川崎市の焼却灰問題についての懇談会の報告(その2)
7月20日にもった昼食をはさんだ歓談会、2時からの懇談会で川崎の焼却灰の問題とは何か、今後どのような市民運動を拡げていけばいいのかということでざっくばらんな意見交換がなされました。今回は伊藤さんの懇談会の内容を記したメモと、熊本さんの感想文及び貴重な分析資料、参加者の朴鐘碩のコメントを紹介いたします。他の参加者の感想文、資料は公開承諾を得次第、みなさんにお知らせいたします。 崔 勝久
参考資料
川崎市の焼却灰問題についての懇談会の報告(その1)
http://oklos-che.blogspot.jp/2013/07/blog-post_21.html ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7月20日にもった昼食をはさんだ歓談会、2時からの懇談会で川崎の焼却灰の問題とは何か、今後どのような市民運動を拡げていけばいいのかということでざっくばらんな意見交換がなされました。今回は伊藤さんの懇談会の内容を記したメモと、熊本さんの感想文及び貴重な分析資料、参加者の朴鐘碩のコメントを紹介いたします。他の参加者の感想文、資料は公開承諾を得次第、みなさんにお知らせいたします。 崔 勝久
参考資料
川崎市の焼却灰問題についての懇談会の報告(その1)
http://oklos-che.blogspot.jp/2013/07/blog-post_21.html ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『がれき処理・除染はこれでよいのか』著者 熊本一規、
辻 芳徳両氏を囲み、川崎の焼却灰埋立について率直な意見交換の場を持った。
第二部 懇談会。 参加10名。2013.07.20。 川崎合同法律事務所。(伊藤メモ)
昼食会を受け、14時から「講師資料」その他をテーブルに載せ、諸問題点を巡り意見交換した。
1.「連絡会議」共同代表今井さん出席を得て、各自の自己紹介。
2.伊藤から経過の要点を説明。 補助資料①~③を配布。
3.辻 芳徳さん、熊本一規さん「レジュメ」に基づく詳細な説明。質疑応答。これは、事前に掲げた
「問題点の整理」の、1~4が視野に入った懇談となりました。
(1)ごみ焼却炉で、セシウムをバグフィルターで補足出来るか(O氏見解)。
・アルカリ金属のカリウム、ナトリウムの挙動をセシウムに置換えて計算したもの。揮発した金属はバグ付近の200℃以下で固体化し、煤塵 となるから、捕獲除去は可能。
・バグは固体しか対象にしていない。塩化セシウムなら捕捉可能だが、Csがすべて塩化セシウムと断定できず、気体化しているならフィルターを通過する。
・使用済みフィルターは廃プラスチックで、「あわせ産廃」だから焼却して良いと言うが、フィルターに付着する煤塵は「特別管理一般廃棄物」だから、それを焼却炉に入れるのは、明らかに違法。
・バグフィルターを埋立処分すれば、水質汚染をもたらす恐れあり。 これは「汚染循環」。
・放射性物質は、半減期以外には毒性が減らない危険を、知って置くべき。 <最も深刻な毒物>
(2)ごみ焼却灰の海面埋立て(→東京湾への放流)。 処分場施設の問題点。
・遮水壁が要求される“透水係数”(基準値は別紙)。 年間に31.5cm、水を透過する。
・遮水性護岸(浮島は鋼矢板セルか)も、水を通す。もし護岸が水を通さないと、干満のたびに海側→陸→海側→…と交互に受ける圧力は強大になり護岸は崩壊。 ⇒ 処分場を実地見学したい。
(3)セシウムを吸着させる「ゼオライト」使用について。
・ゼオライトA(珪酸アルミニウムナトリウム)中のNaイオンは、水中のCaイオン、Mgイオン交換するから、ゼオライトAは水の硬度を下げる「水軟化剤」になる。
・陽イオンの交換優先順位は Cs>Rb>K>NH4>Ba>Sr>Na>Ca>Fe>Al>Mg>Li
ゼオライトが吸着したCsイオンは、海水中のNaイオン、Mgイオンと交換し海水中に溶け出す。
(4)セシウムに関して「食物連鎖」(生物濃縮)の危険性は無いか。
水俣病で著しい生物濃縮が起こったのは有機水銀だったため。人に対する異物と認識せず、体から排出されにくい。怖い結果を招いた。
★セシウム(Cs)はカリウム(K)と似る。ナトリウム、カルシウムと同様に水中で塩の形。
○塩類集積が起きると植物は育たない。半透膜を通し、濃度の低い方から高い方へ水分が移動するため。生体膜の持つ浸透圧の作用。
動物でも同様。ナメクジに塩をかけると縮む。 塩は保存料。砂糖も同様。
