2015年12月9日水曜日

近藤誠の『がん治療の95%は間違い』を読みました

このブログで4回、近藤誠の本を紹介しています。かれこれ、私は彼の本を40年、読んでいます。妻の乳がんの手術の後から読みだしたので、個人的に、感謝し、敬意を払っている方です。

今回の本は、彼も東京でセコンドオピニオン外来専門のクリニックをはじめ、年間2000組以上の相談に応える仕事をライフワークとしてやろうと決めたようで、本の内容も、これまで以上に自信にあふれている印象を持ちます。

全国から、また海外からも相談者が絶えず、いながらにして全国の病院の実態がわかり、自分の経験と日々の研究の成果が問われるわけですから、本人としては手応えとやりがいを感じているようです。後書きには、このように書かれています。



僕はがんに関するケースはほぼすべてで、新たに下調べをすることなく、相談に応えることができます。これはおそらく世界でも唯ひとりでしょう。
もちろん、がん治療の分野でも日進月歩で技術確信が行われ、新薬が次から次に認可されているので、時代に合ったセコンドオピニオン外来であり続けられるよう、今も毎朝5時前から医学論文を読み込んで、日々知識を更新しています。
このように医学論文とはしばらく縁が切れそうにありませんが、患者さんやご家族が遠方からひっきりなしに訪ねてみえ、お役に立てるのですから、自分に望むうる最高の人生だと思っています。これからも、みなさんの健康長寿のために精進します。

これは読みようによっては実に嫌味な文書です。傲慢だとか、自惚れすぎているという声が出るでしょう。しかし私は、ああ、これは、近藤誠の本音なんだと思いました。実際、セコンドオピニオンを聞きたがる患者からその人が受けた診断の様子を聞き、その診断をした病院への批判は手厳しいです。それはウソだ、ということを彼は何度も書いています。現実の病院が患者に対してどのように診断し、説明しているのかを聞き、それは違うだろうということのおそらく連続なのでしょう。


しかし近藤誠は、結論を決して押し付けません。丁寧に説明したうえで、患者自らが決断することを勧めるのです。

近藤誠の勧める3原則は、①医者の診断を忘れる、➁検査を受けない、③医者に近づかない、であり、医者に好かれる訳はないでしょう。しかしこの彼の勧める3原則は、これまでの彼の成功例、失敗例を合わせてたどり着いた教訓だと思います。深い意味がそこにあるのでしょう。

具体例が続いているので、読者にはこの本を読んでもらい、自分のもたされていた偏見だとか、自分の症状に対する理解を深めてもらうしかありません。以下、私が気になったことをあげておきます。

血圧のことで悩んでいらっしゃる方に
まず、次の2点を肝に銘じましょう。
①血圧は、脳に十分血圧がいくよう体が調整した結果であり、人の血圧に「基準」というものはない
➁上が160の人は160という血圧が、180の人は180という血圧が必要。

栄養状態がよくなり脳血管が丈夫になった今日では、60歳を超えたら、年齢に90ではなう、110を足した数値までは問題のまい血圧だとかんがえるべきです、だそうです。みなさん、くれぐれも血圧は計らないのが一番だそうです。癌の検診も止めましょう。早期検診で寿命は伸びてませんから。

インフルエンザについて
かつては、「流行性感冒」といわれてました。仕事増をねらう医者たちが、「インフルエンザ」と言い換え、恐怖を煽っているだけのです。

がんは老化とともに誰もがかかる可能性があるものです。私も、舌に何か違和感があると舌癌ではなかいと疑い、胃の調子が悪い時は胃癌ではないかとしょっちゅう気にしています。しかし近藤誠の本を読む中で、自分の対応の仕方は決めています。これも長年、彼の本を読み続けてきたからですし、彼にぶれがなかったことにたいする信頼があり、絶えず、自分の経験を絶対化しないで判断をしていこうという姿勢が見られるからです。

