2017年11月5日日曜日

世界の閉塞状態を突破する途はあるのでしょうか?

「日本政府が核禁止条約禁止に賛成しなかった理由とその歴史的な背景ーー澤野先生との輪読と勉強会」より
http://oklos-che.blogspot.jp/2017/11/blog-post_4.html

日本政府の核政策
日本政府は何故この条約に反対しているのかというと、これは従来の日本政府の核政策が原因です。日本政府の核政策は一般的には、非核三原則がありますが、実はこれが単独で存在しているのではなく、実際には4つの方針があって、その一つが非核三原則です。4つとは、非核三原則、日米安保を前提とした米国の「核の傘」への依存、積極的核廃止提案とは一線を画した核軍縮外交、核エネルギーの平和利用の名の下での原発推進政策(日米安保と一体になった日米原子力協定が背景)のことです。

従って「非核三原則」は核政策の一つにすぎず、他の3方針とは密接なかかわりで運用されているので、「非核三原則」は理念通りには絶対実行できないのです。この4つの政策は事実上の日本の核政策だということを知らずに「非核三原則」だけをいっているのは大間違いです。

非核三原則は、「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という三つの原則からなる日本の政策ですが、実際は沖縄においても横須賀においても、米軍基地に核兵器がないと証明することはできないのが現状です。アメリカは日本を基地にしていつでも核兵器による攻撃準備ができていると見るのが常識です。

また核兵器も日本は原発の運転でできた多くのプラトニウムを持ちいつでも製造できる状態にありますし、それを飛ばすミサイルも持っています。安保法案成立以降は、日本を守るためであれば先制攻撃もやむなしということで、世界最大の米軍の第一軍団と自衛隊は同じところに司令部を置いて、実質的には自衛隊は米軍の通常兵器及び核兵器での攻撃に参加する体制になっている(10・31の斎藤貴男講演より)ということになります。

斎藤貴男さんの講演内容の概略の報告 
http://oklos-che.blogspot.jp/2017/11/blog-post.html

従って、核問題を非核3原則だけをとりあげてそれを守っていけばいいという主張は、澤野先生の主張のように、全く無意味なのです。核問題は日米安保を前提にした「核の傘」、原発の存在と密接な関わりがあり、今回、日本政府が核兵器禁止条約に賛成しなかったのは、ある意味、当然のことなのです。
また今回、「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」がこの間の粘り強い反核運動でノーベル平和賞を受賞しましたが、日本政府にも参加を求めると言うは易しで、実際には現在の日本の政権が続く限り(また先の鳩山民主党政権の挫折を見てもわかるように)、それは澤野先生が指摘される4つの要素を考えると不可能だと言うしかありません。

閉塞状態の現状を突破する途はあるのでしょうか?
ではどうするのか、斎藤貴男が講演でいみじくも言ったように、妙案はなく、地道に小学生に教え諭すような実践を続けるしかないのでしょうか。私見では、核兵器禁止の世界的な運動と反原発運動とを結びつけ、そのふたつは1つであるという運動を国際的に展開することが一番有効かと思われます。

そしてそれと連動する形で、日本軍慰安婦問題を結びつけるのです。原発体制とは戦後の植民地のない植民地支配であり、植民地支配の犠牲者を支援し、これからはそのような犠牲者を出してはいけない、という視点です。そして原爆投下はいかなる理由があっても許されないという世界的なコンセンサスを作り出すのです。

核兵器禁止条約の運動の原点は被爆者の自立の運動と結びついていることは、ICANのノーベル賞受賞にあたっての関係者のコメントから伺えます。それは生存権ということで環境破壊に反対する運動とも繋がります。

ICANのベアトリス・フィン事務局長は、平和賞は「核兵器にたゆまず反対し続けてきたすべての人を称賛するものであり、被爆者の大きな功績を認めたものだ」と語ったそうです(日経115日)。

私たちの計画
私たちは韓国で始まった、米国政府の広島・長崎での原爆投下に対して謝罪と賠償を求める法廷闘争が、米国での裁判闘争となるように被爆者の運動を支援していくことを計画しています。

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