○セシウムは淡水魚で濃縮されやすい。 半透膜(生体膜)の持つ、浸透圧の作用。
・海水魚では皮膚を通じて、体内水分が体外に流出→体内は水分不足になる。そのため飲んだ海水中から水分を摂取し、塩はあまり摂取しない。セシウムは濃縮されにくい。
・淡水魚では、皮膚を通じて、淡水が体内に浸透→体内は水膨れになる。そのため、飲んだ淡水中の水分はあまり摂取せず、塩を摂取する。
○海水魚でも高濃度(1000Bq/kg)セシウム汚染魚が獲れている。生物濃縮が起こらないと 言えない。
(5)最終処分場の構造と、補修工事を調べる事。 (2)と関連。 図面資料配布あり。
処分場壁面の「ひび割れ」補修など、担当部局(港湾局?環境局?)から情報を引出す。費用をどれほど使っているかでも実態が分かる。 ⇒ 市職労とも連絡を取る。
(6)一般の市民にどう働きかけて行くのか。
従来は放射能汚染を全く考えず暮らして来た。一般人は1㎜SV/年であったが、今は20㎜SV/年。放射線管理区域を越す汚染環境に生きて行く事態になっている。しかしその怖さが、ピンと来ないまま日々を過ごしている。……オカシクないか?と訴えたい。
「汚染」⇒「除染」⇒帰還させる。「がれき」⇒集中せず⇒「拡散」。いずれも汚染拡大の方向。
(7)処分場の構造。
安定型処分場。 管理型処分場(厚さ30㎝の粘土壁を巡らす)。 遮断型処分場。
・8,000ベクレルを基準として来たが、8,000~10万ベクレルまでも焼却に動いている。アセス回避のため、日に1990トン。
・高濃度放射性物質の「処分」と称し、やがて10万ベクレル超も焼却する。恐ろしい事態に。半永久的に閉じ込めて置く遮断型処分場。 しかし技術的に未完成。
(8)一気に百論続出、終盤へ。
・工場内の労働者の闘い。1973年ころ「東洋エチル」。
・「正しい」情報を、どう伝えるか、それが問題。分かり易い「Q&A」が必要。
・放射性物質の危険を訴える事が必須だが容易でない。チェルノブイリの癌の発症。福島で早い発症が見られ、心配がどんどん強くなる。女性、特に妊娠の時。
・現場見学は、東芝の研究所も行きたい。浮島も実際に見て考える、感じる事が一番大事では。
・セシウムの可視化が出来ないか。捕捉し分析する事で、何らかの対策を考えたい。
--------------2時間超、懇談会終了。-------------------
以下は大事な、現実的課題ですが残念ながら、時間切れで議論が出来ませんでした。
5.臨海部に放置(保管)されている、高濃度汚染灰の処理方法。東電への要求問題。
6.放射能汚染に関する「条例」制定の検討。
7.市長選に備える準備。各政党への働きかけ(参院選後)。
8.次の学習会の準備
9.事務局体制の役割分担その他、「ごみねっと」との関係について。 以上。
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がれき焼却灰埋立懇談会の感想 20130721 熊本一規
まず、皆さんが熱心で、かつ意識が高いことに感心しました。それは、おそらく「川崎ぜんそく」以来の反公害運動の蓄積に根ざしていると思います。そのことは、公害問題の当時から熱心に取り組まれている現代技術史研究会の島安治氏が懇談会を提案されたことや、当時、現代技術史研究会に川崎から参加されていた金刺久氏を多くの皆さんがご存知であったことからも窺えます。
がれきの焼却・埋立の問題は、福島原発事故の後始末という問題にとどまらず、日本の未来のあり方を大きく左右するような重大な問題だと思いますが、その問題に取り組むうえで、公害問題以来の豊富な経験をお持ちの皆さんが参加されていることを大変心強く思います。
反面、がれき焼却に対する反対運動が盛んである大阪市や静岡県では、幼い子供を持つお母さん方が熱心に運動に取り組まれていますが、そのようなお母さん方の参加が見られなかったことは少々残念でもありました。
しかし、考えてみれば、川崎は大阪や静岡よりも福島原発に近いのですから、川崎のお母さん方もがれき焼却・埋立に熱心に取り組むようになる潜在的可能性を持っているはずであり、今後、運動が広がる可能性がそれだけ大きいとも言えると思います。
釈迦に説法とは思いますが、運動を広げるうえでは、多様な運動がそれぞれ独自に運動に取り組みつつ、緩やかに連携するようなスタイルが好ましいと思います。
