用 していると断定したことを撤回し、謝罪すると したメールを送付していること (乙11) などに照ら し、重要な部分について真実であると信じるにつき相当の理由があると認められる。
 上記の記事は、232番の表現に関して、原告が被告らとの委任契約を解除したとの事実を摘示した上、これが被告らを訴訟の会から追い出すためのものであるとの批判的な意見等を表明するものであり,、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、 真実であると認められる (乙34) 。
 上記の記事は、233番の表現に関して、被告朴の第ー回口頭弁論に向けた進行協議への参加について、原告が代理人しか参加できないとの虚偽の理由で拒否したとの事実を摘示するものであるが、それが真実であること、 又は真実であると信じるについて相当の理由があることを認めるに足りる証拠が存在しないことは, 上記(33)に説示したとおりである。

 上記の記事は、234番の表現に関して 、原告が被告朴頃代理人を辞任したとの事実を摘示した上、それが被告朴を訴訟の会から排除することを図るものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (乙34) 。
 上記の記事は、235番及び236番の表現に関して、原告ないし本件弁護団が被告ら事務局による国際連帯運動に関して、事務局が不正な会計処理をしてしているとの虚偽の記事を会報に載せたとの事実を摘示した上、それが訴訟の会の解体 ・ 消滅を図るものであるとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、上記の記事が会報に載ったことは原告が積極的に争わないことから真実であると認められ、それが虚偽であることは、不正な会計処理が行われたことを窺わせる証拠が存在しないことから重要な部分について真実であると信じるについて相当の理由があると認められる。
 上記の記事は、237番及び238番の表現に関して、原告がメーカー原告に対して控訴をするには改めて控訴委任状が必要であると述べていたが実際にはその必要がなかったとの事実を摘示した上、これを原告の嘘、偽りであるとの批判的な意見等を表明するものであるが、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、真実であると認められる (乙3 4) 。
 上記の記事は、239番及び240番の表現に関して、原告が原発体制が差別の上で成り立っているということを理解しようとせず、メーカー訴訟を提起した被告崔に対して、民族差別闘争を成し遂げるための手段として原発メーカー訴訟を利用しようとしたとして、事務局長辞任を求め、他のメーカー原告についても本件弁護団に従わない者には委任契約を解除するとの態度をとったとの事実を摘示した上、それが原告の根本的な問題点であり、同喝であるとの批判的な意見等を表明するものであり、 原告の社会的評価を低下させるとしても、当該意見等の前提となった上記の摘示童実は、真実であると認められる (認定事実(2)~(4))弁論の全趣旨) 。
 上記の記事は、230番ないし232番、 234番ないし24番の表現に関し、人身攻撃に及ぶなど意見等としての域を逸脱しているとは認め難く、その内容に照ら し、 公共の利害に関する事実に係り、かっ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。 
 したがって 別紙39の記事は 233番の表現に関して 名誉毀損が成立すると認められ (記事の作成名義及ぴ内容に照らし 被告らの共同不法行為に当たるものと認められる。 )  これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められない。 

(49) 別紙40について
甲53によれば、 別紙40は、被告崔がオクロスに掲載した 「 「島昭宏弁護士の嘘」 (241番) を糺すー横浜地裁に提出した準備書面の公開」 と題する記事であり、被告らが原告に対して損害賠償を求める訴訟において、原告が準備書面を出し反論してきたが、そこには、「公然と、 堂々 と嘘が書き連ねられています。 政治家であれ、弁護士であれ、 正義を求めて社会悪を糺す立場の人がこんなに公然と嘘を書いていいのでしょうか。 それはおそらく本人も嘘とわかっていながら、自己弁護のためのものであったのでしよ う」(242番) 、被告らは、一度だけ再反論した上で早急な判決を求めるつもりであり、被告らが横浜地裁に提出した準備書面を公開するとした上、「島弁護士の明明白白な嘘は何のための自己弁護なのか」 (2 4 3番) 、 それは結局、 この問の訴訟の会における混乱の根本的な原因が明らかにされ、 それが弁護士としての職務に反する違法行為によるものであるという私たちの主張にまともに応えられなかったからだと思われると して、 上記準備書面を引用したものであると認められる。
 上記の記事は、24 番ないし243番の表現に関する限り、 被告らが提起した訴訟における原告の反論が嘘であるとの批判的な意見等を表明するものであり、事実を摘示するものではなく、名誉毀損は成立しない。

