2018年11月9日金曜日

韓国滞在中に学んだ平和への歩み


10月31日~11月3日まで韓国ソウル、大邸での会議や面談の報告をします。
ソウルで開かれた、韓国YMCA主催の2018年世界平和大会(2018 World Peace Conference)に招かれました。世界各地から参加された50名近くの具体的な活動をされてきた方々と交流し、その発言から多くを学ぶことができました。

韓国の民主化闘争に深く関わり、日韓のみならず全世界的に民衆神学の提唱者として具体的な運動の第一線に立たれる金容福博士(牧師)の出版記念と80歳の誕生記念の集会にも招かれました。氏の歩みとその影響がいかに韓国社会において強いものであったのかを証言する100名ばかりの教会関係者の証言を興味深く聞きながら、氏と出会ってからの50年を思い返しました。

「強制徴用」判決、東アジアの法治主義の勝利―崔鳳泰弁護士

その後、植民地支配において朝鮮人労働者を雇用した新日鉄などの企業に対する慰謝料請求に関する韓国の最高裁で勝利した、原告側弁護士主任の崔鳳泰弁護士に会いに大邸に向かいました。氏のKBSラジオのインタビューを聞きしっかりとその説明に納得できたので、元従軍慰安婦であることを明らかにし全世界から注目されているイ・ヨンス ハルモニたちと食事をしてすぐに羽田に戻ってきました。その数日の韓国での経験をまとめて報告します。

ハルモニは90歳を越えられたようですが、本当にお元気でした。話される内容の正確さ、適確な判断力、本当に驚きます。ますますのご活躍を祈ります。日本政府が出した10億円、韓国政府が日本にもっていき、受け取らなかったその場で置いてくればいいと言い放ってました。慰安婦問題、被爆者問題、賃金未払い問題はいずれも日本の植民地時代の問題が解決されず未だに残っている問題です。日本政府は関係当事者との合意なくして一歩も前に進めないでしょう。これらの問題を通して日本市民の深い歴史認識が求められると思います。

1)World Peace Convention(世界平和大会)に参加して
ソウル市郊外の港町の仁川市(インチョンHaborpark Hotel2018 World Peace Conference(世界平和大会)が開催され、私も海外からの50人のゲストの一人として招待されました。前日のオープニングデイナーです。明日は韓国から150名くらいが参加するそうで大きな大会になりそうです。韓国YMCAが全力をあげて準備してくれました。


大会プログラムの充実した内容だけではなく、その一環として準備された江原道(Cholwon)で朝鮮戦争以前に朝鮮労働党が建設した建物の前での野外公演、そして最後の光化門広場までのデモ行進と記者会見など、韓国YMCAがいかに全国的に地域に密着した活動をしているのかよくわかりました。

悲劇や苦難はないほうがいいに決まっています。しかし朝鮮の歴史はその苦難の中を歩んできたものです。それだけその苦しみを乗り越えた時の喜びはさらに大きなものです。先月朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、韓国で平和大会に参加して、また大邸で闘う人たちとお会いしてそのことを強く感じます。


How to Achieve 100-year -old Desire For Peace of Korea?
被爆者が多く住むハプチョン出身で、東大で教鞭をとられたKim Young Ho 博士の講演です。安重根の思想、31運動について話されています。3・1運動は市民中心の共和国を目指した独立運動であったことの歴史的な意義と、それが中国の54運動につながり、ベトナムのホーチミンへの影響を与え、朴大統領韓国の市民キャンドル革命につながるというはなしを熱を込めて話されています。



午後の部が始まりました。「東アジアと韓半島の歴史和解と治癒、再生のための平和文化」、今は、ドイツのジャーナリストが「東西の葛藤、治癒にための役割」の講演中です。

発題二陣です。5分の発題ですが、最初のアメリカの教授の力の入ったトランプ批判からはじまりました。



発題者の発題趣旨を明確にまとめ説明された司会者と、個人の深い経験から発題された九人の発題者が壇上に揃い、質問を受けています。朝鮮半島の南北会談のはじまりを受けて平和を作りだすにはどうすればいいのか、議論がはじまりました。

昨日の9人の発題も全てご自分の経験から学んだ深い考察に基づくもので、多くのことを学びましたが、一点、福島に関する、即ち、原発に関する言及がありませんでした。世界平和において、アジアにおいて、朝鮮半島において原発はどのような意味を持つのか、どうして世界の列強は韓国を含めて原発輸出を続けているのか、この点の議論が必要だと痛感します。


最終日です。午前中は分科会で、私は「アイルランドの和解と癒しの市民運動についてのケーススタディー」に参加しています。
どうしてこんな平和を論じる、特に私が参加したアイルランドの問題を論じる分科会にこんなに多くの韓国人が参加するのか?このような分科会が5つも同時にもたれています。いずれも満員なようです。

分科会の2部はパレスチナ問題です。友人のNidal氏が講演しました。驚くのは、この主題にも50名を超える人で満席です。氏は一昨年日本に来られ、南アフリカの活動家と一緒に福岡、東京で講演されました。その時の話よりも更にパレスチナの現状は深刻である事がよくわかりました。https://oklos-che.blogspot.com/2017/02/3-19-9-ymca-npo-nnaa-che.html


YMCAといえば日本ではホテルや進学塾、日本語学校、水泳教室などを思い浮かべるのですが、市民がこんな難しい内容の議論をする場に集うとはおもってもいませんでした。ウム、考えを変えなければならないようです。これは韓国YMCAがいかに地域に根ざした地道な活動をしているのかということです。そしてスタッフがしっかりとした訓練を受けていることも推察されます。英語を自由にこなす若いスタッフが多いことにも驚きでした。



