2011年12月26日月曜日

原発体制を問うことから地域社会の変革を

12.23 第十八回CS神奈川懇話会「原発輸出と脱原発国際連帯」報告ー崔勝久
以下、佐藤和之(CS神奈川世話人)さんのメールから引用。

2011年12月23日、川崎市の中原市民館において、市民連帯神奈川懇話会「原発輸出と脱原発国際連帯」を開催しました。話題提供者は、崔勝久さん(写真・新しい川崎をつくる市民の会)で、全体の参加者は23人。「脱原発かわさき市民」で活動する仲間、PARC自由学校の受講生、そして在韓被爆者支援のグループなど様々な人々が結集しました。

10月26日~11月9日、原発体制を問うキリスト者ネットワーク(CNFE)代表の崔勝久さんは、日本キリスト教協議会(NCC)の支援を受け、脱原発の国際連帯を追求するため韓国・モンゴルを訪問。そして11月11日、崔さんら日・韓・蒙の団体がインターネット同時記者会見を実現し、脱原発を求める共同宣言「Nuclear-Free Asia」を発表しました。今後も運動を強化・拡大し、まず来年1月14日~15日に横浜で行われる「脱原発世界会議」の成功をめざしています。
懇話会では、崔さんが「原発体制を問うことから地域社会の変革を」と題して、韓国・モンゴルのスライドを上映しながら報告しました。その冒頭で、原発震災に直面し脱原発の運動が高揚する日本で、右翼による排外主義ナショナリズムが台頭している現実を紹介。内外の原発体制は植民地支配と同じ構造をもち、植民地主義は現在の国民国家でも再生産されていると指摘しました。その上で、国籍・民族を越えた協働で、地域社会を変革していくべきことを主張。また、こうした足下の闘いが世界とつながり、脱原発もはじめて可能になることを、1970年代の日立闘争の経験から強調しました。
現在、日本政府は中長期的には脱原発をめざすが、海外の要請に応えて原発輸出は推進する方針です。11月28日には、「安全な」原発の開発を唱えるビルゲイツが投資する、川崎の東芝実験用原子炉が再稼動されました。また12月9日、原発輸出や技術協力を可能にするため、ヨルダン・ベトナム・ロシア・韓国との原子力協定が、国会で批准されました。

これに対し、韓国の李明博政権は、2030年までに原発による国内発電を60%へ引き上げ、世界の新規原発の契約20%を取るという戦略。初めてアラヴ首長国連邦との契約した日が、国民の祝日となっているそうです。しかしながら、韓国の道路でセシウム137の検出が相次ぎ、ソウルでは毎時3マイクロシーベルトの区域が出現。そして、脱原発を掲げるソウル新市長が誕生し、「脱核エネルギー大学教授の集い」が発足しています。韓国「緑の党」の全国発起人大会が成功し、韓国「カトリック正義と平和協議会」も動き始めたそうです。

他方、世界の埋蔵ウランの15%をもつモンゴルは、2020年までに原発を完成させる計画で、外資の比率が高い20の合弁会社のうち、現在、韓国系の企業が土地調査を進めている最中。その場合、モンゴルの原発による電力は中国へ供給され、中国軍がモンゴルの原発を防衛するという話があるそうです。また、日米蒙で合意したCFS構想は、モンゴル国家安全保障委員会が承認すれば実現し、実際、アラヴ首長国連邦との間では、ウランの提供と使用済燃料の引き取り契約が存在します。そして、崔さんはモンゴル「緑の党」のセレンゲ元党首と会談し、Face Book利用者(反核をめざす1万人メンバー)らと交流。中国による経済支配と旧ソ連による文化侵略の現実も、見聞してきたそうです。  

質疑応答では、ビルゲイツが開発を推進する新型原発、中国の原発導入・輸出戦略、韓国とモンゴルにおける「緑の党」を含む野党の動向、震災と原発をめぐるキリスト教界のスタンスと運動資金、川崎みんなの党と外国人参政権、川崎臨海部にある東芝原子力技術研究所の役割と市民運動、そして韓国における落選運動などをめぐって議論になりました。また、ピースボートらが主催する「脱原発世界会議」においてCNFEは、日・韓・蒙や青森・佐賀・静岡の脱原発運動家らによるパネル・ディスカッションを企画し、展示や対話のためのブースも置くそうです。全体として、報告も議論も多岐にわたる、内容豊かな集会となりました。

佐藤和之(CS神奈川世話人)

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