(50) 別紙41について
 甲57によれば、別紙41は、被告崔がオク口スに掲載した 「原発メーカー訴訟弁護団長 「島昭宏弁護士のスラ ップ裁判」 (2 4 4番) を糾弾する」 と題する記事であり、原告が被告らによる名誉毀損と社会的信用の毀損を理由とする本件訴訟を提起したこと、「その提訴は, 実は裁判制度を利用して、島弁護士批判を公にしてきた私の発言に制裁を加える目的であるため、それはスラップ裁判」 (2 4 5番) であり、裁判制度を悪用して社会的強者が弱者の発言、権利を阻害するものであること、人権弁護士、 原発反対弁護士が 「原告を相手に自分に従わないということでスラップ裁判をはじめた、このことが日本の裁判史上初めて」 問われることになると記載されたものであると認められる。
 上記の記事は、 原告が原告批判を公にしてきた被告崔の発言に制裁を加える目的でスラップ裁判を提起したとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させるとしても、上記の摘示事実は、一般的に弁護士が社会的強者であるといい得ることに加え、以上に認定、 説示したとおり、本件訴訟において被告らによる名誉毀損をいう原告の主張のほとんどが認められないことに照らし、重要な部分について真実であると信じるについて相当の理由があると認められる。
 上記の記事は、その内容に照らし、 公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあると認められる。
 したがって、別紙41の記事について、 名誉毀損が成立するとしても、故意又は過失が否定されるものと認められる。

(51) 別紙4 2について
 甲5 8によれば、別紙4 2は、 被告朴が本件MLに 「原発メーカー訴訟団長の島昭宏弁護士のスラップ訴訟を糾弾する !」 との件名是投稿したメールであり、「島昭宏 ・ 原発メーカー訴訟原告団の共同代表は、横浜地裁に前・現事務局長の崔勝久・朴董碩2名を被告としてSLAPP訴訟を提起しました」 (2 4 7番) などと記載されたものであると認められる。
 上記の記事のうち、247番の表現は、244番ないし246番の表現と同様のものでありこれについて述べたとおりである。 
 したがって、別紙4 2の記事について、名誉毀損が成立するとしても、 故意又は遇失が否定されるものと認められる。

(52) 別紙43について 
 甲64によれば、別紙43は、第三者のフェィスブックにおける投稿等であり、平成29年10月の衆議院選挙に関する第三者の投稿について、原告がコメントをしたのに対し、被告崔が 「スラップ裁判をするような弁護士が宣う政治談議はそれこそ信用できないですね。 いゃ、ひょっとしたら、日本の政治はそのような二枚舌を使う弁護士のいうことが通じるレべルでなされているかも しれない。 ・ ・ ・歴史認識を欠如した弁護士が大手を振るえるのは健全な社会ではありません」 などとコメントし、第三者が 「何をおっしゃりたいのか、よくわかりません」 とコメントしたのに対し、被告崔が 「ここで政治論議をしている島弁護士がスラップ訴訟をしている当人であるということでおわかりいただけませんか」 などとコメントし、さらに 「言葉と行動,生き方とは乖離してはいけないということを指摘しただけです」 などとコメントしたものと認められる。
 上記のやり取りのうち被告崔のコメント (248番) は、原告がスラップ裁判をするような弁護士であるとの事実を指摘した上、原告について、言葉と行動、生き方とが乖離してはならないなどとの批判的な意見等を表明するものであり、原告の社会的評価を低下させると しても、当該意見等の前提となった上記の摘示事実は、別紙4 1及び4 2について述べたとおり、重要な部分にっいて真実と信じるについて相当の理由があると認められる。
 しかし、当該コメントは、第三者のフェイ スブックにおける衆議院選挙に関するやり取りに突如介入する形で、そのやり取りに関係のない事柄を挙げて原告を攻撃するものであり、意見等としての域を逸脱していると認められ、また、その内容及び態様に照らし、 専ら公益を図る目的でなされたものと認めることもできない。 
 したがって、 別紙43のうち被告崔のユメントは、名誉毀損が成立すると認められ(コメントの内容に照らし、被告崔の単独の不法行為に当たるものと認められる。 ) これについて違法性を欠き若しくは故意又は過失が否定されるとは認められなぃ。

(53) まとめ
 原告の主張する被告らの投稿等による名誉毀損については、別紙25のうち173番ないし175番及び177番の表現 (上記(33)) 、別紙27のうち180番、186番及び187番の表現 (上記(35)) 、別紙25のうち189番、 195番及び196番の表現 (上記(36)) 、別紙34のうち217番の表現 (上記(43)) 並びに別紙39のうち233番の表現 (上記(48)) に関して、 被告らの原告に対する共同不法行為が成立し、別紙4 3のうち2 48番の表現 (上記(52)) に関して、 被告崔の原告に対する不法行為が成立するものと認められる。

3 争点(2) (阪口懲戒請求及び二次懲戒請求の違法性) について
(1) 原告は、阪ロ懲戒請求について、被告らの指示により行われたことを前提に、 被告らと阪口との共同不法行為であると主張し、上記の指示を証するものと して、 阪口が被告崔の依頼を承諾した旨の記載のある阪口が本件MLに投稿したメール (甲2 3) を提出する。
 しかし、当該メール中の 「私がその依頼を承諾した。 」 との記載でいう「依頼」 は、その前に 「私に対して海内外を含む人々の交渉役、渉外を依頼しました。 」 とあり、その後に 「一週問も経たないうちに、自 ら、渉外担当を居りま した」 ( 「降り ました」 の誤記と思われる。 ) とあることから、渉外担当の依頼のことであると認められる。 その他に、当該メール中に被告崔が阪口懲戒請求を依頼したことを読み取れる記載はない。 また、当該メールは、被告崔が一次懲戒請求について、メーカー原告の一人が被告崔の与り知れなぃところで行ったものである旨のメールを本件MLに投稿したことへの反論と してなされているものであるところ、 上記のとおり、この時点で阪口懲戒請求が申し立てられているのであるから、仮に被告崔が阪口懲戒請求を行うように阪口に指示したのであれば、 この点につき、 何も阪口が触れていないのは不自然である。 
 これらのことからすると 当該メールの存在をもって被告崔らが阪口に対し阪ロ懲戒請求を申し立てるように指示したと認めることはできず その他にこれを認めるに足りる証拠は存在しないから これを前提とする原告の上記主張は 採用することができない。

