2014年2月8日土曜日

日本最大の日本キリスト教団への提言:日本の教会はこれでいいのか、クリスチャン新聞報道を見て



クリスチャン新聞が本日、2月16日号で1月30日の原発メーカー訴訟の記事を掲載しました。朝日や東京新聞に比して、この訴訟の目的や背景をより深く理解した記事内容になっています。しかしAP通信や世界の新聞はさらに詳しく報道しています。ロイターは5分間の映像ニュースを制作し福島、韓国、アメリカの原告まで取材しながら、3月の2次訴訟に合わせて全世界に配信するそうです。

  Hundreds Sue Makers of Fukushima Nuclear Plant  
  http://abcnews.go.com/International/wireStory/hundreds-sue-makers-fukushima-nuclear-   plant-22294761 …

  Fukushima: Landmark Lawsuit filed against General Electric, Toshiba and Hitachi
  nsnbc international
  http://nsnbc.me/2014/01/30/fukushima-landmark-lawsuit-filed-general-electric-toshiba-   hitachi/

WCCの中央委員会でも反核宣言(反核兵器と反核発電)を採用し、具体的なアクション・プランとして原発メーカー訴訟に取り組むことが期待されます。委員長は前向きな姿勢でしたから、この7月ジュネーブで持たれる中央委員会でどのような方向性が出されるのか注目されます。

昨日私は、東京告白教会信教の自由を守る日記念講演会で「世界から見た日本の原発問題ー原発体制に抗する国際連帯を地域から」というタイトルで話をしました。むしろこれまで保守的な信仰者だと言われていた人たちが原発メーカー訴訟に積極的です。さっそく明日の礼拝後に教会でアピールをして原告を募るというメールを先ほど、参加者の一人からいただきました。

一体、3・11以降の日本社会の危機的な状況の中で、社会派だとか福音派と言って分裂している日本の教会(特に戦争協力をしてきた最大の日本キリスト教団)は、全世界に対してどのようなメッセージを発しているのでしょうか?

福島への支援ということでNCC(日本キリスト教協議会)を通して全世界から莫大な支援を受け、福島の「悲惨さ」を訴え、「福島の問題に学び核のない世界を生み出さなければならない」という声明文をWCC総会でだしたそうですが、日本が原発輸出を継続し、世界(特にアジアの国々)への加害者になっている事実に関しては一言も言及しません。台湾の第四原発は福島事故を起こした同じメーカー(日立・東芝・GE、それに三菱重工)であり、日本が初めて原発輸出をしたものです。台湾の人が20万人を超える原発の廃炉を求めるデモをしているのに、それを支持し連帯をするということを何故明言しないのでしょうか。

WCC総会の後、WCCに参加した韓国、台湾、フィリピン、インドネシアの教会の人たちは原発メーカー訴訟の原告になり、ともに原発メーカーの責任を問い原発をなくそうとする運動に全面的に協力をしてくれました。海外ではⅠ万人の原告を募ろうとしていますが、日本は1000名、そのうち、原発体制を問うキリスト者ネットワーク(CNFE)を含め日本キリスト教団の人たちは数えるくらいの人(現状で50名以下)しか原告になっていません。

これは原発事故の当事者国に住む者として恥ずべきことだという発言が昨日の講演会に参加した人からありました。私はキリスト者こそ原発体制を問う先頭に立ち、原発輸出を続ける韓国に対してもしっかりとそういうことをするべきではないという発言をしていく主体としてCNFEを提唱してきたのですが、やはり実際の行動となると日本のキリスト者はガクンと参加する人が少なくなります。東電や日立、東芝の信徒もいるからとか、原子力ムラの中にも信者がいて原発反対は言えないとかという声を聞きます。日本が原発を輸出して加害者になってもいいのかという話はできないものなのでしょうか。

日本の教会が現在の日本の加害者性に愚鈍なのは、戦前の、いや明治以降の日本の教会の宣教が天皇制に加担しアジア侵略をよしとしてきた加害の歴史を直視していないからです。日本の教会に戦争責任告白での一致を求めれば、いろんな教団、教派はまとまらないと「諭され」驚きました。戦前・戦後の植民地主義の実態を認識せず、福島の悲惨さを強調し日本の被害者性のみを海外へのメッセージとするのは結局のところ、日本の明治以降の加害者の立場に立った宣教政策の問題点を認識せず、弱者を差別・搾取する世界的な社会構造を批判する視点をもたない、センチメンタルな、個人の魂の救済を錦の御旗にした信仰理解から脱していないからなのでしょう。

この3月に日本キリスト教団は「WCC総会を踏まえた」国際会議を持つとのことです。その場において日本という国が戦前の植民地主義を清算せず、現在に至るも原発輸出というかたちで加害者の立場に立ち続けている姿をどのように信仰に基づいて自己批判し、具体的なアクションプランをだすのか、見守りたいと思います。

そしてWCCに向けても、原発メーカーの事故責任を免責する原子力損害賠償法(原賠法-
The Act  on Compensation for Nuclear Damage)が日本だけでなく、台湾、韓国、世界の国々に存在し、原子力事業の「健全な発展」を画策しているという世界の実態を核廃絶と共に正面から取り上げ、預言者的な発言と行動を起こしていただきたいと願います。

「福島の問題に学び核のない世界を生み出さなければならない」ということは、原発の再稼働と原発輸出をさせないということではないのでしょうか? そういうことを恥ずかしげもなく神学用語で語る人が原発メーカー訴訟の原告になっていないという現実に愕然とします。

3 件のコメント:

  1. 日基のエリート中心主義傾向のために原発に反対できないのでしょう。また、推測ですが、米国ミッションが核の平和利用を日本に押し付ける役割を担ったかもしれないと疑っています

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  2. 拝読してたまらない気持ちになりました。日本の教会はどこまで堕落を続ければ気が済むのか!

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  3. 全くその通りです。教団に属する一人として、ほんとに情けなく思います。

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