これは上映後の朴壽南の挨拶の場面です。私は50年ほど前、彼女の自宅に行き話を伺い、日立闘争のことを話したことがあります。彼女は記憶がないようでしたが、50年前と聞いて驚いていました。絞首刑の李珍宇との手紙の交換の本を大学生の時に読んだこともあります。彼女に対してはいろいろな評価があるようですが、私は強い個性の尊敬すべき人物だと思っています。
しかしこの映画を完成させるのにどれほど苦労されたかということはよくわかるのですが、私は正直、鑑賞直後不満がありました。もちろん、彼女のハルモニたちに寄り添う姿勢、植民地支配に対する厳しい批判はよくわかるのですが、どうして日韓両政府の「合意」に対する日本の政府や国民の間で「合意」の内容や過程の真相究明の声がでないことを問題にしないで、韓国側の良くも悪くも慰安婦問題に取り組む中心的な市民団体を名指して、その背景も明らかにせずに批判する場面を作品の中にいれたのか、私はここに朴壽南の強さの功罪を見る思いをしたのです。これだけ正しいこと、やるべきことをやっているのにどうして自分を批判するのかという彼女の怒りのようなものを感じました。
しかし今朝、映画館で買ったパンフレット(1200円と高めですが、よくできています。お薦めです)を見て驚きました。ユン・ミョンスクという歴史学者が適確にその問題点を指摘していました。朴壽南が作った映画『沈黙』には、彼女が批判した市民団体「挺対協」からの反論はまったく出ていないが、映画が指摘した「地点(公娼に対する蔑視的認識、「国民基金」受領者の排除など)に対しては、批判的議論が必要だと思う。」というコメントがありました。「字幕が多すぎ」で読みきれないところもあり、「良い編集ではない」が、しかし、「この映画を奨める理由として、90年台のハルモニ達の活動だけでなく」、その主張として「天皇」も対する責任追及をしたことをあげています。このことこそ、「「慰安婦問題」解決運動が真正面から扱えなかったアキレス腱であり、何より肝心な問題提起だと思う。」と書かれています。
朴壽南の生き方を示す篤い思いは、パンフレットの「長い戦いの記録」の一番最後に書かれていました。《国家から<南北の祖国からも棄民されてきた、犯罪者や原爆被害者、さらに「準軍慰安婦」たち。存在を奪われてきた者たちを「認知、評価し、存在化していく」私の半生の作業は、当然棄民した国家権力との、また、それに連なる者たちとの闘いでした。》、朴壽南さんのますますのご活躍を祈念します。お元気で。
崔先生、『沈黙−立ち上がる慰安婦』公式サイト<映画の感想>に先生のブログを紹介させていただきました。https://tinmoku.wixsite.com/docu/thoughts
返信削除彼女たちの売春婦としてのつらい経験を政治的な主張に利用してはいけません
返信削除残念ながら日本軍による強制連行の証拠は見つかっていないのです。元慰安婦と言われる人たちの伝聞証拠だけです。
当時の軍の慰安婦制度は、公娼制度に準じたものだったのです。
誰でも慰安婦になれるわけではなく、許可制で手続きが必要だったのですよ。
何故、騙された娘が、親の承諾書や戸籍謄本が必要な売春許可書や労働契約書等々を持っていたのか?
強制社連行の主張は当時の朝鮮半島の社会状況と矛盾するのですよ。
返信削除韓国の方と議論になった時に、何故娘が拉致されようとした時に、何故助けようとしなかったのかと質問すると誰一人答えられないのです。
何故答えられないか、貴方は知っていますね。