お母さん方は、当初は被害者意識や被害の恐れから出発することが多いですが、それは当然かつ必要な過程だと思います。ですが、大阪や静岡のお母さん方がそうであるように、運動に取り組むなかで、被害者意識にとどまらず、この国が如何に経済や産業を優先して命や人権を軽視する国かについての驚き、国の「広域処理・除染・帰還推進」という利権まみれの政策についての怒り、さらには、がれきの焼却・埋立の受入れがそうした利権構造を支えることになるという加害者意識へと次第につながっていくような運動を創っていっていただければと思います。
日本で初めてコンビナートの進出を阻止した経験を持つ三島・沼津では、長年、公害反対運動以来のメンバーが地域の運動の主体でしたが、がれき焼却問題でようやく新人の若者・主婦が登場(Save Japan Netという運動体が代表的です)し、連携しながら運動を進めておられます。公害反対運動以来のメンバーの方々は「ようやく後継者ができた」と喜んでおられます。
福島原発事故は日本でもかつてなかったほどの大惨劇ですが、そうであるだけに、それを逆手にとって、日本を命や人権を大切にする社会に変えていく契機とできるはずですし、ぜひ、そうなるように、共に頑張りたいと思います。
『がれき処理・除染はこれでいいのか』の著者 辻芳徳・熊本一規両氏との
川崎市の焼却灰問題についての懇談会と感想まず、皆さんが熱心で、かつ意識が高いことに感心しました。それは、おそらく「川崎ぜんそく」以来の反公害運動の蓄積に根ざしていると思います。そのことは、公害問題の当時から熱心に取り組まれている現代技術史研究会の島安治氏が懇談会を提案されたことや、当時、現代技術史研究会に川崎から参加されていた金刺久氏を多くの皆さんがご存知であったことからも窺えます。
がれきの焼却・埋立の問題は、福島原発事故の後始末という問題にとどまらず、日本の未来のあり方を大きく左右するような重大な問題だと思いますが、その問題に取り組むうえで、公害問題以来の豊富な経験をお持ちの皆さんが参加されていることを大変心強く思います。
反面、がれき焼却に対する反対運動が盛んである大阪市や静岡県では、幼い子供を持つお母さん方が熱心に運動に取り組まれていますが、そのようなお母さん方の参加が見られなかったことは少々残念でもありました。
しかし、考えてみれば、川崎は大阪や静岡よりも福島原発に近いのですから、川崎のお母さん方もがれき焼却・埋立に熱心に取り組むようになる潜在的可能性を持っているはずであり、今後、運動が広がる可能性がそれだけ大きいとも言えると思います。
釈迦に説法とは思いますが、運動を広げるうえでは、多様な運動がそれぞれ独自に運動に取り組みつつ、緩やかに連携するようなスタイルが好ましいと思います。
お母さん方は、当初は被害者意識や被害の恐れから出発することが多いですが、それは当然かつ必要な過程だと思います。ですが、大阪や静岡のお母さん方がそうであるように、運動に取り組むなかで、被害者意識にとどまらず、この国が如何に経済や産業を優先して命や人権を軽視する国かについての驚き、国の「広域処理・除染・帰還推進」という利権まみれの政策についての怒り、さらには、がれきの焼却・埋立の受入れがそうした利権構造を支えることになるという加害者意識へと次第につながっていくような運動を創っていっていただければと思います。
日本で初めてコンビナートの進出を阻止した経験を持つ三島・沼津では、長年、公害反対運動以来のメンバーが地域の運動の主体でしたが、がれき焼却問題でようやく新人の若者・主婦が登場(Save Japan Netという運動体が代表的です)し、連携しながら運動を進めておられます。公害反対運動以来のメンバーの方々は「ようやく後継者ができた」と喜んでおられます。
福島原発事故は日本でもかつてなかったほどの大惨劇ですが、そうであるだけに、それを逆手にとって、日本を命や人権を大切にする社会に変えていく契機とできるはずですし、ぜひ、そうなるように、共に頑張りたいと思います。
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『がれき処理・除染はこれでいいのか』の著者 辻芳徳・熊本一規両氏との
朴 鐘碩 2013年7月20日(土)12:00~16:00 川崎
市民と共に脱・反原発運動を展開するためには、戦後の原発体制は植民地主義に繋がっている事実を理解する必要があると思う。
普通の生活している多くの住民は、原発(核)事故の恐ろしさをどこまで理解しているか。
放射性物質の恐ろしさは、じっくり時間をかけて人間を非人間的に扱い、死化させるスロ-デスである。科(化)学的な難しいことは理解できなくても「何となく怖いもの、恐ろしいものである」という認識はある。
辻・熊本両氏から学んだことを、自分の言葉で一般市民・住民に原発(核)の脅威・恐ろしさをどのように解りやすく説明できるか課題である。
