2013年2月22日金曜日

北朝鮮との拉致問題を解決し、核実験を止めさせるのは簡単です

反核青年会議HPの投稿に対する私の意見:
【投稿】朝鮮民主主義人民共和国の核実験反対! 東アジアの非核化と平和を実現しよう! http://hankakuseinen.blogspot.jp/2013/02/20.html

私はこれまで核をめぐる日米の関係がどのようなものであったのかしっかりと勉強したことがなく、今、改めて読み始めています。太田昌克『盟約の闇ー「核の傘」と日米同盟』(日本評論社 2004)、黒崎輝『核兵器と日米関係ーアメリカの核不拡散外交と日本の選択 1960-1976)』(有志舎 2006)を読みだして驚いたことは、いかに外交とか国策というものは公表されたことと実際のものが異なっているのかということです。

公表された外交文書と密約、それにまだ明らかにされていないものを含めると私たちが知らない事実は沢山あると断じて間違いないでしょう。その意味で、今回安倍がアメリカでオバマと話し合い発表する内容も、実際に話し合われたことの一部であり、その裏で何が話し合われたのか、よく考える必要があると思います。TPPに関する両首脳の公式発表はゆめゆめそれが全部だと捉えない方が賢明でしょう。

有事の際にアメリカが自由に核を日本国内に持ち込む(沖縄返還のときの密約です)、非核三原則の実態はこのようなものです。あの佐藤栄作はノーベル平和賞までとりましたが、アメリカには非核三原則はナンセンスと断じ、本音の、中国やインドに対抗して核を持ちたいという発言が記録に残されています。官僚の、核を持ち世界の「一流国」になりたかったという発言も記録されています。

投稿者の論理立てに依存はありません。ただ一点抜けているのは、日本に朝鮮支配に対する謝罪がなく、両国間で国交正常化がなされていない点に言及がないことです。「過去史の清算や周辺国との和解の欠如」ではその意は尽くされません。拉致問題の解決は、北にプレッシャーをかけるのではなく、謝罪と国交正常化をする決断をすることです。謝罪をするのに前提をつけてはいけません。順序が逆です。しかし今の日本にはその決断はできないでしょう。そもそも戦争が悪かったと思っていないのですから。むしろ北の動向を利用して日本の軍部の強化に進むでしょう。この事態をどう考えればいいのか、参考になるのは60-70年代の中国とアメリカの関係です。

私が2冊の本を読みながら感じたことは、今の日本の北朝鮮の核実験に対する反発は、60年代の中国と同じだなあということでした。中国は米ソの歩み寄りに対して本気で戦争をしてもよいという覚悟で、核実験とアメリカに届く大陸間弾道の実験をして核保有国の核による世界支配に対抗しようとしました。

しかしあれほど中国を敵対視していたアメリカが同盟国である日本にも一切事前の通知なく中国との話し合いを始めたのは何故でしょうか。それはアメリカの国益を考えたからです。外交関係においていくら強硬に相手国を締め付けようとしてもそれでこじれた関係が解決するはずがなく、結局はアメリカが中国との対話に踏み切ったように進むしか道はないのです。客観的に見て、今の共和国をアメリカが踏みつぶせないのは北の核の保有と中国の存在でしょう。

拉致問題に関しては、是非、蓮池透さんと森達也さんの対談をお薦めします。
必見!蓮池透X森達也ー「拉致」解決への道を探る 
http://www.magazine9.jp/taidan/006/index.php
対話と国交正常化こそが鍵と語る。しっかりと現状分析・批判。「制裁じゃなくて、やはり交渉だろうと。コミュニケーションをとって、ネゴシエーションしなきゃ、どうにも動かないんじゃないか。」

それはリビアやイラクを見ても明らかです。核を放棄したリベアの経済的な支援をし成功したかのように見えたとき、アメリカは北の指導者にリビアを見るように言ったそうですが、リビアが崩壊したとき、北の外交官は「しっかりと見させてもらいました」と答えたということが朝日に書かれていました。共和国は実際にアメリカが核戦力をもち韓国と大規模な軍事練習を目の前で見て、大国に踏みつぶされないようにするのは核とそれを飛ばすロケットを持つしかないと判断したのでしょう。それはまさに中国がそうだったのです。政治力学的には正しい(倫理的ではない)と言わざるを得ないと思います。

