論文の内容がたんぽぽ舎の「韓国の市民キャンドル革命」を知る連続講座で講演されたキム・ミヌン教授の似ていると感じましたが、大学の同僚なのでよく話し合っているのかもしれません。
この論文と金教授や日本にいらっしゃるイ・ヨンチェさんの講演内容から、韓国社会の健全性を感じます。今時、中高校生にこれほど熱い思いを語りかける人たちがどれほどいるでしょうか?
韓国でも教師や教組に対する締めつけは厳しいようですが、それでも「市民キャンドルデモ」には多くの中高校の教師が生徒と共に参加し、その昔ヘルメットをかぶり革命を求めた大学の教授、教会の牧師の多くが家族連れで「市民キャンドル革命」に参加し、中高校生、大学生、社会の階層をこえた様々な人たちと一緒にデモ行進しているようです。毎週土曜日13週連続、20~100万の人が光化門前に集まります。これからも続くことでしょう。
韓国社会は根本的に変わろうとしています。代議員制度のみが民主主義だと考える日本人に、台湾や韓国の市民の爆発的な力(=「市民革命」)による代議員制度そのものに質的変革をもたらし、市民の声を直接、国政に反映させることこそが民主主義であることを新ためて考えざるをえません。
日本では沖縄問題、原発問題がありながら、どうして「市民革命」がおこらないのか、台湾・韓国が日本より遅れていると考えることは、まさに現在の植民地主義史観です。日韓の連帯、アジアの連帯がなされるためには、相互の深い理解が必要不可欠です。そのためにも植民地主義観の実態を研ぎ澄まされた目で見て、物事の真相を深くとらえるところから出発するしかありません。
崔 勝久
蝋燭(キャンドルデモ)は偉大なのか? だまされてはいけない!
Emanuel Pastreich
エマニュエル・パストリッチ 慶熙大学教授、アジアインスティチュート所長
青年の皆さん、
私達(この文章は私とアジアインスティチュートの所長で慶煕大学研究員が一緒に書きました)は手に蝋燭と直接作ったポスターを持 って光化門広場に集まった皆さんを見てとても感銘を受けました。 大学生もいたし, 高校生, さらに中学生もいました。
市民達が街に出て、 法による支配と責任政治を求める姿はすごく崇高なものでした。 そこには政治意識の鼓動が遠い国まで鳴り響いていました。
メディアでは平和なデモだと称賛し、今や韓国は民主主義の模範国 家になったと褒め称えさえもしました。
しかし朴槿恵大統領が弾劾し、その友人のチェスンシルが刑務所に 入ったからと言って全てが終わったと言う訳ではありません。 これから新しい挑戦が残っているのです。
この論文は、▲反動で終わった市民革命、▲韓国が置かれた状況、▲気候変化はまた別の脅威
この論文は、▲反動で終わった市民革命、▲韓国が置かれた状況、▲気候変化はまた別の脅威
反動で終わった市民革命、▲手を取り行動しよう!などよっつの部分に分け、去る4・19、ソウルの春、6月抗争等、環境的変化そしてそれらを打開するために青年たちが1960年4月26日にも韓国である大統領が辞任しました。 李承晩大統領が学生達と市民達の要求に押され辞任した時、学生達 は歓呼し、新しい民主政府が始めると期待しました。しかし学生達 は情勢を良く知らず今後どの様な政府を築き、 どんな政策を推進するかについての明確な計画を立てていませんで した。
彼らは李承晩辞任後の権力空白期間を利用して誰かが権力の簒奪を 狙うという事実を知りませんでした。張勉総理は明確なビジョンを 持たずして危ない政治ゲームにばかり没頭していました。 その結果はよくご存知だと思います。
朴正熙という利口な若い将軍が軍隊内の不満勢力を募って1961 年5月16日にクーデターを起こしました。その後数十年の間、韓 国は民主主義とは遠くかけ離れました。または1980年ソウルの春を思い浮かべて見て下さい。3金の政 治的な分裂れ結局のところ全斗煥将軍の野蛮な統治に帰結しました 。
1987年にも3金は分裂し、結局は盧泰愚将軍が執権しました。 韓国の現代史をしばし見てみると市民達の数多くの民主化闘争が政 治人の分裂、そして政治的な機会主義者が勢力を得て失敗したとい う事実が分かると思います。勿論、韓国はその後も着実に発展しました。 だからと言ってこれ以上過去の様な失敗はないだろうと思うのは、 愚かな考えです。朴槿恵を追い払う事が決して最終目的になる訳で はありません。それは政経癒着解散の為の初めの一歩に過ぎません 。
韓国が置かれた状況
韓国経済は貿易に大きく依存しており、食料とエネルギーを輸入し ています。今年は深刻な経済沈滞が予想されます。メディアは隠す ことに努めているが、既に海運業、乗船業、そして鉄鋼業が崩壊し ています。政府がしていることと言えば辛うじて耐えている産業に国民の血税 を支援なんとか維持させる程度です。 それは結局失敗してしまうでしょう。
