2013年8月6日火曜日

8・5集会、実りある集会になりました


原発の再稼働・輸出に抗するー反核、反差別、反格差の立場から
~原発体制に抗する反植民地主義の闘いを地域社会から!~


8月5日、日比谷図書館4階での集会は30名が参加してくださり、6時半から40年前の「日立闘争」のスライドを上映し、その後9時半まで朴鐘籍の「企業内植民地主義、日立の実態」の講演、私の「多文化共生は植民地主義のイデオロギーか」のはなしがありました。



その後、佐藤和之さんのコメントがありました。朴鐘碩のこれまでの闘いを三段階に分けながら、特に二番目の日立入社後の「「開かれた職場を求めた」闘いに関する意見について詳しく話されました。「軟な経営」でない日立のような企業、また国家権力に労働者として対峙し言いたいことを言うには、組織的な基礎をつくることなくしては困難であること、またすべてのことを植民地主義ということばで説明せず、企業の実態に即した説明が必要ではないかという指摘がありました。


東京外大の岩崎稔さんはゼミの学生に70年代の日立闘争当該の証言が聴けるということで声をかけたと言いながら、自分自身、日立闘争の意味と日立内での朴鐘碩の働きを知っているつもりでいたが、実際、本人の話を聞いてそれがステレオタイプなものであったことを実感した、また日立闘争が過去のものでなく、絶えず「進化」して今の反原発運動にまで進んでいることに驚いているということを話されました。

また私の話に関しては、どうして西川長夫さんがたどってきた、国民国家を前提にしない植民地主義論に崔自身の経験を重ねそこからを自分の生き方を求めるて来たのかについて理解を示しながら、入門編から一挙にアドバンス・コースの話しをして先に突っ走るような崔の話は、そこに一定の説明と解説を加えれば学生も納得できるだろうし、その方向に自分は賛同するということを話されました。

また、自分はどういうことがあっても「在特会」には批判的だが、「しばき隊」が「在特隊」との対峙の中で相手の論理にからみとられ、同じ水準になってしま危険性についての指摘がありました。

最後に、民族の克服という私の主張について、ナショナリズムや国家の弾圧に抗するときに、対抗しながら相手と同じ水準に陥ることの危険性と、近代の国民国家を当然視するところからそうでないあり方を模索する困難な道を歩もうとしているとの感想を話されていました。

また植民地主義論を「万能」にしないで、Internal ColonialismとPost Colonialismの間の議論をしっかりと踏まえたほうがいいというアドバイスもありました。超多忙な生活をされている岩崎さんがわざわざ集会にきてくださり、私たちの思いを理解されながら、そこから先のあり方を示唆してくださったことに心から感謝申し上げます。

3 件のコメント:

  1. 朴鐘碩氏(元日立闘争当該・現嘱託社員)報告へのコメント
    佐藤和之(佼成学園教職組・東京私学西部地区連)
    2013.8.5 日比谷図書文化館
    ◆日立闘争
    *第1ラウンド:就職差別糾弾闘争 / 川崎における地域活動の展開
    *第2ラウンド:企業内植民地主義との闘い 自由にモノが言える開かれた職場を求めて
    *第3ラウンド:原発再稼働反対 原発輸出阻止 自然エネルギーへの転換
    ◆日立という企業
    *戦前、日立鉱山の朝鮮人強制連行→韓国政府が「戦犯企業」と指定
    *争議のデパート:
    日立争議・・・全国で5,555名の整理解雇(1950年)
    「ガラスの檻」事件(1963年)・・・日立製作所武蔵工場で組合活動をした女子6人を隔離
    日立武蔵田中秀幸解雇争議(1971年)・・・御用組合批判後に賃金差別され、非正規解雇事
    件の裁判証言を経て、残業拒否で解雇
    ◆闘争主体
    *日立就職差別糾弾闘争を経て入社した朴鐘碩氏
    *連合系労働組合内少数派としての朴鐘碩氏
    *「そして定年の日。片付けがあるからと、わざと作業服で出勤した。定時のチャイムが
    鳴ると、部署を超え、大勢の人がフロアに集まってきた。朴さんは驚いた。多くの目が柔らかに笑っている。花束贈呈。長い長い拍手が続いた」(「朝日新聞」2011.12.28) 
    ◆企業内植民地主義との闘い
    *国家権力は分断と差別を利用して支配し、資本主義は低賃金不安定労働力を必要とする
    *日本の近代化は暴力的対外侵略と、植民地からの搾取・収奪を通じた資本蓄積を伴った
    *植民地主義、国内植民地主義、企業内植民地主義・・・構造の違いにも留意する必要
    *同化と差別、暴力的強制と間接的強制、2重支配と2重構造
    *企業内植民地主義:企業統治に同化しない労働者への弾圧と非正規労働者・外部労働者への差別。暴力を伴う労組活動家への集団吊し上げリンチと、賃金・労働時間・内外人事を通じた間接的支配(←法的根拠は業務命令権・就業規則制定権・人事権・解雇権など)<=>労使対等原則・・・実質的には労組結成で確保できる筈だが→経営と正社員御用組合による2重支配、企業労働者は被害者であり加害者という2重構造

