2017年12月13日水曜日
「民族差別について」の講演と大学生の反応
http://oklos-che.blogspot.jp/2017/12/blog-post_13.html
をブログで書き、506名の反応がありました。この4~5年、横浜国大の加藤千香子教授は毎年、私と日立闘争の朴鐘碩を呼んで彼女の日本近現代史の授業の一貫として、私たちに話す機会を与えてくださり、その感想文を学部の学生に書かせていらっしゃいます。その感想文は横浜国大の学生の特徴ではなく、日本の大学生の一般的、平均的な意識が表されているのでしょう。
昨日、加藤教授は以下のメールとともに、ご自分で学生の感想文を分類化し、内容を紹介した文書を送って下さいました。それを「民族差別について」の講義と大学生の反応ーその2としてブログで紹介します。日本の近現代史の中で在日朝鮮人の問題をどのように理解すればいいのかというのは、日本の戦後のあり方を考えるための重要な課題です。今後の加藤教授の教育実践に注目していきたいと思います。
朴さん、崔さん
講義ではどうもありがとうございました。
崔さんにはブログにも書いていただきましたが、
私の方でも学生コメントに目を通し、ざっと整理してみました。
朴さんの民族差別と労働環境、「おかしい」ことを「おかしい」
と言うということへの共感をかなり多くの学生が示していました。
また今回特に顕著だったのは、崔さんの「日本は日本人のものだと
思っていますか?」という問いかけでした。
この問いかけは単純ですが、本質的な問題を突いている問いだと
思います。
はっとさせられたという一方で、当然という意見もありますね。
外国人が上司だと嫌な感じを受けるという感覚、その「フツー」
の感覚を揺さぶることが必要だと痛感します。
次回の講義では、これを紹介したうえで、西川さんの「世界地図の
イデオロギー」を学生に読んでもらおうと思います。
講義ではどうもありがとうございました。
崔さんにはブログにも書いていただきましたが、
私の方でも学生コメントに目を通し、ざっと整理してみました。
朴さんの民族差別と労働環境、「おかしい」ことを「おかしい」
と言うということへの共感をかなり多くの学生が示していました。
また今回特に顕著だったのは、崔さんの「日本は日本人のものだと
思っていますか?」という問いかけでした。
この問いかけは単純ですが、本質的な問題を突いている問いだと
思います。
はっとさせられたという一方で、当然という意見もありますね。
外国人が上司だと嫌な感じを受けるという感覚、その「フツー」
の感覚を揺さぶることが必要だと痛感します。
次回の講義では、これを紹介したうえで、西川さんの「世界地図の
イデオロギー」を学生に読んでもらおうと思います。
加藤千香子
朴さん・崔さん講義へのコメント
2017/12/11
朴鐘碩さん:
職場環境と民族差別 「おかしい」と声を上げること
・在日朝鮮人の方々はたくさんの壁を感じて生きてきたのだと率直に感じた。
・まず「おかしい」という感覚があること、そしてそれに従い「おかしい」と発言し行動することの大変さを知った。
・企業という大きい権力に対して恐れず対抗していく勇敢な姿勢に強く心を打たれ、最終的に勝ち抜いて長いこと自分の仕事を全うしたことに自分もとても勇気づけられた。
・職場環境におかしいと声を上げたのはすばらしいと思った。…過労死という言葉があるように日本では間違った職場環境に声をあげにくい風潮があるのは恥ずべきことだ。
・自分がおかしいと思ったことを我慢して順応するのでなく、コミュニティ内で孤立することも承知の上でアクションをおこす朴さんの勇気と行動力には驚くほかなかった。
・労働者抑圧の例は日本の戦争時代のような「誰もあらがえない雰囲気」というものの存在を感じて、朴さんのいう「労働者と差別の関係性」が分かった。
・職場内の労働者が自分自身が言いたいことを言えない雰囲気、言わせないような上からの圧力が民族差別と深く関わっているということがよく分かった。
・リアルな感情が溢れていて感情移入してしまいありありと頭に浮かんできた。「職場でも従業員の発言が抑制されている」など。最近自分も不当な理由でアルバイト先を解雇されたので、最後の言葉である「正しいことを正しいと言えること」は自分には大変刺さった。
崔勝久さん:
「日本は日本人のものだと思いますか?」―自分も囚われている意識
・日本が日本人のものだと思っていないか?という質問にはっとさせられた。自分も含め多くの人は知らずのうちに外国人との間に境界線を引いてしまっていると思った。
・印象的だったのは「日本は日本人のものだと思っていないか?」という問いかけだった。…この問いかけにはっきり答えられる人が何人いるだろうか。
・日本人にすり込まれている日本は日本のものという感覚は差別であると言われて自分もあてはまっていて、差別の根深さがよく分かった。日本が日本のものであるという前提を変えていかなければ差別はなくならないと感じた。
・自分が気付かないうちに「日本人である」というカテゴリーの中でいろいろなことを考えていたのだと気づかされた。大学内でもいろいろな人種の学生がいるのに「留学生」という枠で自分とは分けていた気がする。
・今では様々な国の人々が日本で活躍しており必ずしも国籍をもたない外国人は日本を構成していないわけではないと考えさせられた。今現在私たちに必要なのはこの固まった考えを改めていく必要があると切に感じる機会になった。