韓国はサード配置に対する報復で経済交流を速く縮めようとしてい る中国、そして関税などの保護貿易注意を追及するアメリカのトラ ンプ政府の間に挟まれています。 親世代が信じ疑わなかった完全自由貿易体制は崩壊の危機に晒され ています。その上トランプ政治は韓国に保守政権を立たせる為に必死になって いるかも知れません。
トランプの周囲には中国の軍事的な脅威を強調するタカ派で溢れて います。新任の国防長官のジェームスマティスは中国をアメリカに 対し直接的な脅威とし ≪中国による死(Death by China)≫と言う論争的な著書を出した貿易補佐官のピーター ナバロはアメリカが経験する全ての困難を中国の不公正貿易が原因 とするでしょう。
もしかしたら皆さんは朴槿恵大統領が弾劾したらサード計画も撤回 すると思うかも知れません。しかしトランプ行政府は中国に対立し 韓国を米日同盟で繋ごうとありとあらゆる手を使っています。
サードはドロンやヘリコプターなどの韓国が購入するアメリカの武 器セットの一部に過ぎません。韓国は2014年78億ドルのアメ リカ武器を購入した最大の顧客でした。アメリカ経済が落ち込むほ ど韓国に対する武器購入の圧力は更に掛かるでしょう。
韓国の学生たちは本当に自分の国の発展に関心が多いが、実際間違 った教育システムが彼らをダメにしています。人文学は高校と大学 のカリキュラムから消え、多くの若者達が退屈さを抑えて経営、経 済、会計学の授業を受けています。
いくらサムスングループが経営専攻者を要したとしても、 もし皆さんが良い政府と健康な社会を築きたいなら政治哲学、歴史 、文学に関心を持たなければなりません。特に人文学は現在のような政治的な混乱を克服する為には必ず必要 です。もし皆さんがどのようにして権力を牽制じ責任ある市民性を 構成し、独裁の危険を避けることが出来るのかを知りたいなら、 プラトンと孔子、マックス・ヴェーバーを読んでみてください。 またそれらを読む方法も習わなければなりません。
今受けている経営学の授業は現在の様な政治的危機を克服する何の 役にも立ちません。もしかしたら親の世代達つまり1960年、1 979年、1987年の市民抗争に参加したその世代達は今の若者 世代より哲学と倫理学、健康な社会を築く戦略をもっと備えていま した。もしかして今回の蝋燭集会後に一緒に集い政治改革と政府の本質な どについて討論してみましたか。韓国の民主主義がどこに進むべき でどうやって国民に仕える政府を構成させるか夜通し討論したこと はありますか。トクヴィルの≪アメリカの民主主義≫ またはホッブスの≪リヴァイアサン≫を読みながら本にぎっしりメ モをしたことはありますか。
もしそうしたことがないならば是非そうしてみて下さい。 二度と政治家に騙されない為には若者達が政治と政府公共政治の原 理をちゃんとしっかり理解しなければなりません。そして蝋燭市民は偉大だと煽るメディアの口車に注意して下さい。
オーマイニュースやプレシアンの様なメディアもかなり産業化され ながら鋭さを失くしつつあります。 記事は深層分析よりも好奇心を刺激するのに没頭しています。そう することで収入になるからです。しかし好奇心だけを刺激するだけで世の中が本当はどう回っている のかについてはあまり言及しません。
マスコミと電子コンテンツ、そしてSNSは政府の無能と腐敗を監 視する機会を与えてくれました。しかしこれらメディアは韓国社会 を蝕ませる腐敗に目を瞑っています。これらメディアは24時間ず っとチェスンシル事態を報道しながら肝心な韓国を脅かす経済的、 社会的、環境的、外交的挑戦について分からなくさせます。
保守メディアも、進歩メディアも議会を通過した法案、 政府支援金をもらい法律を執行する機関については殆ど報道しませ ん。メディアが政策について報道しないので我々は知る方法が無い わけです。
保守メディアも、進歩メディアも議会を通過した法案、
例えば今回の朴槿恵-チェスンシルゲートでこれらが喝取した金額 は李明博政府で4大河川事業でつぎ込んだ21兆ウォンや資源外交 に浪費した数十兆ウォンに比べると少ない方です。 なのに李明博大統領は何ともなく、朴槿恵大統領は弾劾しました。なぜでしょうか。李明博の場合は政府関連の機関を中間に置いて政 策の決定をした為、大統領個人の非理が隠れた為です。大勢の人がセヌリ党を保守政党、民主党と正義党を進歩政党と錯覚 していますが政治家が言うことをそのまま信じてはいけません。
気候変化はまた別の脅威
蝋燭集会をする時、外の空気がとても悪いことにお気づきでしょう か。
朴槿恵政府は大気関連の規制を無くし、 工場の監督官を縮小しました。その工場は今後20年の間、 癌と多くの病を引き起こす粒子状物質を排出する所です。 今私たちは憲法10条に規定されている’幸せの追及権’を剥奪さ れているのです。
