2012年1月13日金曜日

脱原発世界会議で私たちが企画したシンポジュームの内容を事前公開します

1月14日、横浜で行われる世界会議で、私たち「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」CNFEは、ふたつの企画を具体化しました。

13時~14時半 シンポジウム「国内原発立地地区の市民運動がかかえる困難さと今後の課題」(部屋313+314) 司会:鈴木怜子氏 パネラー: 玄海原発:石丸初美氏、浜岡原発:内藤新吾氏、六ヶ所村:岩田雅一氏
U-Stream: http://ustre.am/GzRT

17時~18時半 シンポジウム「アジアの原発廃絶にむけて」(部屋413) 司会:崔勝久氏 パネラー:蒙国・L.セレンゲ氏、韓国・李元榮氏(水原大学教授)Kim Hyejeong、日本・内藤新吾氏
U-Stream: http://ustre.am/GzSD
最初のシンポ、「国内原発立地地区の市民運動がかかえる困難さと今後の課題」についての資料を公開します。東大博士課程の若手研究者が3・11以前から福島の歴史と現実を社会学者として分析した論文が手直して出版され、評判になりました。開沼博の『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)という本になり、私たちはその本で展開された「仮説」を参考にして、原発を持つ地域での運動がどうして孤立し、3・11以降選挙で負けてきたのか、その背景にはどのような問題があるのかを考え、議論し、今後の運動の進展に寄与したいという思いで企画を立てました。そのシンポの参考資料を公開します。

シンポジューム参考資料

シンポジウム「国内原発立地地区の市民運動がかかえる困難さと今後の課題」
開沼博『「フクシマ」論―原子力ムラはなぜ生まれたのか』を手がかりにして


「福島において、3・11以後も、その根底にあるものはなにも変わってはいない。私たちはその現実を理解するための前提を身につけ、フクシマに向き合わなければならない。さもなければ、希望に近づこうとすればするほど希望から遠ざかっていってしまう隘路に、今そうである以上に、ますます嵌りこむことになるだろう」開沼博

1.海沼博氏の著作の視点に注目
シンポジュームを企画した私たちCNFE事務局は、フクシマ事故を目撃する以前から博士論文を書いていた著者が原発をただ糾弾するだけではなく、どうして福島で原発が作られたのか、その前史と、原発が作られた後の歴史、そのことによる福島社会の変容と歪な「安定」を、<原子力ムラ>を軸にして、日本社会の戦後史と社会構造の中で見極めようとする視点に注目しました。

2.日本の地方、福島の歴史・実態を捉える
農村、漁村として自律していた福島は戦争体制の中で国家の政策によって、労働力、石炭、食物を都会に供給する役割を担い、日本社会の戦後の復興、経済的発展においても低賃金労働の提供、電力の提供、都会に本社を持つ大企業の下請けというかたちで都会を支える役割を担わされてきたのです。
高齢化が進み、若い労働力が少なくなり、貧困を余儀なくされてきた福島は、産業と都会の消費生活を支えるエネルギー源として登場した原発の建設を、その危険を知りながらも多額の資金と新たな雇用を求める手段として、すなわち地域再生の道として受け入れました。それは国家の一方的な強制と、お金に目が眩んだ地域の愚かな妥協と言うより、地域の文化・伝統を生かした自発的な産業を育成できず、地方が都会に従属するようになっている日本の社会構造、そのような国内植民地政策を進めた国家支配の結果と著者は見ます。

3.フクシマという<原子力ムラ>をについて
<原子力ムラ>は原発を推進する政財界とそれを支える官僚と学者を揶揄する言葉ですが、同時に原発に依存しなくては生きていけなくなった福島の実態を表す言質でもありました。海外に資源、労働力を求めてきた戦前の植民地支配は、戦後は国内植民地主義として地方を搾取する政策を進め、それが新自由主義政策のもと、地方同士の競争が余儀なくされ、地方は自らさらなる「原発」を求めるようになり、<原子力ムラ>として歪な、いつ事故に遭うかもしれない環境下での「安定」「秩序」を持つようになりました。これが3・11以降何も変わらない、選挙においても原発推進派がすべて勝利してきた背景と著者は「仮説」を提供します。

4・シンポジューム企画の意図
今回、原発に反対する日本中の声を結集して、海外からもゲストを招き、政府の原発再稼働を阻止し原発を廃炉にするべく私たちはここ横浜に結集しました。しかし原発をもつ地域において、私たちの声と運動にどのような意味があるのか、私たちは原発をもつ地域の歴史と実態、その現実をどれほど理解しているのか、そこに住む人たちの気持ち、立場を理解しているのか、原発推進派が勝ち続け、分断を余儀なくされている地域社会の現実を地域住民と共にどのように変えていけばいいのか、今一度考えてみたいということで、私たちはこのシンポジュームを企画しました。