・日本で暮らしている外国人の方に日本人が「なぜ国に帰らないのですか?」と尋ねるのは、外国国の方には暗に「日本は日本人のものですよ」と言われているように聞こえると聞いて、差別していないと思っていても深い部分でしてしまっているかもしれないと考えるとこわいと感じた。…日本の中心は日本人であるという考えが出てきてしまうのはどうしてだろうと思った。
・崔さんの話は私たちの中に無意識にはびこっている差別や固定観念がこんなにも人種や国が違う人を苦しめているのかとびっくりした。…確実に言えることは、私たちが“日本人だ”他は違う人たちだと考える気持ちを変えなければいけないこということだ。
・外国の方と日本人の溝についてあまり考えたことがなかった。その「あまり考えたことがない」ということが一番危険なのだということに気が付いた。…世の中で当たり前のように区別や差別があるのだなということに気が付いた。
日本社会の外国人差別―法律や制度の問題
・法律で不当な扱いを受けたり、日本人と同じような権利を認められないといことはおかしい。こういったことが起こるのは、日本人を第一大前提としてすべての物事が考えられたり決められたりすることが原因であると思う。
・在日外国人は日本にいえれば当たり前のように税金を払うが法律は日本人にのみ適用されるということで児童手当や年金が受けられないというのは明らかに差別だと感じた。…国として差別を撤廃できるような政策は前に向きになっていくべきだと考える。
・「人種差別はよくない」という誰でも考えるような浅はかな考えを捨てようと思った。今の日本の制度は日本人であるということを前提にしており、外国人に有利な内容ではないため日本のためにどんなにがんばっている外国人でも不利な扱いを被るということを理解するべきだと思う。
・憲法・法律でいう“日本人”というのがどういう風に解釈されるかで、日本に住む外国人の権利は大きく変わると思う。税を払っているのに同じ扱いを受けられず同じ災害被害にあうのに投票権を得られないというのは確かに不当である。外国籍の人が公権力を行使できないというのは考えてみれば不当だが、…ちょっとやだなと感じてしまう程には私の思考が日本社会に洗脳されているなと思わされた。だがそういう状況はどの国でも同じではないのかとも少し思う。
外国人を除外する・排外的な空気
・私が日常生活をおくっていくなかで感じた小さな違和感。外国でテロや事故が起こったとき、報道されるのは“…邦人が被害にあったという報告は入っておりません” …日本国内で殺人事件があったとき“韓国国籍の○○さんが殺害”とか。このようなニュースを聞いて国籍はそんなに重要か?と思った。人が死んでも日本人でなければ関心を持たない空気がなんともさびしい。
・日系ブラジル人の友人は小中では外国人であることを周囲の人に言っていたが、高校では自分が外国人であることを隠していた。…そういう世の中を変えていかなければと思った。
・日本は「当然の法理」や法律で外国の方を避けるのはどうしてだろう。一部の人々は外国の人々を非難している。…しかしこれは日本だけではないと思う。全世界で色々な差別がされている。
在日朝鮮人差別と植民地支配
・在日朝鮮人への差別が起こった理由の一つとして植民地の支配があると朴さんは言っていたが、…朝鮮人に対して“支配していた”という気持ちがあったからだと思う。
・(差別や法律の問題は)目先の差別撤廃を訴える問題にとどまらず、日本の戦時中そして戦後の歴史認識にまで拡大しなければ決して考え始めることができない問題であり、今になっても戦時中の日本の朝鮮侵略で起こった事象が報道される理由が分かった。
・(戦争直後の朝鮮人への差別を学んだが)今回の講演でまだそれに苦しんでいる人の存在を知った。…その原因はしっかりとした“終戦”がお互いの間で認識できていないからだと思う。
外国人に対する「区別」と「差別」―「区別」は当然?
・日本は他国と比べて「日本人」と「外国人」の区別をすることが多く、外国人に対して「当然の法理」を持っていることに気づかされた。差別はよくないと思う人は多いが、公的なことで外国人に支持を指示をされるのは嫌だという意識が日本人の中に根深くある。…このような意識をどう正すか、日本人全体の課題だと思った。
・日本が日本人だけのものであるのは間違いという主張には危険な可能性を伴う。外国人に選挙権を無制限に与えたら人口大国によって簡単に国の方向性を操作される気がしてならないから。…ただ不寛容すぎて外国人の人権を軽視するようなことがあってはならないと感じた。
・日本は日本人のもの。日本人だけのものではないが日本人のものでありそれが外国人主体のものになることはないと思う。…長年暮らしている日本の社会を構成する人々には外国人でも権利を認められてしかるべき。でも制度を利用するだけの人がいるのである程度の規制が必要だ。(公務員の課長以上になれないのは)私は当然だと思う。なぜなら外国人でも権力を持てるようになってしまったら、外国から日本の社会の操作が可能になってしまうと思うから。
・地方公務員の話は確かにおかしいことだが、上司が日本人じゃないとすれば少なからず部下はいい気がしないだろう。…だからそういう決まりになったのではないか。
・外国人に対して日本人と全く同じような待遇をしてしまうとどんどん日本に貧しい外国の人が流入してしまい、日本を日本人以外の人に乗っ取られてしまう気がする。…ある程度の制限を設定するのは当然だと思う。そのような制限が嫌だというのであれば帰化するなり自国に帰るなりするのがよいと思うが、どうして抵抗するのだろうか。
・公権力の行使は日本への侵略につながるから認められなくて当然だと思う。
日本国籍を取得すればよい?