韓国のスモークが毎日中国からの汚染物質と混ざり合います。 今は中国の汚染が韓国より深刻だが、中国は今後10年間太陽光と 風力発電に膨大な投資をしています。しかし韓国はOECD国家の 中で再生エネルギーの使用比率が一番低く、寧ろ化石燃料の使用が 増加する傾向にあります。
しかし今回の蝋燭集会でこの問題は20番目の議題にも入りません でした。唯一議題は朴槿恵の弾劾でした。さて皆さん! 皆さん自身に議題が20項目あるか考えて見て下さい。
去年の12月にどれだけ異例に暖かかったか覚えていますか。 勿論皆さんのお母さんに毎朝、 出勤の時にとても寒いから暖かくして行きなさい言われたと思いま すがそれは真実ではありません。
本当の真実はソウルが去年の12月の様に暖かかったことは一回も 無かったと言うことです。なぜでしょうか。多くの科学者が化石燃 料、環境破壊による生態地獄を警告しています。これを復旧する為 には千年が掛かるかもしれません。
気候の変化は韓国を砂漠にするでしょう。すでに中国の北京は砂漠 化が進行していて、北朝鮮の土地も荒廃していってます。近い未来 に海水面の上昇は釜山と仁川を飲み込んでしまうかもしれません。政治家がこのような真実を言及しないことについては置いておいた としても皆さんまでこの事について見て見ぬふりをするのには理解 ができません。これ以外にも多くの議題があると思います。例えば技術文明に対す る過渡な依存、超競争文化による家族と共同体の崩壊など私たちが 立ち向かう問題は溢れるばかりです。
手を取り行動しよう!
皆さんには韓国と世界を変える力があります。 私たちの運命は皆さんにかかっています。 しかし先ほどお話した問題は単純に蝋燭集会では解決しません。数 十年の戦いが必要かもしれません。 なので一旦呼吸を整えて下さい。
まず高校時代から滞貨した過度な競争から抜け出してください。 仲間と力を合わせて助け合う温かいコミュニティを作ることによっ て世界を変えることができます。柔軟に考えてください。固定観念から抜け出し、 世界をありのままにみてください。親の視線、メディアの目から抜 け出さなくてはいけません。 そして産業化と消費主義の古いイデオロギーからも抜け出さなけれ ばなりません。
既存のシステムは失敗しました。自ら学習する必要があります。 例え進歩的だと評価されている政治家の言葉だとしても、 疑ってみてください。政治家の言葉ではなく、行動でかれらを判断 してください。特定の経済システムを絶対善または絶対悪だと、 またはどんな国が永遠な敵または仲間だと裁断しないでください。
ルールを守り一生懸命勉強すれば良い仕事に付け豊かになれるとい う親の言葉を拒否してください。それはすべて嘘です。もしあなたにまだ選挙権がなかったとしても、あなたの行動で社会 を変えることができます。この国を変えられる人はまさに皆さんで す。
あなたが何も要求していないのに大統領や財閥会長が、 あなたが望む方向に決定する可能性はゼロです。若者に投資するこ とが韓国を発展させる道であると言うことを積極的に説得してくだ さい。権威や権威のある人に頼らないでください。そのような権限がなく ても、あなたは変えることができます。政治家に沢山のことを期待しないでください。彼らは自分の権力を あなたを助けるために使いはしません。 しかしあなたを助けることが自分の権力維持に繋がるなら、 すぐに率先し手助けするはずです。 したがって重要なことは政治家ではなく、私たち自身です。
「人々はリーダーではなく奇跡を起こすメシアを求める」 という言葉があります。人々は投票所で、私たちの問題を一挙に解 決してくれる超人を選ぼうとします。しかし、そのような超人は絶 対どのような場合でも現れません。
その代わりに一日中あなたが選んだ政治家を観察し、 監視してみてください。そしたら小さな変化が現れるでしょう。あなたを導いてくれるリーダーを求めていますか。 それならば鏡を御覧なさい。 そこにあなたが探している人がいるでしょう。
情熱的な草の根運動が政治家を動かし、世界を進歩させます。「 怒らないでしっかり組織化させよう!(don’t get mad; organize!)」この言葉ほど韓国の若者に必要な言葉もな いでしょう。今までの蝋燭集会は、過去とは違いました。
今後どのような社会を作るか長期的な観点からじっくり考えて下さ い。皆さんの親の世代は、もはや政治に関心を持たずに腰を落ち着 けて失敗しました。彼らは韓国がすでに先進国になったと勘違いし ています。
あなたは、リムジンの後部座席にもたれ掛かった政治家や財閥会長 とは違わなくてはなりません。変化の主人公になって下さい。勇気 を持ってください。想像して確信して下さい。
より良い韓国を作れるという想像し確信し続けて下さい
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