「放射性管理区域とは何か」と疑問を持つ一般市民もいる。例えば検診で撮影されるX線使用の部屋のこと。妊娠した女性は決して近づいてはならない。放射性物質の影響を最も受けやすいのは胎児、幼児、子どもの健康被害である。遺伝子を破壊し、何世代もその影響を受ける。
福島から数百Km離れた川崎市は、住民への説明もなく放射能汚染された焼却灰を海洋投棄している。放射性物質は消滅しない。海洋汚染によって生態・海産物への影響はないのか。海洋投棄は絶対に許されない。チェルノブイリは淡水魚の被害が多かった、と報告されている。
市民の生活、安全を最優先すべきなのに、焼却灰の海洋投棄についてなぜ市長自ら住民に説明しないのか。正面玄関に国旗・日の丸を常時掲揚する阿部孝夫川崎市長は住民との対話を拒否している、という。侵略戦争に利用された国旗は、住民を欺き、抑圧する国民国家の象徴である。
10月頃、市長選がある。開かれた地域社会をつくるために、住民自ら当事者主権を訴えるべきである。
放射能と放射性物質は違う。放射性物質(核種)は遺伝子を破壊する。だから恐ろしい。
川崎で放射能汚染された飛灰処理が問題になっているが、福島の事故現場は、川崎よりも過酷な状況であり、依然として高濃度の放射性物質(核種)を撒き散らしている。汚染水は、生活排水のように海洋に流され、地下水まで汚染されている。処理しきれない汚染水、放射能汚染されたがれき処分は、いずれ全国に処分場が設置され、拡散する方向だと言われている。そこで住民一人ひとりの選択、決断が迫られるだろう。
被曝労働者が使用した防護服、靴、衣類などはどのように処理されているか。(先の見えない)収束工事で使用されている廃棄物用運搬トラックは、「放射性管理区域」外を走行している、という。これが大きな問題となっている。放射性物質の拡散である。
工事は、利権が絡んでいる。東京電力はじめ原発プラントを納入した日立、東芝をはじめ10次に近い関連、下請け会社が連なっているようだ。現場の状況、被曝労働者の実態は、全くわからない。高濃度の現場で従事する最も弱い立場の末端労働者が被曝する。それでも東電、日立、東芝のエンジニアたちは安泰だ。ここで原発メ-カである日立・東芝は莫大な利益を得る。これこそ植民地的経営である。
「原子力を世界に求める」日立は、川崎市麻生区王禅寺のシステム開発研究所で1961年12月25日午後7時25分、朝鮮人をはじめとする外国籍住民を2級市民扱いする川崎で「日立の原子の灯」がともった。この事実を知る人は少ない。「原子力研究のために自前で原子炉をつくろう」と日立は小型の原子炉を建設した。これが国産民間研究用原子炉第1号であった。日立就職差別裁判勝利判決の翌年、1975年廃炉になった。
「原子力ムラ」の住民は、問題がどこにあるか解っている。「原発」経済に支えられた住民は何も言わない、言えない。もの言えば「村八分」、「袋叩きにあう」生活環境である、と言われている。これは、戦前の植民地時代と同じ状況。国内植民地である。
例えば有機水銀が原因で起きた水俣病、チッソの労働者は、「生活を守るために」沈黙した。原発メ-カは、危険な製品・ものを作って、「問題ない安全な装置・製品である」と住民を騙している。内部労働者からの告発はない。これは労働者にものを言わせない企業内植民地である。
国策に便乗して、日立・東芝、三菱は、「より安全で問題のない」原発を海外に売り込もうとしている。反・脱原発を訴える私が、「原発(核)は人類・自然と共生できない。人類・自然を破滅させる」と日立の経営者に訴えても、彼らは原発を輸出するだろう。原発輸出は、相手国住民への犠牲、差別、弾圧、非人間化につながり、再び日本は加害者になる。
「地球を破滅させ、非人間化させる危険な原発を造るべきではない」と原発を開発・製造しているエンジニア、日立製作所の経営者・組合幹部に言い続けることが私に課せられた使命であろう。
No.336 - 2013/07/25(Thu) 01:33:11
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資料編
放射性物質の焼却・埋立に伴う問題点 20130720 熊本一規
1.ごみ焼却によってセシウムは90%以上、フィルターで除去できるという見解について
(1) セシウムはバグフィルターで捕捉されるか
・Z8808は固体しか測定できない
・セシウム 融点28℃、沸点641℃(いずれも水銀の次に低い)
・塩化セシウム 融点645℃、沸点1300℃
(2) バグフィルターの処理は?
