2013年2月6日水曜日

川崎市が発表した地震・津波被害想定に疑問


2月6日の朝日新聞市内版のトップに、川崎市の地震被害想定調査結果を発表しています。「津波 最悪5800人死亡」「震災踏まえ試算」「直下型、全壊2万2300棟」とあります。これを読者はどのように見たのでしょうか。

私は死亡者の数字が余りに少ないので、何度か紙面に目をこらしたところ、想定数字の横に「市直下地震(M7.3)を想定。津波による被害は考慮していない」とあるのに気付きました。これはあくまでも直下型を想定した場合であり、死者は819名となっています。

しかしこれとは別に、津波については慶長型地震を元に県が作った浸水予想図を利用して、川崎区の45%にあたる地域での浸水地域は川崎区の45%にもなりながら、「死者数ゼロが目標」と説明しています。「近くのビルや浸水しない地域に避難することで」これが可能になるという判断のようです。

これは津波の最初の「引き波」は自身の約50分後と推定しているからです。また、さすがに津波被害が集中すると見込む川崎区内での民間マンションは避難所に指定されていません。

市の被害想定に対する疑問を記します。
1 市の直下型はどこを発生源と見做しているのか(石油タンクへの影響が異なる)。
2.元禄型関東地震による被害予想は不明。
3.地震による臨海部の石油タンクなどの施設の被害想定がなされていない。
4.川崎区の45%の地域が津波による浸水による影響を受けると認めながら、石油タンクから流出する石油、危険物資および「津波火災」に全く触れていない。
5.川崎中部の高層ビルに対する長周波の影響、及び北部のがけ崩れが予想される506箇所の「急傾斜地崩壊危険箇所」にはどのような影響があるのか不明。
6.市が一方的に避難計画を発表しているだけで市民と対話をしながら避難計画を立てるという姿勢が見られない。

これまで行政に対して4回にわたり地震・津波に対する質問をだし回答をいただいているので参照ください。なお市は、「臨海部防災対策計画や避難計画につきましては、川崎区の自主防災組織等への説明やパブリックコメントを実施して、4月頃に公表する予定です。」と回答してきています。


2 件のコメント:

  1. 速攻の記事、さすが崔さんですね!
    東京新聞・川崎版を添付します。
    (横向いちゃってるのを直せなくて見にくいですが、
     右クリックして右回転をクリックすれば縦に出来ると思います)

    東京新聞(山本記者)の記事には、
    「市臨海部防災対策計画を新たに用意。
     石油精製や化学工業、製鉄業など特定事業所が54件あり、
     石油タンクの耐震化を想起に進めることや液面管理の徹底、
     津波やコンビナート災害からの避難対策、
     放射性物質災害の対策などを盛っている。」

    市ホームページはまだ見てません。
    市民意見(3/11まで)を出さないといけませんね!

    崔さんにお聞きしたいのですが。
    津波の想定を慶長型地震の津波(最大3.71メートル)による」
    市は、津波は相模トラフを想定すると言ってませんでしたっけ?
    記事には相模トラフが載ってませんね。

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  2. Kさんへ

    川崎市のHPの資料では、「相模トラフ沿いの地震」が
    <想定地震>として記されています。
    http://www.city.kawasaki.jp/160/page/0000045081.html

    「トラフ」とは、ウイキぺデイでは以下のように説明しています。
    トラフ (trough) は、細長い海底盆地で、深さが6000m以下のもの。舟状海盆。細長くないものは単に海盆と呼び、深さ6000mを超えるものは海溝という。
    元禄地震の震源は相模トラフの房総半島南端にあたる千葉県の野島崎と推定されています。

    川崎の発表はコンピュータで計算された地震や津波の被害予想であって、
    石油コンビナートの石油が地震によって流失した場合の被害予想は
    別に扱おうとしており、今回はその点には触れていません。

    だから津波に関して死者ゼロを目指すなどと能天気なことを書いて
    いるのです。県も市も津波によって防波堤を超えて海水が市街地に
    流れることは認めているので、それに流失した石油が一緒に流れ込んだ
    場合にどうなるのか、また、今回の震災で初めて明らかになった、
    「津波火災」の危険性、可能性にも触れていません。

    津波火災 知られざる脅威
    http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3240.html

    ご存知のように私は4回、公開質問をしてその都度、回答をもらいましたので、
    それを総合的に検証すると、市の防災計画のでたらめ加減がわかります。
    「津波火災」についても私は質問をしていますが、まともに応えようと
    していません。要は、彼らは市民と一緒になって住民の安全確保を考える
    という姿勢がないのです。

    それは、原発立地地域で住民の避難計画が作られていないのと同じです。

    ということで猪俣さんが焼却灰の件で市との話しあいを準備されて
    いるようですね。そのときにお目にかかります。3月10日の「原発ゼロ
    へのカウントダウン」で是非、ブースをだしてください。よろしく。

    崔 勝久

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