韓国YMCA主催の世界平和大会のフィナーレはソウル中心地でのデモでした。全国でYMCAの地域に密着してきた地道な活動の成果です。海外から招待された平和活動家が先頭に立ち1キロにわたる隊列で2時間、デモをし、いくつかの交差点を完全に「制圧」しました。痛快です。



最終地の光化門広場で記者会見をしました。痛快です。キャンドル革命で朴大統領を退陣させ、文新大統領を誕生させた民の力はそれにとどまらず、自ら国の主人公として発言し続けるという態度表明です。在日として招待され大会とデモに参加できたことを心より感謝し、さらに世界平和、日韓の平和連帯の構築に邁進することを決意しました。


2)金容福博士の80歳の誕生日と出版記念を兼ねた集い
昨夜、金容福博士・牧師の出版記念の集いがソウル市内でありました。80歳で今も現役、第一線で学問と運動の分野で活躍されています。教会の牧師、大学教授が中心で100名近く集まりました。来年の31運動は100周年です。国際平和を認め、朝鮮に独立を求めた民衆の歴史は今も脈々と生きており、ついにキャンドル市民革命で朴大統領を追い出し文在寅大統領を誕生させました。金博士は来年の31運動の大集会の提唱者です。来年の31、多くの日本の皆さんの参加をお待ちしています。滞在費はすべて国民会議が負担するそうです。11月29日の記者会見で3・1運動記念行事の全容が公開されるそうです。

3)崔鳳泰弁護士との面談
新日鉄の賃金未払いの件で韓国の最高裁で勝利判決を勝ち取った崔鳳泰弁護士に会いに大邱に来ました。東大邱に着いたところイヨンス・元慰安婦ハルモニも一緒にこられました。ちょうどKBSのラジオでこの判決に関するインタビューが約10分あり、崔弁護士の論旨明快な説明を聞く機会に恵まれました。
要は両国の弁護士会、司法界が認めた内容・事実を安倍をはじめ日本のマスコミは理解しておらず、個人の請求権は日韓条約で無くなったわけではないということです。政治による司法への介入は許されない、日本のマスコミは歪んだ報道をしており、それは戦前の姿そのものだという主張でした。
KBSのアナウンサーも崔弁護士の説明に納得していました。車の中での携帯電話によるインタビューでしたが、私たちが後ろの座席で音が出ないように拍手していたことは視聴者は知るすべもなかったでしょう。

崔弁護士とイヨンスハルモニたちと美味しい昼食をご馳走になり、大邱空港から出発する直前です。今月末にまた大邱を訪問します。ソウルでは来年の31運動の準備に入ります。多くの日本の友人の参加を歓迎します。ソウルだけでなく、大邱や多くの被爆者が住むハプチョンも訪問する計画です。韓国内の宿泊と食事代金は韓国国民会議側が負担します。

昨夜日本に戻り、朝からテレビで韓国の最高裁判決は不当で日本政府の怒りが当然という報道や元官僚の発言に対して、圧倒的多数の国民がそう思っているようで驚きました。韓国側原告の主任弁護士の崔鳳泰弁護士と昨日大邱で会いましたが、韓国の全国ネットでのインタビューに応えているところに私も同席しました。

氏の主張は明確で、日韓条約で個人の請求権が無くなった訳ではないという両国の司法の判断を尊重すべきであり、それを日本の国会で明確にした官僚の答弁を安倍政権は知らないのか、意図的に知らないふりをしているのか、これで日本は文明国だと言えるのか、政権の言う通りのことをマスコミが追従する姿は戦前と同じではないか、日本の良心的市民の理解が広がることを確信しているので、日韓関係が悪化すると心配はしていない。

まことにその通りです。崔弁護士は、橋下徹元大阪市長(でさえ)個人の請求権は日韓条約で無くなったわけではないという、ツイターでの発言を紹介していました。
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参考資料:元大阪市長橋下徹氏のツイターです。
韓国最高裁で勝利判決を勝ち取った主任弁護士の崔鳳安(チェ・ボンテ)弁護士が韓国KBSラジオ放送で橋下徹氏の発言を紹介していました。
韓国の徴用工判決。日本側は、政治家もメディアもインテリも無邪気な韓国批判の大合唱だけど、日本の弱点を知らないんだろう。外務省は正直に政治家に説明をするべきだ。過去、日本人の戦後補償を否定するために、平和条約などでは個人の請求権は消滅しないと理屈をこねていたことを。
日本の最高裁も、個人の実体的請求権の完全消滅までは言い切っていない。外務省は外交保護権の消滅。最高裁は訴権の消滅。さらに世界では宗主国が旧植民地に対して悪しき効果が残存している場合には責任を負う流れにもなっている。この辺を踏まえて、国際裁判所で勝つ方法を考えなければならない。
今の日本の状況は、1965年の日韓基本条約、請求権並びに経済協定によって、全て解決済みとの一点張り。国際裁判所では勝つためには、まずは日本の弱点をしっかり把握するところから。外務省も法務省も、政治家にしっかりと説明して欲しい。
 今回の僕のツイートは、政府見解の歴史的経緯、その背景、法理論が分からない人にはチンプンカンプン。巷で氾濫している浅い知識でも理解不可。外交保護権の放棄と個人請求権の放棄の違いが分からない人、そもそも頭の悪い人は読まない方がいい。



1 件のコメント:

  1. 先進国を植民地にするとは言語道断朝鮮人民を駄目にしたのは総て昔から定着していたヤンバン制度だと思う差別と貧富が戦う力も沸いてこなかったと、徳川大政奉還に続き朝鮮も日本の軍門に下ったのは上の政治家の怠慢である、アボジオモニ達が生きてきた時代が呪わしい。

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