・ホッパ(焼却炉の入口)の中に入れている
・バグフィルター=廃プラスチックで「あわせ産廃」として焼却
・しかし、バグフィルターに付着している煤塵は特別管理一般廃棄物だから、それ
を焼却炉の中に入れるのは違法。
・バグフィルターが埋立処分されれば、水質汚染をもたらす恐れ(汚染循環)
2.ごみ焼却灰の海面埋立(→東京湾への放流)について危惧される問題点
(1)汚染が埋立地から海へと流れる
・遮水壁が要求されている透水係数の基準値は10-6cm/s=0.864mm/d=31.5cm/y
・耐用年数は30年とされている。
埋立途上の場合
・遮水性護岸(浮島は鋼矢板セル)も水を通す。護岸が水を通さなければ、干満の度
に海側→陸側→海側→…と交互に受ける圧力が強大になり、護岸がもたない。
鋼矢板セル護岸
・継手から漏れやすい。添付ファイル「護岸漏水」、「鋼矢板継手」(右側は膨潤性止水材
を使用した後の写真)参照。
埋立終了後の場合
・建前上は、遮水性護岸と難透水性層(海底)で海洋汚染を防ぐことになっている。
・しかし、遮水性護岸も水を通す。
だからこそ、「埋立地内の地下水位の管理が大事」とされ、正確には「遮水性護岸と地下水位管理で海洋汚染を防ぐ」とされる。
図 海面埋立と地下水管理
出所http://www.nies.go.jp/kanko/news/28/28-2/28-2-04.html
埋立地内の地下水位管理とは、地下水位を常に海面の潮位以下にすることにより、
水が常に埋立地の外(海)から内へと流れるようにすること。
図 地下水ドレンによる地下水管理(福島原発)
出所http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110831i.pdf
しかし、埋立地の地下水位管理は、埋立が完了して数年経てば行なわれなくなる。
その後、護岸が不透水であれば、大雨が降り続いたときに埋立地の地下水位が海
面潮位よりも高くなることは確実。さらには、埋立地跡地がプールになるはず。
・現在、海面処分場特有の技術開発と管理制度づくりを行なっているところ。
・過去の廃棄物海面埋立地(夢の島など)の跡地がプール状になったという話は聞か
ない。→護岸の遮水性がなくなり、通常の埋立地と同様、海面潮位と地下水位が連
動しているのではないか?
