大阪の弓場さんからのメールです。
先日12.5の学習会も来年からの本格的な口頭弁論をまえに充実した中に無事終了しました。報告書(井上氏記録)作成していただきました。ご高覧いただきご意見などお寄せいただければ幸いです。
学習会での全体の様子が記されていますので、ここにご紹介いたします(一部人名の間違いなどは崔が修正しました)。
学習会 ―「公序良俗」に反する原発メーカーの違憲性とは?―
日時:平成27年12月5日 17:00~19:00
場所:南YMCA
1.原発メーカーの原発製造等と輸出の「公序良俗」違反性(添付資料参照)
原発メーカーの原発製造等と輸出の「公序良俗」違反性ー澤野義一教授の講演レジュメ
http://oklos-che.blogspot.jp/2015/12/blog-post_7.html
(大阪経済法科大学法学部 澤野 義一教授)
今回は、公序良俗にポイントを絞って話された。
(1)要旨
原発メーカーと東電の原発ビジネスは、反社会的な「公序良俗」に違反する契約で無効で(民法90条)、当該ビジネスによって生じた原発被害(精神的損害等)に対しては、原発メーカーに対しても損害賠償請求できる(民法709条等)。
(2)「公序良俗」に違反する法律行為(契約)は無効の意味
・契約が無効になる事例
犯罪行為、性道徳に反する行為、自由を極度に制限する行為、
経済的公序違反行為、憲法上の権利・自由の侵害
(3)原発ビジネス契約の場合の「公序良俗」違反性―新たな問題提起
・原告が原発ビジネスの契約を知ることは困難で、被告メーカーに提出を要求。
・「公序良俗」違反の理由
福島原発事故、多様な人権侵害、憲法9条侵害、・・・・
・原発ビジネスが無効とすれば、原告適格者は精神的損害を立証・主張する意志のある者すべてが含まれる。
(4)原発メーカーの原発輸出の「公序良俗」違反性
・国内的に公序良俗違反の原発ビジネスを輸出ビジネスを展開することは公序良俗違反。
2.崔勝久氏のあいさつ
・先月の広島で世界核被害者国際フォーラムに出席した。このフォーラムには広島市長のメーッセージがなかった。原爆のみであればメーッセージを出せるが、原発には出せないとのことである。被ばくは英語(hibaku)になっている。日本でメーカーを相手に裁判をしているとことを話すと皆驚いていた。
・原爆の被ばくも原発の被ばくも同じである。原発の通常運転でも被ばくさせている。韓国のイ・ジンソプさんは甲状腺がんの発症で裁判に勝利している。通常運転で被ばくが認められたのは画期的なことである。
・来年の4月22日の釜山で国際連携フォーラムが開催される。参加予定。川内原発を差し止める裁判の原告は1万人を超えたが、原発体制は国際体制で日本だけではダメで、連携しなければいけない。
・選定者から選ばれた選定当事者(民法30条)は代理人(弁護士)と同じ権利がある。小出裕章さんに選定者制度を話したら驚いていた。日本の裁判所では日本の弁護士資格を有する者しか弁護活動できないことになっている。しかし、韓国の弁護士が選定当事者になれば、弁護活動ができることになる。他国(米国、アイルランド等)の弁護士も選定当事者になれば代理人と同じように弁護活動が可能になる。
・この裁判では海外の証人も呼んで徹底的にメーカーを追及したい。原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗務員が東電(最近被告として原発メーカーの追加を求めている)を訴えている裁判の弁護士とも連携し、呼ぶことも考える。弁護士は全面的に協力すると言っている。汚染水の問題を追及している大阪の山辺さん、カナダの小出さんと言われている人、原発の専門家であるゴードン・エドワーズ氏等を証人として考えている。
・原発メーカーを訴えることは世界ではじめてである。弁護団と本人訴訟を車の両輪として皆で進めて行きましょう。
3.質疑応答
質問:原発に使用するウラン鉱山でも被ばくの問題があるのでは。
崔 :モンゴルではアレバが鉱山を買収している。モンゴルでは穴を掘って硫酸を地下に流し、ウランを溶かす方法を採用している。鉱山の周辺では多くの動物が死んでいる。韓国ではウランの採掘は違反となっている。
質問:諸悪の根源は日米原子力協定ではと思う。この協定は現状と祖語をきたしているのでは。1955年の日米原子力協定の枠内で全てが動いている。この協定の根っこには日米安全保障条約がある。これら条約を止めて濃縮ウランを売りませんという事になれば原発事業も成り立たなくなる。日米安保条約を止めるぐらいのことを言わないと。政治を変えないと変わらないのでは。
澤野:日米安保に代わる体制はどのようなものであるかについての議論が必要である。野党も明確な案をださなくてはいけない。
永世中立が目的を達成する方策であるのとか。
崔 :弁護団は原賠法を拠り所にして裁判を進めている。原賠法の放射線被害は実害であり、精神的障害を含まれない。精神的損害は原賠法では該当しないが、本人訴訟の訴えでは該当すると考えているが、裁判所がどう判断するかである
澤野:精神的損害は抽象的なものでも大丈夫である。
PL法は消費者が製造メーカー訴えるもので、東電がメーカーを訴える場合に用いる。PL法を用いると原告が絞られる。
質問:公序良俗に反する行為で訴えるのは根拠として弱いのでは。
澤野:公序良俗は一般的には軽いともとれるが、これは裁判官の対応しだいである。公序良俗の内容が憲法違反であるとの主張である。その内容は契約であり、これが憲法違反である。
弁護団の原賠法論では、原賠法が憲法違反としている。
質問:韓国のイ・ジンソプさんの例のような原発周辺の疫学的な調査が必要では。
崔 :疫学的調査は必要。住民運動と一緒になり調査等を進めなければ裁判に勝てない。
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