    ◇如何に問題を克服すべきか-新日窒労組の教訓から
    *経過:水俣病公式確認(1956年)→操業停止反対決議・漁協の暴行に抗議(59年)→安賃闘争・ロックアウト・組合分裂(62年)→スト終結・人員整理・組合差別開始(63年)=>「恥宣言」(68年)※1→水俣病スト「水俣工場の労働者はストでチッソの企業責任を追及する」(70年)→水俣病裁判での労働者証言(73年)→第1組合、定年退職で消滅(2005年) / 「企業城下町」から水俣病市民対策会議の結成へ(68年)
    *転機:「第一組合が水俣病に向き合ったのは、組合分裂後、組織破壊攻撃と差別といやがらせ、相次ぐ人員整理、とスクラップ化攻撃を受け、つまり自分の痛みがやっと回りの仲間の痛みに結びついたのであった」 (石田博文『水俣病と労働者』2013)※2
    *核心:「身体の中にはチッソという企業社会のシミが残っていたのである。それに気づきはじめたのは、五ヵ年合理化計画が発表された(昭和)42年頃・・・労働者が公害闘争に立ち上がるには、先ずどうしても組織を乗り越える必要がある」(松崎次男「俺たちと水俣病闘争」『賃金と社会保障』1970)=>企業・企業別組合・ナショナリズムを超克する必要

    ◆原発に反対する原発関連労組があってよい
    *電力総連・電機連合はもとより、「原発・除染労働者は原発反対ではない」(福島連帯ユニオン)。背景にワーキングプア問題。一方で、「東電からの退職者が昨年度までの2年で約1200人が社を去ったが、なお人材流出は止まらない」(『日経新聞』2013.7.13)。そして、「除染作業手当の支払い勝ちとる」(レイバーネット2013.7.28)
    *企業内組合とユニオン運動や地域合同労組との結合、さらに労働者国際連帯
    *「再稼働反対・原発輸出阻止」「労働安全基準の完全実施」「廃炉作業をさせろ」
    *モンスター裁判闘争で、国内外からの「労働者証言」を実現しよう
    ※1「闘いとは何かを身体で知った私たちが、今まで水俣病と斗いえなかったことは、正に人間として、労働者として恥ずかしいことであり、心から反省しなければならない。会社の労働者に対する仕打ちは、水俣病に対する仕打ちそのものであり、水俣病に対する斗いは同時に私たちの斗いなのである」(合化労連新日窒労組第三一回定期大会決議)

    ※2「一九六八年の組合大会での『恥宣言』に始まる水俣病との闘いも、チッソだけの狭い視野での闘いというより、労働者、住民を犠牲にした日本資本主義の戦後復興と高度経済成長過程における闘争宣言とでも言えるものだった。」「現在も沈殿する水俣湾の水銀ヘドロの完全回収、不知火沿岸住民の健康診断、水俣病患者さんとその家族の生活保障、が終えるまでチッソを許さないし、私自身もそこに働いた労働者としての責任をかみしめている」(石田博文「あとがき」『水俣病と労働者』2013)

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  2. 岩崎さん、佐藤さん、
    CC:朴鐘碩

    昨日は本当にありがとうございました。
    市民の国際連帯運動を全面的に前にだして、11月11日から
    原発メーカー訴訟を全世界的にはじめるのですが、私たちとしては
    「在日」の目から見た日本の状況を明らかにし、それを確認・共有化
    しながら展開したいということで、昨日の集会を企画しました。

    ご指摘いただいた私たちの唱えることの不十分な点をよく自覚し、
    さらに現実との取組の中から学んでいきたいと願っております。

    岩崎さん、学生のみなさんのなかには私たちの話の内容に疑問や、
    反対意見があったかもしれません。いつかまたじっくりと話し合える
    機会を作ってください。
    今度、ゆっくりと飲める場をつくりますね。
    お忙しいと伺いましたが、お体には十二分にご注意ください。

    ありがとうございました。

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  3. 崔勝久さん。
    岩崎稔です。
    こちらこそ、昨日はお世話になりました。

    帰り道、有楽町までの道のりで学生たち六人の感想を聞きましたが、
    とても勉強になったとか、
    「劇薬」なんていうけど、先生は学生をなめているんじゃないか、
    という反応で、
    非常に前向きでした。
    まあ、それはわたしもわかっていたんですが…。

    ですから、疑問や反対意見ということはまったくありませんし、
    むしろ朴さんや崔さんのお話がかなり染み通るな感じで受け止められたようです。
    ありがとうございました。

    これから訴訟にはいられるわけですから、
    またまた試練の道が長くつづくわけですが、
    息長く応援させていただきたいと思っています。

    暑い日がつづきます。
    時節がら、ご自愛ください。
                      岩崎 稔

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