ブログにあげた近藤誠に関する内容です。
2010年12月22日水曜日
近藤誠『成人病の真実』のお薦めーこれは絶対です!
http://www.oklos-che.com/2010/12/blog-post_9935.html

2010年12月17日金曜日
近藤誠は生きていた!-「がんもどき」理論の最終見解について
http://www.oklos-che.com/2010/12/blog-post_17.html

2012年9月24日月曜日
がん治療の常識への挑戦者、近藤誠の最新の論文を読んで
http://oklos-che.blogspot.jp/2012/09/blog-post_24.html

2012年9月27日木曜日
がんを心配されている方へー「がん放置療法」ってご存知ですか

http://oklos-che.blogspot.jp/2012/09/blog-post_27.html

7 件のコメント:

  1. FBに寄せられたコメント

    賛成です。私たちは72歳、五人の子供は一人だけ少し気がかりですが世間から見ると豊かな生活を送ってます。心配がないので「いつ死んでも悔いはない」というわけで医者にイってあれしちゃダメ、これもしちゃダメと言われるより好きなことやって好きなもの食べて飲んで自然にいつの間にかいなかったになろうと約束してます。子供も呆れつつ了解です。

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  2.  癌の治療に取り組んで下さるお医者様の熱意には感謝していますが、原発とか遺伝子組み換え食品とか、不必要な食品添加物とか、環境ホルモンとか、国がより根源的要因に取り組む姿勢がないことに疑問を感じますね。また、治療にも医療用ウランが消費される場合があることを思えば、もし自分が羅患したときは治療しないことも含め、自分の運命を自由に選択することで、周囲から非難されたくはないですね(笑)
     ただ、明らかな原発の影響による発症の場合は、人権侵害だと思います。国は地方創生で都市部の人間の地方移住に力を入れる一方で、なぜ被曝の危険のある領域に被災者の方々を帰還させたがるのか、理解に苦しみます。

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  3. Ai Shibahashiさんへ、投稿、ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。私は妻のがん手術から、日本の医療の実態を知り、近藤誠の主張から多くを学びました。しかし彼を取り上げたことで、福島の甲状腺がん問題があるのに、「がんもどき」を主張する近藤を取り上げるのはけしからんという批判を受けています。そのような批判は論理に飛躍があると思い、反論はしていません。

    Aiさんがおっしゃる「明らかな原発の影響による発症」は実は、福島事故だけでなく、原発の通常運転がなされている地域で起こっているということがあまり問題になっていません。韓国のイ・ジンソプさんは妻の甲状腺がん発症の責任は古里原発側にあると提訴して釜山地裁で勝利しました。先月、彼は玄海裁判で証言をしました。原発立地地域ではどこでも、白血病とか癌患者が多いと噂されているのですが、疫学調査はなされていません。またそのような運動もありません。韓国で勝利できたのは、ソウル大学医学部の疫学調査があったからです。

    参考までに。
    参考資料:
    甲状腺がん患者の発症に原発の責任を認めさせたイ・ジンソプさんの紹介記事(東京新聞)
    http://oklos-che.blogspot.jp/2015/02/blog-post.html
    韓国の原発裁判で勝利したイ・ジンソプさんの資料(判決ほか)
    http://oklos-che.blogspot.jp/2015/01/blog-post_5.html
    イ・ジンソプさん裁判:韓国での控訴審の第一回目の審議内容
    http://oklos-che.blogspot.jp/2015/05/blog-post_24.html