5.原発を抱える基地における脱原発運動を進めるために
CNFE事務局が企画したシンポジュームは著者の「仮設」を手がかりにして、六ケ所村、浜岡、玄海の原発を持つ各地方で原発反対運動に関わってこられ、地域社会の実態を熟知し、その中で運動の困難さを経験して来られた方々をパネラーとしてお招きしました。その地方の実態、そしてその地方で原発反対の運動を進めることの困難さを率直に語っていただいて、その中から今後私たちはどのような立場で、どのようなことをしていけばいいのか、余儀なくされた「孤立」から「連帯」の道を探るべく、参加された聴衆のみなさんと共に考えていきたいと思います。

90分の短い時間でとても語りきれるものではありません。このシンポジュームの後も私たちのブース(会議センター3階、右側入り口付近)で、パネラーと話し合う場を設定しますので、よろしくご参加ください。また私たちCNFE事務局は継続してこの問題の所在を探り、日本の原発の基地がある各地と、同様の問題を持つアジアの人々との連帯の闘い求めていきたいと願っています。

2012年1月15日

「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」
(CNFE) 事務局
http://wwwb.dcns.ne.jp/~yaginuma/



次は、シンポジウム「アジアの原発廃絶にむけて」で、モンゴル、韓国、日本の脱原発の運動の実際の姿が
紹介されます。モンゴルは特に日本では紹介されることは殆ど無く、その実態が日本で始めて当事者から紹介されることになります。セレンゲさんは主婦であり、女優、そして緑の党の党首でもあります。モンゴルに日本の使用済み核燃料を埋めるという話は消えていないということ、そしてあの自然のモンゴルの地から世界が競争してウランを発掘し、そして核燃料を埋める計画を立て、そのために原発建設まで具体化されているという生々しい報告がなされます。

2011 YOKOHAMA 脱原発世界会議
L.セレンゲ「健全な精神が世界を破局から救う」(講演要旨)


2011年4月以降、モンゴル国領内で外国の原子力発電所の核廃棄物を処分する問題に関し米国・日本・モンゴル3か国が交渉を非公式に進めていると米国の雑誌“Global Security Newswire”や『毎日新聞』などが報道しました。わが国の環境運動家はこれに一貫して反対してきており、今日までに一定の成果があったことを報告させていただきたいと思います。

2010年9月、米国エネルギー省ポネマン副長官がわが国を訪問した時からモンゴル国における核廃棄物の保管施設の建設に関して協議が始まりました。2011年2月、日本・米国・モンゴル3か国の担当者がワシントンで会見し最初の協定を結びました。その後、モンゴル国から核燃料を輸入したいアラブ首長国連邦が上記協定に加わりました。ポネマン副長官は、同年7月初め、海江田万里元経済産業相に2011年内の承認を目指す政府間MOUの草案を提出しました。

私たちの闘いの成果として、モンゴル国大統領は同年9月13日「モンゴル国領内に外国の核廃棄物を埋設することを禁ずる」という大統領令を発令、また同月21日には第66回国連総会においてモンゴル国は外国の核廃棄物を自国領内に埋設させないことを宣言したのです。とは言うものの、モンゴル国政府は日本・フランス・中国・米国・ロシア・オーストラリア・カナダ等の国々と締結した核エネルギー協定の再考、原子力発電所の建設、ウランの採掘などに関する政策を変える考えはありません。また現在、モンゴル国において20社余りの企業が約120件のウラン探査権を所有しているという報道もあります。

フランスのアレバ社は、モンゴル国でウランの試掘事業を成功させ、本採掘を行い、ウランの生産を開始すると、2011年12月初めに発表しました。国際的なウラン関連企業8社のうち5社までもがモンゴル国に進出しいるとマスコミで報じられています。さらに、2012年から原発建設を始めるというモンゴル国政府の政策は変更されていません。私たちの闘いは決して終わったわけではなく、わが国を核の危険から守るため皆さんのご支援がとても重要なのです。核の危険がない世界を創るために協力していきましょう。闘いを粘り強く続けることができれば勝利をつかむことができるということを私たちは経験上知っています。

私たち人類は、エジプトのピラミッドや英仏海峡トンネルを建設して、インターネットを発明し、宇宙開発を進め、月面に降り立つことができました。人類はこれら全てにおいて勝利を収めてきたのです。その一方で、核技術については唯一の敗北を期しました。しかしながら、これに打ち勝つことができるのです。私たちは自らの知恵で核技術を開発しました。核技術には健全な精神によって勝利することができます。方法はとても簡単です。それは原発に反対することです。原発の推進派は減少し、反対派は勢力を増やしています。私たちの勝利はもうすぐです。

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