原発メーカー訴訟控訴審、1回で結審。12月8日(金)11時に判決。
映画「三度目の殺人」を彷彿させてくれます。司法界は司法というルールの上で裁判所も原告・被告の弁護士もグル(映画の主張です)。
私は本人訴訟団(選定当事者)として原発メーカー訴訟弁護団の後、どうして控訴をしたのかということで陳述をしました。
私たちは原賠法によってメーカーの責任は問われないという法律があっても、事故を起こした原発メーカーに一切責任がないというのは、製造物責任法を知る者として、それはおかしい、たとえメーカーに責任はないという法律があっても、おかしいことはおこしいと世界中にアピールして4000人の原告を集めました。
私たちは原賠法によってメーカーの責任は問われないという法律があっても、事故を起こした原発メーカーに一切責任がないというのは、製造物責任法を知る者として、それはおかしい、たとえメーカーに責任はないという法律があっても、おかしいことはおこしいと世界中にアピールして4000人の原告を集めました。
弁護団がスライドを使って法廷でながながと、原発が産業としてなりたたなくなっているとか一般的な状況を法廷でいくら主張しても、すべての事故の責任は原発運営会社(東電)がとる、おかねがいくら必要になっても政府が支援するという堅牢な構造をくずすことはできません。
問題は、国が定めた基準内の人たちだけが被害者としての保障を受けるという制度です。その放射能の濃度の範囲内の住民だけが(一部、精神障害も認定されています)政府及び東電の保障の対象になるという、その仕組みに私たちは挑戦したのです。福島を含め福島以外の海外の市民も、今回のフクシマ事故による「不安」と「恐怖」による精神的障害を訴える原告(市民)の訴えを、自分たちが恣意的に作った基準によって、その基準外の人達を玄関払いする司法界の基準そのものをひっくり返す論理が必要でした。
だから地裁判決は一切私たちの主張に答えず、理由や根拠を示さず棄却しました。応えると自分たちの設定した基準外の人にまで保障をしなければならず、そういう議論を避けるためです。一方、原告弁護団もその基準にはふれていません。その恣意的に設定された基準は当然のものとして、暗黙の前提の上で、裁判所、被告・原告の弁護士の間で裁判が展開されたのです。それはある意味、出来レースというものです。その基準が裁判をする前提になっていたのです。従って法廷では被告と原告の間で専門家だけで通じる(小賢しい)法律論及び、原告弁護団からはその基準を問うことなく原発の危険性、メーカーの問題点を指摘する膨大な資料を提示しながらの一般論だけでした。
本人訴訟団としての最大の悔いは、原告弁護団とこの司法界で当然視されている基準をどう突破するのかという話しあいができなかったことです。本人訴訟団はその裁判の判定の基準そのものを問う主張をしました。12月の判決で敗訴しても、その問題提起ができたということでよしとすべきなのかもしれません。私たちは専門家だけがわかる法廷での法律論よりも、私たちの怒りの根拠を明示しました。それは原発の製造、運営、輸出そのものが違憲であるという明確なものです。原発は武器に転用されるのであり、それ自体憲法の平和主義に反しているというものです。
私たちはどうして原告弁護団が原賠法の原発運営会社の責任集中という制度を法律的に問題にしながら、原発の製造、運営、輸出が憲法違反であるという主張をしなかったのか理解に苦しみます。
原告弁護団は最高裁まで闘うつもりのようです。私たちはその闘いを支持します。しかし私たち本人訴訟団が主張してきた、原発の製造、運営、輸出そのものが平和主義に反する違憲であること、裁判の判断基準を国家が恣意的に決めた基準にするというあり方そのものを乗り越える視点を提示してくほしいものです(相当因果関係論VS事実的因果関係論)。(参考までに:損害責任の範囲を限定するための法理論が「相当因果関係論」であり、「事実的因果関係論」は「恐怖感とか不安感なるものは、・・・それが単なる主観的危惧や懸念にとどまらず、近い将来、現実に生命、身体及び健康が害される蓋然性が高く、その危険が客観的に予測されることにより健康などに対する不安に脅かされるという場合には、その不安の気持ちは、もはや社会通念上甘受すべき限度を超えるものというべきであり、人の内心の静穏な感情を害されない利益を侵害されたものとして、損害賠償の対象となるのが相当である」とする東京地裁判決(平成9.4.23)が参考になる。澤野義一「原発メーカーの原発製造等と輸出の「公序良俗」違反性」5-6頁、8頁)。
それと法廷闘争と並行して海外を含めての法廷外闘争が不可避であることをしっかりと認識し、本人訴訟団とも率直に話し合うようになっていただきたいものです。がんばってください。エールを送ります。
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