投稿でも指摘されているように、朝鮮戦争は休戦条約でしかなく、その当事者は共和国と韓国ではありません。国連軍であり実態はアメリカが当事者になっているのです。北の核実験を止めさせる唯一の方法は、アメリカが国益を考えて平和条約を結ぶという決断をすることしかありません。

アメリカが2基の軽水炉を共和国に与えようとしていたことも看過されるべきではありません。私たちはいかなる原発ももつべきではないと主張しますが、世界はヨーロッパを除いて、特にアジアに集中して原発を更に持ち続ける方向に進んでいます。そうさせるのが核不拡散条約(NPT)体制を作ってきた核保有国の方針です。原爆を持たせない代わりに、原発を作らせると言うのですから。原子力損害賠償法(原賠法)を世界に定着させ、原発メーカーにはいかなる責任を負わせないということで世界は進んでいるのです。しかしその矛盾は、原発を運転すればプルトニウムが作られその国は潜在的核保有国になるという事実から明らかになります。それがまさに日本ではありませんか。
市民の脱原発のネットワークをー「脱原発で市民連
http://www.oklos-che.com/2013/02/blog-post_13.html

投稿者の主張に基本的に賛成ですが、しかし北の核実験反対を強調するだけでは、今の神奈川県や川崎市の朝鮮学校への締め付けを正当化するものになります。私は日本は過去の戦争の責任を明らかにして「唯一」国交正常化していない共和国に謝罪をし、国交樹立を呼びかけることしか解決はないと思います。投稿者にその視点がなかったことが残念です。

あれほど国交正常化を嫌がっていた日韓両国を説き伏せたのはアメリカです。勿論、アメリカの国益上そのように判断したのでしょう。敵対視していた中国に対しても結局はアメリカは自国の国益を最優先して、同盟国台湾を切り捨ててでも中国と手を結ぶ必要があったのです。ありとあらゆる要素を分析し、軍事面、経済面からアメリカの将来を考え、決断したのです。そう考えると、共和国との平和条約締結がアメリカの国益に叶うという状況になればアメリカはどうするでしょうか。私は彼らは早晩、そう決断すると考えます。それが論理必然的な結論です。

みなさんはどのようにお考えでしょうか。問題提起の意味を込めて雑駁な文章ですが、反核青年会議の投稿に私の意見を表明しました。

1 件のコメント:

  1. FBより

    ★そんな考えの人そんなにいないと思っていたけど、友達の友達とかのウオール見たらいっぱいいてショックを受けました。お恥ずかしい。

    ★今頃国籍や民族による差別など古臭い。戦前の思想を引きずっている。時代は進んでも頭の成長は止まった状態かもしれない。植民地支配、強制動員、侵略戦争の清算に関して日本は現在までほとんど進歩していない。解決された問題は何もない。

    ★とてもスケールの大きい思考法ですね。賛成しますが我がものとするには時間がだいぶかかるように思います。

    ★本当に東電に言えですよね!
    (; ̄O ̄)
    子供に関係ないよ〜
    いじめじゃん

    ★子供は世界の宝物。
    平等に愛を注ぐべき。
    本当に低レベルな事するね
    賛否をきくこと自体恥ずかしい
    (ーー;)

    ★「日本に住むなら日本の学校に通うことは必要だ」が持論という自民広田健一市議。アメリカンスクールの生徒には決してこうは言うまいに。朝鮮人韓国人は日本に同化して当然という持論。

    ★福岡地裁の「救う会」による告訴への棄却判決では民族学校での政治教育の権利が認められました。新聞がことさらに朝鮮学校は政治教育ではない民族教育の場だと強調する必要を私は覚えません。

    ★Seungkoo Choi はい、本質的に民族教育は政治教育です。人間の尊厳を取り戻すのは政治教育ですね。

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