・日本国籍でないというだけで…差別されるのは非常に納得がいかないし不平等であると思った。ただ、日本に住んでいるから日本の構成員というのは、法律や条例上難しいところがあると思うので、日本国籍をとればいいのかなと思った。
・国籍がないだけで手当てや補助が受けられないのは不公平だと思った。しかしそれと同時に国籍さえあれば補助が受けられるなら国籍を取得するという選択肢は考えの中にないのだろうか。日本籍をとらないということは、母国の誇りやアイデンティティに関する考えがあるのだろうか。…国籍という仕組み自体が国籍を持つことで一種の愛国心の表れであり、日本国民という集団の一員に所属するという意味を持つのではないかと思う。
・法律が差別かという問題があったが法律自身には差別問題には直接関係ないと思う。法律を作られた時期には想定されなかっただけで、差別の意図はなかったと思う。日本国籍をとりづらいのかわからないが日本国籍をとればいいのではないかと思った。
「日本」の「朝鮮/韓国人」とは?
・日本で生まれ育ったことを強調しながらも「本名」を意識し保育園で朝鮮の歌を教えること、それはどういう意識なのかわからなかった。
・日本の構成員であることには深く賛同するし選挙権は与えるべきだと思う。しかし日本の構成員だといっていたのに、植民地のことに関しては自分は韓国人だと真っ向から指摘しているのは矛盾だとしか思えない。
・今まで差別というのは形でしか認識していなかったが、生の声で経験談として語らえる差別を認識するのは全く別物のように感じた。しかしだからといって“朝鮮人”という類で被害者面をするのはやはりおかしいと思う。実際に朝鮮人による日本人の差別もあるのに一方的な扱いは違う。
「共生」とは?
・日本人は日本は自分達のものだと思い込んでいるというところにも共感した。外国人が日本の公務員になって職員に指図命令するのはどうしても違和感を覚えてしまうし、学校に言葉の通じない外国人が転向してきたら仲良くなるのに時間がかかってしまいそう。国際化が進む現在「外国人」というイメージにとらわれず同じ「人間」として共生できるようになることが課題だ。
・様々な文化的背景をもちあわせた人たちが同じ仕事をするということは、新たなアイデアの発信源となるし積極的な交流は必要不可欠だと思う。
・外国人の力なしに発展はない。いつの時代も自国民の力だけの方が成長できるということはなかった。…時間はかかるかもしれないが、厚い福祉を外国所人びとにも施してほしいしすんなりと社会入っていける制度を期待したい。
・日本にいる人は在日韓国人とかではなく日本人であると自分は思う。その人たちを差別するのはやはりおかしいしこれはなくしていくしかないと思う。
・自分が自治体志望というのもあるので、在日外国人への「共生」について考えていかなければならないと強く思った。…国から動くのは難しいところはあるが地域の根拠地で協働することで広がっていくのではないかと思う。
・外国人は日本に必要なく日本は日本人のものだという考えは古い考えであると思う。今こそ行動力があり人を引っ張っていける人物が国籍に関係なく前に立つべきである。
・日本国内において差別問題というのは日立闘争だけでなくたくさんの場面で起きていると感じた。…実際にいろんな考えを持っている人と共に仕事をしそれをお互いの共有することでもっと新しいことが出来るので、とても重要だと思った。
・盲目的に他の人種の方々を排他的に考えるのではなく、共に同じ人間として関わっていくような手立てがあればよいと思う。日本人とその他の人種を隔てるのは差別なのか区別なのか、また法律においても今現在の社会には不可解な点がいろいろあるので考えていこうと思った。
原発・原爆の問題について
・メディアでは原発事故の責任は東電のみと報道していたような気がするので、今回メーカーの責任はないのかという話を聞いてはっとさせられた。
・メーカーは訴えるけど原発政策を推進した国には何も言わないのか?
・原発の責任問題などでその法律が制定された理由まで含めて教えてもらえるとうれしいと思った。
・原発については…事故をいつまでも引きずるよりはその件に関して未来のためにできることがほかにあるのではないかと思った。アメリカに原爆のことを謝罪させたところでこの先に国際社会にプラスになるのか疑問が残った。
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