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  4.  本当に、原発事業者や原発推進派政治家は無責任ですよね。そして、当の原発労働者はあまりに隷属的というか、自分の命に対する危機感が薄いのが、信じられない思いです。見当違いな仕事への使命感というか…。イ・ジンソプさんにしても、裁判で闘ってやっと被害を認めさせたなど、原発がいかに保護されているかを痛感します。
     日本でも疫学調査をすれば、裁判官の人間性だけに委ねなくても、客観的データが原発の有害性を証明してくれるのでしょうか。日本はもんじゅの新しい担い手を見つけることが困難なようで、全国では放射性廃棄物を受け入れてくれる自治体もまずないということは、原発再稼動の条件は整わないことになりそうですが、電力各社の再稼動申請の動きが不気味です。
     再稼動阻止のためだけでなく、フクシマ周辺の方々のためにも疫学調査の必要性は訴えてみるべきでしょうか?
     興味深いお話をありがとうございます。
     因みに、最近は原発労働者も労災認定されるようになってきたようです。されないよりはマシかも知れませんが、被曝で発症した病気の労災などご免ですよね。

    原発下請け労働者に労災を認定 2014年3月 しんぶん赤旗より

     関西電力(兵庫) 原発で配管の点検などに従事し、悪性リンパ腫を発病した下請け労働者について、神戸西労働基準監督署が労災認定。

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  5. Ai Shibahashiさんへ

    先月、イジンソプさんが玄海裁判の証言台に立ち、自分の経験から、原発の通常運転そのものに問題があるということを話しました。2000名の川内集会でも同じ話をしていました。もちろん、川内では再稼働反対一本の雰囲気でした。しかし集会後の彼の講演には100名を越える人が集まりました。そして、参加者の中からは、通常運転における地域住民の疾患の現状が語られていました。それは、地域における疫学調査の必要性があるということを意味します。

    イ・ジンソプさん鹿児島市講演会(10月12日)の模様をおさめた、ユーチューブのURLです。


    参考までに:
    ジンソプさん鹿児島市講演会(10月12日)の模様をおさめた、ユーチューブのURLです。https://youtu.be/SLoAEFnQEBM

    崔勝久氏「本人訴訟」を熱く語る(in鹿児島)
    https://youtu.be/r2bEIf4zOM8

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  6.  ありがとうございます。理解が遅いので(汗)、少しずつ拝見させていただいています。大気汚染が深刻で、そのためにもこれから数十基の原発を新設する計画だという中国が心配でなりません。中国の原発労働者や周辺住民は被曝の危険性はないのでしょうか…?ロシアやイランも原子力推進の立場ですが、原子力事業従事希望者がいるのが不思議です。日本は廃炉要員の確保も危ういというのに…。

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  7. 動画拝見いたしました。気になったのは、ジンソプさんの息子さんの先天的自閉症で、ネットでちょっと検索しただけでも、原発と自閉症、鬱病(鬱病と甲状腺には深い関係があることが指摘されています)の関係について触れている記事があります。
     先日、私が自閉症スペクトラムの特徴について、共感力が低いことを挙げましたが、原発やワクチンなどの影響で正常が脳の働きが破壊され、無感情に近い人間が量産されているかと思うと、ゾッとしますね。
     疫学調査では、自閉症など発達障害の人間の割合についても明らかにできればよいのですが、医師の方の負担になるでしょうか…。

     ところで、中国でマグネシウム電池の量産が始まるようです。原発への依存度が低下することを心から願っています。

    中国でマグネシウム電池量産へ 来夏に工場完成
    2015年12月18日 19時15分 東京新聞

     日本で開発が進み、次世代のエネルギー源として注目されるマグネシウム電池の製造工場が来年、中国に建設される見通しとなった。開発に取り組む矢部孝・東京工業大名誉教授が18日、共同通信に対し明らかにした。

     矢部氏らは11月、上海に近い江蘇省啓東市にマグネシウム電池生産のための会社「啓東市金美新能源有限公司」を設立。来年夏、同市に工場を完成させ、スマートフォンの充電や小型無人機「ドローン」に使う電池の大量生産を始めるという。

     今月12日、国営の電気自動車(EV)メーカー「中合華浦智能汽車有限公司」(北京市)など2社と中型EV用電池を試作する契約を結んだ。
    (共同)

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