(2) 二次懲戒請求の違法性について、弁護士法58条1項に基づく懲戒請求は、当該懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において、 請求者が、そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて懲戒を請求するなど、懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには、違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である。
 これを本件についてみると、 二次懲戒請求については、東京弁護士会の綱紀委員会において、懲戒事由が存在しないという判断の下、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする旨の議決がされ、これを受けて、東京弁護士会は、原告を懲戒しない旨の決定をしているものと認められる (甲61~6 3) 。
 しかし、二次懲戒請求 (甲45) において、懲戒事由として主張されている事由の中には、原告が被告崔に対し, 「原発体制の根幹は差別だと内外に訴え、自身のライフワークである民族差別闘争を成し遂げるための手段として原発メーカー訴訟を利用するなどということは言語道断です。 」 という発言をしたことが挙げられており,、当該発言はー般的に不穏当な発言であると考えられ、弁護士としての品位を害するものとおよそいうことができないものではないと考えられる。 また、被告ら懲戒請求者は、 原告ら本件弁護団の弁護士が、被告崔の事務局長からの辞任を要求したこと等が訴訟の会の原告団への不当な介入であるとの評価を前提に、これが懲戒事由に当たる旨主張しているところ、一般に弁護団の裁判に対する方針と原告団の裁判に対する方針が完全に一致する必要はないと考えられ、 原告団の事務局長の方針が、弁護団の考えるそれと異なることを理由に, 弁護団が事務局長の辞任を要求することが、不当な介入であり、懲戒事由に当たると被告ら懲戒請求者が考えたことがおよそ理由のないものであるとまでは認められない。
 原告は、二次懲戒請求において主張された懲戒事串の一部が懲戒しないことと された阪口懲戒請求と重複していることから、その点については、被告らは懲戒事由のないことを知っていた旨主張するが、被告らが阪ロ懲戒請求に関与したと認めることができないのは上記のとおりである上、主張された懲戒事由の一部についてはこれに当たらないことを知っていたとしても、それだけでは他の懲戒事由を含めた懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを知り又は知り得たということはできない。
 これらのことを考慮すると、二次懲戒請求において懲戒請求者が懲戒事由があると考えたことがおよそ理由のないものとまでいうことはできず、二次懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを知りながら行われたものとも、通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに、あえて請求されたものとも認めることができない。 そして、その他に二次懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くものであると認めるに足りる事情は認められない。したがって、二次懲戒請求が違法な懲戒請求であると認めることはできず、この点についての原告の主張は、採用することができない。

争点(3) (損害) について
 上記2に認定した原告の名誉を毀損する投稿等の態様及ぴ内容その他以上に認定した諸事情に照らすと、別紙25のうち173番ないし175番及び177番の表現(上記2(33)) 、別紙27のうち180番、186番及び187 番 の表現 (同(35)) 、別紙25のうち189番、195番及び196番の表現(同(36)) 、 別紙34のうち217番の表現 (同(43)) 並びに別紙39のうち233番の表現 (上記(48)) に関する被告らの共同不法行為によって原告が受けた精神的苦痛を慰謝すべき金額は各投稿等につき各1万円の合計5万円とし、弁護士費用については5000円の範囲でこれらと相当因果関係を認めるのが相当であり、別紙43のうち248番の表現 (同(52)) に関する被告崔の不法行為によって原告が受けた精神的苦痛を慰謝すべき金額は5万円とし、弁護士費用については5000円の範囲でこれと相当因果関係を認めるのが相当である。
 これらについての遅延損害金の起算日は、原告の主張するところに従い、前者については、訴状送達の日の翌日である平成2 9年2月 15 日 (被告朴) 又は同月 19日 (被告崔) となり、後者については請求の拡張申立書送達の日の翌日である平成30年1月 19日となる。


第4 結論
 よって、原告の請求は、共同不法行為に基づき、被告らに対し、連帯して、5万5000円及びこれに対する被告朴につき平成29年2月 15 日から、被告崔にっき同月 19 日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め、不法行為に基づき被告崔に対し、5万5000円及びこれに対する平成3 0年1月 19 日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容 し、その余は理由がないから棄却することと して, 主文のとおり判決する。

横浜地方裁判所第4民事部
裁判長裁判官    石橋俊一
裁判官       斎藤厳
裁判官       川野裕矢


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