(2) セシウム汚染
・浮島ではセシウムを吸着させるため、ゼオライトを使用している。
・ゼオライトA(ケイ酸アルミニウムナトリウム)中のNaイオンは水中のCaイオ
ンやMgイオンと交換するので、水の硬度を下げる「水軟化剤」に使われる。
・陽イオン交換優先順位は
Cs>Rb>K>NH4>Ba>Sr>Na>Ca>Fe>Al>Mg>Li
したがって、ゼオライト中のCsイオンは海水中のNaイオンやMgイオンと交
換し、容易に海水中に溶け出すことになる。
3.セシウムに関しては「食物連鎖」(生物濃縮)の危険性はないという見解について
○セシウムは塩の形で存在
・水俣病で著しい生物濃縮が起こったのは有機(メチル)水銀だったことも一因。
・セシウムはカリウムと似た物質。
カリウムはナトリウム、カルシウムなどと同様、水中には塩の形で存在。
○塩類集積が起きると何故植物が育たないか
・ナメクジに塩をかけると縮む
・塩は保存料。砂糖も同様。
○セシウムは淡水魚で濃縮されやすい
その原因は半透膜(生体膜)の持つ浸透圧
・海水魚では
皮膚を通じては、体内の水分が体外に流出→体内は水分不足になる
そのため、飲んだ海水中の水分を摂取し、塩はあまり摂取しない。
・淡水魚では
皮膚を通じては、淡水が体内に浸透→体内は水膨れになる
そのため、飲んだ淡水中の水分はあまり摂取せず、塩を摂取する。
○とはいえ、海水魚でも高濃度(1000Bq/kg)のセシウム汚染魚が獲れているから、生
物濃縮が起こらないわけではない。
セシウムの生物濃縮 (Wikipediaより)
植物(農作物)での移行係数 (TF) は、農作物中濃度 (Bq) ÷ 土壌中濃度 (Bq) で表される。カリウム (K) と似た挙動を示すとされているが、動物と植物での挙動は異なる。
なお、観測されている「濃縮」は環境中と細胞内での電解質濃度の差に由来するものであり、Kに対して際だってCsを濃縮する様な生物種は観測されていない。代謝に伴って常に生体内のアルカリ金属、アルカリ土類金属は細胞を出入りしており、重金属の場合のような蓄積に起因する「濃縮」は生じないとされる。
植物[編集]
植物の種類および核種により移行係数は異なる。イネ、ジャガイモ、キャベツを試料とした研究によれば、安定同位体のセシウム133と比較すると放射性のセシウム137は植物に移行しやすい。イネでは移行したセシウム元素の大部分が非可食部であるわらなどに含まれ、キャベツでは非可食部である外縁部のセシウムおよびストロンチウムの濃度が高くなることが報告されている[51]。
菌類[編集]
降下した放射性物質が土壌の表層に多く存在するため、表層の物質を主な栄養源とする菌類の種では植物と比較すると、特異的に高い濃縮度を示すものがあり、屋外で人工栽培されるシイタケやマイタケでも濃度が高くなる傾向があることが報告されている[52]。
魚類[編集]
主に軟組織に広く取り込まれて分布し、生物濃縮により魚食性の高い魚種(カツオ、マグロ、タラ、スズキなど)での高い濃縮度を示すデータが得られているが、底生生物を主な餌とする魚種(カレイ、ハタハタ、甲殻類、頭足類、貝類)では比較的濃縮度は低い。また大型の魚種ほど、濃縮度が高くなることが示唆されている。若い魚や高水温域に生息する魚ほど、代謝が良く排出量が多くなるため蓄積量は少ないと考えられている。体内に取り込まれる経路は、餌がほとんどであるが、鰓を通じて直接取り込まれる経路もあり、それぞれの経路の比率についてのデータは不足している[53]
相模原市で震災瓦礫の焼却問題が出ていたころ、相模原市担当課と月に1回のペースで話し合いを持っていました。
返信削除そのときに感じたのは、震災瓦礫のみならず、相模原の一般ごみの焼却も問題であることでした。
環境省や相模原市は、焼却の排気ガスの精密測定を行わず、Z8088の測定でよしとしています。科学的に明らか不誠実で、放射能の挙動を「測定しない」対応がいまだに続いています。本来であれば、放射能を適切に測定するための、「発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針」では、50ℓ/minで1週間採取した後、Ge半導体スペクトロメータで4000秒の測定が必要とされています。
相模原市のごみ焼却施設の排ガス中に含まれるセシウム等の放射能の測定は、JIS-Z8088では不十分と考えます。
バグフィルターでセシウムが100%除去できているかどうかは、測定を行えばある程度化学的に解明できるはずなのに、怒りを覚えます。
以下、京大の小出助教の記事転載
原子力安全委員会が1977年に決定し、2001年に改訂した「発電用軽水型原子炉施設におけ る放出放射性物質の測定に関する指針」が標準的な測定 方法を示している。そこには「測定下限濃度を満たすための代表的な測定条件」が掲げられており、ヨウ素131やセシウム134、同137については、 「50L/分で1週間採取」とされ、ゲルマニウム半導体検出器の計測時間は「4000秒」とされる。
東京都の測定法と比較すると、都の2倍以上の吸引量で、46倍となる丸1週間の採取をして、ようやく4倍の測定時間が許されることになる。ちなみにこの指針で求められる検出限界濃度は都の測定の100分の1近い。都はこの指針の存在についても知っていた。にもかかわらず、あえて指針より もはるかに短い時 間と少ない量のサンプリングとし、計測時間もずっと短くして測定した。これはもはや放射性物質が検出されないような測定方法を最初から選択した“放射能隠し”ではないか。
転載以上